とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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匿名ユーザー

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「美琴」

「当麻」

「今日は一段と可愛いぞ」

「そ、そう?いつもと変わらない制服姿なのよ」

「それは……昨日よりも増して今日の美琴を愛してるからさ」

「私も……昨日の当麻より今日の当麻がカッコ良く見えるわ」

「それは……同じ意味なんだろ」

「決まってるじゃない」

「美琴」

「当麻」

「美琴、先に飲まないか?」

「当麻が先に飲んで」

二人の間、テーブルの上には飲み物が入った大きなグラス。それには二本のストローが刺さっていた。

「美琴、譲り合ってもしょうがないよな」

「そうね」

「一緒に飲むか?」

「……わかった」

学生中心のそれこそ友達同士で食事に来るような只のファミレス。そんなところでこれは辞めて欲しい。

店内の空気は二分。甘い空気にコーヒー、それもブラックをコーヒーサーバーに淹れに行く者多数。もう半分は食器をガチャガチャ云わせ唸り声をあげる者、要するに憎悪に取り付かれた者達。

顔がくっつく程に近づけストローをくわえる二人。

壁殴り代行に連絡を取る者も発生。

衆人監視のもと見せつけている。

「美琴、美味しいか?」

「当麻と一緒なら」

ウゼー!と言いたい店員達。





「美琴」
(名前で呼ぶべきなんだよな?)

(名前呼ばれた!名前で返さないと!)
「当麻」

「今日は一段と可愛いぞ」
(服装を先ずは誉めるんだよな)

「そ、そう?いつもと変わらない制服姿なのよ」
(アンタ、ナニ言ってるのよ!見慣れてるでしょうが)

「それは(しまった!制服だった!え、えーと)昨日よりも増して今日の美琴を愛してるからさ」

「私も(バッ、云うに事欠いてなんちゅーこと言うのよ!!ゴルァァァ!)昨日の当麻より今日の当麻がカッコ良く見えるわ」

「それは(す、すみません、睨まないで)同じ意味なんだろ」

「決まってるじゃない」
(引き受けるんじゃなかった……し、心臓が)

(次、ナニ言えば良いんだ?)
「美琴」

「当麻」
(また名前を呼ぶぅ……)

困った上条の目がテーブルの上に行く。

そこには二本のストローが刺さった大きなグラス。メニューから見つけ、それらしく見せるために注文した。

置いて在るだけでは意味がない。

しかし、

「美琴、先に飲まないか?」
(こんなん頼んじまっても……)

「当麻が先に飲んで」
(できっこないじゃない?)

「美琴、譲り合ってもしょうがないよな」
(覚悟を決めるしかないのか?)

「そうね」
(バカなこと言い出さないでよ?)

(肯定の意味だよな?)
「一緒に飲むか?」

「(ギャー、アンタどうすんのよ?どうなるかわかってんでしょうね?ぐぬぬぬぬぬぬ)わかった」

ストローに顔を近づける。

((ストローが……短い!))

メニューに有っても話の種ぐらいの商品、よほどのバカップルでもない限りオーダーが入ることは無い。故にグラスは用意してあっても専用の長めのストローは構えていなかった。

(御坂の顔が……近すぎ!)

(ア、アイツの顔が!ひ、額がくっつく!)

覚悟を決めストローをくわえる二人。

(御坂の唇が目の前、近ッ!うあああああああああああああ)

(ア、アイツの髪の毛が触れてる、私の髪にッ!うあああああああああああああ)

衆人監視のもと見せつけている。見せつけなければならなかった。

(ダメだ、耐えられん!)
「美琴、美味しいか?」

ストローから口を離すため、美琴に尋ねる。

「当麻と一緒なら」
(もう、どうとにでもなれ)

((……どうしてこうなった))





「うにゃー。カミやーん」

「げっ、土御門」

「げっ、とは何ぜよ、げっとは?」

「何となく『エンゼルフォール』の時を思い出しちまったんだよ」

学校からの帰りがけ、上条に声を掛けてきたのは寮の隣人でクラスメートである土御門元春。ついでに言えばイギリス清教は必要悪の教会からの潜入工作員、ばかりでなく多重スパイをやっているらしい。

