とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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ただのデートじゃ終われない




―――例えば、こんなデートをしてました。
その日はお二人でお買い物デートをする予定だったんですが、
約束の時間から30分過ぎても、上条さんは待ち合わせ場所にやってこなかったんですよ。
まぁ、上条さんが遅刻するのはいつもの事らしいので、
御坂さんもあまり気にしなかったんですって。
「どうせまた、どこかで女の子でも助けてるんでしょ」っ感じで。
いや~、上条さんってやけに女性からモテるな~とは常々思ってはいたんですが、
そんなカラクリがあったんですね! そりゃ御坂さんも苦労する訳だ!
…っと、すみません。話が脱線しましたね。それで御坂さんは気にしなかったんですけど、
一時間後に上条さんが走って待ち合わせ場所に到着した時は、
流石にビックリしたみたいです。……あー、あー、ごほん!

「遅れてごめ…」

え? いや、上条さんのマネですけど…あはは、似てませんでしたかね?
まぁ、モノマネのクオリティが低いのは目を瞑ってくださいよ。
そのにツッコんでると話がブレちゃいますから。

「遅れてごめん! ちょっとしたトラブルに巻き込まれて…」
「あ…それはいいんだけ」

あ、こっちは御坂さんのモノマネです。

「あ…それはいいんだけど、その花束は何なの?」

そうなんですよ! 上条さんってば、柄にもなく花束なんか抱えてたんです!
…すみません、柄にもなくとか言っちゃってw でも意外ですよね。
御坂さんも目を丸くしてましたから。で、理由を聞いた訳ですよ。そしたら上条さんが、

「いや…きょ、今日で美琴と付き合い始めてからちょうど一年だから、さ…
 その……な、何か記念になればいいかな、とか思いまして…」

ですって! 記念になるものなのに枯れちゃう花ってどうなのとか、
デート中それ持ち歩かなきゃならないのとか、それ買ってたから遅れたんじゃないのかとか、
色々ツッコみたいでしょうけど置いときましょう!
それだけほら、上条さんがデートに慣れてない…
つまり御坂さんとしか付き合った事がないって証拠でもあるんですから!
それに実際、御坂さん本人も感激して泣いてましたしね。

「すごい…嬉しい! ありがとう…!」

って。ホント御坂さんって、上条さん相手だとチョロいですよね♪
でまぁ、そんなこんなでデートが始まった訳なんですが、
こんなお二人ですから、デート中も色々とやらかしてくれましたよ。
この後は確か、本屋に行ったんですけどね、新刊コーナーで御坂さんが立ち止まって。

「あっ! 『密室×密室探偵』の新刊が出てるわ!
 そう言えば発売日って昨日だったっけ…すっかり忘れてた」
「珍しいな。美琴がこの漫画の発売日忘れるなんて」
「だ、だって! アンタとのデートが楽しみすぎて、昨日はそれ所じゃなかったんだもん!」

もう、可愛すぎますよね御坂さん! 「だもん」ですよ「だもん」!
普段そんな事言わないクセに、上条さんの前だとこんなんになっちゃうんですから!
それを聞いた上条さんも、思わず御坂さんを抱き締めてましたからね! 本屋の中で!
そうそう、他にも料理本とかも手にとってましたね。
それで御坂さんが本のページをパラパラめくりながら、

「ねぇ、今日は何が食べたい?」

って聞いて、そしたら上条さんが、

「そうだな…何でもいいって言うと感じ悪いんだろうけど、
 美琴が作ってくれたもんなら本当に何でもいいんだよな…
 何を作っても美味いのは、もう分かってるんだし」


ってナチュラルに返したんですよ! もうジゴロすぎますよ上条さんw
そしたら案の定ですよ。今度は御坂さんの方から上条さんを抱き締めて…
もう一度言いますけど、これ本屋の中での話ですからね!?
「何食べたい?」「何でもいいよ」の会話の流れとか、
もうすでに夫婦じゃんとか思いましたよ! …あっ、そうだ! この話はしとかないと!
クルマとかバイクとかの男性向け雑誌コーナーのすぐ隣に、
えっちな本のコーナーとかあるじゃないですか。あるんですよ。
で、そこを通り過ぎる時に上条さんがチラッとえっち本の方を見たんですね。
分かってます分かってます。上条さんだって男性なんですから、
気になっちゃうのは仕方ないと思います。ついつい目が行っちゃったんですよね?
でもやっぱり、お隣に彼女さんがいる時はマズかったですね。
御坂さんムッとして、上条さんのお尻を思いっきりつねってましたもん。
…いつもみたいにビリビリってしなかったのは、一応お店の中だって事で、
御坂さんなりに配慮したんだと思います。
まぁ、そんな事はいいんですが、ここからがあたしが言いたかった事なんですよ!
えっち本の方を見た上条さんをつねった御坂さん、この後何て言ったと思います!?

