とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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第3部 第02話 第一章(2)


9月1日 (火) 16時

私は現金輸送車のようなバンで自宅前で当麻を待つ。
時間にはルーズな・・いや不幸な美少女を感知するセンサー
でもありそうな当麻は幸い今日はトラブルを拾わず、時間
どおり到着する。

「お疲れ、時間どおりね」
「まあ、内申点には変えられないからな」
「ありがとう。じゃ・・出して」
バンは、あらかじめの予定地点へ進む。

「作戦は?」
「もう始まっているわよ」
「え?」
「作戦は、ドンパチだけじゃないのよ。
 資金源を断つとか、通信網を遮断するとか、それこそいろいろね」
「ふーん。で駒場本人は?」
「今アジトを出たこと。さすがに気がついたようね」

「駒場とはどんな奴なんだ?」
「資料に書いてあるとおりよ。スキルアウトの顔役で最近勢力を伸ばしている。」
「売春をしないとか、それなりにパブリックイメージにこだわりはあるんだな」
「義賊?別に社会奉仕活動なんてしてないわよ。相対的にややましなだけよ。」
「そうか・・。その辺は美琴にはわかりずらいかもな」
「え?」
「無能力者のひがみとかさ・・いやだからヤツらを肯定はしないけど、俺も
 システムスキャン上は無能力者だから」

「私は駒場の気持ちまではよくわからない。正直。だけど犯罪を犯した事実と、犯罪を
 部下に命じて犯し、なおかつ銃器で武装し、多くの学生に暴行や脅迫を繰り返した
 事実は消えはしない。それにまじめに法律を守っている無能力者のほうが普通よ」

「美琴のそうゆう、まっすぐなとこ嫌いじゃないよ」
「皮肉?でもありがとう。さあそろそろ本人まで200mよ、車から降りましょう」

正直、いくら武装しても反射、電磁バリアや未現物質を持たない、
アスリート並みに鍛えただけのスキルアウトなら殺すだけなら簡単だ。

アンダーラインで位置情報は把握しているので、強力な毒素の
入った毒針を保有する、自分自身を転移できるテレポータを
差し向ければいいだけの話。

睡眠時にアジトを急襲し、毒針を脳へ挿入すればおしまい。

だが、「法律」の枠内で、治安機関の権限でやれることは限られる。
原則、ゴム弾なり殺傷を目的としない、最小限の武装で、逮捕状の
執行を行うだけだ。

なので、どうしてもやることが回りくどくなる。

それに元々、風紀委員はアンチスキルの補助にすぎない。あくまでも
能力者の自警団のようなものにすぎない。わたしが法律上身分が
「学生」なのでアンチスキルと同等の権限の組織犯罪対策
特別部というグレーな組織の長に収まり、学外で犯罪捜査ができる
だけだが、権限は相当限定的であることに変わりない。

その限られた権限で、暗部のような殺人が免責されない中で、やれることは
本来限りがある
が、そんなものはどうでもなるでしょ。と思っている。

当麻が、そもそも論に気がついたらしく、私へ話かけてくる。
「美琴なら、場所さえわかっていれば、睡眠薬でも駒場の胃袋へ転移させれば
 いいだけじゃない?」
「ええ・・、だけど今はあまりテレポートができることは知られたくないわ」
「どうして?」
「切り札は最後まで取っておきたいからね、それにレベル6になったことが
 ばれるじゃない、アレイスターと当麻と一方通行以外
には知られたくないのよ。」

「縛りか?」
「まあ化け物がこの世で暮らすには、それなりに縛りがいるんでしょうね。」
私は、少し自嘲を顔色に浮かべる。

「化け物ね・・まあみかけは、とびきりの美少女なのにな」
彼は、当麻だけは私を化け物扱いしない。彼のやさしさに私はこれまで

そしてこれからも救われていくのだろう。
「ある意味得しているわよ。この顔のおかげでね」
「で、どうする?」
「まあいろいろ事前工作をしていたからね。そろそろ取り巻きを無力化したころかな」

