とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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とあるお嬢の酔っ払い




偶然上条と会い、
運良く買い物についていくことができ、
勇気を出して夕飯を作ると言いだせ、上条の部屋まで来ることができた。
出来も上々であり、上条も「うまい!」と喜んでくれた。
「ごちそうさま」
上条は片付けようと食器も持ってキッチンへ行こうとした。
「あ、いいわよ。私がやっとくから」
「いいって、買い物には付き合ってくれたし夕飯も作ってもらってるからな。こんぐらいやらせてくれよ」
そう言って、上条はキッチンへと入っていった。
(・・・何しよう)
好きな男の部屋に来ようとも、することがなければ退屈なのだ。
何かないか、キョロキョロと部屋を見回すと、紙袋が置いてあった。
なんだろうと思い取り出すと中身は瓶であった。
ラベルを見ると、日本酒のようだ。
(あいつ、お酒とか好きなのかな)
そう考えながら、酔っ払った上条を思い出していた。
もうあんな状態は見たくないが。
(ママも飲んでるし、お酒って、おいしいのかな)
14歳。
それは好奇心旺盛であり、何事にも挑戦したい年頃だ。
美琴とて例外ではない。
(ちょっとだけなら、いいわよね)
勝手に飲むという罪悪感もあったが、結局好奇心には負けてしまった。





インデックスはお泊りに行っているのでベッドが使える。
美琴が夕飯を作りに来てくれた。
それだけで上条としては幸福であったのだが、
「そろそろ門限大丈夫なのか?・・・・・・御坂?」
反応がない。
見ると美琴の側に酒瓶ある。
あれは先日、土御門から「舞夏に見つかるとまずいから預かってくれにゃー」と半ば強引に押し付けられたものである。
しかし何故、蓋が空いているのだろうか。
なぜか美琴がぼーっとしている。
そして、その手にあるコップは何だ?
「・・・・・・まさか」
この状況で考えられるのは1つ。
『美琴が酒を飲んだ』
上条は焦り始めた。
美琴の母、美鈴の酒癖の悪さを知っているからである。
絡むのだ、しつこく。
もし美琴がそうなら、鉄壁の理性といえど、持ちそうにない。
「ん・・・」
美琴がこちらに気づいて振り向いた。
「み、みさか?」
そして彼女は、衝撃的な一言を呟いた。
「―――おにいちゃん」
「!!??!!?」
その一言に萌えた。
もう一度言う。萌えた
燃えたではない、萌えたのだ。
別に上条はロリコンではない。
だが、そろほどまでに威力があったのだ。
これではどこぞのメイド大好きのシスコン軍曹を馬鹿にはできない。




「ねぇ、おにいちゃん」
美琴はゆっくりと、上条の頬へ片手を当てる。
その間、上条は何も出来なかった。
「おにいちゃんは、わたしのみかたでいてくれるよね?」
「がってん!地獄の底からでも引っ張り上げてやるぜ!!」
・・・・・・何を言っているのだろうか。
上条自身も理解できなくなっていた。
「じゃあ、」
美琴のもう片方の手にはいつの間にか酒の入ったコップが握られていた。
「このおさけものめるよね?」
もちろん!と口に出かけた。
だけども微かに残った理性でそれを抑えた。
ここで飲んでしまい、もし酔ってしまったら、何かが起きそうだったからである。
「お、俺はいいよ」
そんなことはあってはいけない。
だが上条が断ると美琴の瞳から、うるうると涙が溢れてきた。
「ひっ、ぐす・・・わたしのことなんかいらないんだ・・・・・・うえーん!」
「え、、ほら泣くな、べつにきらいじゃないから・・・」
何をどうすればそんな答えに行き着くのか。
「じゃあ、のんでくれる?」
「いや、それは」
「やっぱりわたしなんていらないんだー!うわーん!!」
上条当麻は思った。
泣いてる美琴になにもできなく情けないと、
そんな美琴が可愛いと思う自分が情けないと。
しかし、これはなんとかしなければいけない。
あたふたする上条はポケットからこぼれ落ちた美琴の携帯電話を見つけた。
迷わなかった。
瞬時に美琴の携帯を開いた。
この状況を打破できるであろう最高の選択。
自分の人生を終わらせるであろう最悪の選択。
美琴の携帯の電話帳から選び出した人物。
それは、
『お姉さま!今何時だと―――』
「今すぐ俺の部屋に来い頼むから来てくれ!!」
『か、上条さん!?ど、どういうことですの!?』
「事情は後で話すから!」
白井黒子に一方的に用事を言い、電話を切った。




いつの間にやら美琴は酒をまた飲み始めている。
だが止めるに止められない。
また同じことが繰り返されるだけだからである。
(だー、白井はまだかよ。あ、住所を教えてなかったような・・・・・・)
だがこのままでは身体的にも精神的にも限界だ。
しかも吐いてすっきりしたのか美琴はまた酒を飲み始めている。
止めようとすればまた同じことが繰り返される。
ならば白井が来るのを待つしかないのだ。
(・・・俺も飲めば楽になるのかな)
そんな誘惑に負けそうになったその時、
ピンポンピンポンピンポン!と、チャイムが連打される音がした。
(来たぁー!!)
なんだか首元が重いような気がするも、この悲劇から解放される喜びからか、気にも止めず、ドアを開けた。
「まったく、住所も言わないで。初春を叩き起こし調べさせなければ。ささ、お姉さま。帰りますわ・・・よ・・・・・・」
グチグチと言う白井であったが途中でワナワナと震えだした。
その目は一点を向いている。
「あ、くろこ」
恐る恐る、声の方へと振り向いた。
見ると、背中に美琴がしがみついていたのだ。
ドアを開けに行くときに感じた違和感は、美琴がしがみついたものだったのだ。
「・・・・・・・・・・・・」
だらだらと冷や汗が出てきた。
マズイ。非常にマズイ。
「何をしておられますのお姉さま!?ささ、帰りますわよ!!」
「いやー、おにいちゃんといるー!」



その瞬間、2人の時が止まった。
だがしかし、上条よりも早く、白井が動き出した。
「お兄ちゃん!?お二人はそのようなご関係で!?」
「違うからね!」
「つまり、義兄妹!そのようなプレイを!!?」
「だから違いますことよ!御坂が酒飲んで酔ってるから早く連れて帰って欲しいの!!」
「そ、そういうことですかの・・・お姉さま、帰りますわよ」
「いや」
「ですが・・・」
「むぅ」
しびれを切らし、美琴が上条から降りゆっくりと、白井へ近づいた。
「ねえくろこ」
そして耳元で、甘い声で囁いた。

「おねえちゃんのたのみ、きけないの?」

「それではおやすみなさいませお姉さま!!」
シュン、とその言葉を聞いた途端、白井はテレポートをして帰ってしまった。
もはや救いはない。
「これでふたりっきりだね」
(もう嫌だ。なんか可愛いしどうすりゃいいんだよ)
「だーいっすき」
美琴が思いっきり、上条を抱きしめた。
(やべー、さすがにやべー)
鉄壁の理性が薄皮一枚まで崩された。
あと一枚、これが最後の砦なのだが、
「・・・・・・」
「すー、すー」
(・・・・・・寝たか)
地獄はもう終わった。
上条当麻の理性は守られた。
美琴との関係も守られた。
「まったく、世話のかかる妹だな」
美琴をお姫様抱っこで担ぎ上げ、ベッドに寝かせた。
「・・・疲れた。寝よう」
今日も風呂で寝るはめになった。
起きた時、美琴が今回のことを覚えていないことを願いつつ、布団を敷きに風呂場へ向かう。









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