第3部 第04話 第一章(4)
9月4日 (金) 午前5時
さすがに9月になると5時ちょうどはまだ暗い。
今日は曇っているせいもあるのだろう。ただ気温だけは
台風が近づいているせいで蒸し暑い。
今日は曇っているせいもあるのだろう。ただ気温だけは
台風が近づいているせいで蒸し暑い。
まだ秋は遠いな。私はそう思う。
当麻は、約束どおり4時45分に起きて、私との散歩を再開している。
「当麻、散歩に付き合ってくれてありがとう。」
私は当麻の右手をにぎり、腕を絡ませ散歩を楽しむ。
「俺も美琴と歩けてうれしいよ」
「うれしいわね。でも今度こそ続けようね」
「ああ・・」
私は、当麻の顔を見ながら少し残念そうな声で言う。
「ところで、悪いんだけどさ今日は下校デートはできないから」
「ええ?」
「研究所の会議でさ。午後3時からね。今日は風紀委員特別部は
開店休業状態よ」
「それは残念だな」
「あれ・・?当麻も結構正義の味方なんて好きだったんだ」
当麻は少し、いたずらぽい感じで言う。
「美琴ほどじゃないけどな」
「ふふ・・でも当麻と風紀委員一緒にできてうれしいわ」
「で・・でもね。今日はその代わり、新システムの稼働を開始
するつもり」
「当麻、散歩に付き合ってくれてありがとう。」
私は当麻の右手をにぎり、腕を絡ませ散歩を楽しむ。
「俺も美琴と歩けてうれしいよ」
「うれしいわね。でも今度こそ続けようね」
「ああ・・」
私は、当麻の顔を見ながら少し残念そうな声で言う。
「ところで、悪いんだけどさ今日は下校デートはできないから」
「ええ?」
「研究所の会議でさ。午後3時からね。今日は風紀委員特別部は
開店休業状態よ」
「それは残念だな」
「あれ・・?当麻も結構正義の味方なんて好きだったんだ」
当麻は少し、いたずらぽい感じで言う。
「美琴ほどじゃないけどな」
「ふふ・・でも当麻と風紀委員一緒にできてうれしいわ」
「で・・でもね。今日はその代わり、新システムの稼働を開始
するつもり」
「新システム?」
私は当麻が食いついてきたのを確認し、語気を強める。
私がここ2年進めてきた
構想の第一歩を当麻にさわりだけ説明する。
私は当麻が食いついてきたのを確認し、語気を強める。
私がここ2年進めてきた
構想の第一歩を当麻にさわりだけ説明する。
「AI 捜査支援システム コナン君よ」
当麻がにやにや笑い始めているのを私は見逃さない。
どうせ言いたいことはわかっている。
当麻は私のネーミングセンスを笑っているのだろう。
「美琴・・そのネーミングセンスはないぞ?」
私は、その手を強く握る。当麻の顔がこわばるのを見て
私は少々皮肉をこめて話をする。
当麻がにやにや笑い始めているのを私は見逃さない。
どうせ言いたいことはわかっている。
当麻は私のネーミングセンスを笑っているのだろう。
「美琴・・そのネーミングセンスはないぞ?」
私は、その手を強く握る。当麻の顔がこわばるのを見て
私は少々皮肉をこめて話をする。
「ふ・・当麻・・アニメは日本が世界に誇る文化よ。」
「悪い・・美琴のやっていることを馬鹿にするつもりはなかったんだ」
「いいのよわかれば」
「でもさ・・」
付き合いは長くはないが、当麻という脚本家が紡ぐ言葉について
大概は予測がつく。
どうせ、学園都市を監視できるアンダーラインと人工衛星と
書庫を統合させた
監視ソフトを構築してその結果を小出ししている、だけだろうと?
私はその解答を読み先手を打つ。
「アンダーラインを解析した結果をしたり顔でAIという箱で
もっともらしく言う
安いシステムではないわよ。これは。
ツリーダイアグラムの人間行動予測版なの
よ。どちらかといえば」
「へ?」
「まあ、そのうちわかるわよ。」
「ふーん」
私は、絡ませた腕に力を籠め、体を密着させ、耳元でつぶやく。
「昔は、軍師とか占い師という特殊な人種しかできないことを
ビッグデータの解析でできるのよ」
私は、当麻に予言めいた事を告げ、話を切り上げる。
「さあ、朝食つくりましょう」
「悪い・・美琴のやっていることを馬鹿にするつもりはなかったんだ」
「いいのよわかれば」
「でもさ・・」
付き合いは長くはないが、当麻という脚本家が紡ぐ言葉について
大概は予測がつく。
どうせ、学園都市を監視できるアンダーラインと人工衛星と
書庫を統合させた
監視ソフトを構築してその結果を小出ししている、だけだろうと?
