とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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今日こそは




(きょ、今日こそ、は!!!!)

握りしめたこぶしを震わすのは、
天下御免の電撃姫、御坂美琴。
彼女はメラメラと闘志を燃やしていた。

「大丈夫かー? 場所わかるかー?」

そんなところに後ろから声。
ここはその声の主、上条当麻の家。
美琴は、キッチンに立っていた。

「あっ!! だ、大丈夫大丈夫!! すぐいくから!!」

慌てて返事をする。
テキパキと2人分の麦茶を用意し、リビングに向かった。
高校1年生になった美琴は、
1ヶ月ほど前上条当麻と付き合いだしたばかりである。
桜の花びらが舞うなか受けた告白は、理想と違ってぐっだぐだなものだった。
でも、それすら自分たちらしいと思える。
そう、幸せなのだった。

「で、どう? わかる?」

「も、もう少しー」

美琴が向かう先には愛しの彼氏。
テーブルに向かいうんうん唸っている。
課題ではない。
今年は彼も受験生。
自分の望む未来には、ある程度の学力が必要だと、彼も気がついた。
いや、気づかされた。
きっかけとなった美琴は、自身がきっかけとは、まったく気づいていないのだが。

「……うーん」

「…………ほら、それジアゾ化合物でしょ?」

「じあ? …………あぁ!! ジアゾ化合物か!! ってことは…………」

麦茶を置きつつ、隣に座る。
目の前には、真剣な表情の彼。
幾度もこの表情で助けてくれた。
ときには、絶望もしたけど、
そこからさらに助けてくれる。
ん? 美琴の視線と上条の視線が交差してね?
「……顔真っ赤にしてどしたの?」

「ふにゃお!! な、なんでもにゃい!!!」

?を浮かべ、再び問題集に向き合う上条。
ドクドクうるさい心臓をほっとき、
美琴は再び覚悟を決めた。

(きょ、今日こそは!!)

美琴の見つめる先は上条の頬。

(ぜ、絶対にキスするんだから!! )

勝手にやればいいと思うのだ。
覚悟をきめる必要はないのである。
ファーストキスも、もう済んでいる。
しかし、付き合いはじめたばかりの美琴にとって、キスはハードルめっちゃ高いのだ。
一方通行撃破の方が楽なのだ。


(で、でも、了承なしは失礼だから、頬で許してやるわ!! 感謝しなさいよ!!)

もう訳がわからない。
ワンフレーズでここまでボケられるほど、ポンコツになったlevel5。
覚悟を決め、攻撃準備をしたときだった。

「「カッミやーーん!!!」」

ドタン!! と玄関のドアが開いた。
同時に黄色い悲鳴と、パッシーーーン!! というわかりやすい音。

「…………彼女さん、なぜにオレはビンタされたん?」

「…………蚊がいたのよ」

??を浮かべる上条と、赤面のまま顔を反らす美琴。
上条は仕方なく、訪問者の方に視線を移した。

「で、なんの用だ? 青ピ門」

「「混ぜんなよ!!」」

ダブルツッコミ。

「用って、もちろんひがみに来たんだぜい」

「休日に彼女と部屋でしっぽりねっとり和むやなんて、裏切りものには血の制裁や!!」

いまにも魔神になりそうな2人のダチに、
上条は気だるげに言葉を投げかけた。

「しっぽりねっとりは、オレじゃなくて土御門だろーが。お前こそやるならよそでやれよな」

動きが止まる。
なにをいいだすんだ?
「舞夏だってオレの知り合いなんだ。次会うときどういう顔すればいいかわからん。この寮は壁が薄いってこと、もう少し考えてから行為におよんでくれ」

「な、なにいってるぜよカミやん!!」

土御門は戸惑った。
そもそも、舞夏とそんな関係なら上条を妬む必要はない。
壁が薄いなんてことは百も承知だ。
親友(仮)のコイツはそんなことわかってるはずなのに、なぜそんなことを…………あ。

