猫耳美琴のペットな生活 2
「・・・・・・」
何なんだろうか。この可愛い小動物は。
少なくとも上条の知る美琴は活発でビリビリで、弱気を見せるような人間ではない。
というか何故猫耳少女になってるの?ビリビリ属性だけじゃ物足りないのか?
でも流石に聞くのは可哀想だと上条は思った。
「こんなことになってるから、アンタのとこに来たのよ」
つまり右手で触れと。しかし、本当にそれでいいのだろうかと上条は迷った。
『年下ビリビリ涙目猫耳娘』
こんな貴重で可愛い属性を、幻想と言い切り消し去ることができるのか!?
否!断じて否!!
「もうちょっとそれでいいんじゃないか?」
「さっさとしなさい!!」
ビリビリビリー!!
美琴の前髪から放たれた電撃は上条へ真っ直ぐに向かう。
けれどもこんなことは日常で、『右手』に吸い込まれるように消えるのも、いつものことである。
「はぁ、わかったよ」
渋々右手で美琴の頭に触れる。
モフッ。猫耳が手の動きに合わせて形を変え、心地良い。
モフモフッ。撫でられる彼女の髪から放たれる香りが、上条を刺激させる。
モフモフモフモフッただ欲望のままに、美琴の頭を撫でくり回す。
モフモフモフモフモフモフモフ!美琴を顔を熟れたトマトの様に赤くさせ固まっている。
モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ!!もはや彼を止める者など――――
「とーうーまー!」
――――いた。
あの後は当然の如くインデックスに噛み砕かれ、顔中に彼女の歯型がくっきりと残っている。
取り敢えず美琴を部屋に入れたが、美琴は体育座りをして顔を隠し、インデックスに慰めてもらっている。
その内美琴は恨めしそうに言う。
「私を辱めて。責任を取りなさい」
「その言い方には語弊がありませんかね美琴さん!?」
「とうま?」
「うっ、ご、ごめんなさい」
ギロリと睨むインデックスに、上条は怖じ気ついてしまった。
それから少しして美琴は目が出る程度を顔を上げて、上条を睨む。正直それも可愛い。けれどそれを口に出したら、今度こそインデックスに食い殺されそうだ。
「・・・・・・もういいわよ。そんなことよりこの耳よ。これじゃあ外を彷徨けないのよ」
美琴も何か能力のせいだと思ってここに来たのだろう。
先ほどは忘れていたが右手で触っても猫耳は消えなかった。
右手で消えないのなら超能力でも魔術でもない。上条ではどうしようもないのだ。
本当に美琴も困っていたとしても。
「悪いけど、俺が右手で触っても消えないんだ・・・・・・病院行こう」
「・・・・・・私は外を歩くのも嫌なんだけど」
はぁ、と上条はため息を吐き、
「しょうがない。人通りの少ない昼間に行こうぜ」
これ以上休むと本当に留年しかねないが、インデックスに任せるもの心配だ。
用事があるので休むと、小萌先生に連絡する為に上条は携帯を取り出した。