とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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抱き枕を抱くときは、部屋を暗くしてできるだけ人から離れて抱いてね




「…つ、ついに買ってしまった……」

美琴は、たった今宅配便で届いた『パソコン部品』の箱を、ガタガタと震えながら抱えている。
とりあえず落ち着く為に一度深呼吸をし、その箱をそっと床に置き、再び深呼吸をする。
そして高鳴る胸を抑えつつ、箱のガムテープをペリペリと慎重に剥がしていく。
中から出てきたのはパソコン部品……ではなく、シルク製の抱き枕カバーであった。

「ふぉ……ふおおおおおおおお!!!!!」

さて、何故抱き枕カバーがパソコン部品として送られてきたのか、
そして何故美琴がこんなにも興奮しているのか、
その答えは、このカバーを見れてもらえれば分かる。
美琴が買ったそのカバーには、とあるツンツン頭の少年の等身大の写真が、
でかでかとプリントされているのであった。

実はこれ、オリジナル抱き枕カバーを作れるというサービスである。
自分が撮った写真や描いたイラストなどをプリントしてくれるのだが、
サイズや素材選びは勿論、加工や修正まで細かく注文できるのだ。

以前ルームメイトの白井が、美琴【じぶん】の抱き枕を抱き締めながら、
よだれと鼻血を垂らしつつ、恍惚の表情をしていたので、問いただした事がある。
(ちなみにその時の抱き枕は、美琴が丁重に処分した【やきはらった】)
その時に、このサービスをしてくれるサイトの事を知ったのだが、
それ以来、美琴はずっとこの「ツンツン頭の少年」の抱き枕が欲しいと思っていた。

だがしかし、ご存知の通り美琴は恋愛に関してはかなりの奥手である。
少年の全身写真を撮るのには、かなり苦労したようだ。
それほどの努力をする価値があったのだろう。美琴としては。

もっとも、苦労して写真を撮り、その画像ファイルを送り、サイズも等身大になるように注文しといて
今更「ついに買ってしまった」も何もないだろうが。

美琴は先に買ってあった抱き枕(中身)を、ベッドの下から取り出し、
そこにカバーを被せていく。

「は…はあああああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

美琴専用の抱き枕が完成した。
さぁ、今からコレに何をしようと美琴の自由である。
『色々と』やりたい事はあるが、とりあえず基本からだ。
抱き枕をベッドの上に置き、その上にダイブしようとする。
それが抱き枕の基本かどうかは知らないが。

だがその時だ。

「お姉様? 入りますわよ」
「そぉぉぉぉぉい!!!」

白井が部屋に入ってきたので、美琴は反射的に抱き枕を窓の外へ放り投げた。
「こんな姿を見られる訳にはいかない」という羞恥心と、
「白井の抱き枕は自分が燃やした」という罪悪感から来た行動だったが、
投げたその直後に激しく後悔した。

「…お、お姉様…? 今何か……」
「なななな何でもないから!!!」

そう言いつつ、さりげな~く窓から下を覗いて見る。
するとタイミングが良いと言うべきか悪いと言うべきか、そこには自分と同じ顔を持つクローンの一人、
通称、御坂妹が美琴の抱き枕をキャッチしていた。

「あっ!!」

っと言う美琴の叫びに、御坂妹は声のした方へ振り向く。
バッチリ目が合った。
御坂妹は美琴と抱き枕を交互に見て、何かを思いついたように手を叩く。
どうやら、コレが美琴のモノであると理解したらしい。
理解した上で御坂妹は、

「これはお姉様からのプレゼントですね、とミサカは全力でこの場から走り去ります」

と、とんずらした。

「って、ちょっと待てええぇぇぇ……あ、あぁ……ああぁぁぁ………」

白井がいる以上、追いかける訳にもいかず、
美琴はただただ小さくなっていく御坂妹の背中を見つめるだけであった。



一方その頃、上条当麻はというと、

「…つ、ついに買ってしまった……」

とあるビリビリ中学生の写真がプリントされた抱き枕を抱き締めようとしていたのだが、

「とうま、ただいまー」
「そぉぉぉぉぉい!!!」

抱き締める間もなく、彼はそれを窓から放り投げるのであった。








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