8月16日 見たことのない人間 I want to know His Name
ジリリリリリリリリリッ――上条の部屋には暴食シスターもいなければ、超能力者(レベル5)のお嬢様もいない、ひとりの暮らしに逆戻りした上条の部屋。
彼の髪質なのだろうか、完全にツンツン頭が出来上がっている。天井に届きそうなくらいに腕を上に伸ばし、ふぁぁぁぁぁ。と、だらしのない欠伸をした。
今日は、どこをどう見ても子どもにしか見えない担任の補講が入っていないので2度寝することも考えたのだが、寝ている間に不幸が降りかかってくることもあったためにそれはやめることにした。
いつも通り、不幸に気をつけながらベッドから身を起こす。上条は思った――とうとう足が短くなってしまうという魔術をかけられたんでせうか?と。
そんなことを思いながら、寝ぼけ眼を覚ますために洗面所に向かった。 ベッドから降りて洗面所のあるユニットバスのほうへ向かう。
テーブルの脚に左足の小指をぶつけるなどスタンダードとも言えるような小さな不幸も2、3回あった。
その痛みもあって、上条はとてもすぐ眠れるような体制からどこからでも”魔女狩りの王(イノケンティウス)”がやってきても大丈夫な気分になっている。
洗面所の明りをつけて、鏡の前に向かおうとする。そんなときに上条は――
彼の髪質なのだろうか、完全にツンツン頭が出来上がっている。天井に届きそうなくらいに腕を上に伸ばし、ふぁぁぁぁぁ。と、だらしのない欠伸をした。
今日は、どこをどう見ても子どもにしか見えない担任の補講が入っていないので2度寝することも考えたのだが、寝ている間に不幸が降りかかってくることもあったためにそれはやめることにした。
いつも通り、不幸に気をつけながらベッドから身を起こす。上条は思った――とうとう足が短くなってしまうという魔術をかけられたんでせうか?と。
そんなことを思いながら、寝ぼけ眼を覚ますために洗面所に向かった。 ベッドから降りて洗面所のあるユニットバスのほうへ向かう。
テーブルの脚に左足の小指をぶつけるなどスタンダードとも言えるような小さな不幸も2、3回あった。
その痛みもあって、上条はとてもすぐ眠れるような体制からどこからでも”魔女狩りの王(イノケンティウス)”がやってきても大丈夫な気分になっている。
洗面所の明りをつけて、鏡の前に向かおうとする。そんなときに上条は――
「不幸だぁぁぁぁぁぁぁ!」隣人に迷惑がかかるくらいの声量で叫んだ。
そのあとは、身体をくねらせたり、鏡に写っている人間に顔をしかめてみたり、と。そこが、もし大通りのショーウィンドウの前だったら完全に不審者である。
その動作に加えひとりごとを裏返ったような声で言っている。若干、いつもの声のトーンとは違ったもの。
その動作に加えひとりごとを裏返ったような声で言っている。若干、いつもの声のトーンとは違ったもの。
「こんな俺って、ガキだったけ?これじゃあ、御坂をガキって言えないよな。
パジャマもなんだかでかいし、声もなんだかトーンが高い気がするし、あ…あ…あ…私、上条当麻ですよ、ですね、でございますよの3段活用!
ギリギリ、声だけならごまかせそうだな。今日は、何も用事がないのが不幸だ。打ち止め(ラストオーダー)と並んだらどっちが高いんだろうか。」
そんな事言いながら、心の中はダム決壊なみのパニックに巻き込まれていた。さすがに今回の“不幸”は上条にも未知の領域であった。
パジャマもなんだかでかいし、声もなんだかトーンが高い気がするし、あ…あ…あ…私、上条当麻ですよ、ですね、でございますよの3段活用!
ギリギリ、声だけならごまかせそうだな。今日は、何も用事がないのが不幸だ。打ち止め(ラストオーダー)と並んだらどっちが高いんだろうか。」
そんな事言いながら、心の中はダム決壊なみのパニックに巻き込まれていた。さすがに今回の“不幸”は上条にも未知の領域であった。
この“不幸”というのは、いきなり部屋のドアをぶっ壊されたとか、窓から侵入者が入るとかそういうものではない。
1日前の上条は175cmの身長。つまり、2年前からおおよそ6cm身長が伸びたのだ。なんとなく子供っぽかった顔も、いつの間にか父・刀夜の顔にも似てきた。
ただ、相変わらず髪型はツンツンしたものであった。それが、寝ている間に20cmも縮まり、顔も幼くなった。パジャマ代わりのジャージとTシャツは少しぶかぶかである。
こんなにも変化するのは現実には起こらないだろうと思っていた。今日までは。
こんな出来事が起こるまでは、上条の過去の愛読書、いや、贔屓にしていた週間コミックの一つに似ているとか、似ていないとか。
どうしようもできないこんな状態を打破しようと上条は必死だった。現在、5:30くらいで、カーテンのしまっている窓から少しだけ光が差してくる。
とりあえず、顔を洗ってベッドの脇にもたれかかっている上条は、携帯電話を片手に持っている。
日の出の光が照らす少々薄暗い部屋の中に携帯の画面を見ている少年は第3者からみれば、とてもかわいそうな子どもに見えてしまう。
自分を落ち着かせようといろいろなことをやって今の状態があるのだが、それと平行に自分がこのような目にあってしまった原因を部屋の中で探していた。怪しいのは、ステイルからの“プレゼント”だ。
その中のものを昨日、箱から取り出して、手紙の通りに“儀式”を執り行った。
あまり宗教的なものを信じないという信条の持ち主である彼であったが、久しぶりの戦友と出会えたことに懐かしさと、嬉しさと、なんとなく感じてしまう違和感と、残念な気持ちが均等に入り混じって形を変えながら上条を支配していた。
上条は、インデックスがいなければステイル達もいない現在の日本の中で一番信頼が置ける人間を探す。――隣人や、青い髪にピアスをしている大柄な男、3年間の担任、魔法使いの少女…と知り合いは多いのだが…。
――今、一番に頼りになりそうな人間の名前をアドレス帳から探して、電話番号のところにカーソルを合わせて電話をかけた。
