とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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とある二人の休日



「不幸だ・・・」

今日何度目になるか分からない台詞を呟くこの男は上条当麻

「まさか宿題をこんなに出されるとは上条さんも驚きを隠せませんよ・・・」

今日、明日と世に言う休日と呼ばれる日なのだが、朝突然電話にて
『上条ちゃん、ちょっと学校に来てくれますか?』と、担任である小萌先生からの有り難いお呼びがあったのだ。
つまり海外に頻繁に赴き、単位が危ない上条のために救いの手(?)を差し伸べてくれたのだ。

「まぁ、小萌先生がインデックスを預かってくれたのは助かるけどな・・・」
小萌先生の配慮によりインデックスは2日間預かってくれるとの事らしい。

「せっかくの休みで良い天気だってのに俺は宿題日和ってわけですか・・・不幸だ・・・」
今の上条の不幸オーラを見れば、例え知り合いが見たとしても声をかけようとは思わないだろう。

「アンタ、何でそんな黒いオーラ背負ってんのよ」
御坂美琴を除いて
上条はちらりと美琴を見ると、「何だ美琴か・・・上条さんは只今不幸真っ最中なわけですよ・・・」
半分壊れかけた笑いでそう答える。

「なっ、何だとは何よ!!」
叫ぶと同時に名前で呼ばれた事に気づき、顔を真っ赤にしながらパチパチと電気を発生させる。
「はいはい、そんなに怒るなって」
そう言いながら、右手で美琴を頭を撫でる。

「ぐっ・・・!」
名前で呼ばれた+優しく頭を撫でてもらうの2連続コンボで一瞬意識が飛びかける。

一歩下がり、右手の範囲外に行ってから呼吸を整え聞く。
「そっ、それでアンタは今度は何が不幸なわけ?」
「宿題の数が膨大なんですよ。ここ最近授業出てなかった救済措置だそうです・・・」
またもやガックリと肩を落とす。
「アンタ本当なにしてんのよ。そんなんで進級できるわけ?」
「返す言葉もございません・・・」

少しの無言の後、
「で、お前はこんな所で何やってんだ?今日は休日だろ?」
「え?」
ドキッとする。
(言えない。アンタに会えるかもと思ってこの辺歩いてたなんて口が裂けても言えない!)
「べっ、別にアンタには関係の無いことでしょ。天気が良かったから散歩してただけよ!」
「ふーん。・・・まぁいいや、これから上条さんは素晴らしき宿題タイムなので。じゃあな」
キュピーン。そんな音が一瞬聞こえた気がした。
「手伝ってあげようか?その宿題」
「は?」
「だ・か・ら、この御坂センセーが手伝ってあげるって言ってんの」
「いや、有り難いけど別に良いよ。散歩してんだろ?」
「別に良いわよ。どうせ暇だから散歩してただけだし。有り難く好意は受け取っておきなさい」

しばし上条は考える。
(うーん・・・手助けは有り難いが中学生に教わる高校生か・・・前もあったけど、ここで教わるとプライドが・・・)
「そうか?悪いな。助かる」
プライドは負けた。効率に負けた。
「それで良いのよ。で、何処でやんの?ファミレス?」
「俺の家だろ。ファミレス何て行く余裕は上条さんにはありません」
「へ!?アンタの家!?」
思いがけない展開に美琴は焦る。
「ん?何かまずいか?お前が嫌なら別にファミレスでも・・・」
「いや!大丈夫よ!とっとと行きましょ!」
そう言って上条の腕を引っ張る。
「お、おい!そんなに引っ張るなって!」

「へー。ここがアンタの家なんだ」
物珍しそうに辺りを見回す美琴
「別に珍しいこと無いだろ。お前のとこの寮の方がよっぽど凄いって」
「初めて来るんだから、それなりに興味を持つのは普通でしょ」
(アンタの住んでる所なんだから当然じゃない・・・)
「それじゃあ俺の部屋行くか」
「う、うん」
(初めてコイツの家知っていきなり部屋か、緊張するわね・・・)

