小ネタ いわんでよろしい
上条は呆れていた。
なんに?
そりゃもちろん、
「あ、あ、アン、アンタ、にゃんか…………」
目の前の彼女、美琴にである。
ここは上条宅。
ベッドに腰かける上条と、
ベッドの上で女の子座りし、枕を抱き締めながら上条を睨む美琴。
顔はトマトより赤く、目は潤んでいる。
こうなった理由は1時間ほど前に遡る。
同居人が外出中なのをいいことに、
奥様気分を満喫する美琴。
鼻唄なんて歌いながら食器を洗っていた。
ニコニコとスポンジを動かす彼女に声をかける人物がひとり。
「美琴…………」
愛しの彼氏、上条当麻である。
「なに♪」
笑顔のまま振り向いた美琴は固まった。
やさしく微笑む彼。
まるで、そのまま薄れゆく霧のような美しさだった。
たまらず尋ねる。
「どう……したの?」
上条が少し、言葉にするのを逡巡したのが美琴にも受け取れた。
しかし、彼の口は動く。
「今まで、ありがとな」
美琴は目を見開く。
今【まで】?
美琴が言葉の意味を模索するなか、
上条はリビングに戻りながら言葉を紡ぐ。
「すまん、さっき電話がかかってきてさ、急用が入っちまった。出かけてくる、この埋め合わせはまた今度するから」
慌てて手をタオルで拭き、
リビングに駆け出す美琴。
彼に何が起こっている?
冷や汗が止まらない。
「待って!! 私も一緒に行かせて!!」
「全部嘘だピョン」
ドンビリビリピカドガバッシャーン
ぱっきーん
美琴がリビングに駆け入ると、ケロヨンの仮面を付けた不審者が、シェーのポーズをとっていた。
電撃を放つがヤツには効かない。
「……た、たまに、彼女の愛情が怖い」
仮面をはずしながら戯れ言をほざくツンツン頭。
いまの電撃は怒りの塊だコノヤロウ。
「残念ながら今日はエイプリルフール。どんな愛情も受け止める上条さんも、今ので怒られるいわれはないです「うがーーー」ぬおっ!!!」
電撃が効かないので白兵戦を挑むミコっちゃん。
飛びかかり上条をベッドに押し倒す。
首を絞めたが腕を解かれた。
ほっぺを引っ張ったが腕をとられた。
押し倒されてムギュムギュされて、
ナデナデされてクンクンされて、
こちょこちょされてもみもみされて、
ムチュムチュされてふにゃーした。
そんなこんながあっての現在。
20分の気絶から生還した美琴。
彼女はどうも彼氏に復讐のウソをつくらしい。
が、
「あ、アン、アンタ、にゃ、にゃんか…………ダ、だっ……だい………………あ、アンタ……にゃ、にゃんか……だい………………あ、アン……」
彼女は壊れたレコードの物真似を体得したらしい。
暫く楽しく拝見させてもらった。
しかし、すぐに上条は狼狽える。
彼女の目が決壊したのだ。
「お、おい!! どうしたんだよ!!?」
「ぐすっ、だって!! ぐしゅっ、だってぇ~」
上条は美琴を抱き締めた。
すると、ボソボソと美琴が言葉を口にする。
余りにも小さな声だった。
ウソでも、言いたくない…………
その声を聞いた上条は、抱き締める力をいっそう強くした。
少し美琴が苦しそうにしたが、がまんできない。
「美琴、言わなくていいって」
「ふぇ? あっ、むぐっ…………」
さらに、ひたすらに口づけする。
ついばみ、なめ回す。
言葉にする必要などないと、
もうわかっていると伝えるために。
その後、ミコっちゃんは、上条さんに
押し倒されてムギュムギュされて、
こつこつされてつんつんされて、
ナデナデされてクンクンされて、
こちょこちょされてもみもみされて、
チュッチュッされてペロペロされて、
もぐもぐされてほむほむされて、
ムチュムチュされてヌギヌギされて、
くちゅくちゅされてあんあ略