私はその解答を読み先手を打つ。
「アンダーラインを解析した結果をしたり顔でAIという箱で
もっともらしく言う
安いシステムではないわよ。これは。
ツリーダイアグラムの人間行動予測版なの
よ。どちらかといえば」
「へ?」
「まあ、そのうちわかるわよ。」
「ふーん」
私は、絡ませた腕に力を籠め、体を密着させ、耳元でつぶやく。
「昔は、軍師とか占い師という特殊な人種しかできないことを
ビッグデータの解析でできるのよ」
私は、当麻に予言めいた事を告げ、話を切り上げる。
「さあ、朝食つくりましょう」
・・・・・・・・・・・
私は、基本朝食はパンとスープ派なので、私が朝食を作るとき
には、必然的に
かりかり焼いたフランスパンとオニオンスープかコーンスープ
それとゆで卵とトマトときゅうりとレタスのカットサラダになる。
あとは、気分でベーコンか生ハムを添える。
には、必然的に
かりかり焼いたフランスパンとオニオンスープかコーンスープ
それとゆで卵とトマトときゅうりとレタスのカットサラダになる。
あとは、気分でベーコンか生ハムを添える。
それをオリーブオイルで味付けるとうまいんだな、これが。
時間のない朝にぴったりのメニューだと自分は思っている。
「さあ、当麻食べましょう」
「うまそうだな。でもさ確か・・料理は下手とか言ってなかったか?」
「こんなのは料理じゃないでしょ。ただ焼いて切っただけよ」
時間のない朝にぴったりのメニューだと自分は思っている。
「さあ、当麻食べましょう」
「うまそうだな。でもさ確か・・料理は下手とか言ってなかったか?」
「こんなのは料理じゃないでしょ。ただ焼いて切っただけよ」
「ほめてくれるのはうれしいけど、私なんてまだまだよ」
欠食児童のように、硬いフランスパンを、食パンのようにがつがつ
急いで食べる。その当麻の食欲に私は圧倒される。
だけど喜んで食べてもらえるのは
「妻」として素直にうれしい。
欠食児童のように、硬いフランスパンを、食パンのようにがつがつ
急いで食べる。その当麻の食欲に私は圧倒される。
だけど喜んで食べてもらえるのは
「妻」として素直にうれしい。
「いやいや多忙な美琴にこんな事させて正直申し訳ないんだ」
当麻が本当に申し訳なさそうにしゃべる。
当麻が本当に私を思ってくれるのが
当麻が本当に申し訳なさそうにしゃべる。
当麻が本当に私を思ってくれるのが
うれしい。多忙な私を気遣いいつもいたわってくれる。
だけど・・そのために当麻が自分を卑下することがあってはならないと
私は思っている。
だけど・・そのために当麻が自分を卑下することがあってはならないと
私は思っている。
「忙しいのはお互いさまでしょ。だから私にも家事させて ね。」
「そうだったな。」
「ね?当麻、土曜日は久しぶりに遊ばない?」
「急にどうした?」
「いやママが急に学園都市に来ることになったのよ」
「美鈴さん?」
「ええ。ママが外の大学の博士課程在学中だけど、博士論文にどうしても
学園都市のデータがいるから、来るんだって・・でついでに新居を見たいそうよ。ついでにママを
連れていろいろ行く予定よ」
普通、嫁の母親というのは、煙たい存在のはずだか当麻は
そうゆうそぶりを見せない。
最初からまるで自分の親のように受け入れてくれた。
相性なのだろうか?
「そうだったな。」
「ね?当麻、土曜日は久しぶりに遊ばない?」
「急にどうした?」
「いやママが急に学園都市に来ることになったのよ」
「美鈴さん?」
「ええ。ママが外の大学の博士課程在学中だけど、博士論文にどうしても
学園都市のデータがいるから、来るんだって・・でついでに新居を見たいそうよ。ついでにママを
連れていろいろ行く予定よ」
普通、嫁の母親というのは、煙たい存在のはずだか当麻は
そうゆうそぶりを見せない。
最初からまるで自分の親のように受け入れてくれた。
相性なのだろうか?
