小ネタ 超電磁砲原作漫画第一巻85ページの空白
「逃げんなーーッ!!」
「オマエっ今っ…今の直撃してたら普通死ぬぞっ!!」
「どうせ効かないんでしょーがぁ!!
私だって今まで人に向けてこんなに能力使った事ないわよっ」
「何で俺だけ~~~っ!?」
「ちゃんと私の相手をしろーーっ!」
「不幸だーっ!!」
「で?いつまで追っかけ回してくるんだ~!?」
さすがの上条さんもこれ以上は辛いですよ?」
「じゃあ、さっさと止まりなさいよーっ!」
上条は熟練されたペースで美琴を振り切ろうと懸命に努力するが
美琴はそこらの不良とはワケが違う、一定の距離でピッタリ付いてくる。
上条はこの調子じゃ「振り切るのは厳しい」と判断し、路地に潜り込み右手を構え後ろに振り向く
「ストーーーップ!!!」
「えっ…?」
二人とも長時間一定の速度で走り続けてたので息が荒い
「これ以上はムダだと思うぜ…オマエは俺に追いつけない」
「アンタも私を振り切れなかったじゃない…」
「ああ、それは間違いねぇ…ただ俺にはこの右手がある」
「…っ!」
美琴にとって正体不明の右手は恐怖と脅威でしかないのだ
上条は半ばハッタリ、これで引いてくれればという気持ちでの発言だ
「(効いた…か?)」
「(手には電流を流して効かなかった…。だけどその本体…そう体に直接流せば…っ!)
じょ、上等よ。やってやろうじゃない…今度こそアンタを仕留める!」
「何度やってもムダだって言ってんだろうが…この右手が…っ!?」
美琴は素早く動き上条の懐に潜り込む、上条にとっては不意打ち中の不意打ち
いきなり潜り込まれたらさすがに防ぐと言う対応は出来ないが、一歩引いて「もっとこい!」と言わんばかりの対応を取った
「(今度こそ取った…!」
美琴は勝利を確信した「これならコイツも防げない」もう完全に射程圏内に上条を抑えた…これは紛れもない事実だったが…
上条は一か八かという気持ちで美琴を抱き寄せるように自分の胸の中に抑え込んだのだ、電流は…流れてこない。
もちろん右手で打ち消したわけでもない、上条が掴んでいるのは美琴の肩なのだから。
「…なっ!」
「(ふぅ…助かった…か)」
「(な、何よいきなり…)」
美琴は声に出せなかった、というより出なかったのである
かれこれこの体制が1分以上続いてるが両者は沈黙―――
上条が美琴の肩を持って体から引き離す
「続きは今度…だから今日のところは…なっ?」
「続き…?ア、アンタは何考えてんのよっ!!!」
「じゃ、そういうわけなので…失礼しますッ!!」
「ちょ、アンタ待ちなさいってば!!」
美琴は上条を姿が見えなくなるまで追いかけた―――見守るように
ソラも明るくなって来た頃美琴はようやく寮に到着した
「お帰りなさいませお姉様
寮監の目を誤魔化すのは大変なのですから、夜遊びは程々のして欲しいですのー」
「べ、別に遊んでた訳じゃないわよ…」
美琴は色んな意味で疲れ果てている
「登校時間まで寝かせてもらうわ
朝食はパスするからテキトーに理由言っといて」
「分かりました、では良い眠りを…」
美琴はベッドに倒れこむ
「アンニャロウ…いつか…かなら…ず」
「また“あの殿方”ですの?」
「夜通し追いかけっこするなんて非常識な行動をお姉様がとられるなんて…
お姉様ご自身は自覚されてないようですが、黒子にはその方との諍いを楽しんでおられるように見えますのよ」
「わたくしとしては少々嫌な予感がしますけど…まさかお姉様に限って…ねぇ」
美琴は夢の中でも上条当麻を追い掛け回す、まるで少しの時間でも長く一緒に居たいと言うように―――
―――完―――