とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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「とある科学の超電磁砲」が終わって一週間経ちました。



「ふぁ~ぁ。今日は土曜日か~。…つっても学校も春休みになっているし休日って感じしねーよなー」
学園都市の落ちこぼれレベル0である上条当麻も補習という補習を受けつくし、
ようやく高校1年の課程を終え、春休みを満喫していた。
「インデックスもイギリスに帰っているし、平和だな~。てか、平和っていいなぁ」
生まれつきの不幸体質によって事件に巻き込まれることがしばしあったが、高1の夏休みから数ヶ月間は、
毎日といっていいほど事件に巻き込まれ、忙しい日々を過ごしていた。
その中には一歩間違えれば死ぬかもしれないような修羅場を幾度となく潜り抜けてきたので、
その言葉には確かな重みがあった。
「まぁ新学期にもなればまた補習を受ける羽目になりそうだし、つかの間の平和を過ごしますかぁ」
と、うららかな陽気の中ベンチにもたれて座っていると、

~~~♪

一週間前に聞いたとある番組の主題歌の着メロが鳴った。
ポケットから取り出し、発信者を確認すると、
『御坂美琴』
と、その着メロのテーマにあうような人物の名前が出ていた。
あまり怒らせると文字通り雷が落ちそうなので早めに通話ボタンを押した。
「も~しも~し?カミジョーさんはいますごーく忙しいんで――――」
『アンタね!!口調からして暇そうなのに白々しい嘘つくんじゃないの!!あとでそっちに行くから覚えておきなさい。
 電極刺したカエルの足みたいにヒクヒクさせてやるわよ!ったく…』
「あーはいはい。悪うございまし……ってちょっとまて!もう『レールガン』は終わっただろ!!
 なんでまた家に来るんだよ!買い物に付き合うのって明日だろ?」
…ここでいうレールガンとは御坂美琴の二つ名である『超電磁砲』ではない。
ちょうど一週間前に最終回を迎えた『とある科学の超電磁砲』のことである。
その『レールガン』の放送に合わせて、美琴は上条の家に泊まりがけで来るのだった。
上条のテレビは関東圏なので金曜日の放送も土曜日の放送も映る。
そのため次の日のことも考え、休日である土曜日に視聴するのだ。
もっとも日曜日には美琴の買い物に付き合わされるので、月曜に登校する時にはすでにクタクタである。
なお、美琴はデートのつもりでいるが、鈍感である上条は気付かない。
『アンタねぇ…なんのために10月にあれを買ったと思ってんのよ?』
「?はて何のことでしたっけ?カミジョーさんには身に覚えが……!」
そこで上条は思い出した。わざわざこの放送に合わせて美琴からもらったあるものを。

『わざわざ買った最新鋭のBDレコーダーにレールガンの全話録画したんだから一話ずつ見直すわよ!!
 アンタの家に置いているけど、あれは私のなんだから当たり前じゃない!』

その瞬間上条当麻の頭の中に半年前の記憶が甦ってきた。
それは9月30日事件の数日後のこと、大手家電量販店の車とともに美琴が現れた。
大きな箱を持っていそいそと作業着の男が上条の部屋に入ってきてテレビの配線をいじり始めた。
作業の間、美琴が上条とインデックスに説明をした。
「常盤台の女子寮にもテレビはあるんだけど、夜の消灯で大ぴらに見ることができないのよ。
 だからレールガンの放送日に夕食作ったり宿題とか見てあげるから、泊まらせてくれない?」
最初は男子寮なのにオンナノコ二人が寝泊まりすることに反対したが、勉強の面で美琴センセーに勝てないので、
結局OKすることになった。
ただインデックスは夕食の条件を出しても納得しなかった。そこで美琴は、
「このBDレコーダーは学園都市製の最新のタイプで、HDDには1000時間の容量があるから、
 レールガン以外にも好きな番組録画してもいいわよ。スポーツとかドラマとか『超機動少女カナミン』とか」
やけにカナミンにはまっているインデックスにとって今の言葉は聞き逃さなかった。
その後、インデックスは穴が開くぐらい取扱説明書を読み、完全に記憶した。
だいたいの使い方をマスターした上条はふとあることに気付いた。
「そういえば第1話ってもう放送したよな?入院してて見れなかったんだけど…」
とあるスキルアウトとの戦闘で怪我をしたのだがあまり詳しくは語れない。
美琴の母親から口止めされているのだ。
「はぁ…アンタねぇ…人助けもほどほどにしなさい。まぁ、1週間前までの番組だったらデータが専用回線に残っているから、
 お金払ってHDDに残せるわよ。」
さすが学園都市。これで録り忘れがあっても大丈夫だ。
「というわけで『レールガン』をこれで全話録画して私の実力をとくとご覧なさーい♪」
と豪語したわけだ。

「いや~。美琴センセーの活躍を2人で応援するのはいいんですけれどね、
 お前はまだ中学生だろ!あんまり夜遅くまで起きていられるわけねーだろうが!