「そうか・・でいつ来るんだ?」
「大学には、今日行く予定よ。で明日1日付き合ってほしいてさ
ママは」
「わかった。お義母さんを接待すればいいんだな」
私は、脚本家の予想外のセリフの選択に嬉しさを隠し切れない。
「大学には、今日行く予定よ。で明日1日付き合ってほしいてさ
ママは」
「わかった。お義母さんを接待すればいいんだな」
私は、脚本家の予想外のセリフの選択に嬉しさを隠し切れない。
「お?お義母さん?」
「ああ・・婚約者だろう。だったらもう「美鈴さん」じゃ他人行儀だ。
お義母さんと呼ばしてもらう」
「当麻・・ありがとう。」
「ああ・・婚約者だろう。だったらもう「美鈴さん」じゃ他人行儀だ。
お義母さんと呼ばしてもらう」
「当麻・・ありがとう。」
私は、食器を洗浄機にいれながら、本当に当麻とひとつになる
実感に女としての幸せをかみしめる。ふふ・・今日はいい1日になりそうだ。
そんな気がした。
実感に女としての幸せをかみしめる。ふふ・・今日はいい1日になりそうだ。
そんな気がした。
・・・・・・・・・・
9月4日 (金)16時30分
学園都市第7学区、とある路地裏
学園都市第7学区、とある路地裏
俺は、今日から稼働開始したAI捜査支援システム「コナン君」の指示により
この場所で待機している。
今朝美琴からもらった「コナン君」の演算結果だと、殺人が発生する現場である。
しかしま「コナン君」ね。
この場所で待機している。
今朝美琴からもらった「コナン君」の演算結果だと、殺人が発生する現場である。
しかしま「コナン君」ね。
まさに予言者じゃないか?
美琴から「コナン君」のスペックを聞いたときその途轍もなさに耳を疑った。
美琴から「コナン君」のスペックを聞いたときその途轍もなさに耳を疑った。
学園都市230万人の、性格、能力、人間関係、財産、地位・・あらゆる情報を組み込み
1週間先までの行動を予測する。毎日、人工衛星・アンダーライン・書庫のデータを
ダウンロードし、適宜UPDATEする。
サンプル調査では、十分信用にたる成果を上げているとは言っていた。
だけど・・AIで人間の行動なんて全部予想できるのか?
俺にはどうも納得できない。人間の脳は、心は小宇宙にも匹敵する複雑さだと
言う。そんな複雑な人間がたかがAIで予測できるのか?
1週間先までの行動を予測する。毎日、人工衛星・アンダーライン・書庫のデータを
ダウンロードし、適宜UPDATEする。
サンプル調査では、十分信用にたる成果を上げているとは言っていた。
だけど・・AIで人間の行動なんて全部予想できるのか?
俺にはどうも納得できない。人間の脳は、心は小宇宙にも匹敵する複雑さだと
言う。そんな複雑な人間がたかがAIで予測できるのか?
まあ・・お手並み拝見だな。美琴もまだ試作品レベルだと言っていたし。
さて・・そろそろ応援が来る頃だ。
そこへ、ツインテールの常盤台中学の制服に身を包んだ小柄の少女が現れる。
「上条さんですか?」
「白井黒子さん?」
「白井と呼んでくださいまし。お姉さまの婚約者の上条さん」
「そうか白井は、婚約式に来たんだな?」
「ええ、・・まあ積もる話はやまほどありますが、今日はお姉さまの頼みですから
付き合わせていただきますわ」
「そうか・・」
俺と白井は犯行予定場所のビルの真下のコンビニで待機する。
犯行予定現場は直上12階のビル屋上。ここから40m真上。
そこへ、ツインテールの常盤台中学の制服に身を包んだ小柄の少女が現れる。
「上条さんですか?」
「白井黒子さん?」
「白井と呼んでくださいまし。お姉さまの婚約者の上条さん」
「そうか白井は、婚約式に来たんだな?」
「ええ、・・まあ積もる話はやまほどありますが、今日はお姉さまの頼みですから
付き合わせていただきますわ」
「そうか・・」
俺と白井は犯行予定場所のビルの真下のコンビニで待機する。
犯行予定現場は直上12階のビル屋上。ここから40m真上。
「後5分だな。」
「ええ、ではこの場所で、待機しましょう。」
コナン君の予測では16時40分にこのマンションの屋上で、男女が愛情のもつれで
女が男を殺すことになっている。