「ツッチー……………………」

「ど、どうした? 青ピ」

「いま上条が話した内容の、詳細を聞かせろよ」

「お前の標準語って極上のシリアスじゃねーかニャー!!? お、おい!! 待て!! はーなーsガチャン

嵐は撃退できた。

「まったく、モテない男は辛いよなー。オレも1ヶ月前までそうだったけどさぁ」

「…………えー」

「あ、そっか、もとから美琴にモテてた」

「なっ!! た、ばっ、バカーー!!」////////

美琴が照れて、電撃を放つ。
それをニヤニヤした顔で上条が打ち消す。
ここまでが、上琴じゃれあい初段の1セットだ。


「そろそろ時間じゃないか?」
「ホントだ」
上条がリモコンを操作すると、
二足歩行するカエルのアニメが、テレビに映し出された。
毎週この時間は、ゲコ太観賞タイム。通称『ゲコタイム』だ。
目を輝かせる彼女に、上条はあきれながらも微笑んだ。
そして、彼女との会話に備え、自身もテレビに集中する。

(ん? いまチャンスなんじゃない?)

ゲコタイムも佳境。
薄い箱の中では、ゲコ太とピョン子がいい雰囲気になっている。
これは上条も意識しているに違いないと、level5は考えたのだ。
もちろん、こどもアニメでいい雰囲気になるなぞ、美琴の幻想でしかないのだが、キスがしたい美琴には関係ない。

(よ、よし!!)

もうすぐエンディングだ。
再び美琴は、上条の頬に狙いを定める。
そして、カウントダウンが終わる直前だった。

「とうまーーー!!」「にんげーーーん!!」
ドタン!! と玄関のドアが開いた。
同時に黄色い悲鳴と、ボコメキャ!! という痛々しい音。

「…………彼女さん、なぜにオレは殴られたん?」
「…………」
ぐぅの音も出ないが、グーは出たのである。
返答がないため、しぶしぶ上条は帰宅者に視線を移す。

「いまオイラは自宅デート中なんだけど? あと3時間くらい粘ってくれよ」
インデックスとオティヌスはあからさまに不機嫌顔になる。
そう、この2人は上条を奪われた形なのだ。

「そうはいっても、小萌の家にはもう食べられるものがないんだよ!!」
「お、お前は私の理解者だろぉがぁぁぁぁぁぁああああああ!! 日々自分の3倍ある猫に食われかける恐怖こそ察せよぉぉぉおおおおおお!!」
食事提供者ならびに猛獣使いの力は、泥棒猫に渡せないのである。
インデックスの返答に、再び上条は小萌先生に頭が上がらなくなる。
しかし、それ以上でもそれ以下でもない。
弁償できる金はないのだ。
視界の端でオティVS猫の異種格闘技戦が始まったが、理解者故に放置。

「よっと」
美琴が立ち上がった。
キッチンに入り、小包を抱えて出てくる。
それをインデックスに渡した。

「ほい」
「なにこれ?」
「お弁当。いつもこの時間にお腹空かせてるみたいだから作っといた。あとこれはお小遣い。お弁当足りなかったらどこかで食べてらっしゃい」
「おお!! 話がわかるんだよみこと!! とうまと違って太っ腹なんだよ!! じゃ、行ってきまーす!!」
嬉々とした表情で再び外出するインデックス。
ホッとするやら、情けないやら複雑な表情になる上条。
スフィンクスにくわえられ、外に出ていったオティヌスは、理解者故に放置。
再び右に座る彼女に礼をいう。

「なんか悪いな、気を使わせて」
「いいの、ただ……その……」
「???」
「……ぁ、あ、頭、なで、て」
「喜んで」
なでくり。
美琴さん、ご満悦。
上条さんもご満悦。


(ふにゅ、きもちぃぃにゃ~~)