上条は、最終選択を迫られた人間。頭の中で思考を巡らせてみても、最終的な答えが一つしかない。呼び出し音が鳴って、5コールしないうちに受話器の向こう側の相手とつながった。
1日前の上条は175cmの身長。つまり、2年前からおおよそ6cm身長が伸びたのだ。なんとなく子供っぽかった顔も、いつの間にか父・刀夜の顔にも似てきた。
ただ、相変わらず髪型はツンツンしたものであった。それが、寝ている間に20cmも縮まり、顔も幼くなった。パジャマ代わりのジャージとTシャツは少しぶかぶかである。
こんなにも変化するのは現実には起こらないだろうと思っていた。今日までは。
こんな出来事が起こるまでは、上条の過去の愛読書、いや、贔屓にしていた週間コミックの一つに似ているとか、似ていないとか。
どうしようもできないこんな状態を打破しようと上条は必死だった。現在、5:30くらいで、カーテンのしまっている窓から少しだけ光が差してくる。
とりあえず、顔を洗ってベッドの脇にもたれかかっている上条は、携帯電話を片手に持っている。
日の出の光が照らす少々薄暗い部屋の中に携帯の画面を見ている少年は第3者からみれば、とてもかわいそうな子どもに見えてしまう。
自分を落ち着かせようといろいろなことをやって今の状態があるのだが、それと平行に自分がこのような目にあってしまった原因を部屋の中で探していた。怪しいのは、ステイルからの“プレゼント”だ。
その中のものを昨日、箱から取り出して、手紙の通りに“儀式”を執り行った。
あまり宗教的なものを信じないという信条の持ち主である彼であったが、久しぶりの戦友と出会えたことに懐かしさと、嬉しさと、なんとなく感じてしまう違和感と、残念な気持ちが均等に入り混じって形を変えながら上条を支配していた。
上条は、インデックスがいなければステイル達もいない現在の日本の中で一番信頼が置ける人間を探す。――隣人や、青い髪にピアスをしている大柄な男、3年間の担任、魔法使いの少女…と知り合いは多いのだが…。
――今、一番に頼りになりそうな人間の名前をアドレス帳から探して、電話番号のところにカーソルを合わせて電話をかけた。
上条は、最終選択を迫られた人間。頭の中で思考を巡らせてみても、最終的な答えが一つしかない。呼び出し音が鳴って、5コールしないうちに受話器の向こう側の相手とつながった。
「もしもーし。あんた!こんなに早くどうしたのよ。同じ部屋の人起きちゃうじゃない!」
「悪いっ!それは申し訳ない…。でもさ…、」
「私だって、色々と忙しいんだから要件早く言ってよね。」
「あのさ…、」
「あんたってさ、死に目に会わないと言いたいことがいえないタチなの?」
「悪いっ!それは申し訳ない…。でもさ…、」
「私だって、色々と忙しいんだから要件早く言ってよね。」
「あのさ…、」
「あんたってさ、死に目に会わないと言いたいことがいえないタチなの?」
受話器からぱちぱちと音がなっているのを上条は聞いている。あのお嬢様は扱いが大変だと思って、話を切り出した。
「今日さ、お前大丈夫か?」
美琴はこの一言により、乙女心が織りなす無限な妄想の世界に取り込まれるのである。
「今日さ、お前大丈夫か?」
美琴はこの一言により、乙女心が織りなす無限な妄想の世界に取り込まれるのである。
(だいじょうぶ?ってなんなのよぉ。今日もあいつに会えるのはうれしいけど…あったら何も言えなくなるのよね。
あいつの家に行くのって1週間ぶりかしら?付き合ってもいないのに家に上がり込むって…えへへ♪もぉ♪何にも考えられないよぉ。)
あいつの家に行くのって1週間ぶりかしら?付き合ってもいないのに家に上がり込むって…えへへ♪もぉ♪何にも考えられないよぉ。)
「おいおいおいおい!どうしたんだよ。そっちがせかすから話切り出したのにさ。」
「え?あ。うん?んで、今日大丈夫かってことでしょ?あんた私を誰だと思ってんのよ。今日は大丈夫よ。特別用事という用事はないし…。」
「あ。それは良かった。今日さ、家に来てほしいんだ。…いんだ。」
なんだって?と美琴は、口調を変えた上条の心の状態が良くないと感じた。そして、美琴は今できる最高の優しさで答えようとした。
「うん。用意ができたら行くよ。あんた…不安なんでしょ?」
「あぁ。・・・自分が怖いんだ。何が何だかわからねえんだよ。」
「大丈夫だから。あんたは、私が来るまで待っててよ。」
「・・・わかった。」
「え?あ。うん?んで、今日大丈夫かってことでしょ?あんた私を誰だと思ってんのよ。今日は大丈夫よ。特別用事という用事はないし…。」
「あ。それは良かった。今日さ、家に来てほしいんだ。…いんだ。」
なんだって?と美琴は、口調を変えた上条の心の状態が良くないと感じた。そして、美琴は今できる最高の優しさで答えようとした。
「うん。用意ができたら行くよ。あんた…不安なんでしょ?」
「あぁ。・・・自分が怖いんだ。何が何だかわからねえんだよ。」
「大丈夫だから。あんたは、私が来るまで待っててよ。」
「・・・わかった。」
現在、上条の部屋の時計は6:40過ぎを示している。上条は冷蔵庫のほうへ足を運ぶ。
冷蔵庫にはミネラルウォーターがあるのを思い出して、冷蔵庫の扉を開いて、2リットルのペットボトルを取り出して、コップに水を注いだ。ゆっくり水を口の中に入れる。
上条はいつもとは違う不幸に体が思うようにコントロールできなくなっている。自分自身を落ち着かせようと無我夢中で手段を選ばない。
ひとりでいるときにはあまりつけないテレビをつけて、不安から目をそらしたり、水を飲んだり、立ち上がってふらふらしたりと。
冷蔵庫にはミネラルウォーターがあるのを思い出して、冷蔵庫の扉を開いて、2リットルのペットボトルを取り出して、コップに水を注いだ。ゆっくり水を口の中に入れる。
上条はいつもとは違う不幸に体が思うようにコントロールできなくなっている。自分自身を落ち着かせようと無我夢中で手段を選ばない。
ひとりでいるときにはあまりつけないテレビをつけて、不安から目をそらしたり、水を飲んだり、立ち上がってふらふらしたりと。