「そ、そんなに女の人の裸が見たいんだったら、今夜イヤってほど見せてあげるわよ!」

ですって! この意味分かりますよね!?
つまりアレですよね! すでにお楽しみするのは確定って事ですよね!
はいそこ初春「ぬふぇ~」しない。白井さんも血の涙を拭いてください。
で、そんな御坂さんに上条さんがですよ!

「……ミコっちゃんの裸だったら、何時間見続けてもイヤなんて思いませんよ」

きゃ~~~っ、ですよねもうホントに!
「イヤなんて思わない」ってのも勿論キュンキュンきますが、
何気に「何時間見続けても」ってのも聞き逃せないワードですよね!
それってつまり、今夜のお楽しみは何時間もしちゃうぞって事を示唆してるんですから!
それ聞いて御坂さん、耳まで真っ赤に……そうです。今の御坂さんと同じような状態ですね。
になりまして、小声で「…スケベ」ってぽそっと呟いてました。
多分この日は御坂さん、上条さんに寝かせてもらえなかったんじゃないですかね♪
あー、そうだ。えっちな本で思い出したんですが、
御坂さん、ファッション雑誌も立ち読みしてましたよね?
で、確か下着特集みたいなページを上条さんに見せて、大胆にも

「アンタは…どんなのがいい?」

って聞いてたんですよ! 男性にそんな事言われても困りますよね!
完全に羞恥プレイですよこんなの! …って思ったんですが、
そもそもこれまでも充分羞恥だったので、別にいいのかも知れません。
てか上条さんも上条さんで、その下着のページをチラチラ見ながら赤くなって、

「こ…この大人っぽいヤツとかいいんじゃないッスかね…?」

とか言っちゃってるんですよ! あたしもう、笑いを堪えるのに必死でしたよ!
あー…今、思い出しても笑いそうになる……w しかも続きがありましてですね、

「つーか美琴がその下着を着けてる姿を想像したら、
 上条さん、ちょっとムラムラしてきちゃったんですが、ど…どうしませう…?」
「ばっ、馬鹿! ななな、何、変なトコ大きくしてんのよアンタは!」
「お、お、俺のせいかよ!? そもそも俺に見る機会なんてないのに、
 『どんなのがいい?』なんて美琴が聞いてくるから…!」
「見る機会あるじゃない! …こ、今夜…とか……」
「……………」
「わー、わー! さっきより大きくなってんじゃないのよっ!?」

コントですよコント! 深夜のバラエティによくあるエロコント!
もう一度だけ確認しますけど、これ本屋の中での出来事ですからね!?
ホントおっかしくて! それであたし―――


 ◇


 ―――ホントおっかしくて! それであたし」
「ちょちょちょ、待って待って佐天さん!」
「あ、はい。何ですか御坂さん?」
「これいつまで続くの!!?」
「えっ、いつまでって…原稿用紙にしたら、あと100枚分以上も残ってますよ?
 だってまだ本屋のくだりじゃないですか。デート序盤ですよ。
 これから雑貨屋行ったりファミレス行ったりホームセンター行ったりデパート行ったり…
 まだまだお二人が行った所はいっぱいあるんですから。
 最後のホテルに入る所まで喋るつもりですけど…
 でも流石にホテルの中で行われた事までは知りませんので、
 そこら辺、何があったのか是非御坂さんご本人の口からお聞きしようかと思」
「佐天さああああああん!!!?」

そのあまりにもな内容に、美琴は佐天の言葉を遮った。
地の文がおかしいかったので、お気付きの者も多かったと思われるが、
>>42-43【ここまで】は全て佐天の独白である。しかも厄介な事に。

「もうっっっっっ限っ界っですわ!!! 佐天さん! 少々妄想が過ぎますわよ!」

怒号と共に立ち上がった白井の証言によると、ここまで全て佐天の妄想らしい。
この騒動もまた、佐天のいつもの美琴弄りの一環のようだ。
そう。つまり今回も、佐天さんがやらかしただけなのである。
































…と、思っていたのだが、どうやら違うようだ。白井の言葉に対し、佐天は反論する。

「もう白井さん! 現実逃避は止めて、席に座ってくださいよ!
 これは全て、あの時あたしが直接見た事…つまり事実なんですから!
 この物語はノンフィクションです! 実在の人物・団体・地名とは全て関係があります!
 そりゃ確かに、お二人のデートを盗み見てたあたしも悪いですけど、
 でもスピーチの邪魔はしないでください!」

ここはとある結婚披露宴の会場。
花嫁の友人代表である佐天は、新郎新婦がまだ若かった頃のデートの様子を、
赤裸々に語っている途中である。が、これを聞かされている当の新郎新婦は、
顔を真っ赤にして縮こまり、周りからの視線と笑い声で針のむしろ状態だ。
完全に見世物と化している本日の主役達は、泣きそうな声で同時にポツリと呟くのだった。

「「………不幸だ(わ)…」」










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