想い 5
「・・・御坂・・・・・・大丈夫か?」
まず最初に抱きしめた。
「黄泉川先生にこっぴどく叱られちゃった。また今度事情聴衆だって」
これで大丈夫だと。
普段の美琴に戻れると。
美琴の姿を見た瞬間、自然と体が動いていた。
「ねぇ、どうして、怒んないの?」
美琴が不思議そうに聞いた。
「あの時も言ったけど、この気持ちをずっと伝えられなかったのは俺だ」
「・・・それは、私も一緒。素直になれなくて、結局暴走しちゃった・・・」
意を決したように、美琴は言った。
「だからもう一度言わせて。私は、あんたのことが好きなの!」
「・・・俺もだ。付き合ってくれ、美琴」
「うん」
自然と、抱きしめている腕に力が強くなった。
胸に顔をうずめていた美琴だけども、それから少しして上条から離れた。
「もう一人、謝らなきゃいけない子がいる・・・行かなきゃ」
きっとその子は本当に美琴のことを心配しているのだろう。
だからこそ、美琴にも伝わったのだろう。
「そうか・・・」
ただ少し、戸惑っているように感じた。
「美琴」
「何?―――――――」
「上条さんからの元気の出るおまじないだ」
さすがに格好つけすぎたかな、と上条は思った。
だけども他にどうすればよかったのかと聞かれれば迷わず、他にはないというだろう。
「うん。ありがとう、行ってくる」
だが美琴に笑顔が戻った。
それだけで安心できた。
そして病室から出る直前、上条にぎりぎり伝わる程度の声でこう言った。
「(その・・・帰ってきたら・・・今度は、口に・・・・・・)」
自身からやっておいたものの、
さすがに恥ずかしく、顔が熱くなっていた。