ドアをノックする音が聞こえる。早くあけなさいよ。という声が聞こえる。
しかし、上条はこの状況を信じてもらえるのか――今、もっとも信用がおける人間に今の姿を見て信じてくれるのか。という消極的な気持ちが上条を抑え込んでいた。
ドアの外では、イライラしている姿が目に浮かぶ。上条は覚悟を決めてドアを開けた。
しかし、上条はこの状況を信じてもらえるのか――今、もっとも信用がおける人間に今の姿を見て信じてくれるのか。という消極的な気持ちが上条を抑え込んでいた。
ドアの外では、イライラしている姿が目に浮かぶ。上条は覚悟を決めてドアを開けた。
「いつまでこの美琴センセーを待たせる気なのよ…。こっちの身にもなってみなさいよ。…ってあんたがめずらしく困ってるのよね。入るわよ。こんな朝から廊下で騒いだら迷惑だものね。」
美琴は、いつになく世話焼きモードに切り替わっていた。ちなみに、今まで上条の姿の変化に気が付いていない。鈍感なところは似ている2人。
美琴が部屋に入ってきて、しっかり靴を揃えて入ってくる仕草はさすがお嬢様という感じだ。彼女は目線を上条のほうへ目線をやった。
美琴が部屋に入ってきて、しっかり靴を揃えて入ってくる仕草はさすがお嬢様という感じだ。彼女は目線を上条のほうへ目線をやった。
「あんた…って、っちょっちょちょちょちょ…ちょっとぉ!あんただれなのよ!」
「俺だー!上条さんですよ。よくわからんうちに子供になってしまったんですよ。幸い、記憶喪失にはならなかったわけですし。」
「あははははははは・・・・ってちょっと待ちなさいよぉ。」
「俺だー!上条さんですよ。よくわからんうちに子供になってしまったんですよ。幸い、記憶喪失にはならなかったわけですし。」
「あははははははは・・・・ってちょっと待ちなさいよぉ。」
ここで、上条の話の趣旨がつかめた。
「なんであんたこんなにちいさいわけ?」
俺に聞くなよ。と突っ込む上条。ここから5分間は痴話喧嘩である。最近になってやっと、感情的になるとビリビリすることがなくなり、家電を心配する必要がなくなった分上条の不幸は少しばかり減ったともいえる。
油断していると危ないのだが…。
「なんであんたこんなにちいさいわけ?」
俺に聞くなよ。と突っ込む上条。ここから5分間は痴話喧嘩である。最近になってやっと、感情的になるとビリビリすることがなくなり、家電を心配する必要がなくなった分上条の不幸は少しばかり減ったともいえる。
油断していると危ないのだが…。
「今のは、あんたが悪いの!」
「御坂のせいじゃないと言っているのに、そっちが勘違いするからだろ?」
「あ・ん・た・は!!」と言いながら美琴の体表には青白い角がバチバチと言いながら発生しているように見える。それを感じた上条は急いで右手を御坂の身体の一部に触れさせようと近づく。
…近づくといえども、二人の距離はかなり近く、右手を差し出せば触れる距離である。いよいよ、御坂はかなり高電圧な電気を発した。誰にもやったことのない致死量に近い量の電圧の放出。
「御坂のせいじゃないと言っているのに、そっちが勘違いするからだろ?」
「あ・ん・た・は!!」と言いながら美琴の体表には青白い角がバチバチと言いながら発生しているように見える。それを感じた上条は急いで右手を御坂の身体の一部に触れさせようと近づく。
…近づくといえども、二人の距離はかなり近く、右手を差し出せば触れる距離である。いよいよ、御坂はかなり高電圧な電気を発した。誰にもやったことのない致死量に近い量の電圧の放出。
「ぎゃああああああああ!やめ…、ろ…」上条はその場に前から倒れてしまった。部屋の中は黒こげ。家電も全て駄目にしてしまった。
「!!!」美琴はいつもの上条とは違うと完全に確認した。しかし、目の前で自分を頼りにしてくれた人をこんなにも傷をつけてしまった。気を失わせるまでとは。
いつもの上条だと自分の放った電撃はきれいさっぱり彼の右手のなかに吸収されるように消化されてしまう。
幻想殺し(イマジンブレイカー)なる力で、自分の能力を打ち消しやがる彼が小さくなってしまい、その能力も失ってしまっている。
彼女は、初めて勝利したことに喜ぶ瞬間にこのような不安要素が見えてしまったのだから、現在は上条に罪悪感しか残らない。
美琴は、自分が何をやってしまったのか、信じられなかった。すでに、上条は2分以上気絶している。
しかし、幸いなことに行きはかすかにしているようだ。それを見た美琴は最愛の人のそばに座り、そのツンツン頭を静かに自分の膝の上に乗っけた。
そして、電気ショックを与えて心臓マッサージをする。
いつもの上条だと自分の放った電撃はきれいさっぱり彼の右手のなかに吸収されるように消化されてしまう。
幻想殺し(イマジンブレイカー)なる力で、自分の能力を打ち消しやがる彼が小さくなってしまい、その能力も失ってしまっている。
彼女は、初めて勝利したことに喜ぶ瞬間にこのような不安要素が見えてしまったのだから、現在は上条に罪悪感しか残らない。
美琴は、自分が何をやってしまったのか、信じられなかった。すでに、上条は2分以上気絶している。
しかし、幸いなことに行きはかすかにしているようだ。それを見た美琴は最愛の人のそばに座り、そのツンツン頭を静かに自分の膝の上に乗っけた。
そして、電気ショックを与えて心臓マッサージをする。
「なんで、あんただけ…」
「なんで。なんでなの?ねぇ、教えてよ。なんであんたはこんな不幸なのよ。」
「あんたの不幸は、その右手で殺せないの?不幸って名前の幻想は殺せないの?」
だんだん、想いが膨らんでいく。それと同時に言葉も喉をつっかえ始めている。すでに、ツンツン頭の少年の顔は、ぐしゃぐしゃに濡れている。
上条は目を開けてくれない。言葉が詰まりながらも美琴は想い(ひとりごと)を言う。
「ねぇ。あ…んたは…わがっ…でるの?わだじがっ!どんなに…グスッ…大好きなのかって」
「どうなのよ?へん…じ…くらい…してよ。」
「わかってるわよ。…あんたにどれほど嫌な思いをさせたのかも…」
「…でも、あんたがあのとき言ってくれたことはほんとなんでしょ?」