しかし、ふと気づいた。
彼の右手が動いていない。
隣を見ると、上条の頭がうつらうつらと揺れている。
クスリと頬笑む美琴。
頭にある手をどかし、ベッドに向かうよう言おうとしたときだった。
そう、無防備な頬に視線がいったのだ。
ゴクリンチョ、と喉がなる。
あと5㎝に迫ったときだった。

「お姉さまぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
ドタン!! と玄関のドアが開いた。
同時に野太い悲鳴と、ビリバリバッシャーン!! という凄まじい音。

「おい、彼女。さすがに目覚ましで死ぬ」
「ぁぅ」
涙目で真っ赤になってたら、怒るに怒れない。
しぶしぶ来客に視線を移す。

「で、なんの用だ? 白井」
「なんの用もなにもあるかいこのうすらハゲ類人猿!!」
「は、ハゲてねーし!!」
「今日という今日はここでなぶり殺しにしてくれるわ!!」
悪役の定番のセリフをほざく、怪人。
その後方から人影が2つ。

「あー!! やっぱりここだった」
「白井さん!! 邪魔しちゃダメだって言ったじゃないですか!!」
「やかましいですの!! わたくしの、わたくしのお姉さまには、誰一人近寄らせませんのぉぉぉオオ!!」
「…………ダメだね、正気を失ってる」
「そ、そんな…………」
「「なにこの展開??」」
カップルの目の前で巻き起こる、寸劇。

「邪魔するなら、あなたたちとて容赦しませんの!!」
「なら、いくよ、白井さん」
「あれは、もう廃れたというバットー術!!」
「「抜刀術みたいにいうな」」
「佐天みつるぎ流奥義!!」
「「…………」」
ジト目。

「初春のスカートめくり「キャーーーー!!」
ここまでよく我慢できたと思う。
数分後、しょぼくれた2人の女子と、焦げた女子が寮の外にたたずんでいた。

「まったくもう」
ため息をついて隣に座る美琴。
上条も苦笑しながら、冷蔵庫からアイスを取りだし持っていく。

「ほい、夏には少し早いけど」
「ありがとう…………って、これわたしが買ったんじゃない」
「硬いこというなようまー」
「まったく、うん、おいしい」
怒りで高まっていた頭の温度も下がる。
さて、そろそろ目標を達したい。

「はい、あーん」
のに、隣がとんでもない爆弾を投下してきた。

「や、やるわけないでしょ!!」
「いーや、やってくれ」
「やんないったらやんない!!」
「じゃ、食べさせてくれ」
「ふざけんな!!」
けちー、といいながら上条はアイスを食べる。
美琴の頭の温度が再び高まった。
なんだ、コイツ、最近キャラ壊れてないか?
あ、新しい彼の一面が見れて嬉しいなんて思ってないんだからね!!
ホントだからね!!
ツンデレさんは面倒です。
だが、彼氏も負けていない。

「はい、あーん」
くじけないのだ。

「やんないっていったでしょ!!」
「いいのか?」
「当然!!」
「ここで食べないと、これから3日間あーんは無しだぞ」
短期間だ。

「そ、そんなっ!!」
耐えられないらしい。

「ほい、あーん」
しばらく上条とスプーンとを交互に眺め、逡巡していた美琴だが、
結局食べた。
上条は満足そうに笑い、しばらく2人は黙々とアイスを食べた。


(ふにゅ、きもちぃぃにゃ~~)

しかし、ふと気づいた。
彼の右手が動いていない。
隣を見ると、上条の頭がうつらうつらと揺れている。
クスリと頬笑む美琴。
頭にある手をどかし、ベッドに向かうよう言おうとしたときだった。
そう、無防備な頬に視線がいったのだ。
ゴクリンチョ、と喉がなる。
あと5㎝に迫ったときだった。

「お姉さまぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
ドタン!! と玄関のドアが開いた。
同時に野太い悲鳴と、ビリバリバッシャーン!! という凄まじい音。