「無力化?」
「駒場の部下を寝返りさせたのよ、メールと司法取引でね」
「え、それは?」
「戦いはドンパチだけじゃないのよ。私が得意なのは情報戦よ。それに・・」
「それに?」
「治安機関は、案外窮屈なのよ。簡単に殺すことはできないわ、あくまで
 法律の枠内だけ。」

「美琴・・、」
「ええ・・でも暗部みたいにホイホイ殺すよりはよっぽどましだと思うわ」
「まあ確かに・・。で成果は?」
「終わったようね。あと残り9人、じゃそろそろ行きましょう。」
私と当麻の目のまえに、少々古ぼけた、ほぼ廃墟のような老朽化したビルが聳え立つ。

「ここに幹部9人で立ってこもっているみたいね」
「でどうする」
「まあ説得しましょう。」

私は携帯を取り出し、駒場を選択する。
「もしもし、駒場さん昨晩は眠れましたか?」
「緊急地震速報の誤報に、間違いダイレクト広告メールの発信音、とどのつまりが
 アンチスキルへの出頭命令、面白いいたずらだな」
「喜んでもらえてなによりです。で・・出頭してくれませんか?いまなら痛い目に
 合わなくて済みますよ」
「その声は・・アンチスキルじゃないな?」
「ええ・・あなたの大嫌いな能力者です。一応風紀委員です。」

私達の目のまえに身長2mはありそうな巨漢が現れる。
「駒場利徳さんですね」
「ああ・?み・・御坂美琴?」
駒場は、その場で見てはいけないものを発見し、ギョとする。
「ええ、風紀委員の御坂美琴です。あなたを強盗、殺人教唆、詐欺の疑いで
 逮捕致します。」
私は、逮捕状を提示する。

駒場を除く、スキルアウトが騒ぎはじめる。
(オイ・・あの学園都市広報誌の表紙によく出る御坂美琴か?なんでこんな場所に・・)
(確か・・1位様じゃないか?学園都市の)
「常盤台のお嬢様がこんな場所へわざわざ何用ですか」

「学園都市上層部よりあなたの排除命令が出ています。抵抗する場合には
殺しても構わないといわれていますが、裁判を受けてください。
抵抗しなければ命だけは保証します」

駒場は、しばらく無言のまま、私の顔をにらむ。
「ハア・・傲慢なお嬢様だな・・痛い目にあってもらうか」

ヒグマのような大男が突如突進を始める。ただの鍛えただけのスキルアウトだが、発条
包帯を使用し、明晰な頭脳で数々の能力者を手玉にとった男。
「だけど・・しょせんはレベル4程度の肉体強化系かしら・・」
大男は、足元の鉄板を磁力で固定され、発条包帯がブチ切れ、まるで壊れかけの
機械が破壊される轟音が発生する。
駒場はもんどりうち、さらに超高圧電流で意識を飛ばされる。

があ・・がっしゃ・・

「動かないで。もしこれ以上1mmでも動くなら、致死量の
電流で死んでもらいますよ」
駒場は完全に意識を飛ばされ、何も答えない。
「まあ30分は寝てるでしょうね。最低でも」
「美琴どうする?」
「ちょっとまって。」
私は、最後の切り札を隠し持つ浜面に、残酷な事実を伝える。
「キャパシティダウンは破壊しました。残念ながらね」
轟音が響きわたる。スキルアウトの最後の、心のよりどころは
あっけなく消滅する。
「え?・・アア・・ア だめか」

「それにもともと私には無力ですよ。キャパシティダウンは」
浜面他7名のスキルアウトは駒場が完膚なきまでに粉砕されうなだれるだけだ。

「浜面さんアンチスキル本部へ出頭してください。」
浜面以下7名は、呆然として廃ビルから退出する。

元々、駒場のカリスマでなんとか維持した組織、それに預金を封鎖され、現金を
結標に焼かれ
アジトを私の配電盤の遠隔操作による火災で失い、夜中からの
執拗な迷惑メールで疲労こんぱいなんだろう。生気がない。