「ちょっと待ってろ。軽く片づけてくる」
「隠しても無駄よ?どうせアンタの事だから何かの拍子に見つかるって」
「何の話してるんでせうか!?お前の想像してる様な物は持ってねぇよ!」

部屋に入ると片づける物を考える
(さて、インデックスがいた痕跡をとりあえず隠さないとな)
ベッドのシーツを直したり、洗濯物や歯ブラシなどを片づける。この間2分近く。
(まぁ髪の毛とか見つかったら諦めてテキトーに誤魔化すか・・・)
「待たせたな。入って良いぞ御坂」
「あ、うん。お邪魔します」

「テキトーに座ってくれ」
「へー、意外と綺麗にしてんのねアンタ。てか物無いわねー」
「まぁな。貧乏学生の上条さんにとってはこれぐらいで十分なわけですよ」
キョロキョロと周りを見渡す美琴
(これがアイツの寝てるベッドかぁ・・・躓いたフリして飛び込もうかしら・・・)
何て事も考える恋する乙女御坂美琴。すみません。上条さんそこで寝てません。

「お茶で良いか?」
台所から上条が尋ねる
「っ!?ど、どんとこい!」
邪(?)な考えをしている時に尋ねられ、思わずわけがわからない返答をする
「いや、別にそんな覚悟決めて飲むほどの物じゃないからな。普通のお茶だって」

「ほい。どうぞ」
「ありがと」
二人してお茶を飲んで一息つき、
「で、アンタの宿題はどれ?」
「あぁ、コレなんだがな・・・」
宿題タイムが開始した。

1時間経過。
「何でお前はそんなに出来るんだよ・・・」
「前も言った気がするけど何でアンタは出来ないのよ」
思わず涙が上条の目からブワッと溢れる。
(それにしても・・・)
ふと気を抜いた所で気づいたが、隣に座ってると美琴の方から言い香りが漂ってくる。
(普段ビリビリばっかだけど、御坂も女の子なんだよなぁ・・・コイツ意外と・・・)と考えた所で、
(い、いかん!俺はいったい何を考えてるんだ!落ち着け俺!)
「ちょっと、何ボケッとしてんのよ。説明まだ終わって無いんだけど」
「あ、あぁ悪い!」

2時間経過。
「ねぇ、アンタにこれからも勉強教えて上げようか?」
「ハハハ。上条さんの心は既に木っ端微塵ですよ・・・」
ガクッと崩れ落ちる上条
(それにしても近いわよね・・・これ・・・)
さっきまで意識はしていなかったが、一度意識すると止まらない
二人の距離は最初はそれなりに開いていたが、今では肩が触れ合うほどの近さまできていた
(もうちょっと近づいても問題無いわよね)そう決心し、近づこうとしたところで
「そろそろ休憩すっか。何か菓子でも持ってくるよ」
そう言って、上条が立ち上がる
「っ!・・・ありがと・・・」
(何でこのタイミングで!?)と一人で落ち込む美琴

二人してお菓子を食べながらしばしの雑談タイムとなった
常盤台の事。黒子の事など、基本的に美琴が喋り、上条が受け答えする形となっていた
「そういえば、アンタってよく銀髪の子といるけどあの子何者なの?」
「え!?」
上条は焦った。なぜここでインデックスが出てきたのかに
「格好も凄いし。そもそも何処に住んでのよあの子」
「えーと・・・・」
(同居してますなんて言えないしなぁ・・・言ったら何かヤバイ事になる気がする・・・)
1.覚悟を決めて全て正直に言う
2.実は従妹なんだ
3.黙秘権でお願いします
4.魔術関係の人間なんだ
「も、黙秘権で・・・」選んだ選択肢は3でした。よりにもよって
「ほっほーぅ。つまり言えないような関係だと?」
「ちょ!何でビリビリしてるんでせうか!?御坂サン!?」

