大覇星祭 1
大覇星祭。
九月一九日から二十五日の七日間にわたって学園都市で催される行事。
所謂大規模な体育祭といったもの。
しかし普通の体育祭とはまた違う。
何しろ能力者の集うここ学園都市ならではの体育祭。
一般客に被害が被るような強力な能力こそ制限されているものの
競技に自分の能力を使用してもよいのである。
普段は入る事の出来ない生徒の関係者やただの一般客も開催中は学園都市に入る事ができ、
応援・観戦等で開放区域を自由に移動する事ができる。
その為かこの行事中は相当数の人が外を出歩いている。
そんな大規模な行事も二日目に差し掛かろうとしていた。
Sep.20_AM10:34
超電磁砲こと御坂美琴は先日のような常盤台中学指定の体育服ではなくいつも通りの制服を着ていた。
「今日は参加する競技もないしどうしようかしら」
んー。と美琴は考え込む。
「車椅子状態の黒子を連れまわすのもあれだし…そういえばあいつ確か午前プログラムの騎馬戦に出るとか言ってたような」
競技プログラムを見ると参加校にあいつの高校が記載されていた。
「別にあいつに会いたいとかそんなんじゃなくって勝負してるんだし結果が気になるのは当然よね。うん」
などと一人で言い訳しながら騎馬戦の行う場所に向かって行った。
Sep.20_AM10.46
平凡な高校生。上条当麻は騎馬戦に参加する為陸上競技場に向かっている途中だった。
「正直予選をさぼってしまったから皆と顔合わせづらい…」
先日やる気はあるのかとクラスメートを奮起させた当人が競技をさぼったのだから当然だ。
まず間違いなく何かしら言われるかやられるのは確実な為上条のテンションはどんどん落ちる。
「さぼったのは仕方ないもんだけど通じないだろうなぁ…あぁ、不幸だ…」
そして気づけば死刑執行場(きょうぎじょう)に着いていた上条は
「昨日さぼったし今日さぼっても変わんないよな!」
現実逃避しかけていた。
180度回転して先ほどまでの道を戻ろうとすると
「カミやん見つけたでー!!」
後ろからエセ関西弁が聞こえる。青髪ピアスだ。
「ぎゃああああああ昨日は色々ありましてですねさぼろうと思ってさぼった訳じゃないんですそのなんていうか色々ごめんなさいでしたーっ!!」
「は?何言うてんカミやん。配役が変わるから教えに来ただけなんやけど」
「は?配役?変わるってどういう」
「つまり騎馬じゃなくて騎手に変更って事だぜい」
「土御門いつのまに…てかお前もう大丈夫なの?」
「まだちょっと痛むけどにゃー。まぁ競技出るくらいならどうってことないぜい」
「まぁ大丈夫そうならいいけどよ。てかなんで騎手なんだよ?」
「それなんだけどにゃー。この騎馬戦全国ネットで放映されてるのはどの種目も一緒なんだが騎馬戦は三日かけて行う分注目度もハンパないぜよ」
「つまり、活躍すればモテにモテるハーレムルートが切り開けるんやでー!!」
あまりのくだらない理由にずっこけそうになる上条。
あれ?とふと疑問に思った事を言う。
「モテたいなら普通騎馬じゃなくて騎手だろ?何でお前ら騎馬なんだよ」
「わかってない。わかってないねカミやんは。これは能力使用OKの騎馬戦なんよ?いかに攻撃を避けるんは騎馬に懸かってるといっても過言やない。そうボクらが華麗なステップで攻撃をかいくぐる様を魅せてハーレム大作戦なんやで!!」
「作戦名なげぇよ!!まぁそれで昨日のチャラになるならそれでいいけどよ…」
「まぁもっともカミやんには重要な役割があるんだけどにゃー」
「あん?騎手やってりゃいいんじゃねえのか?なんだよ重要な役割って」
青ピと土御門はこちらを可哀そうな物を見る目で方にぽんっと手を乗せ
「とりあえず死ぬなよ!そろそろ時間だし準備するぜよ」
そうわけのわからない言葉を残してスタスタと競技場に向かう青髪ピアスと土御門
「おい、まてこら死ぬなよって何だよ!意味深な発言してないで説明しろォおおおおおおおおおお」
競技前だからかあまり人がいない競技場の外に上条の叫びだけが響いていた。
Sep.20_AM11:05
競技場に着いた上条はスタンバイしているクラスメートを見て絶句する。
「せ、戦場に向かうわけじゃないよ…な?」
いつもの八割増の真剣さと無理してカッコよく顔を作っているクラスメートがそこにはいた。
(さっきのってあいつらだけの馬鹿作戦だと思ってたけどクラス全体の作戦!?)
