小ネタ お義父様はまだ早い!
どうして、こうなったのだろうか。
上条刀夜は息子の当麻に、会わせた人がいると電話されたので、まさか彼女ができたのかと仕事の合間をぬって浮か浮かれながらに学園都市に来ていたのだが。
「お久しぶりですお義父様!」
「……え?」
彼女は今、何て言った?
お父様。パパ。ダディ。パピイ?
刀夜には隠し子を作った覚えはないし愛するのは妻の詩菜と息子の当麻だけであり裏切ったことは一度もない。
もう一度思い出す。彼女は何て言ったのか。
(お義父様?)
よく見れば大覇星祭で当麻と勝負していた中学生ではないか。
その子が今目の前で自分に嫁宣言をしたのだ。戸惑いしか感じない。
「えっと、君は当麻とはどういう関係なのかな?」
「当麻さんとは結婚を前提にお付き合いさせていただいてます」
「当麻、それは本当なのか?」
「ああ。俺は美琴を愛してる」
「わ、私だって当麻のこと愛してるわよ」
「……美琴」
「……当麻」
互いに見つめあう二人。
交際を認めないつもりは毛頭ない。何より息子の幸せそう
な顔を見れることは嬉しい。
だが、あまりにも浮かれすぎではないだろうか。父親として一言言わねばならない。
「当麻、孫はまふぁいいからな」
(何を言っているのだ私は!?)
ピンク色の雰囲気に流されてしまった。
「それは大丈夫だよ父さん」
そう言って当麻は一冊のノートを開て見せる。
『美琴が成人式を終えたら結婚。美琴大学卒業の一年後、第一子誕生』
と、人生設計がこと細かく書かれていた。
もう何も言えなかった。
帰ったら妻になんて報告しようかと考えながら、刀夜はノートといちゃつくバカップルを眺めていた。