友人であるも何度か利用され迷惑を蒙っている。

「察しがいいにゃー、カミやんは」

「……またかよ、今度はなんだ? どこへ行けってゆーんだ、ブラジルかアフリカかそれともまたイギリスか?」

「すっかり疑り深くなってオレは悲しいにゃー」

「テメェのせいだテメェの!」

「今回はどこにも行く必要はないぜい」

「ってことは魔術師がまた潜入したのか?」

「ということでも無いんだにゃー」

「はー?」

「学園都市内でお守りってカタチでマジックアイテムが流通してんだにゃー」

「お守り? 学園都市でかよ」

オカルト否定の学園都市、お守りに興味が惹かれる者がいるとも思えなかった。

「普通ならな。そのお守りは聞いて驚け、恋愛成就のお守りぜよ」

「驚かねーよ、って恋愛成就?」

「そうぜよ、乙女が惹かれるにはピッタリだろ」

確かに恋いに焦がれる乙女は手に取ってみたくなるかもしれない。

「それがマジックアイテム?」

「効果は無いんだぜい」

「……無いなら問題ないだろ」

「オリアナの時を覚えてるかにゃ、カミやんは?」

「あっ、吹寄が」

「効果は無いも持ち主が強く願えばなんかの反応をするらしくてな、持ち主は倒れるか、もしくは」

「もしくは?」

「精神を変調させてストーカー化させちまうんだにゃー」

「へっ、ストーカー化?」

「既に刃傷沙汰も起こってるんだにゃー」

「……それで俺はどーすればいいんだ?」

「誰かと付き合ってくれ」

「付き合うってどーゆーこった!?」

「嘘でもいいんだが、普通にデートしたり、キスしたり」

「なっ、ななななななななな」

「舞夏はダメだぞ」

「怖い声出さんでもそんなことしねーよ、理由を言え理由を!」

「理由はにゃー、恋心が破れたら効果が消えるからぜよ」

「余計に判らなくなってきましたよ」





「恋してる相手に恋人ができたら、そのショックで影響が消えるようなんだにゃー」

「それが何で俺なんだ?」

「先ずは安全確保ぜよ、切り札のカミやんには万一に備えて身の安全を確保して置いて欲しいんだにゃー(フラグの数だけ危険があると言っても信用して貰えなかったら意味ないにゃー)」

「そんなの俺には無いだろうけど、そこまで言うなら……嘘でもいいんだな、でも誰に?」

「嘘でもいいがな見せつける必要があるにゃー、じゃないとショックを与えられないにゃー、付き合う相手の条件としてはレベル5クラスの相手を選んで欲しいにゃー」

「はぁ、なんでレベル5?」

「これも万一だぜい、ショックに負けない者が現れたら恋人役も危ないにゃー」

レベル4の学生がマジックアイテムの影響を受けていたら、大概の恋人役は危険を背負うことになる、かなり危ない役割と言える。

しかし、そうなると恋人役はあまりにも限られる。具体的に云うと頼めそうな人物は一人しかいない。

「お願いしても断られたらどーしよ、普通は断るよなー」

どう頼んだら良いものか悩む上条当麻。携帯電話を取り出し、まずは直接会う約束をすることにした。





その頃、常盤台中学の学生寮では

「黒子、どうしたのよっ!?」

「黒子は黒子はお姉様のことがっ」

それだけ聞くと御坂美琴を慕ういつもの白井黒子である。しかしその手には

「黒子、その包丁を降ろしなさい! どこから持って来たのよ!」

「お姉様が黒子のモノになって頂けないのなら、いっそのことこの包丁でお姉様を、黒子も後を追います、一緒に死んで下さいませですの」

「ナニ言ってんのよ黒子、また通販で買った変なクスリを間違えて飲んじゃったの、落ち着きなさい!」

「そして黒子とお姉様の愛は永遠に語り継がれますの。永遠の愛、なんと甘美な響きですの」

「聞いてないっ!?」

もはや、自分の世界に入っている白井に言葉は通じないようだった。

磁力で包丁を奪い取ろうにも、どうやらセラミック製。電撃で痺れさせるのが一番だったが、その前に白井が跳ぶ。11次元を物ともせず空間を跳ぶ。

そして美琴の背後に現れる。

「お姉様ぁぁぁ!」

美琴はその白井の行動パターンに慣れていた。姿が消えた、その時には背後へ電撃をぶちかます。

ドサッと人が床に落ちる音がした。

美琴が背後を振り返ると黒子が黒こげになって気絶していた。

「ちょっと加減間違えたかしら?……でも一体」

普段の白井も変態と云えば変態。しかし此処までの事は無かった。

美琴が考えていると電話が鳴る。

「えっ、アイツから?」

滅多に向こうから掛かってこない相手。

美琴が慌てて電話に出ると、

『その御坂、頼みが有るんだが会ってくれるか』

上条から積極的に頼み事をされることの無い美琴は勇んで上条の元に向かい、

とあるファミレスでバカップルを演じていた。






つづく



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