「どうなのよ…わたっ…しがぁ!…未練たらたらの悲しい女になってもいいわけ?」
「なんで。なんでなの?ねぇ、教えてよ。なんであんたはこんな不幸なのよ。」
「あんたの不幸は、その右手で殺せないの?不幸って名前の幻想は殺せないの?」
だんだん、想いが膨らんでいく。それと同時に言葉も喉をつっかえ始めている。すでに、ツンツン頭の少年の顔は、ぐしゃぐしゃに濡れている。
上条は目を開けてくれない。言葉が詰まりながらも美琴は想い(ひとりごと)を言う。
「ねぇ。あ…んたは…わがっ…でるの?わだじがっ!どんなに…グスッ…大好きなのかって」
「どうなのよ?へん…じ…くらい…してよ。」
「わかってるわよ。…あんたにどれほど嫌な思いをさせたのかも…」
「…でも、あんたがあのとき言ってくれたことはほんとなんでしょ?」
「どうなのよ…わたっ…しがぁ!…未練たらたらの悲しい女になってもいいわけ?」
『…ぇだろ?ったく。』
「え?…気が…ついたの…グジュッ…」
上条は、少しずつ目を開ける。声の主のほうへ目線を遣るが俯いていて、なかなか顔の表情がわからない。
「んなわけないだろ?ったく。悲しい顔なんてさせたくないからな。」といつもより笑ってみせる。
美琴はそれを聞いて安心したのか、自分の膝の上に頭を遣る少年の頭を撫でる。そして、優しく微笑む。そして、一瞬にやりとする。
膝枕をしたり、頭を撫でたり、顔を触ったりしているため、上条の顔は赤みを帯びて恥ずかしそうにしている。だが、次の瞬間…
バチィィィィン!っと爽快な音が鳴り響く。上条は、言葉を出せなくなるくらい驚いている。口元では不幸だと言っているようだ。
彼女は、頭を撫でるフェイントをかけて、いきなり上条の額にでこピンをかましたのであった。
「んなわけないだろ?ったく。悲しい顔なんてさせたくないからな。」といつもより笑ってみせる。
美琴はそれを聞いて安心したのか、自分の膝の上に頭を遣る少年の頭を撫でる。そして、優しく微笑む。そして、一瞬にやりとする。
膝枕をしたり、頭を撫でたり、顔を触ったりしているため、上条の顔は赤みを帯びて恥ずかしそうにしている。だが、次の瞬間…
バチィィィィン!っと爽快な音が鳴り響く。上条は、言葉を出せなくなるくらい驚いている。口元では不幸だと言っているようだ。
彼女は、頭を撫でるフェイントをかけて、いきなり上条の額にでこピンをかましたのであった。
「びっくりした?ねぇねぇ?あんたって結構こう言うのは弱いのよね。」
「うるさいな!ってなんで、上条さんのおでこにでこピンをかましてくれんですか。」
「あんたが気持ちよさそうに寝ちゃってたからでしょ?」
「それは、あなたがやったことですのよ?この黒こげになってしまった部屋をどうするというのですか?」
ぶー。と言わんばかりに美琴は自分のやったことを棚に上げようとしている。それを見た上条は、今回はあなたのせいですよね?と言わんばかりの顔で美琴を見つめる。
「うるさいな!ってなんで、上条さんのおでこにでこピンをかましてくれんですか。」
「あんたが気持ちよさそうに寝ちゃってたからでしょ?」
「それは、あなたがやったことですのよ?この黒こげになってしまった部屋をどうするというのですか?」
ぶー。と言わんばかりに美琴は自分のやったことを棚に上げようとしている。それを見た上条は、今回はあなたのせいですよね?と言わんばかりの顔で美琴を見つめる。
「…ごめんなさい。」美琴は自分の過失に正直になった。しばらくして、美琴は落ち着きを取り戻して目の下がまだ真っ赤になっているのだが、ツンツン頭をよけてたちあがる。
「あんたさ、ご飯まだでしょ?冷蔵庫のもの勝手に使わせてもらうから。」
「って、みみみみっみみみ御坂さん?このかわいそうな上条さんにご飯を作っていただけるのでございますか?」
「そ、そうよ。あんたがそんな風になったんじゃ、料理も十分作れないんだろうなって。ってアンタ!ちょっとは私を信用しなさいよっての!」
「あんたさ、ご飯まだでしょ?冷蔵庫のもの勝手に使わせてもらうから。」
「って、みみみみっみみみ御坂さん?このかわいそうな上条さんにご飯を作っていただけるのでございますか?」
「そ、そうよ。あんたがそんな風になったんじゃ、料理も十分作れないんだろうなって。ってアンタ!ちょっとは私を信用しなさいよっての!」
「そっか。悪いな。ありがとな。」と上条が言おうとした瞬間、自分の部屋の状態が大変なことを再確認した。黒こげになってしまった部屋と、駄目になってしまった家電その他。
上条がいたのはリビング、美琴がいたのは玄関とキッチンコーナーがあるところ。美琴は上条の方向へ電撃の槍を寄こしたのでその方向にあったものは完全に駄目になっていた。
つまり、上条が使っていたベッドや、ベランダに続く大きな窓は完全に駄目になっている。テーブルも、電気の生じる高熱によって少しばかり変形している。
携帯電話も使い物にならない。幸い、冷蔵庫とキッチン、ユニットバス・洗濯機には被害が及ばなかった。上条は、それを見て安心した。そして、改めて美琴のほうを向いて言う。
「ありがとな。」
上条がいたのはリビング、美琴がいたのは玄関とキッチンコーナーがあるところ。美琴は上条の方向へ電撃の槍を寄こしたのでその方向にあったものは完全に駄目になっていた。
つまり、上条が使っていたベッドや、ベランダに続く大きな窓は完全に駄目になっている。テーブルも、電気の生じる高熱によって少しばかり変形している。
携帯電話も使い物にならない。幸い、冷蔵庫とキッチン、ユニットバス・洗濯機には被害が及ばなかった。上条は、それを見て安心した。そして、改めて美琴のほうを向いて言う。
「ありがとな。」
一部が黒く焦げてしまった部屋の中で仲良く並んで食べている姉と弟。姉は常盤台中学に通うお嬢様である。弟は無能力者で頭がツンツンしている。
よその目にはそういう風に写るのだろう。本来この場面で映らなければならない風景には、恋人同士が並んで朝ごはんを食べる…というなんともかわいらしい風景がある。