モテたい一心なのか昨日さぼった上条がきても何も言ってこないどころか頼りにしてるぜ!的な視線を浴びる。
(なんでせうかこれは。なんか上条さんの不幸センサーがビンビンきてますよ)
上条の高校は三番目に対戦する事になっていて現在スタンバイ中だ。
「…騎手なのはいいけどさ」
「どしたんカミやん」
「他は三人で騎馬作ってるのに、何でうちらだけ二人で騎馬なんだよ不安定で上条さん怖いのですがー!?」
「普段は馬鹿にされているボクら。だけれど三人が息を合わせた時凄まじい力を発揮するんよ」
「何その設定!?俺初めて聞いたんですけど!?」
「カミやん。信じて欲しいぜよ」
「いや、もう信じるからその八割増の無駄にカッコイイ顔やめてくれ脱力する…」
と上条達(デルタフォース)だけ三人で一組という違和感オーラを出しまくっていた。
「結構観客いないもんねー」
競技場の観客席は各学校の生徒が応援に来てるくらいで結構がらんとしていた。カメラで撮られているが今回の対戦する学校はエリート校もあるものの常盤台や長点上機学園みたいな目立つ学校がないからだろう。
「ふうん。あいつの高校が対戦するのは次か」
特に個性の無い全く持って普通の学校と思っていたのだがきちんと予選を通過しているところを見ると本当に脅威になるかもしれないと思いつつ美琴は特に興味のない学校同士の対戦をぼーっと見る。
「あいつの学校出るまで暇ね…」
と美琴は次にスタンバイしてるであろう上条の学校を見る。
何やら無駄にカッコよく顔を作っている人達の中に不幸オーラを醸し出して脱力してる上条が見えた。
「あの馬鹿あんだけ挑発したくせに二日目でもうだらけるなんて約束覚えてるのかしら」
はぁとため息ついたところでおや?と疑問に思う美琴。
「何であいつだけ二人で騎馬作ってるのかしら?」
と言ったところで騎馬戦開始のアナウンスが入った。
Sep.20_AM11:10
騎馬戦というのは一斉にぶつかりあうというイメージがあるが、ここ学園都市では真正面からぶつかっていくのは愚策に他ならない。
騎馬は常に騎手を支えなければいけないので強力な能力を使う為の演算は下手に出来ない。自滅してしまう可能性があるからだ。
念動能力によって騎手を支える事もOKとされているが常に支え続けるのは大能力者(レベル4)でも至難である。
その為基本的に騎馬は能力を使わず騎手を支える事だけに専念しているのだが、騎手は違う。
騎手は自身の能力を使い騎馬(てき)を倒したりハチマキを取ったりする事が可能なのである。
つまり学園都市の騎馬戦では動かず守りに徹する方が有利とされていた。
上条達(デルタフォース)は開始アナウンスが入ったと同時に相手に向かって物凄いはやさで駆けだした。
「ちょ、前に出てるの俺達だけなんだけど作戦なのか?」
「ボクらもといカミやんが囮になってその間に蹴散らす作戦なんやでー」
「その作戦今聞いたんだけど!?」
「だってゆーてへんもん」
「言えよ!!さっきの頼りにしてるぞ的な視線はそういう事かよ!」
「にゃー、言い争うのはいいけど攻撃きてるぜい」
と土御門の一言で前を見ると凄まじい量の能力による攻撃が飛んできた
上条だけに
「いくら囮だからって俺達だけ!?って話してる暇ねェえええええ早く避けろ青ピ土御門!!」
「ごめん、カミやんちょっとこれは無理だにゃー(やね)」
「だああああああ無理とか言ってる間に動けェええええええええ」
そう言ってる間にも無情にも能力が迫る。
上条はとりあえず致命傷(たおれそう)な攻撃を右手で防ぐ。涙目になりながら。
「おま、信じろって言った矢先これかよ!!」
「いやーカミやんあそこまで逃げ場無いとどうしようもないやん」
「とりあえずまだ倒れてないし結果オーライってやつだにゃー」
と、後ろから土御門の声が聞こえたところで第二波が飛んでくる。上条だけに
「だからなんで俺達だけ!?」
「カミやん今度こそボクらに任せるんや」