それを女が150万Vのスタンガンを取り出す16時40分7秒に白井が白井本人
をテレポートさせ
白井がスタンガンを飛ばし、エレベータで同時に駆け上がった俺が女を取り押さ
える予定になっている。女も男も特筆すべき能力はなくそういう意味の心配はない。
「ええ、ではこの場所で、待機しましょう。」
コナン君の予測では16時40分にこのマンションの屋上で、男女が愛情のもつれで
女が男を殺すことになっている。
それを女が150万Vのスタンガンを取り出す16時40分7秒に白井が白井本人
をテレポートさせ
白井がスタンガンを飛ばし、エレベータで同時に駆け上がった俺が女を取り押さ
える予定になっている。女も男も特筆すべき能力はなくそういう意味の心配はない。
「まあ空振りでも美琴が俺と白井という縁者に謝れば済むだけだしな」
「でも・・あのお姉様の開発したソフトですから間違いなんてないでしょ」
「白井は美琴をものすごく信頼しているんだな」
「あら上条さんはどうです?」
「いや・・俺は美琴のすべてを溺愛しているよ」
「負けませんわよ。上条さん」
「そうか・・でも美琴はいろんな奴に尊敬されているんだな。」
「ええ、常盤台は御坂ロスで新学期以来大変なことになってますわ」
俺は、御坂美琴という看板を失った常盤台での衝撃の大きさを改めて実感する。
「ですが、いつまでもお姉様がいなくなったことを悔やんでも仕方ありません」
「ですから、私も頑張らなくてはなりません」
「そうか・・」
「ええ・そろそろ時間ですわね」
白井が電波時計で時間を確認する。
「では行きますわよ上条さん」
「おお」
「でも・・あのお姉様の開発したソフトですから間違いなんてないでしょ」
「白井は美琴をものすごく信頼しているんだな」
「あら上条さんはどうです?」
「いや・・俺は美琴のすべてを溺愛しているよ」
「負けませんわよ。上条さん」
「そうか・・でも美琴はいろんな奴に尊敬されているんだな。」
「ええ、常盤台は御坂ロスで新学期以来大変なことになってますわ」
俺は、御坂美琴という看板を失った常盤台での衝撃の大きさを改めて実感する。
「ですが、いつまでもお姉様がいなくなったことを悔やんでも仕方ありません」
「ですから、私も頑張らなくてはなりません」
「そうか・・」
「ええ・そろそろ時間ですわね」
白井が電波時計で時間を確認する。
「では行きますわよ上条さん」
「おお」
・・しゅん・・・白井は約40Mの空間を瞬間移動する。
俺はその10秒前にエレベータで屋上へ向かう。
俺はその10秒前にエレベータで屋上へ向かう。
俺が屋上へ着いた頃、白井は10mほどスタンガンと隠し持っていたナイフを飛ばし、
怒り狂った女と、慌てふためいた殺されかけた男が立ちすくんでいる。
怒り狂った女と、慌てふためいた殺されかけた男が立ちすくんでいる。
白井が鉄矢を女に飛ばしているはずだが、怒りのせいだろうか?
女は激痛をものともせず、立っている。
(これは・・少々のことでは倒れねえな)
女は激痛をものともせず、立っている。
(これは・・少々のことでは倒れねえな)
俺は、白井に目で合図し、男を安全な場所へテレポートさせる。
女が怒り狂った原因を反芻し、説得を試みる。
「せっかく美人が殺人なんて、どんな事情があろうが許されねえ」
「だけどあんたは幸運だ。俺たちがとめることができた。今だったらアンチスキルの説教
だけで済む」
「だから手をあげてくれねえか?まだ間に合うんだから。」
女が怒り狂った原因を反芻し、説得を試みる。
「せっかく美人が殺人なんて、どんな事情があろうが許されねえ」
「だけどあんたは幸運だ。俺たちがとめることができた。今だったらアンチスキルの説教
だけで済む」
「だから手をあげてくれねえか?まだ間に合うんだから。」
少し冷静になったのだろうか、女はうなだれ嗚咽し始める。そして今頃痛み始めたの
だろうか?鉄矢の激痛に顔をしかめ膝を屈する。そのすきを逃さず白井は、女の両手
を拘束する。
ほどなく、エレベータからアンチスキルが現れ女を連行する。
美琴の根回しにより非常にスムーズに事が運ぶ。まるで御坂美琴監督のサスペンス
劇場のようなまるで脚本があるかの展開・・これが「コナン君」の実力なのか?