なんとも初々しいカップルが二人並んでどぎまぎしている。そんな風景が本来では存在しているのだが。今ではきょうだいそろってご飯を食べているというものに変換されている。
二人とも何もしゃべらない。静かに箸を進めている。ただ、時間だけが過ぎていく。
よその目にはそういう風に写るのだろう。本来この場面で映らなければならない風景には、恋人同士が並んで朝ごはんを食べる…というなんともかわいらしい風景がある。
なんとも初々しいカップルが二人並んでどぎまぎしている。そんな風景が本来では存在しているのだが。今ではきょうだいそろってご飯を食べているというものに変換されている。
二人とも何もしゃべらない。静かに箸を進めている。ただ、時間だけが過ぎていく。
「「…」」
「「あのさ…」」
「「…」」
「「なにかしゃべってよ。(しゃべってくれないのか?)」」
「「…」」
「なんだよ。お前が先に言ってくれよ。上条さんは後で言うから、レディーファーストってので御坂さんに権限が移りまーす。」
「わかったわよ。いえばいいんでしょ?いえばぁ!」
「「あのさ…」」
「「…」」
「「なにかしゃべってよ。(しゃべってくれないのか?)」」
「「…」」
「なんだよ。お前が先に言ってくれよ。上条さんは後で言うから、レディーファーストってので御坂さんに権限が移りまーす。」
「わかったわよ。いえばいいんでしょ?いえばぁ!」
沈黙をどうにか破ろうと考えていたのは二人とも同じである。似た者同士だからか、言うタイミングも天然の高シンクロ率で放たれ、黙るタイミングも同じだった。
二人とも話せば話すほどドつぼにはまってくると思ったので、上条はそれをぶち殺すように先攻を切った。そして、美琴に先に話してもらうようにした。
二人とも話せば話すほどドつぼにはまってくると思ったので、上条はそれをぶち殺すように先攻を切った。そして、美琴に先に話してもらうようにした。
「あんたさ、なんでこんな身体になったのかわからないの?」
「んま、大体の見当は付いているのだが。この体じゃ、何もできない無能力者だな。」
「確かに、今のあんたじゃちょっと頼りないわね。つか、いつもより駄目になってるわ。」
「それは、ちょっと言いすぎですよ。…でも、あながち間違っちゃいねえし。…ハハっ」
「んま、大体の見当は付いているのだが。この体じゃ、何もできない無能力者だな。」
「確かに、今のあんたじゃちょっと頼りないわね。つか、いつもより駄目になってるわ。」
「それは、ちょっと言いすぎですよ。…でも、あながち間違っちゃいねえし。…ハハっ」
目の奥が少し暗い上条の顔はとてもその身体では抑えきれないくらいの感情で満たしている。自分の情けなさに今でも泣きたいくらいに。
わけのわからない感情に振り回されている自分に。大切に思ってくれる人の前なのに何もしてやれないことに、心配させないように。
美琴の作ったご飯を食べることでそれを忘れようとしている。それを見た美琴は、そんなに急いで食べたら喉詰まるわよ。と優しく言う。
わけのわからない感情に振り回されている自分に。大切に思ってくれる人の前なのに何もしてやれないことに、心配させないように。
美琴の作ったご飯を食べることでそれを忘れようとしている。それを見た美琴は、そんなに急いで食べたら喉詰まるわよ。と優しく言う。
「「ごちそうさまでした!」」
「こんなおいしいもの食べさせてくれるとは幸せですな。こんな人を嫁にもらった旦那はどんなにしあわせなんだろうな?」
「こんなおいしいもの食べさせてくれるとは幸せですな。こんな人を嫁にもらった旦那はどんなにしあわせなんだろうな?」
ギクッ!っと音が鳴るくらい食器を洗ってくれている御坂の背中が反応する。
「もちろんよ!私をだれだとおもってんのよ。ったく。」と、言っている心のうちではすでに妄想ワールドが展開されている。
(およめさん?あいつが旦那?やだぁ!何考えてるんだろ。ないないないない!絶対にそんなこと期待してな…えへへ♪)
食器を洗いながら美琴の顔はその整った顔がゆるみ始めていた。そして、顔が赤くなっていく。
「もちろんよ!私をだれだとおもってんのよ。ったく。」と、言っている心のうちではすでに妄想ワールドが展開されている。
(およめさん?あいつが旦那?やだぁ!何考えてるんだろ。ないないないない!絶対にそんなこと期待してな…えへへ♪)
食器を洗いながら美琴の顔はその整った顔がゆるみ始めていた。そして、顔が赤くなっていく。
「ところで、あんた!ききききっきき今日はどうすんのよ。家もこんなだし。…私のせいだけどさ。」
「お前のところにでも行こうかな。…んま、冗談だけどな。でも、入れてくれると嬉しいかもですよ。」
「あんたねえ。ずかずかと女の子の家に遊びに来るもんじゃないわよ。とりあえず、壊れちゃったのはこっちで負担するわ。」
「そんなことさせねえから大丈夫だよ。おまえは別に気にすんなよ?」
「それであんた、これからどうするのよ。」
「わからんな。」
「わからんって…今日は何もせずにこのままいるつもり?」
「俺はそれでもいいかなと思って。」
「私が気が済まないのよ。ってか、このままだったら落ち着かないの!」
「お前のところにでも行こうかな。…んま、冗談だけどな。でも、入れてくれると嬉しいかもですよ。」
「あんたねえ。ずかずかと女の子の家に遊びに来るもんじゃないわよ。とりあえず、壊れちゃったのはこっちで負担するわ。」
「そんなことさせねえから大丈夫だよ。おまえは別に気にすんなよ?」
「それであんた、これからどうするのよ。」
「わからんな。」
「わからんって…今日は何もせずにこのままいるつもり?」
「俺はそれでもいいかなと思って。」
「私が気が済まないのよ。ってか、このままだったら落ち着かないの!」
美琴は、言っちゃった。とひとりであわあわしている。いつもの彼女では見ることができない表情だ。
自分のせいで半壊してしまった上条の家、学生寮の1室を破壊してしまった現実から目をそらそうとしている。
今朝早くに上条から電話をもらったことから始まった1日は、美琴の身体をがちがちに緊張させる。電話をもらって彼の家に着くと、彼の面影がある子どもが目の前に現れた。