「おい、彼女。さすがに目覚ましで死ぬ」
「ぁぅ」
涙目で真っ赤になってたら、怒るに怒れない。
しぶしぶ来客に視線を移す。

「で、なんの用だ? 白井」
「なんの用もなにもあるかいこのうすらハゲ類人猿!!」
「は、ハゲてねーし!!」
「今日という今日はここでなぶり殺しにしてくれるわ!!」
悪役の定番のセリフをほざく、怪人。
その後方から人影が2つ。

「あー!! やっぱりここだった」
「白井さん!! 邪魔しちゃダメだって言ったじゃないですか!!」
「やかましいですの!! わたくしの、わたくしのお姉さまには、誰一人近寄らせませんのぉぉぉオオ!!」
「…………ダメだね、正気を失ってる」
「そ、そんな…………」
「「なにこの展開??」」
カップルの目の前で巻き起こる、寸劇。

「邪魔するなら、あなたたちとて容赦しませんの!!」
「なら、いくよ、白井さん」
「あれは、もう廃れたというバットー術!!」
「「抜刀術みたいにいうな」」
「佐天みつるぎ流奥義!!」
「「…………」」
ジト目。

「初春のスカートめくり「キャーーーー!!」
ここまでよく我慢できたと思う。
数分後、しょぼくれた2人の女子と、焦げた女子が寮の外にたたずんでいた。

「まったくもう」
ため息をついて隣に座る美琴。
上条も苦笑しながら、冷蔵庫からアイスを取りだし持っていく。

「ほい、夏には少し早いけど」
「ありがとう…………って、これわたしが買ったんじゃない」
「硬いこというなようまー」
「まったく、うん、おいしい」
怒りで高まっていた頭の温度も下がる。
さて、そろそろ目標を達したい。

「はい、あーん」
のに、隣がとんでもない爆弾を投下してきた。

「や、やるわけないでしょ!!」
「いーや、やってくれ」
「やんないったらやんない!!」
「じゃ、食べさせてくれ」
「ふざけんな!!」
けちー、といいながら上条はアイスを食べる。
美琴の頭の温度が再び高まった。
なんだ、コイツ、最近キャラ壊れてないか?
あ、新しい彼の一面が見れて嬉しいなんて思ってないんだからね!!
ホントだからね!!
ツンデレさんは面倒です。
だが、彼氏も負けていない。

「はい、あーん」
くじけないのだ。

「やんないっていったでしょ!!」
「いいのか?」
「当然!!」
「ここで食べないと、これから3日間あーんは無しだぞ」
短期間だ。

「そ、そんなっ!!」
耐えられないらしい。

「ほい、あーん」
しばらく上条とスプーンとを交互に眺め、逡巡していた美琴だが、
結局食べた。
上条は満足そうに笑い、しばらく2人は黙々とアイスを食べた。


「あー、うまかった」
幸せそうに叫ぶ隣の彼氏に、
美琴は理不尽な怒りを覚える。

(アイス食べたのに、体が暑い)

本人は知らないだろうが、
顔も真っ赤だ。

「さて、これからの時間は上条さんタイムです」
「なによ、それ」
「なんでもいってくれ、叶えられる範囲で彼女のために頑張ります」
驚き、隣を見ると両手を広げる彼。
顔どころか全身真っ赤になる。
嬉しさやら、恥ずかしさやら、
言葉にならないあらゆる感情を抱えて、
美琴はその胸に飛び込んだ。
思いっきり抱き締めて、
思いっきり抱き締められた。
顔を上げると、
目を細める彼の顔。

いまなら伝えられる。


そう思ったときだった。

「「カッミやーーん!!!」」

「とうまーーー!!」「にんげーーーん!!」
「お姉さまぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」
ドタン!! と玄関のドアが開いた。
同時にふにゃ~~~という泣き声。
が、漏電の音は打ち消される。
涙目で見上げると、若干余裕がない彼氏の顔。

「もう待てねぇ!!」

そして唇がふさがれた。










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