とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

29-114

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匿名ユーザー

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小ネタ 上条当麻の恋




上条は最近、とある悩みを抱えていた。
とは言ってもそれを表に出す訳でもなく、一人で抱え込んでいるのだ。
インデックスやオティヌスと朝食を食べている時も、土御門や青髪とバカみたいな話をしている時も、
小萌先生からマンツーマンで補習を受けている時も、頭のどこかではいつもその事を考えていた。

(はぁ…今さら言える訳ないよなぁ……俺が中学生を好きになっちまったなんて…)

上条は以前から、好きなタイプに「寮の管理人のお姉さん」を掲げており、
中学生は恋愛対象外なのだと豪語していた。
そんな彼が、まさか現役JCに恋をしてしまっただなどと、言えないのである。
しかもその相手と言うのが何と。

(……美琴、今ごろ何してんだろうな…?)

常盤台の超電磁砲で有名な、御坂美琴その人なのである。
「何と」とか煽ってはみたものの、大方10割の人が予想通りだっただろう。
つまり上条は、なんだかんだでいつも一緒にいる美琴に対し、
いつの間にか恋心が芽生えてさせてしまったのだ。
だがそれを誰かに打ち明ける訳にもいかず、記憶喪失の事を周りに黙っているのと同じように、
平常運転を装いながらも、一人で悶々とする羽目となっている。
しかも更に面倒な事に、これが上条にとっての初恋だったりするのだ。
先程チラリと話に出たが、上条は記憶喪失である。
記憶を失う以前に上条が誰かを好きだったとしても、それは以前の上条だ。
現在の上条としては、読んで字の如く『初めて』の『恋』なのである。
故に尚更どうすればいいのか分からず、考えが堂々巡りしている状態だ。

と、そんな事を思いながら歩いていると。

「ちょ、ちょろっと~?」

いつものように、美琴【すきなひと】が話しかけてきた。
放課後になり、校門を出た所で毎回声をかけてくる美琴。
この下校デート的なイベントが、美琴を好きになるきっかけにもなった。
美琴とのプチデートを繰り返す内に、彼女の魅力にやられてしまったのだ。
いやはや、毎回ここを通りかかるという美琴の『偶然』も恐ろしい物である。

「きょ、今日はアレなのね。学校終わるの、ちょっと早いのね」
「…ん? ああ、先生が職員会議で忙しいとかで、今日は補習が無かったからな」
「そ、そうなんだ…」

上条は自分の気持ちを悟られないよう、ポーカーフェイスで対応する。
例えこの気持ちを伝えても、玉砕するのは目に見えているから。

(つーか俺が美琴の事を好きでも、美琴はそうじゃないもんな。
 原因はよく分からないけど、いつも怒らせてるし…少なくとも好印象は持ってないだろうし…)

自分で思って勝手にヘコむ上条。
美琴が上条に好意を持っていないのは、ダレノメカラミテモアキラカなので、上条は溜息をつく。
現に今も美琴は上条と並んで歩きながらも、

「じゃ、じゃあ、今日はいつもよりもアンタと一緒にいる時間が長いって事よね…
 いいい、いや、その、べ、別にそれが嬉しいって事とか全然ないんだけど!
 で、でっで、でもせっかくだから、寄り道くらいしてあげてもいいかな~なんてね!?
 私的にはアンタと色々なお店見て回ったりするのはアレなんだけど、
 けど早く寮に帰っても黒子は風紀委員で忙しくて私だけ暇だから―――
 ってちちち違うわよっ!!? いや、黒子が帰ってくるまでの間、
 アア、ア、アンタを私の部屋に招待しようとかってんじゃなくてね!!?
 それはまだ早いって言うか………で…でもアンタがどうしてもって言うなら…その……」

とか色々言い訳をしながら、顔を真っ赤にして否定しまくっている。
これはダレガドウミテモキョゼツサレテイル。「当たって砕けろ」という言葉があるが、
確実に砕けるのが分かっているのに当たりに行くアホはいない。
なので上条は自分の気持ちを、心の奥底へとしまい込む。
いつか美琴が自分の事を振り向いてくれる、その日まで。


 ◇


とあるファミレスにて。
二つ別々の二人組みのグループが、それぞれの席で話し合いをしていた。

A席では。
「…なぁ。ボク思うんやけど、カミやんって御坂美琴ちゃんに惚れとるよな?」
「やっぱり気付いてたか…ま、あんだけ分かりやすけりゃ誰だって気付くわにゃー」

B席では。
「う~ん…どうやったら上条さんに御坂さんの良さが分かってくれるんだろ」
「佐天さん! あまり干渉しすぎるのはよくありませんよ!?」










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