だろうか?鉄矢の激痛に顔をしかめ膝を屈する。そのすきを逃さず白井は、女の両手
を拘束する。
ほどなく、エレベータからアンチスキルが現れ女を連行する。
美琴の根回しにより非常にスムーズに事が運ぶ。まるで御坂美琴監督のサスペンス
劇場のようなまるで脚本があるかの展開・・これが「コナン君」の実力なのか?
「白井・・あっけねえな」
「ええ、ですがあのソフトがなければあの女は男をスタンガンで気絶させ確実に拳銃で
殺していたでしょう。殺人を未然に防いだのは事実ですわ」
「まるで・・神様みたいなソフトだな」
俺はこのソフトがどれだけ世の中を変えるか空恐ろしくなり白井との会話を続ける。
「ええ、ですがあのソフトがなければあの女は男をスタンガンで気絶させ確実に拳銃で
殺していたでしょう。殺人を未然に防いだのは事実ですわ」
「まるで・・神様みたいなソフトだな」
俺はこのソフトがどれだけ世の中を変えるか空恐ろしくなり白井との会話を続ける。
「そう遠くないうちに治安機関は抜本的に変わるでしょう。何が起こるか事前にすべてわかるわけですから」
「ただ美琴は殺人事件の阻止以外には当面使うつもりはないみたいだな。」
「お姉様は、既存の治安機関の反発を考慮し、学園都市上層部との根回しに時間をかけるつもりでしょうね。お姉さまは猪突猛進に見えて、意外に慎重派ですから。」
「慎重派?」
「お姉様は外見や言動と、実際の行動は違いますわよ。一見がさつなように見えて、常識や法令、慣行はわきまえて行動されています。」
「ああそうだな。しかも優しいんだろう?」
「あんまりにも優しすぎて。あれだけの力があるのに明確な敵でさえ怪我ひとつ
させるのもいやがるのですから」
俺は美琴の今までの戦いぶりを思い出す。攻撃はさけ、原則は威嚇にとどめていた。
優しすぎるというならその通りだろう。
学園都市1位には見えない、優しすぎる御坂美琴。だけど・・
その潔癖な姿勢が多くのファンを生み出していることも事実なのだから。
「ただ美琴は殺人事件の阻止以外には当面使うつもりはないみたいだな。」
「お姉様は、既存の治安機関の反発を考慮し、学園都市上層部との根回しに時間をかけるつもりでしょうね。お姉さまは猪突猛進に見えて、意外に慎重派ですから。」
「慎重派?」
「お姉様は外見や言動と、実際の行動は違いますわよ。一見がさつなように見えて、常識や法令、慣行はわきまえて行動されています。」
「ああそうだな。しかも優しいんだろう?」
「あんまりにも優しすぎて。あれだけの力があるのに明確な敵でさえ怪我ひとつ
させるのもいやがるのですから」
俺は美琴の今までの戦いぶりを思い出す。攻撃はさけ、原則は威嚇にとどめていた。
優しすぎるというならその通りだろう。
学園都市1位には見えない、優しすぎる御坂美琴。だけど・・
その潔癖な姿勢が多くのファンを生み出していることも事実なのだから。
「まあそうだな。だから俺も白井も魅了されたんだろう?」
「ええ」
「なあ白井、立場は違うが最後まで一緒に美琴のために行動しような」
「ええ、それは私のセリフでもあります。上条さん、お姉さまを守ってくださいまし」
「ええ」
「なあ白井、立場は違うが最後まで一緒に美琴のために行動しような」
「ええ、それは私のセリフでもあります。上条さん、お姉さまを守ってくださいまし」
「なあ白井、今日は予定あるか?今日は美琴が遅いから一緒に話さないか?」
「お姉様のおっしゃるとおり女性にはお優しいのですね、上条さん。でも・・お姉様に
悪いので丁重にお断りしますわ」
「お姉様のおっしゃるとおり女性にはお優しいのですね、上条さん。でも・・お姉様に
悪いので丁重にお断りしますわ」
「そうか」
俺は、白井の美琴への義理立てを尊重し、別れること選択する。
「じゃ・・な 白井」
「ええ、またお会いしましょう。上条さん」
「じゃ・・な 白井」
「ええ、またお会いしましょう。上条さん」
・・・・・・・・・・
午後7時 断崖大学データセンター
「はあ終わった。疲れた・・」
御坂美琴の母美鈴は、背を伸ばす。博士論文を書くため、訪問した
断崖大学。作業を終え、USBへのデータダウンロード作業を終え撤収作業を
始める。美鈴が、一人娘を学園都市へ送り出し、修士に学士入学し、
学生生活を再開して5年.成果は実り、博士論文の提出直前までこぎつけた。
御坂美琴の母美鈴は、背を伸ばす。博士論文を書くため、訪問した
断崖大学。作業を終え、USBへのデータダウンロード作業を終え撤収作業を
始める。美鈴が、一人娘を学園都市へ送り出し、修士に学士入学し、
学生生活を再開して5年.成果は実り、博士論文の提出直前までこぎつけた。
「さあそろそろ美琴ちゃんの新婚生活でも邪魔しにいくか・・」
美鈴は娘が今やっているような研究者を本当は志望していた。
だけど、大学で会った旦那に心を奪われ即結婚した。
そしてすぐに子を身ごもり、研究者は断念し家庭に入った。
愛する夫とのその愛の成果の娘を生んだことに後悔はない。
美鈴は娘が今やっているような研究者を本当は志望していた。
だけど、大学で会った旦那に心を奪われ即結婚した。
そしてすぐに子を身ごもり、研究者は断念し家庭に入った。
愛する夫とのその愛の成果の娘を生んだことに後悔はない。
だけど、好きだった研究を子育てをしながらでも継続する
べきだったのではないか?