「私は、はずすから当麻、駒場のケアをお願いね。」
「相性か?」
「適性とも言うわね。適材適所よ」
「闇に落ちた人間を殺すのは簡単か・・、」
「私は甘ちゃんかもね。この場合効率性からすれば殺すほうが楽でしょう
 でも生かす方が難しいから取り組む価値があると思うわ。」
「わかった」
「後、駒場の件でこれは伝えて、彼の魂の救済に必要なものよ」
私は駒場の抱える大切なものを当麻へ伝える。
さらに美琴はメールを確認し、俺に告げる。
「一方通行から連絡があった、処分が終わったと」

駒場の守りたかったもの、駒場がすべてを差し出し、スキルアウトを組織し学園都市
へ反逆した理由を

駒場気絶約1時間後

「起きたか、駒場」
「上条だったか。御坂美琴は?」
「本部で事後処理中だよ」
「そうか、で結局浜面も拘束されたか・・・」
「いや・・自発的に出頭した。爆弾も、キャパシティダウンも、全部美琴に破壊されてな」

「けえ 忌々しい、化け物だな、御坂美琴は・・。」
「まあ・・一見するとそう見えるだろうな。態度は尊大だし、だけど」
「だけど・・?」
「無能力者狩りをする組織があるそうだな」
「はあ?上条、いや御坂美琴はそれも知っているのか?」
「今回の作戦は、同時並行でそれも行っているんだよ。無能力者狩りをする不良
 能力者の処分もな・・」

「見させてもらった。お前が大事にしているものを」
「そうか・・御坂美琴は変わっているんだな」
「俺から見れば、夢見がちな、とても優しいそれだけの可愛い美少女だよ、超能力以外は
 普通のな」
「それが変わっているんだよ。殺すほうが楽だろう。あれだけの力だ、その気になれば
 全員殺すなんて楽だろう」
「は・・まあそうだろうな。アイツは、いつも言っているよ。「時々この街ごと全部消したくなる。」
 だけど・・そんな事はアイツは絶対しない。」

俺は、駒場の表情が穏やかになったのを確認し、さらに話を続ける。

「お前の悔しさも、憤りもわかる」
「スキルアウトをごみ扱いし、底辺に閉じ込める学園都市の政、無能力者の俺
 にはよくわかる。それを当然のようにしたり顔で無能力者をいじめる高位
 能力者にもむかつく時もある」

「だけど、だから言ってレイプや、強盗は正当化できない。」
「正直、無能力者にとって、テメエらのようなスキルアウトと一緒にされるのは
 迷惑な話だ。無能力者だから、レイプをしても、強盗しても許される道理なんて
 あるわけないだろう。普通の無能力者は、少ない奨学金でも文句も言わず黙って
 生きている。」

「テメエラの自分勝手な行動で、結局無能力者はさらに高位能力者や、当局から
 ごみ扱いされる。今回の騒動だって結局、テメエらがタネを蒔いた。」
駒場のそのリスクを感知していたのだろうか、黙って聞いている。

「美琴はずいぶん手を回したんだぞ、寛大な処分と不良高位能力者への厳正な処分に
 ついて学園都市上層部へねじ込んだんだ。そのせいで今もぼうだいなペーパワーク
 に追われている。」
駒場は達観したようにぼそぼそ喋り始める。憑き物がとれたように、巨体には
似合わぬ、柔和な表情で、だが学園都市に捻じ曲げられるまではそれが彼の
本性だったかもしれない。

「で、フレメアはどうなる?」

「一方通行が保護することになる。美琴は多忙だからな。」

「いい夫婦だな。お互いを信頼し、足らざるを補って。御坂さんを大事にしろよ。」
「ああ、言われるまでもない。もっとも美琴のほうが俺にべたぼれだけどな」
「自慢か?だけど奥さんにいえるか?それ。」
「本人の前では言えねえな・・でも美琴は俺にべたぼれなのは事実だぞ」
駒場は、笑い始める。そして以外な事を語り始める。

「な・・上条、出頭する前に1回、拳て語り合わないか?」
「テメエらしいな。だけど俺はただの無能力者、勝ったところで自慢にはならねえぞ」
「何たいした話じゃねえよ。学園都市1位様を骨抜きにした無能力者て奴が、
 えらそうに俺に 説教したヤツの拳てやつをさ・・知りたいだけよ」