その子どもが自分は上条当麻だと言い張り、しゃべり口調や、仕草が全く同じだったこと、そして、いつものように受け止めてくれる電撃が彼の心臓を打ち抜かんばかりであったこと。
全てにおいて、美琴は、自分を失いかけている。ふにゃー。という言葉とともに。
自分のせいで半壊してしまった上条の家、学生寮の1室を破壊してしまった現実から目をそらそうとしている。
今朝早くに上条から電話をもらったことから始まった1日は、美琴の身体をがちがちに緊張させる。電話をもらって彼の家に着くと、彼の面影がある子どもが目の前に現れた。
その子どもが自分は上条当麻だと言い張り、しゃべり口調や、仕草が全く同じだったこと、そして、いつものように受け止めてくれる電撃が彼の心臓を打ち抜かんばかりであったこと。
全てにおいて、美琴は、自分を失いかけている。ふにゃー。という言葉とともに。
「ここで、漏電はないだろうがぁぁぁぁぁぁぁ!」と上条は傍若無人に叫ぶ。しかも声変わり途中のような声で。
しかし、上条の不安は斜め上を行く幸運に見舞われる。というのも美琴は漏電をコントロールできるようになっていたため、気絶する前に能力を抑制していた。
そのため、彼女の身体から力が抜けたときに軽くだけ静電気のようなものが見えた。ただ、それだけだった。つまり、漏電で高電圧の電気が放電されることはなかった。
不幸続きの上条にとって、ほんのわずかなしあわせ?な日々が続くことはこのとき誰も思いはしなかっただろう。
起きたときからずっと騒ぎっぱなしの彼にはかなりの疲れがたまっていて、いつの間にかリビングのテーブルの横で寝息を立てて寝てしまっていた。
その横で、その寝顔をみていた美琴もこの騒動に巻き込まれてしまった一人で温存すべき体力を無駄に使ってしまったため眠気が襲っていた。
幸い、今日は夏休みに入って数日。夏期講習というものも学校の待遇により自由参加の形になっている。彼女は決心をする。
しかし、上条の不安は斜め上を行く幸運に見舞われる。というのも美琴は漏電をコントロールできるようになっていたため、気絶する前に能力を抑制していた。
そのため、彼女の身体から力が抜けたときに軽くだけ静電気のようなものが見えた。ただ、それだけだった。つまり、漏電で高電圧の電気が放電されることはなかった。
不幸続きの上条にとって、ほんのわずかなしあわせ?な日々が続くことはこのとき誰も思いはしなかっただろう。
起きたときからずっと騒ぎっぱなしの彼にはかなりの疲れがたまっていて、いつの間にかリビングのテーブルの横で寝息を立てて寝てしまっていた。
その横で、その寝顔をみていた美琴もこの騒動に巻き込まれてしまった一人で温存すべき体力を無駄に使ってしまったため眠気が襲っていた。
幸い、今日は夏休みに入って数日。夏期講習というものも学校の待遇により自由参加の形になっている。彼女は決心をする。
――今回は、いつもの借りを返そう。そして、それ以上の借りをこいつに作ってしまおう。と。
なかなかの策士だと満足そうにその場に横になる。そして、瞼が重くなっていくのを感じる。上条宅は、一時の静けさを取り戻した。
上条の部屋にはこの夏真っ最中の中珍しい心地よい風が入ってくる。カーテンが小さく風になびいている。時計は8:30を指している。
上条の部屋にはこの夏真っ最中の中珍しい心地よい風が入ってくる。カーテンが小さく風になびいている。時計は8:30を指している。
―――――――――――――――――――――――――――
上条は、花畑にいる。周りには何も建物がない。
上条は、花畑にいる。周りには何も建物がない。
「ここは、天国ですか?あのぉ、まだ上条さんは死んだわけではないですよ。」
「・・・・わよ。」
「・・・・え?今何て?誰かいるんですか?」
「ここは・・・よ?あ・・・わ・・・のせかい。」
上条は、すこしずつ声のするほうへ足を進める。
「こっち、こっち!」
上条は、声のするほうへ顔を向ける。いつも見慣れた顔がそこにあった。
その顔を見て、上条は息をのむ。2年前の美琴が白いワンピースを着て花畑の真ん中でひとりで遊んでいる。
ちょうど、上条は彼女の眼の前にたどりつく。自分がどこにいるかがわからないが行動をすることにした。
目の前にいる少女に声をかけた。
「なんで、お前がここにいるんだ?」
「え?なんであんたもいるのよ?」
「しらねえよ。」
「へぇー。・・・でも、あんたがいるってことは私の願いがかなったのかしら。」
「しらねえよ。」
「やっぱり、あんたは美琴様のものね。」
「知らねえよ。てか、いつからお前のものになったんだぁ?」
「えへへ。ありがとう。私の当麻ぁ。ありがとうのキスでもしよっか?」
「知らねえから知らねぇと上条さんは言っているのですよ?え?いきなりですか?」
一方的に美琴は話を進める。しかも、いつもは何にでも突っ込んでくるにもかかわらず何もしてこない。
上条は少し、恐怖を感じた。まして、自分を彼氏?下僕?と指定が入っている。
2人だけの空間。それも、絵本にしか出てこないような花畑が永遠に広がっている。
茫然と立ち尽くす上条の右腕にやわらかいものが当たる。そして、あまいにおいもする。そして、
「・・・・わよ。」
「・・・・え?今何て?誰かいるんですか?」
「ここは・・・よ?あ・・・わ・・・のせかい。」
上条は、すこしずつ声のするほうへ足を進める。
「こっち、こっち!」
上条は、声のするほうへ顔を向ける。いつも見慣れた顔がそこにあった。
その顔を見て、上条は息をのむ。2年前の美琴が白いワンピースを着て花畑の真ん中でひとりで遊んでいる。
ちょうど、上条は彼女の眼の前にたどりつく。自分がどこにいるかがわからないが行動をすることにした。
目の前にいる少女に声をかけた。
「なんで、お前がここにいるんだ?」
「え?なんであんたもいるのよ?」
「しらねえよ。」
「へぇー。・・・でも、あんたがいるってことは私の願いがかなったのかしら。」
「しらねえよ。」
