くっつく 2
離れましょう
「はぁ、はぁ、危なかった、
そして、この感覚はさらーに懐かしいな、
あーもう不幸だー」
「……」
「おーい、会話しよう」
できるわけ、ないではないか。
あれからずっと手を握られているのだぞ?
「あぁ、またあれか、ふにゃ~か」
わかっているようで、
「ストレスって恐いよなー」
流石上条、全然分かってない。
「おーい、御坂ー」
「ふにゃ~~~」
「美琴ー」
「ふにゃう//////////」
「みこったんー」
「ふにゃ?」
「びりびりー」
「ふしゃぁぁあああああ」
(なにこれおもしろい)
お前、本当に気付いてないんだよね?
「何に? って誰と話してんだ俺?
いいかげんに起きろよ御坂」
「ふに~~~~」
「……おお!! あんなところでゲコ太が手を振ってる!!!!!!」
「どこ!!!!!!!!!!?????」
「……お前……」
「……あ、あはは」
業が深い。
「さーて、この状況どうすっか?」
(そうだったー!! すんごい状況だったー!!!)
「よし、おれはこっち、お前はあっち」
「??」
「逆の方向に全力疾走だ」
「わ、わかった」
うん、無駄だ。
「よーい……」
皆さんも一瞬で次の展開がわかっただろう。
「ドン!!!」
流石テンパった美琴とバカ上条。
画面の両サイドに二人が消えて三秒後、
一方から美琴が上条の方に飛んでいく(体をくの字にして)。
ドガーンと人と人とがぶつかる音(それにしては大きい)が響いた。
しかし、作者のわからない点は、
なーんで背中を向けあっていた二人が
抱き合った形で倒れているのかという点である。
「……ふぅ、失敗か」
(やばい、こいつの腕の中、居心地良すぎ!!)
なんでお前らくっついていないの?
「いや、くっついてるんだってば!!!」
「どうした? 御坂?」
「ふわぃ!!!! こんな至近距離で見つめんな!!」ゴスッ!!!
「ぐふぅ!! り、理不尽……」
二人は自分達だけの世界に入っていたため、気付けなかった。
周囲にある不幸の数々に!!!!!!!!!!!!!!
「か、カミやんが美少女を抱きしめとるー!!!!!!」
「しかもこんな往来で白昼堂々と、流石オレ達へのケンカの売り方がうまいぜよ」
「……不幸だ」
「「み、御坂様……!!」」//////////
「み、御坂さん!!
そその、価値観は人それぞれですが、
常盤台生たるものもう少しつつしみを持った方が……
いえ!! これはあくまで客観的見解であって
わたくしはとてもよいことと思っていますわ!!!!!!」
「あ、あはは……」
ダメだ、これで変な噂が学園都市じゅうに広まるだろう。
「あはははははーっ! うわーん!」
再び二人は逃げ出した。