「やっぱり最後は拳で語り合うしかねえか」
「無能力者らしくな。そうそう、俺の武器の発条包帯と演算銃器は御坂美琴に破壊さ
 れたから、お互いありのままの拳だけでな。対等にな」

駒場は、発条包帯と足の鉄板を壊され、激痛が走るのだろうか。
よろよろ立ち上がる。パンチングフォームを無理に維持するが、傍目にも立つの
がやっと。体験したこともない超高圧電流と発条包帯への磁力による過負荷による
断裂破壊は、本人へ想像以上のダメージを与えたのだろう。

それでも、スキルアウトのドンの誇りが、徒手徒拳でレベル5という名の化け物に
立ち向かうとした気概が彼をたたせる。

「じゃはじめるか」
「オオ」

(一発で沈める)
俺は、拳に全力をこめ、腹から渾身の声を叫ぶ
「食いしばれ、最弱、俺の最弱は・・」
俺は最後までその一言をいえなかった。

どか・・

まるで猟銃で心臓を貫かれたヒグマのように駒場の巨体が崩れ落ちる。

発条包帯による過去の足の酷使と、美琴の超高圧の電撃はかろうじて均衡を保っていた
駒場の足に回復不能なダメージを与え、限界を迎えた駒場は脆くも倒れる。
「オイ、駒場・・大丈夫か?」
「電撃は痛いもんだな」
「ふ・・アイツの電撃は精密だからな、死なせず、極限まで痛みつける、芸術品よ」
「恐ろしい妻だな」
「俺にはしないけどな。歩けるか?」
「難しいな」
「ちょっと電話するわ・・、美琴、駒場容疑者が負傷であるけない。うん 
 わかった。あの病院でいいんだな。え?連絡済み、さすがに用意がいいな。
 うん後5分で救急搬送ね。わかった」

「上条、ありがとな。それと御坂さんへよろしく」
「え?」
「フレメアの件な」
「ああ、わかった」
駒場の巨体はかけつけた消防署の退院に運ばれ退出する。
入れ替わりに美琴が、姿を現す。

「美琴ずっと見ていたんだろう」
「バレた?気配は隠したつもりだったんだけど」
「光学迷彩で隠したつもりだろう、だけど美琴がそばにいればなぜか気がつくんだよ」
「私もまだまだね。それとも・・」
「愛の力なんて、俺に言わせるつもりか・・」
「馬鹿・・こういう時にはそうゆうもんなのよ。まあいいわ。じゃ予定時間を10分超過したけ
 ど帰りましょう。」
「ああ」

「当麻・・今日は、イタリアンでピザでも食べない?」
「ああいいぞ、でも・・」
「安いわよ。心配しなくてもいいわ。1枚6000円くらいだし」
「安いね・・ふつう3000円くらいだぞ相場は」
「いいじゃないの。場所代よ、景色きれいなのよ。せっかく最初の
 一緒の仕事なんだから」
「ねえ、いいでしょ」

「美琴、本当はつらいんだろう」
美琴は少し目に涙を浮かべている。
「ええ、駒場なりの正義て奴がね。それを私は力で結局ぶちのめした。
 私の正義を語る資格なんかあるのか、疑問になってね。
 でも当麻と一緒ならなんとかなりそうな気がする。」
「ああ、そうだな。何が起ころうが、俺は美琴の味方だ。」
「じゃ・・行こうか」
俺は美琴の手をとり、配車サービスで美琴が手配したタクシーへ駆け足で
向かう。 

吹っ切れたのだろうか、美琴は表情を変え、溢れんばかりの笑顔を魅せる。
数多くの崇拝者やファンを魅了する、誰を心酔させる、その笑顔の裏の涙は
俺しか知らない。だけど、やっぱり美琴は笑顔がいい。

底抜けに明るく、見る者に元気と勇気と希望を与える、その笑顔を俺は今日も
守る続ける。

続く











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