とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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母の助言



「どうしたらアイツが積極的になるんだろう」
 御坂美琴は一人呟いた。美琴は一端覧祭で上条に告白しはれて恋人になったのだが、まったく上条からは特別な変化はなく一人やきもきしていた。

「たく…料理も掃除も完璧に出来ているのに何が足りないのかなやっぱり…胸かな?」
 色々考え悩んでいる所に携帯が着信を知らせた。

「ヤッホー。美琴ちゃん元気」
 電話を掛けてきたのは、美琴の母、美鈴であった。
「なんだ…母さんか、何か用?」
「なんだ美琴ちゃんそのつれない返事は、もしかして当麻くんとうまくいってないのかな?」
「アンタに言われる筋合いじゃないのよ」
「美琴ちゃん酷いよ折角母が、愛する娘の為に絶大な協力者を連れてきたのに」
「な…何よその協力者って」
「あっ信用してないな今から代わるから」
「えっちょっと」
「もしもし美琴さんお元気ですか」
「あっその声、当麻のお母さん?」
 美鈴が言っていた協力者は、上条当麻の母詩菜であった。

「あら。覚えてくれたのですね、お久しぶりです」
「大覇星祭以来ですね。でも何でうちの母と一緒に…」
「あらあら。知らなかったのかしら、私と美鈴さんはご近所なんですよ」
(なんだってー)美琴は心の中で叫んだ
「驚きました。まさかご近所だとは」
「うふふ。私も美鈴さんと近所でお会いした時は、何か運命を感じましたわ」
「そうなんですか」
 美琴は、そう返事をしつつも(あの馬鹿母が早く教えなさいよ)と考えていた。
「そう言えば、美鈴さんからお伺いしましたが、美琴さんは当麻さんとお付き合いなさっているそうですね」
「あっはい。そうなんです」
 美琴はまた、そう返事しつつも(あの馬鹿まだ親に話していなかったんだ)と思っていた。
「多分当麻さんも刀夜さんと同じで、気づかないうちに女性とお知り合いになり、その後の無自覚な言動でよい雰囲気になりませんか?」
「うっ反論ありません」
 あまりにも的確すぎる詩菜の発言に、美琴はそれしか言えなかった。
「多分、そんな当麻さんとお付き合いしている美琴さんに、当麻さんの事をお話しようかと思ったのですが迷惑でしたか?」
「全然そんな事ありません。是非聞かせてください」
 美琴は、当麻と同じフラグ体質を持つ刀夜の妻である詩菜の助言を受け入れた。
「あらあら。どうやら美琴さんも、当麻さんに苦労されているようですね。じゃあ当麻さんの好きな食べ物からいきましょうか」
「はい、お願いします」

 詩菜から当麻に関する情報を聞けた美琴だが
(よく考えたら…アイツ記憶喪失じゃない、大丈夫かな?)そう考えていた時に詩菜から
「そう言えば。当麻さん小さい頃、耳かきが好きでよく私の膝の上で寝ていたんですよ」
「耳かきですか」
「当麻さんたら、気持ちいい所を掻くと、小さく掻いている方の指がピクピク動いて、最後はヨダレ垂らして寝ちゃうの、とても可愛かったのよ」
「そうなんですか、少し見てみたいですね」
「うふふ。美琴さんも、時期に見れますよ。あら。長電話になっちゃいますね、今度当麻さんの事で相談があったら、美鈴さんから電話番号聞いて私に電話くださいね。美鈴さんに代わりますね」

 電話を代わった美鈴からは上機嫌な声で。
「うふふふ。美琴ちゃんどう?凄い協力者だったでしょ」
「確かに凄い協力者だったけど。なんで知り合いって教えてくれなかったのよ」
「だってその方が面白いじゃない」
「たくこのバカ母は…まぁ紹介してくれた事には感謝するわ」
「ハイハイ。美琴ちゃん今から早速ダーリンの所へ行ってさっきの情報使うの?」
「うっさいのよバカ母。もう切るね後メールで当麻のお母さんの連絡先送って」
「ハイハイ。わかりました。つれない娘をもって母は悲しいよ」
「もういいでしょ。切るよ、じゃあね」
「美琴ちゃん頑張ってね~」

「たく…あのバカ母は」
 そう一人ごちると美琴はコンビニに向かい、立ち読みでもしようとしたらふと化粧品コーナーにある耳かきに目が止まった。
「…もしかしたら気持ち良いと指がピクピク動くのは、記憶とは関係ないから面白いかも」
 そう考え耳かきを購入して当麻のいる寮へ向かった。

 ピンポーン
「どちら様って美琴かなんか用
「アンタね、私達は恋人なんだから。彼女が彼氏の家に遊びに行くのは普通なの」
「ヘイヘイ。わかりました、まぁ上がれよ」
「そう言われなくても、上がりますよ」

 しかし、上条の部屋に来たものの美琴は気づいた
(…どうやって耳かきしようか)
 どうやって耳かきしようかと考え、当麻の耳をジーっと見ていたら
「なんだ美琴?俺の耳をずっと見て。もしかして最近耳かきしていないから汚れているのか?」
 美琴は当麻の言葉をチャンスと思い
「そうよ。さっきから気になっていて、つい見入っちゃったんだ」
「そうか…んじゃ耳かきするか」
 そう言って当麻は、ゴソゴソと耳かきを探し始めた。
「ああああ不幸だ…」
「何どうしたの?」
「耳かき折れている。どうしよう…無償に耳掻きしたいのに」