先程の件があったからかあまり信用出来なかったがどのみち騎馬しか動く事は出来ないのでどうしようもない。
「行きますよーカミやん。ボクらの華麗なステップで勝利への道を切り開いてみせましょう!あはあははー!」
「カミやんちゃんと掴まっとくぜよ!」
先ほどの信用ならない二人はどこにいったのか。
凄まじく息のあった流れるような動き。華麗なステップ。
第二波が過ぎ去ってまだ立っている事に相手側は驚きを隠せないでいる。
青髪ピアスと土御門はカメラに撮られているからなのか先程の八割増のカッコイイ顔で無傷で立っていた。
そして上条は
「オイ」
「どしたんカミやん」
「避けるのはいいけど、俺に当たらないように避けろォおおおおおおお」
致命傷は防いだものの凄まじい猛攻でボロボロだった。
「カミやん。それは無理な注文というものだぜい」
「ボクら自分たちが避けるのだけで一杯一杯ですもん」
「後でお前ら覚えてろよ…」
そういうやり取りしている間に相手は持ち直したのか攻撃を開始してきた。
「だああああああああ!だからなんで俺だけーっ!?不幸だーっ!」
もはや先程のような作戦は上条の頭に残っておらず生きる為に涙目になりながら攻撃を防いでいく。
Sep.20_PM00:36
はっと気づいたらもうすでに競技は終わっていてどうやら最後の方防ぎ切れず集中砲火を貰って気絶したようだった。
「っつ!なんであんなに狙われなきゃいけないんだ…」
中学生、高校生、大学生、教師ですら関係ないとばかりにあちこちにフラグ立てまくる上条当麻こと旗男
それは他校だろうと関係なく立てまくるので他校からの男子生徒から恨まれている事に上条は気づいていない。
「てか競技はどうなったんだ?」
結果、上条達の高校は全勝だった。
上条が囮になっている間にむきになっている相手を他のクラスメートが全滅させるという一見無茶な作戦が綺麗に決まった。
一戦目二戦目となんとか生き延びた上条だったが三戦目最後の最後で集中砲火を貰い気絶したらしい。
傷だらけになったのは自分だけのようだった。というか自分以外は全員無傷という理不尽な状況に愚痴をこぼす。
「不幸だ…なんで俺だけ…」
とりあえず競技が終わって時間も時間なので昼飯でも食べようと歩いていたところに。
「あ、いたいた」
(後ろからビリビリらしき声が聞こえるがとりあえず聞こえないフリをしよう)
「上条さんは何も聞こえてません」
とスタスタ歩く。
「聞こえてんだろコラァ!!」
などととてもお嬢様とは思えない発言を発しながら美琴がどだだだだーっ!!と高速で近寄って来る
「なんでこう今日は不幸のオンパレードなんだ…」
「何か言った?」
「いえ、なんでもないです…んでどーしたんだよ?」
「え、あ、いや、昨日大怪我してたのに最後タコ殴りにあってたから大丈夫かなって…」
最後の方はかなり小さかったがなんとか聞き取れた。
(その為にわざわざ?意外とやさしい奴だなこいつ)
「なんだ、心配してくれてんのかありがとな」
「…ッ!か、勘違いしないでよね!大怪我でもしてあの賭けはやっぱなしなんて言われたら困るじゃない」
(前言撤回。やはりビリビリはビリビリだった)
真正面から素直にお礼言われて照れ隠しに言い訳しているのだが上条は気づかない。
「いくら冷酷無情ビリビリ御坂たんにいじられようとも交わした約束を無かった事にする上条さんではありませんことよ」
「誰が冷酷無情よ!」
「ちょ、まて昨日今日と上条さんぼろぼろなんですよっておわぁ!?あぶ、あぶねえだろ!!」
「あんたが先に喧嘩売ったんじゃない!!」
バチバチと美琴の前髪から電気が迸る。
「はぁ、まぁいいわ。あんた親御さんは?」
「父さん達?なんか昨日の事件のせいで今日だけ管制が厳しくなってるらしくてさ自由に歩き回れるところが殆ど無いんだと。だから今日は一緒にいられないとか言ってたかな」
「ふうん。じゃあうちもそんな理由なのかしらね」
「理由言ってくれなかったのか?」