 だいたい家に来るのに白井とかに迷惑かけてんだろ?」
と注意してみる上条であるが、
『あの子ならいくらか可愛がれば言うことを聞いてくれるわよ。それに明日はどうせ日曜だし、
 第一もう春休みなんだからいくら遅くても大丈夫でしょ♪』
と美琴は軽くかわして続けた。
『今日はカレーでいいわよね?材料とか買ってくるから部屋とか掃除しときなさい。
 アンタが他に録画しているのもついでに全部見るから、早めに行くわ。また後でね~』
「お、おいそんな急に……ってもう切れてるし…。しかもなんか最後気になること言ってなかったけ~?
 あのHDD、土御門や青髪ピアスから変なアニメや深夜番組の録画もされてなかったか~?」
実はかなりの容量だったのでスポーツやドラマはもちろん、『カナミン』の再放送や土御門や青髪ピアスからの注文で、
深夜時間帯に放送していたアニメやバラエティなどを録っていたのだ。
(この前なんか宿題終えたあとにちょっと深夜バラエティ見ただけで、『悪かったわね!!大きくなくて!』とか言って、
 頭に青白い電気バチバチ言わせて怒ってくるんだもんなー。
 録画しているもん全部見たら家の家電製品全部お釈迦だろうなぁ……にしても何が大きくないんだろう?)
乙女の胸の辺りの悩みに気づかないあたり、筋金入りの鈍感である。
「ま、そうと決まれば、まずは美琴センセーの雷が落ちそうな番組をBDに落とすとしますか。
 あまり時間もないし急いで始めますか…せっかくのんびりできるかと思ったのに…不幸だ…」
そういって、まずBDを買いに電気屋に駆け出した。

「…ご馳走様でした」
「お粗末さまでした」
午後7時半。
上条と美琴はカレーを食べ終え、食器を片し始めた。
結局美琴は夕方4時過ぎに上条宅に到着して料理を作り始めた。鍋に火をかけている間に美琴は春休みの宿題を見てくれたので、
けっこう終わらせることができた。やはり常盤台のお嬢様は頼りになるなと上条は思った。
美琴が来る前にHDDの中を整理してみたが、多忙な日々を過ごしていた上条には録画した後一切再生することなく放置していた番組が
山のようにあったので、午前中から始めたのに美琴が来る5分前にようやく整理できた。
「さてと、じゃあ今からお風呂入って、8時過ぎ辺りからビデオ鑑賞会をしましょ♪」
「まぁ別にそれでいいけどよ、先に風呂入らせてもらうぜ~。色々と疲れましてさっぱりとしたいんですよ…」
「アンタどうせ暇だったんでしょ?なんかあったの?」
「…まぁ後片付けに時間がかかったんですよ。漫画とか読んでていいからなー」
はぁーいと美琴が返事をすると上条は着替えを持って脱衣所へと入っていった。
5分ほどで皿を片付け終えると、美琴はBDレコーダーへと向かった。
(へへっ、今のうちに今まで録画した番組をチェックしておこ~と)
とリモコンをいじりながら、再生リストを見始めた。
(建前じゃ常盤台にこんなものを置いとけないっていたけど、アイツが何を見ているのか知りたいしね。
 たくさん録画していればまたここでお泊りできる言い訳にもなるし…ってロシアにだいぶ長く行っていたのに、
 日本シリーズとか全部録画してんのね。週末にやる映画はジャンルによらず見てるようだし…!