 当麻からの悲しい呟きに、美琴はにやっしながら。
「大丈夫。私が持っているから」
「お前、何で耳かき持っているんだ?」
「そんなの別にいいじゃない」
「まあいいか。じゃあ貸してくれよ」
「駄目」
「えっ?何で駄目なんだよ。上条さんは、お前に言われて、耳が気になって、今もの凄く痒くなってきてんだから」
 上条が悲痛な面持ちで話していると、美琴はベットに腰掛けて膝をポンポン叩き出した。
「あの…美琴さん?もしかして膝枕で耳かきをしてくれるのでしょうか?」
「だって私達は恋人同士なんだから。いいでしょ、ほら早く」
 膝枕に躊躇した当麻だが耳の痒みが限界に達して、美琴にお願いを始めた。
「美琴さんお願いします」
「最初から素直になりなさい」
「ハイハイ」

 美琴の耳かきが始まった
「アンタね、一体いつからしてないの」
「上条さんは、忙しいんですよ。する暇が無かったんですよ」
「アンタの忙しいは、今は補習と宿題でしょ」
「うっ…反論余地もございません」

 そう話しながら美琴は、手前側の掃除が終わり。奥の方へ取り掛かった。奥の方はこびりついた耳垢があり、それを剥がそうと小刻みに動かしていると
「ピクッピクッ」
 美琴は当麻の微かに動く指に気がついた
「…アンタもしかして今気持ちいいの?」
「何でわかったんですか美琴さん。上条さんは何も喋っていないのに」
「ふふーん。私はアナタの恋人なのよ、そのくらいわかって当然なのよ」
 そう話ながらも心の中では(情報ありがとう当麻のお母さん」と呟いていた

 美琴は当麻の微かに動く指の動きを気にしながら耳かきを続けていたら
「うわっ冷たい!」
 当麻は美琴の膝の上で気持ちよさげに涎を垂らしながら、眠っていた。
 美琴はすやすや眠る当麻を見て
「本当に当麻のお母さんのいった通りだ」
 そう思い、しばらく当麻の寝顔を見ていると
「お…お母さん…」
 上条からそんな寝言が出てきた

 美琴は「折角恋人が耳かきしてあげているのに何でよ」と思ったがふと気づいた。
「あれ?コイツ母親の記憶は無いのに、なんで?…私の事を、母親と思って言ったの?」
 美琴は、そう考えていたら、今まで当麻の事をどうにかしたいと思っている自分が馬鹿らしくなり、今は母親に甘える子供を癒すようにそっと髪を撫でていた。

 数時間後
「んっ…あぁ」
「おはよう。当麻」
「あっ悪い美琴。足痺れていないか?」
 当麻はうっかり寝てしまい、ずっと膝枕をしていた美琴を心配してみたが
「ちょっと痺れたけど大丈夫よ、ありがと」
 普段ではなかなか見られない優しい顔をした美琴がそこにいた。
「そうか…悪かったな」


「ねぇ、アンタに聞きたいことがあるけどいいかな?」
「なんだ、急に」
「やっぱり男の子って、恋人とか結婚する人に対して、母性まぁ母親みたいな人を求めるの?」
 美琴は寝言の真意を確かめてみた。

「まぁ一概には言えないけどな。俺には母親の記憶がないから母性とかはわからないけど、俺は求めるな」
「なんで?」
「やっぱり母性とか母親って、安心するって言うか、落ち着く。って言う意味が一番かな」
「ふーん、そうなんだ」
「どうした?美琴、なんか上機嫌だけど」
「何でもない。ただ私が馬鹿みたいに足掻いていただけが、わかったことかな」
「なんだそりゃ?」

 美琴は、まだ半分しかしていない耳掻きのことを思い出し
「で…どうする反対側の耳かきは」
「ん~、今日は時間も遅いし、明日またお前にお願いするよ」
「アンタ、自分でやんないの?」
「んっ…いやなんだ…自分でするより気持ちがいいからな」
「ふーん。じゃあこれからは、アンタの耳掃除は、私しかしちゃいけない。自分でするのも駄目だよ」
「それじゃどうしようもなく掻きたくなったらどうすんだよ」
「大丈夫じゃないの?そこまでほっらかしにしていたくらい鈍感なら」
「返す言葉もありません…」

 当麻から事実上の耳かき独占権を手見入れた美琴は、
「じゃあ、この耳かきは持ち帰っていくね。アンタが勝手に耳かきしないようにね」
「ハイハイ。わかりました」
「じゃあ。私帰るね」
「送って行くぞ」
「いい。まだそんなに遅くはないし、一人で帰りたい気分なんだ」
「そうか…気をつけて帰れよ」
「わかった。ありがと」

寮への帰り道。美琴の帰る足はとても軽く
「私の事をお母さんかぁ。うふふふ…」
そう言って、今日あった幸せに浸る美琴の姿があった。


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