channelに新たに東雲野々芽とデルマンが加わった。
ミリィと
たくっちスノー2人でトークするのも限界だったので助かったとばかりに2人を歓迎する。
「ところで、2人は炭さんとどういう仲なの?」
「俺は配信中にオタクらが言ってたやつ見たわけよ、ゴジラ……みたいなやつの仲間!キンキラキンでドラゴンみたいなやつ!」
「ああキングギドラね……そんな有名じゃないのか?アレ、それで野々芽さん……その」
「……あ」
「さっきからずっと1文字しか喋ってないんだけど……あの、少し寂しくなってくるので……ね」
「ああー、アレはしょうがない感じでしょ、のののはサイキックが活性化した代わりに声帯とか退化してるんであれだけ喋るのも精一杯って感じなわけ」
「その割にはテレパシーみたいなの全然してこないわけだけど」
「え?俺の方にはバリバリ届いてくるんだけど……ああー、あれじゃね?テレパシーって脳に伝達する技術だけどオタクら脳みそ無くね?」
「お、おかしい!一応超能力っぽいこと出来るのに一方通行なんておかしいぞたくっちスノー!!」
「
マガイモノってこんな不便なところあるのか……なんか除け者みたいで寂しくなってくるぞ!?」
なにはともかく賑やかになってきた都市伝説調査チーム、デルマンと野々芽はこれまでたくっちスノー達が回収してきた都市伝説のデータを確認する、実際には雑談がてらまとめた奴もあるので資料は結構ある。
「へー実際こんなんなんすかー、てっきりお遊びってんでジブリのトトロは死人の話とかそういうの信じてるもんかと想ってたわー」
「俺は結構舐められてたのか……まあそれともかく、新メンバー集まったんだからもうちょっとこう変わった都市伝説を追いかけてみたいな?」
「うーん変わった都市伝説って言われてもな……
時空新時代になってから生まれた都市伝説とかなんかないかな?」
「……わ」
「知ってるってよののの……といってもわからないか?」
「ああ畜生!こうなったら自分達もテレパシーを伝われるように出来る装置を発明してやる!ミリィとユリコさん、後の話は頼む!」
「えっちょっとたくっちスノー!?野々芽がいないとそもそも話が始まんないんだが!?」
10分後、たくっちスノーは小さめのキャップを被って現れる、あの後本当にテレパシーが聞き取れる装置を開発したらしい。
バカ5人のうち三人が発明家だが、クオリティと性欲ならポチ、スピードとロマンならたくっちスノー、そしてミリィは作りやすさと快適性で差別化されている。
かくして完成したのが野々芽用テレパシー電波増強パッチキャップ。
帽子を被ったらたくっちスノーやミリィでもがっつりテレパシーが聞こえるようになる。
『ああなんかやっと話出来たわ不便でしょうがないねんこのテレパシー』
「あれなんで関西弁になってるの?」
「あっしまったキャップの設定戻してなかった」
◇
「改めてお話出来るようになったわけどすけど、ちゃんと問題のう機能してますのん」
「なんで京都弁にしたの?」
「野々芽さんがこれがいいって言ったから……一応色んな言語に対応してるけどひとまずこれで改めて聞いてみるか」
野々芽とようやく会話が出来るようになったのでようやく本題に入る、比較的新しい時空ならではの都市伝説について……。
「噂によると普通の物とは大きゅう異なる特別なゲーム存在してるそうどす、一見するとただのゲームカセットのように見えるけどゲームの幅を越えた新時代の作品、それが反映ゲームどす」
「反映ゲーム?いいじゃんそれなんか、俺もVRゲームとか大好きよ」
「は……反映ゲーム?やばいな、聞いたことあるぞソレ……メイドウィン共が話してたんだけどさ、メイドウィン達とは別で世界を思うがままに操作できる手段が見つかったとか」
野々芽の噂とたくっちスノーが聞いた話を合わせてみると、メイドウィンでなくても一部の世界を自分好みにコントロール出来るゲームが存在するという。
たとえば料理店のゲームをやれば現実にその料理店を経営できるということだ、家から出ずに五つ星レストランを作れるなんて夢のまた夢だろう。
戦略シミュレーションなら最強の軍師に?聞いてると夢がある内容だ、でもそんなものが噂でも存在してたらメイドウィンの面目丸つぶれである。
神様が気にするレベルというだけで信憑性が高まってくる。
「反映ゲームってどんなゲームなんだ?カセット式なのは分かるけどさ……」
「ああなるほどね、確かにどんなゲーム機を使えば遊べるのかとかまではわかってね〜ですってか」
「ユリコさんも電子の海でそんな作品聞いたことないって言ってるね……」
ゲーム画面を越えて現実にも影響を与えてくる作品、それだけの物を動かすとなるとハードもよっぽど高スペックなものを要求されるだろう、エミュレータで再現なんて不可能かもしれない。
しかしここまで未知の代物を相手にしてスケールが高いとなると、デルマンもカメラを磨いてワクワクしていた。
「じゃあ早速調査っしょ調査!何かやらないと気がすまねーしちゃくっと動画配信にしちゃおうて!」
「お……おう……なんというかオカルトで真っ先に死にそうな振る舞いしてんね君、わざと?」
「じゃあミリィは任せた、自分はユリコさんと一緒にメイドウィン達の情報収集に入る」
◇
デルマンとミリィが向かった先は中古ゲーム屋、普通のゲームショップなどを見るよりはこういうところの方が胡散臭い作品も揃っているだろう。
例の
ぴかちゅうの都市伝説も元は中古ゲームだし。
中古ゲーム屋と言ってもちゃんとした会社ではなくデルマンお墨付きの胡散臭いお店であり、海外の非公認ゲームや中身が入ったマジコンが売られていたこともあったらしい。
「なんか聞いてるだけでヤバそうだけど……反映ゲームの事とか知ってるやついるのかな」
「ま、そのついでで良い感じなゲーム探せば良くない?レトロゲーとかマイナーゲーとかもお宝満載だしよ」
「それもそうか……じゃあ俺もついでにゲーム探してみようかな」
「すみませんこの5点……領収書は
時空監理局であっ」
「あっ」
と、少し前ぶりにポチと再会、相変わらず
ジーカで大人買いしているところに遭遇していた。
その手には変なゲームの山がカゴに乗っかっているではないか、なんともまあ怪しすぎる奴に会ってしまった。
持ってるゲーム自体は普通の作品だったが、ポチのことだから後から普通ではなくなるのだろう。
ゲームをあっという間にクリアまで進めていくポチに仕方ないのでミリィは話をふっかけることにした、こういう怪しいゲームに関してはオタク知識の強いポチならある程度知ってることだろう。
「その……反映ゲームって都市伝説追ってるんだけど、何か知らないか?」
「反映ゲームだったら俺持ってるよ、2個だけ」
「そうか知ってるのか……え!?持ってる!?」
◇
「一気に大躍進だぞおい……」
情報が掴めるどころか実物が存在する上に入手してしまったChannel、ポチはプライベートルームからカセットを取り出す。
「反映ゲームは決まったハードとかがあるわけじゃないんだ、時空行けるゲーマーはこのゲームおかしいな?ってカンで気付いてそれが反映ゲームだと気付く感じかな」
「じゃあオタクが2本反映ゲームを手に入れたのって?」
「まあ運だね、あっちこっち巡って手段も選ばず探し回って数百本くらいゲーム手に入れたけどその内の2本だけ」
ポチが遊んだうちの2本の内容は悪の組織を作成する『AJITO』とようなものと美少女系バレーボールと全く異なるジャンルである、何故ポチが気がついたのかというと、ニュースで見てゲームで見たものそのままの情報が流れてきたという、悪の組織までは偶然で済ませられたがバレーチームの特集に映っていたのはキャラメイク機能で作成したキャプテンだったという。
「そういうのってメイドウィンが便乗したりするわけ?」
「しないね……というか、
はじまりの書絡み以外の所にこだわるメイドウィンなんて稀じゃねえかな、自分がその稀側とはいえ」
「えっお前さんメイドウィンなの?」
「そうだよ、この二人はメイドウィンとその影武者が暇つぶしでやってたわけだね」
「言い方にちょっと悪意込めてない?」
とりあえず反映ゲームの都市伝説は事実ということが分かったが、これはこれで気になることが多くなっていく。
ポチが言うように時空とリンクするゲームを見つけられるかどうかは現状運だが、そもそも何故時空とリンクするゲームが作られるのだろうか?
