とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

617

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

それぞ美琴の悩む理由

それも美琴の悩む理由 の続編です。



ここはとある公園。
美琴はベンチに座りながら、今日一日のデートを振り返っていた。
デート…そう。彼女は今日デートしていたのだ。相手は勿論、上条【かれし】である。
その上条は今、彼女【みこと】をベンチで休ませてからジュースを買う為に席を外した訳だが、
待っている美琴は、どこか憂いを含んだ表情で、溜息を吐いている。
楽しいデートを振り返っている表情とは程遠い。一体、何があったのか。

実は彼女、ここ最近、ある大きな悩みを抱えているのだ。
それは付き合う前ならば頭に過ぎりもしなかった悩みだった。
付き合ったからこそ、そして付き合ってしばらく経ち、
心にも多少の余裕が出来たからこその悩みなのだ。
美琴は空を見上げて、流れ行く雲を見つめながら、誰に言うでもなくポツリと呟く。
内に秘めた、その悩みを。

「はあぁ……私いくら何でも、アイツの事が好きすぎるんじゃない…?」

さぁ、急速にどうでもよくなってまいりました。
つまり美琴の悩み(笑)とやらは、上条への気持ちが強すぎるのではないかという事だ。

例えば今日、待ち合わせに現れた上条には寝癖がついていたのだが、
その瞬間に美琴は、『可愛い!』と思ってしまった。
そして寝癖を指摘されて慌てて髪の毛をセットした上条を見て、
今度は『カッコいい!』と思ってしまった。

他にも移動販売のクレープ屋に寄った時などは、最初は注文するメニューが被ってしまい、
美琴は『コイツと同じ感性で嬉しい!』と思ってしまった。
ところが上条が「せっかくだから、お互いに違う味にしようか」と提案してきた時は、
『コイツと違う味を食べ比べできて嬉しい!』と思ってしまった。

更には一緒にショップに入った時なんか、
美琴はAとBの二つの服を手にとって「どっちがいい?」と上条に聞いてみたのだが、
上条はAの服が好きだと言ってきた。美琴は個人的にはBの服の方が好みだったが、
その時『コイツはこっちの方が好きなんだ~…また一つコイツの好みを知っちゃった♪』
などと思ってしまった。
ちなみにその後、上条が「あ、でもBも可愛いな」と言った瞬間、
やはり『コイツと同じ感性で嬉しい!』と思ってしまった。

つまり上条が何をしても、何を言っても、結局OKになってしまうのだ。
おまけに、付き合って大分経つのに未だに手を握るだけでドキドキするし、
名前を呼ばれるだけでドキドキするし、キスするだけでドキドキするし、
抱き合うだけでドキドキするし、夜『おたのしみでしたね』するだけでドキドキするし。
本来ならば恋人になって付き合い出せば、そのウチ相手にも慣れてくるものなのだが、
美琴の上条に対する恋心は、むしろ日に日に増しているのだ。
美琴はそれで悩んでいるらしい。
……いや待て。落ち着いて頂きたい。お気持ちは察するが、ツッコんだら負けである。

と、そこへ。

「お待たせ~。えっと、冷たいお茶とホットのコーヒーあるけど、どっちがいい?」

と二つの缶を持った上条が、自販機から帰ってきた。そしてこの時もまた、
『私の事を気遣って、わざわざ冷たいのと温かいのを用意してきてくれたんだ~…』
などと思ってしまう。自分でも自覚しているようだが、重症である。


「じゃあ…お茶で」

美琴がそう言うと、上条はお茶の缶を美琴に手渡し、上条【じぶん】はコーヒー缶のプルタブを開ける。
そして一口グビっとコーヒーを喉に流し込み、
(ちなみにこの時も『飲んでる姿がカッコイイ…!』と思ってしまう美琴である)
「ふぅ…」と一息ついた所で。

「…なぁ、もしかしてまた何か悩んでるのか?」
「ぶふっ!!!」

突然の不意打ちに、美琴はお茶を吹いてしまった。
さすがに上条も、美琴に元気がない事くらいは分かってしまうのだ。

「で、どうなんだ? 俺に原因があるなら何でも打ち明けてくれ。
 …美琴を悲しませるなんて、自分で自分を許せねーからさ」
「~~~っ!」

その言葉だけで、泣きそうになる程に胸がいっぱいになってしまう。
本当に、我ながらチョロすぎると思う美琴である。
しかしここで「アンタの事が好きすぎるのが悩み」などと言ってしまうのは、
何か負けた気がするし癪だ。だから美琴は、モジモジしながら言葉を濁す。

「た、確かにアンタが原因かって言われれば…否定はできないけど……
 だ…だからってアンタが悪い訳とかじゃ…ないし……そんなに気にする事でも…
 その………ごにょごにょ…」
「美琴?」

真っ赤にした顔を下に俯かせて、モジモジごにょごにょする美琴に対し、
上条は心配するかのように、美琴の顔を覗き込む形で下から見上げる。その瞬間。

バヂヂィッ! 「おぅわっ!?」

美琴から照れ隠し【でんげき】が飛んできた。
美琴と付き合っている以上、上条も慣れたもので、ごく自然に右手をかざす。

「み、美琴…さん?」
「ううう、うっさい馬鹿! 何でもないって言ってんでしょ!?
 『アンタの事が好きすぎるのが悩み』だなんて、恥ずかしくて言える訳ないじゃない!
 ちょっとは察しなさいよもう! ……………………あっ」

と、恥ずかしくて言えないような事が、思わず口を衝いて出てしまう美琴。
それに対し上条は。

「…えっと……それなら俺も悩まなきゃいけなくなるんですが…
 俺も美琴の事、好きすぎる訳だし………? え、あ、ちょ、美琴っ!?」

突発的に悩みをぶち撒けた事で、先程よりも更に赤面する美琴を目の前に、
ばつが悪そうに頬をかきながら、精一杯のフォローをする上条なのであった。
そして気がつけば、美琴は上条に抱き付いていた。

ちなみに二人は、このあと滅茶苦茶『おたのしみでしたね』したのでした まる

はいはい良かったね。じゃあもう閉会閉会。










ウィキ募集バナー