とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

29-070

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

小ネタ 苦くて甘い




さて、目の前のテーブルの上に並ぶ、絶品料理の数々。
オムレツ、青椒肉絲、ピザ、金平、炒飯……

統一性が、ないように見える。
しかし、箸を握り、固まってしまった高校2年生の美琴はすぐに気づいたのだった。

「……彼氏さん彼氏さん」

呼ばれてキッチンから出てきたのは、大学1年生の上条。
この前美琴からプレゼントされた、フリッフリのかわいいエプロンを装備してる。

「なにかね? 彼女さん」

「まず、彼氏の主夫力に衝撃なんですけど」

「もうすぐスープもできるぞ」

「あと、こいつが重要なんですが」

「なにかね?」

「なんですべてにピーマンが使用されてるの?」

「……」

沈黙。
バッ、と美琴は玄関に向かって走るも上条に軽々と捕まる。

「い、いやだーーー!!」

「いやだじゃない。食べろ」

「鬼ー!! 食事に誘われてウキウキ来て……なんで拷問されなきゃなんないのよ!!」

「この前遊びに行ったとき、レストランでこっそりピーマン残してるのを見ましてね、美鈴さんに聞いたら昔からだと」

「あのバカ母なにペラペラと!!」

「美鈴さんにも頼まれたんだよ。ニガテを克服させてやってくれって」

「あの人ニンジン食べられないくせに!!」

じたばた大人気なく暴れる美琴。
こんな姿は上条にしか見せられない。

「ダメ。ピーマン食べるまでは……」

暴れる美琴を後ろから抱きしめる上条。
最近ようやく恥ずかしくなくなってきた。

「抱きしめた後のナデナデはなし」

抱きしめられて急におとなしくなっていた美琴が、またまた突然頭をあげた。
表情ですぐにわかる。
それだけは避けたいらしい。

「将来子供ができたときも教育できなくなっちまうぞ?」

美琴がまばたきをした。
少しずつ顔が赤くなる。
小さく「こ、こども…」と呟いている。
絶妙なアメとムチなのだった。

「……」

いつもは年上の余裕を見せるのに必死な上条。
今は後ろから抱きしめているのでその心配はない。
顔面がぐにゃぐにゃにニヤけているのである。

「ほい、わかったら座る。スープもできるころだ」

頷き、トテトテとテーブルにつく美琴。
しかし、テーブルに整然と並ぶ緑色を見て、顔色は赤から青に変化していく。

スープを2人ぶん持ってきた上条も席についた。
さてさて覚悟を決めなされ。

「……しょーがない。ほれ、あーん」

「!!!!」

アメ追加。

「ぜ、全部ふーふーして、あーんしてください」

ゆっくり箸を一度置く上条。
行儀わるいなぁ。

「調子乗るな」

ビシッとチョップが入る。
改めまして、

「ほれ、あーん」

美琴はしばらく逡巡したが、目をギュッと瞑って箸と上条の愛をくわえた。

少しずつ口を動かす。
すると、美琴は目を見開いた。
背景に電流が走る。
能力で。おかげで幻想殺しの出動である。

「あれ? 美味しい?」

「なにしてんだよ……ま、ピーマンはちゃんと味付けして、きちんと熱を通せば美味しいんだぞ」

「美味しい!!」

箸がどんどん進む。
味付けだけじゃない。
やはり、隣に座る人間の愛が美味しいのだ。

「これなら毎日食べられる!!」

「将来こども生まれても、これで笑われないな」

「こ、こども………あっ!!」

「どうした?」

「お礼しなくちゃ」

「ん? いいよ、別に」

「よくない!! 明日はわたしが腕によりをかけてつくる!!」

「そっか、ありが「アスパラガス料理を!!」…………え?」

「気づいてないとでも、思った?」

顔の陰影はなんとなく母を思い出させる。

「ちょ「子供の前ではカッコいいパパでいたいでしょ?」ぐっ……」

そのまま美琴は上条に抱きついた。

「大丈夫、絶対美味しくするから!!」

そういわれるとなにも言えない。
ため息がでるが、今から楽しみにしている自分に、内心驚く上条だった。

「あぁ、楽しみにしてるよ」

今日のキスは美味しいピーマンの味がした。















「まことはぴーまんも、あしゅぱらもだーすきよ?」

「「なんか悔しい!!」」










タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー