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ライターオイル

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ライターオイル 05/03/15

  古本を買った場合に限らず、値札を綺麗に剥がす技がある。

  これは古本に関するミステリとして活字中毒者を熱狂させたジョン・ダニング「死の蔵書」で紹介されていたもので、もう十年も前の事だからかなり浸透していると思う。

  この値札剥がしであるが、隅を慎重に起こしてその後じわりじわりと引っ張る場合、比較的新しい値札ならば跡形も無く剥がれる。古い値札であれば表の文字部分と裏の糊部分が分離してしまう。これを失敗と呼ぶ。

  値札を剥がす為に用意された専用の薬液も売っているが身近なものではなく、しかも理不尽に高い。代わって使うのはライター用のオイルだ。 ZIPPOオイルだけを指すわけではないが、それ以外には余り見掛けない。ZIPPOオイルはコンビニのライター近辺に並んでいるから入手に手間は掛からない上に安い。

  これを剥がしたい値札に染み込ませる。直ぐに揮発するので手早さが要求される。乾いても再び染み込ませれば良いだけで、あとは湿った状態の値札を剥がすだけだ。ただし乱暴に剥がすとやはり表と裏が分離するのだが、ライターオイルを使う利点としては「意地になった爪跡が残ったりしない」「例え表と裏が分離しても拭き取る事が可能」「乾けば跡が一切残らない」が挙げられる。

  分離して糊だけがべっとり残っている値札でも、ライターオイルを数滴振りかけてから塵紙などで擦れば剥離する。昔は古本を専門とする人々だけが知っていた知識であったが、十年前に古本に縁のある活字中毒者達が知ってより以来役に立つ情報として護ってきた。しかし最近は一般にも知られてきたようなので構わないだろう。染み込んだオイルが跡として残るのではないかと恐れる向きもあろうが心配ない。完全に乾くと全く跡が残らないからだ。例外として陽に焼けて変色した紙が値札部分だけ変色せずにいた場合、剥がすと「値札の形がくっきり白抜きになる」こともある。

  ライターオイルとは、つまりアルコールランプのアルコールに相当する燃料なのであって、危険物である。この四月からはテロ対策として米国籍航空機への持込が禁止されるのだが、容器を移せば簡単に網を潜れるから事実上意味はない。またライターは一人で一個だけが許され、残りは廃棄されるらしい。ブタンガスの場合は爆発の恐れがあるからオイルよりは破壊力はあるのだが、ライターを一律禁止にしない以上本当に意味はない。

  さて、ライターの燃料を製造販売しているメーカーは米国籍航空機への持込禁止措置で頭を抱えているそうだが、ここを先途と見極めて空港その他への供給を増やすべきである。持ち歩く事が出来なくなる以上、「何処でも買える」を徹底すれば売上は今より伸びるのである。
 
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