(コイツもしかしてあの子と・・・!?)
「人には言えない関係ねぇ」
「そ、それはだな・・・」
(これはマズイ。非常にマズイ。何か知らんがマズイ!)
「アンタとあの子って、その・・・つ、付き合ってるわけ?」
「いや、それは誤解だ!てか何でそういう事に!?」
「頻繁に一緒にいるし、お互いに名前で呼び合ってるじゃない!」
(名前?だったら・・・)
「そ、それじゃあお前も俺のこと名前で呼べよ。俺もお前のこと名前で呼ぶからさ!」
「へ?」
美琴は固まった
さっきまでの勢いが嘘のように部屋が静かになった

(ん?思いの外効果有りなのか?)
思いつきで出した提案だったが予想外の効果に上条自信驚いていた
「み、御坂?」尋ねてみるが反応が無い
「おーい?大丈夫か御坂?」

(な、名前で呼び合う!?)
御坂美琴の頭はフル回転していた。
(名前で呼び合うって事は私が「当麻」って呼んでアイツが私のことを「美琴」って・・・)
「あ・・・アンタがそれで良いなr・・・」
つまりそれはアレがソレでソレがアレで・・・・
美琴の脳内では傍から見たらまるで恋人同士のような状況が映し出され、
「ふにゃー」
限界だった。御坂美琴の頭はオーバーヒートした
真っ赤になった美琴はそのまま漏電しながら意識を失った

「ん・・・」
視界がぼやけた状態から焦点があってくると、自分が横たわっていることに気がついた
おでこには冷たい感触がある
「えっと・・・?」
起きあがりながら、目覚めたばかりの頭で現状を把握しようとしたところで
「おぉ。目が覚めたか。大丈夫か?」
ベッドに寄りかかるようにして座っていた上条が尋ねた
「お前いきなり真っ赤になって倒れるんだもんな。調子が悪いなら言えって」
(あぁ、色々考えてたら私気を失って・・・)
「ごめん・・・」
素直に謝る
勝手に二人の関係を勘違いし、上条と名前で呼び合う事を考えただけで気絶し迷惑をかけた事を悔やむ
「気にすんなって。俺こそ無理させてたみたいで、ごめんな」
「そんな事は無いけど・・・・」
そこで上条の方を見て気がつく

「アンタその服・・・」
上条の服は焦げてた。そればかりか部屋が焦げていた
「もしかして私が・・・?」
「ん?あぁ気にすんなって。こんぐらい上条さんにとっては日常茶飯事ですよ」
苦笑しながら上条は答える

自分から質問しておきながら、勝手に怒って、あまつさえ相手に大きな迷惑をかけた
その事実とこんな事ばかりする奴なんて嫌いになって当然だろうと思った瞬間
「み、御坂!?」
涙が止まらなかった。泣いたら迷惑だろうと思っても止めることが出来なかった
「ぅ・・・ごめんね・・・・っ」
嫌われる事が一番恐ろしい事だったのに、自らそれを招くような事をしてしまった
自己嫌悪ばかりが押し寄せ、この場から早く消えたかった。その時
「そんなに泣くなって」
上条に抱きしめられた
「こんな程度でお前の事嫌いになったりしねぇよ」
まるで心の中を読んだかのように上条は続けてそう言った
頭を優しく撫でながら、しばらく上条は美琴を抱きしめていた

「落ち着いたか?」
美琴が泣き止んで少し経ってからそう聞いた
「うん・・・」
(あったかいなぁ)そうボンヤリと考えながら答える
「そっか。じゃあ・・・」と言って、上条が離れようとすると
「もう少しこのままが良い」そう言って美琴が背中に回した手を強くした
(ちょっ!?御坂サン!?何か柔らかな物が当たってるのですが!?)
上条の心の内での戦いの火蓋が切って落とされた

「い、色々迷惑かけたわね」
そう言って俯いた状態で玄関に立つ美琴
「まぁ、気にすんな。お前のお陰で宿題かなりはかどったしな」
本能と理性の間で葛藤を続けた上条は少々ゲッソリしながら答える
「でも、結局終わらせるまで手伝えなかったわ」
理性を取り戻した御坂が真っ赤になって離れた後、
なるべく互いに意識しないようにして宿題に再び取り掛かったがやはりギクシャクした状態だった