という後悔もある。
(そう。だから今日まで博士論文頑張ってきたんだから)
べきだったのではないか?
という後悔もある。
(そう。だから今日まで博士論文頑張ってきたんだから)
なんでも自分の思い通りに進める娘に対して羨望があるのも事実。
だけど・・やっぱり美琴は、娘はいとおしい。
(矛盾よね。だけど美琴ちゃんがいるから頑張れたんだわきっと)
だから今は娘と会話したい。腹を割って馬鹿話をしたい。
だが・・その思考は、突然現れた予想外の人物にさえぎられた。
だけど・・やっぱり美琴は、娘はいとおしい。
(矛盾よね。だけど美琴ちゃんがいるから頑張れたんだわきっと)
だから今は娘と会話したい。腹を割って馬鹿話をしたい。
だが・・その思考は、突然現れた予想外の人物にさえぎられた。
「美琴ちゃん?」
「ママ 説明は後。目をつぶって」
「へ?」
美鈴が、問いかけたその瞬間だった、爆発による
莫大な閃光があたり
を包み少し遅れて巨大な爆音がとどろく。
・・だが・・届くはずの爆風は、届くことはなかった。
美琴が保護膜で爆風を防いだのだから。
「ママ 説明は後。目をつぶって」
「へ?」
美鈴が、問いかけたその瞬間だった、爆発による
莫大な閃光があたり
を包み少し遅れて巨大な爆音がとどろく。
・・だが・・届くはずの爆風は、届くことはなかった。
美琴が保護膜で爆風を防いだのだから。
・・・・・・・・・・
ママは10秒ほど気絶していたがほどなく目を覚ました。
「大丈夫?」
「え・・いったい?」
「テロよ」
「ええ・・なんで?」
「言うまでもない。ママが御坂美琴の母だから・・よ」
「はあ?」
「話は後、まだ残党がいるわ。とりあえずここから脱出するわよ」
私は、一部半壊したデータセンターの屋根を磁力で完全に破壊する。
(よしこれで脱出口 を確保と)
「ママ。ちょっとおんぶするから、のって?」
「え?」
「時間がない。すぐに」
私はおんぶを拒否する母親を軽い電撃で気絶させ、お姫様だっこの要領で
抱える。生体電気を操作し、軽々と持ち上げ、屋上を起点に磁力で100mほど
浮揚する。
「よし、脱出完了」
私はそこを起点に一気に磁力で高速移動をする。
これを何回か繰り返し約5キロ先のジャッジメント本部へ到着する。
この間わずか1分で安全地帯へ到着する。
「大丈夫?」
「え・・いったい?」
「テロよ」
「ええ・・なんで?」
「言うまでもない。ママが御坂美琴の母だから・・よ」
「はあ?」
「話は後、まだ残党がいるわ。とりあえずここから脱出するわよ」
私は、一部半壊したデータセンターの屋根を磁力で完全に破壊する。
(よしこれで脱出口 を確保と)
「ママ。ちょっとおんぶするから、のって?」
「え?」
「時間がない。すぐに」
私はおんぶを拒否する母親を軽い電撃で気絶させ、お姫様だっこの要領で
抱える。生体電気を操作し、軽々と持ち上げ、屋上を起点に磁力で100mほど
浮揚する。
「よし、脱出完了」
私はそこを起点に一気に磁力で高速移動をする。
これを何回か繰り返し約5キロ先のジャッジメント本部へ到着する。
この間わずか1分で安全地帯へ到着する。
私は本部の会議室へママをおんぶして運ぶ。委員が気を利かし担架を持ってくるがそれも断る。私は事前に今朝ママが襲撃されることが分かっていたのに、結果的に放置しママの命を危険にさらしたことで自責の念に駆られる。
(本当 歯がゆいのよね・・実際に暴力が行使されないと、たとえママでさえ助けられないだからさ・・犯行場所も、下手人もわかっているのさ・・)
でも・・結果的にはママを助けることができた。「コナン君」のおかけで。
でも・・結果的にはママを助けることができた。「コナン君」のおかけで。
