とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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小ネタ




バス停・朝

美琴「毎回、私との待ち合わせは遅れなきゃ気が済まないわけ?」

上条「すまん、御坂。一応、早めに家は出たんだけど、どっかの飼い犬に追い回されちまって」

美琴「野良じゃなくて?」

上条「首輪してたし、多分な」

美琴「犬種は」

上条「……マルチーズ」



美琴「はぁ。アンタって本当に」

上条「御坂には悪いけど、俺の運はもう使い切ってるかも知れねぇ。天候に恵まれたからな」

美琴「確かによく晴れそうね。いいわ、この天気に免じて許してあげる」

上条「アリガトウゴザイマス、御坂サマ」

美琴「ところで、本当に普段着で大丈夫なの? 釣りをするんでしょ」

上条「ああ、流石に制服だと汚れちまうけど、動き易い格好で充分だってさ」



バス車内

美琴「キャンプ場の渓流釣り?」

上条「施設内のスペースをレンタルしてるみたいでな。出費は痛いが、道具もそこで揃えられる」

美琴「初心者には有り難いわよ。バス移動じゃ釣竿とか持ち運び難いし」

上条「だな。俺はクーラーボックスだけは隣人に借りて持たされたけど」

美琴「誰から?」

上条「修道服を着た食欲の権化」



上条「そういや御坂の私服って珍しいな」

美琴「野外活動だから、おしゃれのしようもありませんけどね。……おかしくない?」

上条「カミジョーさんには機能美の方がわかり易いです。活発な御坂に合ってると思うぞ」

美琴「素直に喜んでいいのかしら」

上条「何でだよ! ちゃんと褒めてるだろ」

美琴「暗に女の子らしくないって言ってるでしょ!」 ギャーギャー



第21学区

美琴「このあたりは緑が多くていいわね。うん、空気がおいしい」

上条「そう思ってひとつ手前のバス停で降りたんだ。少し歩くけど、構わねぇよな」

美琴「むしろ気が利くじゃない。この分だと、今日のエスコートは期待できそうね」

上条「アウトドアだからな。男としては、ちょっとは頼りになるところを見せねぇと」

美琴「釣りは経験あるの? ってアンタ、記憶が……」

上条「軽くレクチャーは受けてきた。そんな顔すんなって、せっかくの一日、気兼ねなく楽しもうぜ」



美琴「そ、そうね! どんな魚が釣れるかなぁ」

上条「ニジマスやアヤメだな。何匹かはその場で放してもらえるらしいぞ」

美琴「餌はどうするの? 虫とか使うんだっけ。うげ、私には無理かも」

上条「蛾の幼虫。苦手なのは女の子っぽいけど、うげ、って何だよ(笑)」

美琴「いいでしょ別に。アンタがつけてよ! 釣れた魚は串焼きにして……」

上条「あー、テレビなんかだとすげぇ旨そうだよな」



キャンプ場・昼

美琴「……全然釣れない」

上条「不幸なカミジョーさんはともかく、御坂センセのビギナーズラックには期待してたんだけどな」

美琴「頼りになるところを見せてくれるんじゃなかったの?」

上条「餌をつけるのは俺に任せろ! まあ前に言ったとおり、のんびりできれば満足なんですよ」

美琴「うー。ちょろっと場所を変えてみる、向こうの岩陰とかよさそう」

上条「足元に気をつけろよ。長靴履いてないんだから」



美琴「平気よ。私はそこまで運動神経が鈍く……。きゃあ!」

上条「――危ねぇ!」

美琴「ご、ごめん。ありがと」

上条「言わんこっちゃない。濡れた岩場は滑るんだって」

美琴「う、うん。って、どこ触って……!」 ビリッ

上条「咄嗟だったんだから仕方ないだろ。漏電はやめて、触れてるの左手……!」 フコウダー!



上条「はは、久し振りにまともに喰らっちまった」

美琴「本当にごめんなさい。今日は絶対、電撃は出さないって決めてたのに……」

上条「そんなこと考えてたのか? いまのは俺が悪い、御坂はいつもの不幸に巻き込まれただけだ」

美琴「何でアンタが慰めるのよ」

上条「大丈夫だって。俺だけはお前のビリビリに耐えてみせるから」

美琴「……ばか」



美琴「しばらく休んでなさいよ。どうせ平日は補習漬けで疲れが溜まってるんでしょ」

上条「お見通しか。そうさせてもらうかな、でも餌はどうする?」

美琴「ルアーに替えてみる。えっと、それでね、釣れないのは私の生体磁場のせいだと思うのよね」

上条「? ああ、魚も犬猫みたいにか」

美琴「眠ってる間、右手は貸してね。釣竿は片手でも何とか……。アンタはここよ」 グイッ

上条「」



上条「zzz」

美琴「……気持ちよさそうにしちゃって。膝枕ってそんなにいいものなのかしら」

上条「zzz」

美琴「結局、釣果はなしかぁ。大物を釣り上げるつもりが、ミイラ取りみたいで世話ないわ」

上条「zzz」

美琴「コイツは絶対、釣った魚に餌をあげないタイプよね。満たされてる私も私だけど」



上条「zzz」

美琴「……」

上条「zzz」

美琴「……」 カシャ

上条「zzz」

美琴「そ、そろそろ起こしますか! せっかく作ったお弁当、帰る前に食べてもらわないとね」



学生寮・夜

禁書「――とうま。今日は釣りに行ってたんだよね」

上条「そうだぞインデックス。どうかしたか?」

禁書「このめざしはさっきまで泳いでたのかな」

上条「気にしちゃダメだ。ほら、俺の分もやるよ」

禁書「とうまは食べないの」

上条「昼飯が遅めだったからな。何かもう満たされて、胸が一杯なんだよ」

終わり









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