「なんていうか『美琴ちゃんの為に今日はよりよい仲になってくるわね』とかわけわかんない事言ってたけど」
「なんだそりゃ」
さぁ?と美琴が答えたところで上条の腹が鳴った。
「ありゃ、気づけばもう1時か俺は今から飯食いにいくわ」
「あ、そ、それならさその一緒に行かない?私もまだ食べてないし」
「そうなのか?まぁ俺としても一人で食べるのもなんだし一緒に行くか。でもあんま高いモン食えないからファミレスだけどいいか?」
「別にいいわよ。私だってファミレス結構行くし」
「常盤台のお嬢様でもファミレス行くもんなの?」
「他の子はどうかわかんないけど少なくとも私は結構行くわよ」
「まぁお前ってお嬢様って感じしないしなってあぶねえ!!」
「あんたねぇ事あるごとに挑発すんじゃないわよ」
「お前もすぐ電撃飛ばすのやめろよな!こえーんだよ!」
ぎゃあああと二人して騒ぐ。往来なのでかなり目立っているのだが二人は気づいていなかった。
Sep.20 PM01:13
管制が厳しくなっているからなのか先日のようにファミレスまで人でごったがえしている事は無くすぐ席についた二人は注文をする。
「そういえばさ。いっつもあんたと一緒にいるシスター今日はいないの?」
「インデックス?何でも大覇星祭中は競技だのなんだので空いた時間一人になる事多いしで大覇星祭中は小萌先生とずっと一緒にいるらしい。あいつの場合小萌先生と一緒にいたら何でも食べられると思ってるからだとは思うけど」
「へぇ、何でも知ってるのねあの子の事」
何故か笑顔なのに怖い。
「てかなんで不機嫌になってんの!?バッチンバッチン怖いんですがー!?」
「あ、あのお客様。店内での能力の使用は控えて頂けませんか」
店員が止めに来たのはいいがやはり怖いらしく引け腰で注意を呼び掛けている。
あんた勇者だよ…と上条は店員さんに惜しみない称賛を贈る。心の中で。
「へ?す、すみません」
店員に言われたからか素直に謝る美琴。
「そうだぞ御坂店内で能力使用禁止だぞ」
キッと人を殺せそうな目でこちらを睨み上条は怯む。
「あんたのせいでしょうが。後でレールガンキャッチボールね」
「この度は再三にわたり御坂美琴様にご迷惑をお掛けした事を深くお詫び申し上げる所存で御座います」
あまりの態度の変貌ぶりにはぁと溜息を吐く美琴。
「まぁいいわよ。言い争ってばっかでちょっと疲れたし。ちょうど食事もきたし食べましょ」
「そうするか。流石に俺も腹減って言いあうのも辛い」
Sep.20_PM01:35
「アンタ午後はどうすんの?」
「あん?俺はもう午後は競技ないし応援するか寮に戻るつもりだけど何で?」
予定ないんだとか暇だしいいよねなどとぶつぶつ言っているが上条には聞こえていない。
「じゃ、じゃあさ折角だし出店エリアとかまわらない?」
「んー、応援は流石に行った方がいいからそれ以外暇な時間なら」
と言いかけたところで外のガラス窓からトントンという音が聞こえて二人はそちらを向くと
花飾りを頭につけた初春飾利が立っていた。
「知り合いがいて助かりましたー」
「初春さんなんであんな所に?」
「いやあ、風紀委員(ジャッジメント)の仕事終わって休憩取ろうと思ったんですけどどこの店も混んできちゃいまして」
「暑いから外に居続けるのきついもんね」
などと会話に花が咲き始め上条は一人取り残される。
(あー。これはなんというかこれはとても居づらい雰囲気なんですが)
と思ったところで初春が
「ところで…そちらの方は?」
急に話を振られて戸惑いながらも
「あ、あぁ俺は上条当麻。呼び方は適当でいいよ」
「先日も確か御坂さんと一緒にいましたよね?」
「昨日ってあぁ借り物競走か?殆ど無理やり連れてかれたもんだけどな」
「い、一緒にっていってもこいつがたまたま借り物の条件に当てはまったからってだけよ!」
おや?と初春が疑問に思う。
(怪しいとは思ってましたけど。この反応もしかして御坂さんこの方の事好きなんでしょうか。ちょっと試しに聞いてみよっと)
