とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part16

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第5章 ③神の右席


「こんなに早く再会するとは思ってなかった」

「俺様もだ。
 まさか貴様がわざわざイタリアまで足を運んでくるとは思わなかったからな」

「イタリアの首都がローマだって忘れてた上条さんの馬鹿加減に、自分自身呆れてものが言えませんよ。
 それよりも美琴は本当に無事なんだろうな?」

「ああ、別室で眠っているだけだ。
 信用できないか?」

「いや、正直アンタからあまり良い感じはしないけど嘘を吐くタイプには見えないからな。
 それで今日はあの件の返答を尋ねるために俺達を拉致したのか?」

「いや、俺様はそのつもりじゃなかったんだがな。
 同僚に貴様の話をしたところ、是非会いたいと言い張ってな」

「同僚?」

「我々のことである」

「なっ、いつの間に!?」

「フィアンマ、貴様が言った通り中々気骨のありそうな少年である」

「そうだろう?」

「それよりも私としてはその力を研究材料として是非利用したいのですが」

「…」

「コイツらは一体!?」

「すまんな、俺様達は少々癖のある人間の集まりなんでな」

「アンタに言われたらお終いでしょ」

「我々は神の右席と呼ばれるローマ正教の中でも最も深淵に位置する組織の構成員である」

「アックア、勝手に自己紹介を進めないでくださいよ」

「それでその神の右席が何の用だ?」

「先ほどフィアンマが言ったでしょう、私達があなたに会いたいと言ったと。
 まあ実際に会ってみると、これだけ錚々たるメンバーを前にして全く物怖じしないとは…
 勇敢なのか、それとも単に危機感が薄いのか、その点も面白い実験材料になりそうですがね」

「まああなたに会いたいって言うのは建前ね。
 私からはあなたに言っておかなくちゃいけないことがある」

「言っておかなくちゃいけないこと?」

「私は近い内に学園都市を滅ぼしに向かうわ」

「なっ!?」

「学園都市に予め警告を伝えてもいいけど、その場合無駄に死者が増えることになる。
 私の前にはどんな抵抗も意味をなさない、あなたを除いては…
 私はこの中でも特に過激派だからね、抵抗するものは徹底的に殺すわ」

「てめえは一体何を言ってるんだ!!」

「ヴェントが学園都市に向かった際にこの間の返事を聞く。
 貴様が仲間になることを選択するならば、貴様と女だけは助けてやる。
 もし断れば学園都市と運命を共にするだけだ」

「それを知っていて、みすみすここでお前たちを逃がすと思うか!?」

「止めておけ」

「がぁっ!?」

「次に目覚めた時は、貴様の泊まるホテルのベッドの上だ。
 貴様がどういう選択をするかは分からんが、残りの平穏な日々を味わうがいい」

そして上条の目が覚めると本当に宿泊していたホテルの部屋だった。
ベッドの上では美琴が横になっている。
急いで美琴に駆け寄ると静かに寝息を立てており、やがて美琴も目を覚ました。
キョトンとしている美琴を抱き寄せると、上条は忌々しげにあの四人の顔を思い浮かべる。
運命の時は間近に迫っているのだった。








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