 ゲゲゲッゲ、ゲコ太~~~♪やっぱりなんだかんだ言いつつ興味あったのね~♪そういえばケータイのストラップにもしていたし、
 『そんなカエルのどこがいいんだよ?カミジョーさんはお嬢様のセンスを疑いますよ。』とか言いつつ自分もはまってたんじゃない♪)
実際のところ上条は一回も見たことないのだが、整理の際少しでも美琴の機嫌をとるためにあえて残したのだった。
(あっ、このドラマ途中で見るの忘れちゃったからラストどうなったのか知らないのよねー。…ちょっと見てみよ~と)
と、再生ボタンを押し、早送りでラストシーンまで飛ばすと、美琴はリモコンを置いた。

『――――待ってヒトカタさん!!そんなことのために悪に手を染めないで!』
『…もうこの方法でしかオメェと妹たちを助けることはできねェンだ…邪魔すンじゃねェ!』
『いや!もうあなたがどこかへ行って傷つく姿は見ていられないの!お願い、私と一緒にいて…』
『お前がよくとも、妹たちが虐げられている姿を見ちゃいられねェ…それともお前はあいつらを見捨てるつもりか?』
『いいえ!他に方法があるはずよ…あなたが傷つかなくていい方法が…』
『どうしてオレにかまうんだ?オレなんかと一緒じゃ幸せになんか…』
『そんなことない!!私はあなたと一緒にいて不幸だとは思わなかった!だって…私はあなたのことが――――』プッ

突然画面が消えて何事かと振り返ると呆れた顔の上条が立っていた。
「…………………」
「…………………」
「……意外と早く出たのね」
「はぁ…フライングですよ御坂さん。それにヒロインに感情移入するのはいいですけれど本当に涙なんか出さないでくださいよ」
「んなっ!?ななな、泣いてなんかないわよ!!バカッ!」
そういうと真っ赤になって目をこすりながら、脱衣所へと駆け込んだ。
「……テレビに見入っている御坂の横顔はすごく可愛かったんだけどなぁ。やっぱ素直じゃないと…ってあいつ着替え持ったのか!?
 おーい御坂!!着替えあんのか~?」
あわてて出てきた美琴は可愛らしいキャラクターがプリントされている下着姿を上条の前にさらしてしまった。

午後8時過ぎ。
美琴はパジャマ姿で、上条はジャージにTシャツ姿でベッドに腰掛けていた。
美琴が風呂から出てきた後、羞恥のあまり雷撃の槍を数十発ほど上条にお見舞いしたが全て右手で防御したので、怪我はなかった。
ただ、不意打ちということも考慮して今は右手を美琴の頭の上に置いていた。
「あのですね…風呂上りにいきなり電撃とか危ないし止めてくださいよ。反応が遅れてたら死ぬかもしれないんですよ?」
「う、うるさい!!大体アンタが悪いんでしょ!いきなりあんなこと言うんだから、あわててあんなことになったんじゃない!
 さっきのことは全て忘れるのよ!少しでも口走ったら脳内の生体電気操って強制的に記憶を消去するわよ!」
「はぁ…2回も記憶喪失したくないんでよしてください。それよりこれからなに見るんだ?」
上条はリモコンを取り上げてピピッと操作すると一覧表になった。
野球やサッカー、格闘技に冬季五輪とスポーツが並び、次いでドラマ、バラエティ、アニメの順に並んだ。
昼間だいぶ整理したので容量の約半分ほど埋められていたが、それでもとてもじゃないが1ヶ月2ヶ月ほどで終わる量ではなかった。
「とにかく家にいないときのほうが多かったしなー。こんだけの量じゃなにから見ようか迷っちゃうなー」
「あ、じゃあランダムで決めてみるのもよくない?こうやって…やればっと」ピピッ
「おお~さすがだな―――ておい。なんで一発目で劇場版ゲコ太なんだよ…。おまえわざとやっただろ?」
「ち、違うわよ!だいたいアンタだってゲコ太気に入ってんでしょ?ケータイのストラップだって…」
「アレ?アレは大切なお前から貰ったものなんだし使わなきゃならないだろ?」
一瞬美琴の頬に赤みが差したが、
「じゃ、じゃあゲコ太に興味がないって言うのならこれから劇場版全部見て親交を深めましょ~。今日はゲコ太デイよ♪」
「うげ、あんな子供向けのアニメを永遠に見続けるのか―――でっ、ぐるじい、ぐるじいからわかったからその手をどげてください!!」
微笑みながら上条の首を絞めてくる美琴にすぐさま謝り、映画を見始めた。

その後、日付をまたいでゲコ太映画を4本見てベッドの上で上条がギブアップしたのは午前2時。
さらにHDDの中に溜まった番組を全て消化するのに、美琴は上条の部屋に入り浸りになりながら約半年はかかった。
その間にいくらかラブロマンス系の映画やドラマを2人でもじもじしながら見てしまい2人とも意識しだすのはまた別の話


つづかない


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