「へーそうなんですか。御坂さんのボーイフレンドなんて珍しいなーと思ってたんですけど」
どうやら彼氏と思いこんだらしくぽんっと音が鳴りそうなくらい急激に真っ赤になる。
「ぼ、ぼぼぼぼぼーいふれんど!?な、なんでこんなやつなんかと」
「ん?あぁまぁどっちかってと友達より好敵手?いや腐れ縁に近い感じか」
「へ?と、友達?そ、そうよね。あはあははは」
「?変なヤツ」
あははーと何やら乾いた笑いをしながら冷や汗をかいている美琴を初春は見逃さなかった。
(これは確定ですね。大スクープです。どうやら上条さんの方は気にしていないみたいだから御坂さんの片思いという事に)
「っとわり。ちょっとトイレ行ってくるわ」
と上条が立ちあがったと同時に初春の目が邪悪に光る
「御坂さん」
「へ?な、何?」
先程の焦りがまだ残っているのか少しどもる。
「御坂さんって上条さんの事好きなんですか?」
「な、なななな何言ってんの初春さん!どうしてあんなやつなんか好きにならなきゃいけないわけ?毎日毎日不幸だ不幸だって言いながらだらけてるあんなやつなんか好きになるわけないでしょまぁたまに見せる真剣な顔で誰かを助けに行ったりするのはかっこいいと思ったりする事もあるけどって私何言ってんのかしら」
聞きもしない事をぺらぺらと言い訳する美琴。
(これ以上追いこむと御坂さん上条さんと距離取りそうな気がするのでやめよっと)
「てっきり好きなのかと思ったんですけど勘違いみたいですねー」
あからさまな嘘なのだが余程てんぱっているのか美琴は気づかない。
「そ、そうよ、別にそういうわけじゃないから」
「ただいまーって御坂顔真っ赤だぞ?大丈夫か?」
「――ッ!―――ッ!?」
「おわあ!?御坂落ち着け店内は能力禁止ってあっぶ!!なんで電撃飛ばしてくんのー!?」
「うるさいっ!急に出てくるアンタが悪いんでしょうが!」
「理不尽!?」
店員が注意したいのだが怖くて近づけない事が気づいたのか上条が初春にお金渡す。
「わりい、このままいても迷惑になりそうだからここ払っといてーってこんな時まで電撃とばすんじゃねえええ!!」
「一発食らって黒こげになれっ!」
「おまっ手加減してないそんな一発食らったら上条さん死んじゃいますけどね!?」
「じゃあ死ね!!」
「店員さん迷惑かけてごめんなさいいいいい!!」
二人のどだだだだと駆け足の音とバチバチィ!という電撃音が遠ざかって行った。
「いつもあんな感じなんですかねー」
と嵐が過ぎ去ったあと初春は頼んでいたパフェを食べ始めた。
Sep.20_PM06:23
ぜえぜえと息があがっている少年少女の二人は橋の下の河原で倒れていた。
「おま、結局応援いけなかったじゃねーか…」
「アンタが一発も食らわないのがいけないんでしょ…」
「だから一発食らったら死ぬって…なぁ御坂」
「なによ?」
「時間も時間だし今日は終わりにしねーか?上条さんもうくたくたですよ」
何やら考えてるのかんー。と悩む美琴
「ねえ、アンタさ六日目って暇ある?」
「六日目?ちょっと待って確認する」
と競技プログラムをを取りだして見る。
「んーと、午後2時から合同トライアスロンがあるけどそれ終わったら何もないな」
「じゃ、じゃあさ暇になったらその時一緒に回らない?」
「まぁいいけど、美鈴さんだっけ?はいいのか?」
「六日はなんか予定あるとかで大学の方いくらしいのよ」
「ふうん。んじゃまぁ六日は予定入れないでおくよ」
と一通り会話を終えた所で空に花火があがる。
「もうナイトパレードがはじまる時間か。って言っても誰かさんに追われてくたくただし帰るかね」
「アンタわざわざ挑発するのってわざとなの?」
光が街を覆い尽くしライトアップされる。空は暗くなっているが昼と同じような明るさで二人が照らされる。
「冗談だよ。またな御坂」
自分に向けられた笑顔に美琴はどきっとする。
「う、うん。またね」
明るい調子の音楽が流れている中、二人は別れ、そして大覇星祭二日目が終わった。