とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part07

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匿名ユーザー

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離れた



ドンガラガラガッシャーン!!

看護婦は一瞬視線を音がした方向に顔を向ける。
しかし、再び机の書類に戻した。
確かに今の音は病院ではおこってはならない類の物だ。
だがここは普通の病院ではない。
こんなことなどしょっちゅうなのだ。
いちいち気にしていられない。
それに発生源は大体想像できる。
おそらく、女性に囲まれた金髪チンピラ、
もしくは、女性に囲まれた真っ白な少年、
もしくは……


つまるところ看護婦の予想は当たっていた。

「ちょと!! どこさわってるのよ!!!??」

「不可抗力だ!!!!
 先生!! 何とかならないですか!!?」

女性に囲まれてることが多いこの黒髪ツンツン頭が叫ぶ。
カツラは横の籠に入れられ、
本人たちは床でいちゃいちゃしている。

かえる顔の医者はため息を吐いた。
とはいえこれでも助けを求めて来た彼らは、
間違いなく患者だ。
ならばやることは一つ。

「それの原因だけど、結構厄介なんだね?」

「「え?」」

「それじゃあ、説明するよ……」



病院から出て数分後
二人は相変わらず手をつないだまま街を歩いていた。
結局、原因はわからない








(こ、コイツがバカでよかったー!!!)

上条だけ。

「専門用語が多くてよくわかんなかったな」

「そ、そうね!!」

本来、高校の能力開発の授業において初歩の初歩で習う内容だとは言わないでおく。
教えてくれなんて言われたら自爆と同じだ。

(わたしのせいだったなんて……)

能力の暴走。

自分と上条を磁石に見立てたのである。
結局は自分が我慢の限界になっただけだった。
コイツとずっとこうしていたいという自分の望みが暴走してしまっただけ。
きっかけは佐天さんの親戚が結婚したって話。
我ながら単純である。
犯人は自分。被害者は上条だけだったのだ。

(でも、どうすればいいのか……)

わからない。
暴走しているのだから当然だ。
結局、自分の『自分だけの現実』をなんとかしないといけない。
方法はわかっても解決策はわからない。
このままでは……





『当麻、人参切るから押さえてて』

『よしっ!! まかせろ!!』



『さーて、お風呂入りましょう』

『そうだな、美琴』



『お休み、美琴』

『お休みなさい、当麻』



『バージンロードも二人で歩くしかないわね』

『仕方ないだろ』



『美弦を間に入れられないわね』

『余った手で抱きしめればいいだろ?』

『……そうね』



『あれから50年か』

『懐かしいですね、お爺さん』



「……って、わたしは何考えてるんだ!!!!!!」

その間0.5秒。
上条は「?」を浮かべながら美琴を見る。
しかし、触れない。
長い付き合いなのだ。



ここで再び登場人物が増える。

「あーお姉さま!!」 「おっ大将じゃね?」

先ほどの看護士が挙げた候補が全員集合した。

「打ち止め? ってことは……やっぱアンタもいたか一方通行」

「げぇぇ!! 第一位!!!」

「「けっ、オレも貴様らの面なんて見たくはなかった……」ってこの人なら言うよってミサカはミサカは大胆予想って痛い痛いチョップはやめてー!!」

「大丈夫、そんなワンパターンな一方通行をわたしは応援してる」

「いきなり騒がしくなったなー」

まさに騒動の中心に上条あり。
そして、騒動は変な方向へと突き進む。

「お姉さまたちもデート? ってミサカはミサカは興味津津!!」

「おっ、ついに大将も年貢の納め時かー、なるほどお似合いの二人だ」

ここで、御坂は大きな失敗をしてしまう。

「ちょ、ちょっと何言ってんのよ!!! そんな訳がないでしょ!!!」

全力で否定してしまう。
これが悲劇を生む。

(そっか、やっぱり御坂は……)

誤解を生む。
彼は、御坂が苦しむことを嫌がるのに……。

「でもー、どう見たってデートだよってミサカはミサカは顔面崩壊!!」

「これからどこ行くんだ? せめてオレらと被るなよ」

「オイ、そのへんでやめとけ」

「はまづら、ふたりとも困ってる」

上条は御坂が嫌がっていると思っている。
だからいつものように口にした。

口にしてしまった。



「不幸だ」



美琴の表情が固まった。
なぜなら

彼が不幸な原因が、

(……わたしの、せい……?)

その時、





幻想が砕ける音がした。



「へ? あれ? 御坂、離れられ……」

繋がれていた手が離れる。

その瞬間、美琴はどこかへ走り去った。

その時の彼女の表情を。


上条は知っている。









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