小ネタ 服が違うだけでも人って結構変わるよね
御坂さーん、と彼女の友人、佐天涙子が呼んだ。
彼女らがいるのはセブンスミスト。珍しく二人きりなのだ。
「こんな服とか、御坂さんに似合うんじゃないでしょうか?」
そう言って美琴に見せたのは、黒のジーンズに灰色のシャツとジャンバー。どうも男っぽく、少女趣味の美琴だが、佐天に薦められると悪い気はしない。とりあえず試着はしてみる。
ジャンバーで胸が完全に隠れてしまう以外は気にいった。
「あの、これこのまま精算できます?」
その後地味な色のニット帽を買い、店を後にした。制服は店員から貰った紙バックにいれてある。
帰りに佐天宅でまた着替えれば、誰も彼女が美琴だと気づくまい。
「御坂さん。その格好で散歩したみたらどうですか?」 「うーん、バレなそうだからって、誰に会うのもなー」 「大丈夫ですって。私、家に帰ってますんでまたあとで来てください」
美琴から紙バックを預かると、佐天はそのまま帰っていった。
(まー、たまにはいいかな?)
とりあえずあの公園まで行って帰ってくればいいかと美琴は歩きだす。
道中は誰にも会わなかったが、目的地の公園の自動販売機に、アイツはいた。
(よりによってコイツかよ!?)
普通なら見つからない内に逃げ出すが、美琴はこれをチャンスだと考えた。
「ど、どうしたんだい?」
声色を低くして上条に話しかけた。
「ん?いや、百円入れたのにジュースが出てこねぇんだよ。ま、いつものことだくどな」
「だ、だったらわ…僕がなんとかしてあげるよ」
「できるのか?お前」
バレてない安心感と気づいてくれない寂しさが表れるがここは我慢。集中し電流を流す。百円を取り返すはずが出てきたのは苺おでん。しかも冷たいの。
「ご、ごめん」
「いいよ。気持ちだけ十分だ」
役に立てず悔しい。近くのベンチに座ると、あとから上条がコーヒーを二本もって美琴の隣に座り、コーヒーを差しだしてきた。
「さっきの礼だ」
「別いいよ。何もできなかったし」
「いいからいいから」
上条は美琴にコーヒーを押し付け、自分はさっさと飲んでしまう。
「俺は上条。お前は?」
「え?あ、……あ、相園」
「相園は電撃使いなんだろ?御坂と一緒だな」
「御坂?」
これはもしかして、普段彼が自分をどう思っているか知れいい機会ではなかろうか。
「友達なんだけど、お嬢様らしからぬ言動とかあってさ」
……。これからは御しとやかにしないと。なんて考えていると上条はでも、と続けた。
「誰よりも繊細で優しくて、抱えたことは一人で背負いこんで」
そこまで聞いて、美琴は意を決した。
「その人のこと、す、好きなの?」
上条はうーん、と考えると、
「正直わかんないんだよな、。でも、あいつは俺にとって大事な存在なんだよ。だから俺はあいつに何かあったら支えたい、助けたいって思うんだ。」
美琴は何も言えず、ただ俯くことしかできなかった。
「どうしたんだよお前」
「だ、大丈夫だ、から」
「やっぱ変だぞ、風邪か?」
そう言って上条はニット帽をあげておでこを出して顔を近づけそして。
「……お前、みさーーーー」
その後どうなったかなど想像がつくだろう。