「やっぱり、あんたは美琴様のものね。」
「知らねえよ。てか、いつからお前のものになったんだぁ?」
「えへへ。ありがとう。私の当麻ぁ。ありがとうのキスでもしよっか?」
「知らねえから知らねぇと上条さんは言っているのですよ?え?いきなりですか?」
一方的に美琴は話を進める。しかも、いつもは何にでも突っ込んでくるにもかかわらず何もしてこない。
上条は少し、恐怖を感じた。まして、自分を彼氏?下僕?と指定が入っている。
2人だけの空間。それも、絵本にしか出てこないような花畑が永遠に広がっている。
茫然と立ち尽くす上条の右腕にやわらかいものが当たる。そして、あまいにおいもする。そして、
「――――っ!」
上条は顔を赤くする。体温が急激に上がっていくのを感じた。右ほほにとても気持ちのいい熱が触れる。
そして、暖かいものが頬を離れていく。それと同時に熱のこもった吐息が掛かってくる。
いつも電撃を放ってくる中学生は、少し大人の階段を上っている。いつものつんつんした感じはさらさらない。
美琴は、上条の体に自らの体を預けている。そして、絡めてくる。上条の体はバランスを崩してしまった。
ばさっと二人はその場に倒れる。上条は美琴にその身を押されつけられている状態にある。美琴は、すでに大人の色気を感じさせる顔になっている。
そして、熱のこもった声で美琴は甘えてくる。
「ねえ、とぉまぁ。もうどっかにいかないで。私の目の前からいなくならないで。」
「…」
「当麻は何も言わずにどこかに行っちゃうんだから。私の気持ちも知らないでさ。」
「…」
「あんたがいないと私ダメダメになっちゃうの。こんな超能力者(レベル5)なんてこの世界には用無いわよね。」
「・・・・いいんだよ。それで。全然だめじゃねえ。お前はレベル5の前にひとりの女の子なんだよ。」
「えへへ。私女の子って言われたぁ。うれしい。」
「わかってるぞ。お前のその顔見てたいから。」
「あのさ、自分が何言ってるか…わかってんのぉ?」
「しらないですなぁ。」
「・・・・ばかぁ♪」
そして、暖かいものが頬を離れていく。それと同時に熱のこもった吐息が掛かってくる。
いつも電撃を放ってくる中学生は、少し大人の階段を上っている。いつものつんつんした感じはさらさらない。
美琴は、上条の体に自らの体を預けている。そして、絡めてくる。上条の体はバランスを崩してしまった。
ばさっと二人はその場に倒れる。上条は美琴にその身を押されつけられている状態にある。美琴は、すでに大人の色気を感じさせる顔になっている。
そして、熱のこもった声で美琴は甘えてくる。
「ねえ、とぉまぁ。もうどっかにいかないで。私の目の前からいなくならないで。」
「…」
「当麻は何も言わずにどこかに行っちゃうんだから。私の気持ちも知らないでさ。」
「…」
「あんたがいないと私ダメダメになっちゃうの。こんな超能力者(レベル5)なんてこの世界には用無いわよね。」
「・・・・いいんだよ。それで。全然だめじゃねえ。お前はレベル5の前にひとりの女の子なんだよ。」
「えへへ。私女の子って言われたぁ。うれしい。」
「わかってるぞ。お前のその顔見てたいから。」
「あのさ、自分が何言ってるか…わかってんのぉ?」
「しらないですなぁ。」
「・・・・ばかぁ♪」
そういって、美琴は上条の唇に静かに自分の唇を乗っけた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
上条は、夢から覚めた。だが、体が重い。というより、自分の体に別の重さの物がのしかかっていることに気付く。
夢から覚めたところで彼の体が元の大きさに変わることはなかった。夢の中では彼は元の高校生の体であったので、元に戻る希望も持っていたのだが。
彼は絶望した。心の中で不幸だとつぶやく。しかし、自分の右手にくっついている物体はいまだに眠りから覚めていない。それどころか恥ずかしい寝言のオンパレードである。
右腕はすでに暖かいものにくるまれた状態で動かそうにも動かせない状態である。そして、耳元には暖かい息が吹きかけられている。
つまり、寝言がダイレクトに上条の耳に伝わる。そして、その茶色の髪からかすかに甘いにおいがしてくる。というより、上条は2年間の成長結果にドキドキしている。
今では、上条の知っている女教皇や高校の警備員(アンチスキル)教師には及ばないが膨らんできた母性に上条は鋼鉄の理性を失いかけていた。
上条がひとりでドキドキしていると、その夢にまで出てきた少女が目を覚ます。
上条は、夢から覚めた。だが、体が重い。というより、自分の体に別の重さの物がのしかかっていることに気付く。
夢から覚めたところで彼の体が元の大きさに変わることはなかった。夢の中では彼は元の高校生の体であったので、元に戻る希望も持っていたのだが。
彼は絶望した。心の中で不幸だとつぶやく。しかし、自分の右手にくっついている物体はいまだに眠りから覚めていない。それどころか恥ずかしい寝言のオンパレードである。
右腕はすでに暖かいものにくるまれた状態で動かそうにも動かせない状態である。そして、耳元には暖かい息が吹きかけられている。
つまり、寝言がダイレクトに上条の耳に伝わる。そして、その茶色の髪からかすかに甘いにおいがしてくる。というより、上条は2年間の成長結果にドキドキしている。
今では、上条の知っている女教皇や高校の警備員(アンチスキル)教師には及ばないが膨らんできた母性に上条は鋼鉄の理性を失いかけていた。
上条がひとりでドキドキしていると、その夢にまで出てきた少女が目を覚ます。
「今、何時かわかるかしら?」
「そうだな。うーんと・・・11:37分くらいだな。それにしても良く寝たな。」
「そうね。あんたの寝顔もみれたしな。・・・えへへ。かわいかったわよ。それにしても・・・」
「それにしても?どうしたんだ?熱でも出したか?」
「う・・・ううん。でも、あんたって結構強引だったのね。えへへ。」
「そうだな。うーんと・・・11:37分くらいだな。それにしても良く寝たな。」