さて・・犯人を・・・捕まえるか・・
私は事前の想定どおりに関係個所へ連絡を始める。深夜には、大掃除は終わるだろう。
証拠不十分で釈放した、スキルアウトの残党及び、殺人を教唆した統括理事を
含め、私の敵対勢力は一掃されるだろう。
教唆を示す、会話記録や、通信記録、入金の証拠写真はすべてあらかじめ
おさえているのだから。
私は、会議室で部員への指示を終え、目を覚ましたママに気がつく。
私は事前の想定どおりに関係個所へ連絡を始める。深夜には、大掃除は終わるだろう。
証拠不十分で釈放した、スキルアウトの残党及び、殺人を教唆した統括理事を
含め、私の敵対勢力は一掃されるだろう。
教唆を示す、会話記録や、通信記録、入金の証拠写真はすべてあらかじめ
おさえているのだから。
私は、会議室で部員への指示を終え、目を覚ましたママに気がつく。
「ママ、目覚ました?幸いけがもないようだしよかったわ」
「美琴ちゃんいきなり電撃で気絶させるなんてびっくりしたわよ。
でも助けてくれたのね。ありがとう。」
「通報があってね。なんとか未然に防げたわ」
でも助けてくれたのね。ありがとう。」
「通報があってね。なんとか未然に防げたわ」
いつもは、堂々としているママが、少し小さくそして蕭然としている
ように見える。
(そりゃそうよね。わけもなく爆弾で殺されかければ)
だが・・私はママが本当は何にふがいなさを感じていたのか
気がついていなかった。
ように見える。
(そりゃそうよね。わけもなく爆弾で殺されかければ)
だが・・私はママが本当は何にふがいなさを感じていたのか
気がついていなかった。
「老いては子に従えか・・美琴ちゃんは本当命の恩人だわ」
「ママ・・」
「美琴ちゃん気に病む必要なんかないわよ。私は今とっても幸せな気分なのよ
娘が自分の先を行くようになってね。」
だが、私はママが取り繕った笑顔の中に隠し切れない陰りを見つけ驚く。
「ママ・・今日はうちに帰ろう。ね」
「美琴ちゃん。だめよ。風紀委員副委員長なんでしょ。
ちゃんと美琴ちゃんが指揮しなきゃだめよ」
「ママ・・」
「美琴ちゃん気に病む必要なんかないわよ。私は今とっても幸せな気分なのよ
娘が自分の先を行くようになってね。」
だが、私はママが取り繕った笑顔の中に隠し切れない陰りを見つけ驚く。
「ママ・・今日はうちに帰ろう。ね」
「美琴ちゃん。だめよ。風紀委員副委員長なんでしょ。
ちゃんと美琴ちゃんが指揮しなきゃだめよ」
「確かにそうね。私が帰ったら示しがつかないわね。
悪い近くのホテルに泊まって」
私は至近距離の宿を予約し、母に位置情報を渡す。
「わかった。じゃ・・美琴ちゃん、明日ね」
悪い近くのホテルに泊まって」
私は至近距離の宿を予約し、母に位置情報を渡す。
「わかった。じゃ・・美琴ちゃん、明日ね」
・・・・・・・・
自宅 午後11時30分
私は、大掃除を終え自宅へ帰る。暗部解体・スキルアウト拘束で
私に集中した反感をすべて処理し、当面の敵は打倒した。
だが、ママの命を危険にさらし代償は小さくない。
私に集中した反感をすべて処理し、当面の敵は打倒した。
だが、ママの命を危険にさらし代償は小さくない。
私がこのままこの仕事を続けるリスクはでかい・・
が・・もう恐らく後戻りは出来ないだろう。
ならばできるだけ早く突き進むしかない。
が・・もう恐らく後戻りは出来ないだろう。
ならばできるだけ早く突き進むしかない。
「当麻 ただいま」
「お疲れ。夕飯食ったか?」
「まだよ。でも隣のコンビニで幕の内弁当買ったわ。だからいいわよ」
「そうか。災難だったな。お義母さん」
「ママが無事でよかったわよ。本当。それに首謀者および実行犯を拘束できたわ」
「「コナン君」か・・大成果だな。」
