小ネタ 豆合戦
犬も食わない。
夫婦喧嘩のくだらなさを、うまく表現した日本語だと思わないだろうか。
夫婦になる2人も、もとは他人だ。
ゆえに意見や価値観の相違はあってしかるべきである。
喧嘩ではなく意見交換。今後の方針を決めるには必要不可欠だ。
とはいえ、親しいからこそ甘えが出る。「これぐらいわかってよ」「怒っても許してくれるよね」というわがままこそが、喧嘩の正体なのかもしれない。
さて、前置きが長くなったが、
つまりなにがいいたいかというと、
「毎度毎度毎度毎度!! なんで助ける対象が美人ばかりなのよ!!!!」
「ジャイアントジャンボビックゲコ太だと!!? 日本語だと『巨人巨大大ゲコ太』だぞ? オレの睡眠スペースよりやつのスペースがデカいってどーいうこった!!!!」
夫婦喧嘩は互いに甘えているからこそできるのである。
「アンタは!! 美人を!! 集める!! 超能力でも!! もってるんか!!!!」
「痛てっ!! 痛ててっ!! って、テメェが助ける!! ヤツも!! 全員!! フラグ!! 立ってんじゃ!! ねーか!!」
「痛い!! 痛たたっ!! そ、そんなアンタみたいなことには、なんないわよ!!」
「あの!! ゲコ太を!! 貰ったのも!! 男!! だろーが!!」
「自分より!! 一回りも!! 小さい子に!! そんな!! 感情!! 抱くか!! アンタじゃ!! あるまいし!!」
「なんだと!!」
「こんの!!」
さてさて、
そんなこんなで数時間後、
2人は床に大の字で寝転んでいた。
燃え尽き症候群の無表情である。
因みになぜか手を繋いでいる。
床に散らばっているのは、先程相手にぶつけていた炒り豆だ。
おもいっきりぶつけたし、
おもいっきりぶつけられた。
今も背中と床の間に数個転がっていて痛い。
「ごめんね。ちょっとゲコ太グッズ買うの控える」
「………別にいいよ。ちゃんと将来まで家計を考えた上で買ってんの知ってるし。どっちかっていうと、ゲコ太に嫉妬してただけだし」
「安心してよ。ゲコ太なんか目じゃないくらい当麻が好きだから」
「こっちこそすまん。誰かが困ってたらきっとまた助ける。あと、女の子が多いのはほんとにたまたまだ」
「知ってる。ただのヤキモチよ。誰かを見捨てたら、逆にわたしが当麻をぶっとばすから」
「あぁ、ヤキモチなら嬉しいな。オレには美琴しかいないんだから」
「……うん、知ってる」エヘヘ
「さて、片付けるか」
「………ねぇ、炒り豆の前に食べてほしいのがあるんだけど………」
「ん?」
「わ、わたし………」////////
「………」
「/////////」
「………年の数だけイカせてやる」
「////////////////////」ボシュッ
さて、
犬も食わない。
夫婦喧嘩のくだらなさを、うまく表現した日本語だと思わないだろうか。