「あんだけやっておけば大丈夫だ。今日中にでも終わるだろ」
そう言いながら靴を履く上条
「ん?アンタもどっか行くの?」
「お前を送っていくんだって」さも当然のように上条は答える
「いいわよ別に。真っ暗ってわけじゃないんだし。それに私はLEVEL5よ?」
「LEVEL5だろうと何だろうと女の子には変わりないだろ。お礼も兼ねて送っていくって」
(女の子・・・か。私の事女の子として一応見てくれているんだ・・・)
さり気ない上条の台詞に思わず美琴は嬉しくなる
「それじゃあ、お願いするわ」
「ほいほい。じゃあ行くか」

ちょっとした会話をしながら常盤台の寮へと向かう
「それでアンタ・・・」
そう言ったところで上条が尋ねた
「なぁ、名前で呼び合うんじゃないのか?」
「へ?」
「だからさ、さっきお前気絶したけど名前で呼び合う事にしたんじゃなかったっけ?」
「え?え?」美琴は混乱する
「だからアンタじゃなくて名前にしろよ。俺もお前の事美琴って呼ぶから」
(ほ、本当に名前で呼び合うの!?)美琴は赤面しながら、
「じゃあ・・・と、当麻・・・・?」蚊の鳴くような声で言う
「ん?」
「呼んでみただけよ・・・練習よ練習・・・」真っ赤になって俯きながら呟く

「ま、すぐ慣れるだろ」
あの御坂美琴に恥じらいながらも名前を言われた上条は、少し照れながら言う。
(そんな簡単に慣れるわけないでしょ!意識保つので精一杯よこっちは!)
美琴は心の中で叫ぶ
「なんつーか、こう言うのも変だけど改めてよろしくな美琴」
「うん・・・当麻」
恥ずかしそうに、だけどしっかりと御坂美琴は答えた

「お姉様、休日にも関わらず何処にいらっしゃったんですの?」
上条に送られた後、常盤台の寮にて黒子に言われた第一声はそれだった
「え?い、いや別にそこら辺をブラブラーとしてたのよ。天気も良かったしね」
目を逸らしながら美琴は答える
(怪しいですの・・・)
明らかにおかしいと感じた黒子は少し思案し、尋ねる
「そういえば、お姉様がよく一緒にいらした殿方は誰でしたっけ・・・・?」
「当麻の事?」
言った瞬間(しまったっ!)と思うが時既に遅し
「お、お姉様・・・?今、当麻と仰ったんですの・・・?」
「き、気のせいよ気のせい!」
慌てて否定するが、その顔は真っ赤。この一日で何かがあった事は誰の目にも明らかだった
「あ・・・あの類人猿がぁ!!!!私のお姉様に対して何を!!??」
常盤台中学の学生寮の中に白井黒子の叫び声が響いた。

「うぉ!?」
突然の悪寒に身を震わせる現在宿題と格闘中の上条当麻
(何だ今の悪寒は・・・もの凄い嫌な予感がする・・・)
こういう時だけ上条の予感は的中する
「宿題は不幸だったけど、手伝って貰えたのはラッキーだったな」
「この分だと頑張れば今日中には終わるな」

「それにしても、今日の美琴は・・・」
そう呟きながら今日一日の美琴の様子を思い浮かべる
(普段はあんなだけど、大人しいと可愛い女の子なんだよなぁ)
考えているうちに少し自分がとんでも無い事を考えていることに気がついた。
(いやいや、何考えてるんだ上条当麻!俺の好みはですね・・・)
と一生懸命考えてみるが、それでも頭の中に御坂美琴の姿が浮かんだ
「んー・・・お礼も兼ねてどっか遊びにでも誘ってみっかな・・・」
そう言いながら再び上条当麻は宿題へと取り掛かった





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