失ってしまった幸せ
第2章 失くした心~despair~
それから美琴はたくさんの人に会った。
後輩の白井黒子、友達の初春、佐天、上条の知り合い達だ。
しかし、誰も美琴を責めようとしない。
誰もがこう言うのだ。
あまり自分を責めるな。
上条当麻も彼女を守れたのだ。悔いはないはずだと。
しかし彼女は救われない。
自分の所為で上条が上条は傷ついた。
あの時帰り道を変えようと言わなければ、あの時階段ではしゃがなければ。
どうして自分は軽傷で、彼は重体なんだ。
自分だけ落ちてればよかったのに。
そんな思いだけが彼女を覆う。
ある日、美琴の病室に入ってきたのは白井黒子だ。
「お姉さま、ご様態はどうですの?」
「だいぶ、落ち着いたかな」
「そうですの。では退院の方は」
白井は本気で自分を心配している。
これ以上心配をかけるわけにはいかないが、今の美琴には無理だ。
「ごめん黒子。それはまだ待って欲しい。まだ何もしたくないの」
「ではお姉さま。黒子は何時までもお待ちしていますので」
白井は病室から出ていく。
(ごめん。黒子。私、最低だ!)
彼女の心にあるものは後悔だけだ。