そう・・コナン君が予想し、御坂美鈴暗殺計画を阻止できた。
そのおかげで、私に暗部の残党やスキルアウトの残党を掃討した。
「お疲れ。夕飯食ったか?」
「まだよ。でも隣のコンビニで幕の内弁当買ったわ。だからいいわよ」
「そうか。災難だったな。お義母さん」
「ママが無事でよかったわよ。本当。それに首謀者および実行犯を拘束できたわ」
「「コナン君」か・・大成果だな。」
そう・・コナン君が予想し、御坂美鈴暗殺計画を阻止できた。
そのおかげで、私に暗部の残党やスキルアウトの残党を掃討した。
「でも・・歯がゆいのね。結局犯罪が起こる瞬間まで阻止できない。」
「俺もそう思うけど、捜査上や、因果律の関係で直前までは阻止できないんだろう?」
「ええ・今の演算能力だと早期にあらかじめ介入することによる情勢変化の再演算をすぐにできない。」
「まだまだ改善余地があるわけだ」
「ええ。でも・・これでさえ所詮は対処療法だわ。犯罪が起こる原因そのものはすぐには解決できない。」
当麻がとても優しい顔で私を見つめる、自分を信頼し、私を愛し、私が心のよりどころ
にするまっすぐな心。
「美琴、夜は思いつめないほうがいいぞ。悩んだら寝よう。な。」
当麻の笑顔が今はとてもまぶしい。そうだ。悩んでもしょうがないことは悩む必要は
ないんだから。
「俺もそう思うけど、捜査上や、因果律の関係で直前までは阻止できないんだろう?」
「ええ・今の演算能力だと早期にあらかじめ介入することによる情勢変化の再演算をすぐにできない。」
「まだまだ改善余地があるわけだ」
「ええ。でも・・これでさえ所詮は対処療法だわ。犯罪が起こる原因そのものはすぐには解決できない。」
当麻がとても優しい顔で私を見つめる、自分を信頼し、私を愛し、私が心のよりどころ
にするまっすぐな心。
「美琴、夜は思いつめないほうがいいぞ。悩んだら寝よう。な。」
当麻の笑顔が今はとてもまぶしい。そうだ。悩んでもしょうがないことは悩む必要は
ないんだから。
「ありがとう。じゃ・・遅いけどお風呂入ろう」
「ああ、でもその前にちゃんと食べろよ。お茶いれるからさ」
「ありがとう」
私は当麻の右手を握る。その右手のここちよい体温がささくれだった心を癒す。
本当は弱い私の心を、本当は優柔不断な私を、支えてくれる。
「ああ、でもその前にちゃんと食べろよ。お茶いれるからさ」
「ありがとう」
私は当麻の右手を握る。その右手のここちよい体温がささくれだった心を癒す。
本当は弱い私の心を、本当は優柔不断な私を、支えてくれる。
ただの抹茶がおいしい。なんだろう。入れた人の心を強く感じるのは。
私はお茶を飲みながら、今日の出来事を反芻する。
私はお茶を飲みながら、今日の出来事を反芻する。
母の命はAIで救われた。だが、死ぬべきだった母が救われたことで、何かが
変わることは間違いない。そしてその不自然さに気がつくやつもいるだろう。
変わることは間違いない。そしてその不自然さに気がつくやつもいるだろう。
いずれ対策が取られ、今の仕組みはそのままでは無効化する。
それに、この仕組みが進展すれば遠からず「プラン」とかち合う日が来る。
それに、この仕組みが進展すれば遠からず「プラン」とかち合う日が来る。
でも。今はいい。当麻の言う通り悩みでも回答がでないことは悩まない。
「当麻お風呂へ入ろう」
「ああ」
私は当麻と手をつなぎ風呂へ向かう。
結局いくら悩んでも解決しない。
今は当麻に甘えよう。
そして心をからにして、明日に備えよう。だから
「当麻お風呂へ入ろう」
「ああ」
私は当麻と手をつなぎ風呂へ向かう。
結局いくら悩んでも解決しない。
今は当麻に甘えよう。
そして心をからにして、明日に備えよう。だから
「当麻優しくしてね。」
続く