「そうね。あんたの寝顔もみれたしな。・・・えへへ。かわいかったわよ。それにしても・・・」
「それにしても?どうしたんだ?熱でも出したか?」
「う・・・ううん。でも、あんたって結構強引だったのね。えへへ。」
美琴は、顔を真っ赤にしてあうあうしている。上条はなぜそういうことになったのかわからない。彼が敏感であったならこんなことないのに。
それにしても、ひとりで顔を真っ赤にして口をちいさく動かしているところをみるととてもかわいらしい。なんだかかわいいなと上条は思ってしまう。
二人とも隣り合ってお座り状態である。しかも向かい合って。二人とも下を向いている。2年間も一緒にいることがただでさえ多い二人は、それぞれ違う意味合いで触れ合っている。
いまは、ツンツン頭はさっき見た夢のことを思い出して、顔を真っ赤にしている。その迎えにいる茶髪少女は自分の大好きな人の寝顔と“強引“な行動に顔を赤くしていたのだった。
二人は、顔をあげると相手の顔が真っ赤なことにおかしさを感じて笑ってしまった。というかお互いさまなところがある。似た者同士、笑うつぼも同じなのかというくらい。
彼らのやり取りは彼氏彼女の関係では見えなさそうなことばかりやっているのである。むしろ、仲のいいきょうだいだと思われることが多かった。
それがに日常であるくらい彼らが2人でいる機会が多かった。
それにしても、ひとりで顔を真っ赤にして口をちいさく動かしているところをみるととてもかわいらしい。なんだかかわいいなと上条は思ってしまう。
二人とも隣り合ってお座り状態である。しかも向かい合って。二人とも下を向いている。2年間も一緒にいることがただでさえ多い二人は、それぞれ違う意味合いで触れ合っている。
いまは、ツンツン頭はさっき見た夢のことを思い出して、顔を真っ赤にしている。その迎えにいる茶髪少女は自分の大好きな人の寝顔と“強引“な行動に顔を赤くしていたのだった。
二人は、顔をあげると相手の顔が真っ赤なことにおかしさを感じて笑ってしまった。というかお互いさまなところがある。似た者同士、笑うつぼも同じなのかというくらい。
彼らのやり取りは彼氏彼女の関係では見えなさそうなことばかりやっているのである。むしろ、仲のいいきょうだいだと思われることが多かった。
それがに日常であるくらい彼らが2人でいる機会が多かった。
「あのさ、アンタ。お昼どうするの?さすがに冷蔵庫の中何も入ってないわよ?」
「そうだな。今日はスーパーの特売りがあるからその時に買っておこうかな。って思っていたんだよ。」
「あんたさ、私の聞いてること意味わかってる?お昼どうするの?」
「昼はいつも抜いているんですよ?お嬢様のあなたとは違うお財布事情とにらめっこなのですよ。」
「あ・ん・た・はぁ。最近は、あんたの貧乏スキルのおかげで金銭感覚が庶民化したわよ。ったく。あんたのせいよ。」
「それは、失礼しやした。上条さん的には、この体で外には出たくないのですよ。」
「あんたの気持ちもわかるんだけどさ、ここにだけいるのも体に良くないわよ?今日はずっと晴れるんだから。」
「わかった。そのかわり、服のサイズがでかすぎんだよな。とりあえず、どこかで服でも見に行きたいのですが。それとも、美琴たんが行ってくれますか?」
「わ、わわわ私だけだと変に思われるじゃない?ばかじゃないの?あんたは。」
「わかった。とりあえず、準備するから。でさ、たぶん下が歩いているうちにずり落ちそうなのですが。」
「…しょうがないわね。ちょっと待ってなさいよ。のぞくなよ?」
少し、顔が赤いが美琴がにやにやしてそんなことを言っているのだから、上条はいやな予感、または変な予感がすると思った。
美琴は、上条をユニットバスのほうに押しやって、たんすの中にこっそり隠しておいた私服に着替えてデカフレームのメガネをかけた。
今回は少し違って鉄壁のガードをつけていなかった。そして、自分のポーチの中にあったメイクセットで軽く化粧を直した。
風呂場のほうに追いやった上条を呼びに行った。そして、風呂場のドアをノックした。
「そうだな。今日はスーパーの特売りがあるからその時に買っておこうかな。って思っていたんだよ。」
「あんたさ、私の聞いてること意味わかってる?お昼どうするの?」
「昼はいつも抜いているんですよ?お嬢様のあなたとは違うお財布事情とにらめっこなのですよ。」
「あ・ん・た・はぁ。最近は、あんたの貧乏スキルのおかげで金銭感覚が庶民化したわよ。ったく。あんたのせいよ。」
「それは、失礼しやした。上条さん的には、この体で外には出たくないのですよ。」
「あんたの気持ちもわかるんだけどさ、ここにだけいるのも体に良くないわよ?今日はずっと晴れるんだから。」
「わかった。そのかわり、服のサイズがでかすぎんだよな。とりあえず、どこかで服でも見に行きたいのですが。それとも、美琴たんが行ってくれますか?」
「わ、わわわ私だけだと変に思われるじゃない?ばかじゃないの?あんたは。」
「わかった。とりあえず、準備するから。でさ、たぶん下が歩いているうちにずり落ちそうなのですが。」
「…しょうがないわね。ちょっと待ってなさいよ。のぞくなよ?」
少し、顔が赤いが美琴がにやにやしてそんなことを言っているのだから、上条はいやな予感、または変な予感がすると思った。
美琴は、上条をユニットバスのほうに押しやって、たんすの中にこっそり隠しておいた私服に着替えてデカフレームのメガネをかけた。
今回は少し違って鉄壁のガードをつけていなかった。そして、自分のポーチの中にあったメイクセットで軽く化粧を直した。
風呂場のほうに追いやった上条を呼びに行った。そして、風呂場のドアをノックした。
「あけてくれる?」
「ああ。」
「とりあえず、今は応急処置としてこれはいててくれない?何も言わないでよ。こっちだっと恥ずかしいんだから。」
「わかった。ありがとうな。」
「ああ。」
「とりあえず、今は応急処置としてこれはいててくれない?何も言わないでよ。こっちだっと恥ずかしいんだから。」
「わかった。ありがとうな。」
しばらくして、上条は風呂場から出てきた。