反映ゲームになった2作品を調べているが、企業や世界の関連性などもない。
しかし実際に生まれたからには何かしらの法則性が存在しているはず、ないしは手を加えた何者かがいるはずだ。
「野々芽さんってテレパシー使えるなら人の心読めたりとかしないの?」
『普段はそこまで高度な超能力を使うことはあらしまへんさかい』
「難しいってことね……とりあえずユリコさん、このゲームの開発元サーバーに侵入して情報を集めて、デルマンはひとまず反映ゲーム2本で動画撮ってコメント欄から情報集めて」
「おーこういうことしてると調査チームっぽいわぁ」
「実際、人数が増えた分出来ることが増えて便利にはなってるよね」
各自行動に移していくが、ポチは自分ここに居てもやることないんだよなぁみたいな眼差しでデルマンの方を眺める、動画に出たいと頼み込んだりはしてみたが消されるかもしれないからダメとあっさり断られてしまったのでめっちゃ暇である。
しかしポチは当事者ではあるのでミリィと話をすることにした。
「それにしても暇潰し感覚だと思ったら新メンバーとか増やしたんだね」
「炭さんが幅を利かせてくれてね……というか二人ボッチで喋るのも大体キツくて……」
「まあ確かにキツイだろうね……あっそうだ、差し入れで焼き鳥あるけど食べる?ユリコさんとやら……は電子生命体だもんね、なんか一人だけのけものだったりしない?」
「ユリコさんなにか分かった?」
ミリィが焼き鳥をかじりながらユリコが集めてきた情報を確認すると反映ゲームらしきモノの報告は数多くあるが、やはりゲームジャンルや企業はバラバラであり共通点は見つからない。
買った状況に関しても怪しい中古屋かと思えばネット通販だったりとこれまた安定しない。
ダイモンのライブ配信を見ても持っているという人間は何人かコメ欄に現れるが、こちらも同じような感じである。
一つ分かったのは挙げるゲームが全員バラバラなので反映ゲームに変化するソフトは1本だけのようだ。
「うーん、まさにミステリーって感じだわ、いわく付きのゲームはその気になれば手に入るのになんでこんなもんが作られるのか誰にもわかんないって凄いわ」
「確かに……メイドウィンがなんかちょっかいかけてるわかでもないからな、ゲームの展開一つで世界の命運勝手に操作されるし想定外の出来事とかザラだしな」
「一体どこからこんなものが仕入れられるのか……」
「この手の時空絡みの店だと
黄金天国か時空通販局の2択だよね」
黄金天国は時空のどんなものでも売ってる最高級スーパーマーケット、時空通販局は一度お得意様になればたとえ相手が悪の総帥でも傲慢な次大帝でも商品を提供するある意味ではとんでもない会社である、下手したら時空監理局よりも自由すぎる場所ではなかろうか。
なお、たくっちスノー達は全然お得意様とかではない、その辺のスーパーで買ったり自分で作ったりしたほうが早いし安いからしょうがない。
「……と、とりあえず通販局行ってみる?」
「まあこういう商品に関して一番詳しいのはあそこだろうな……でも問題が一つある、時空の誰も通販局がどこにあるのか知らないことだ、黒影すら知らない」
「新しい都市伝説じゃんよそれ」
新時代後に生まれた組織なのに通販局の詳細も作られた場所も分からない、時空〇〇局という組織は監理局以外にも山程あるがトップシークレットに包まれているのは通販局くらいだ。
詳細は不明だが大体の商品は取り揃えてる上にどんな世界にも届けてくれる凄いところである、これが監理局絡みでもないというのだから時空はわけわからない。
「一応反映ゲーム注文してみるか」
『これで実際に届いたらこの会社の神経を疑うわ』
「じゃあとりあえず自分は黄金天国に行ってみる……あそこ入場料だけで3万ジーカ取られんだよな」
「オッケーまた改めて2時間後」
◇
……という約束だったのだが、たくっちスノーが帰ってきたのは4時間後、それもかなりの荷物を持って帰ってきた。
明らかに反映ゲーム以外の物まで大量に購入している図である。
「仕方ないだろ!!入るだけで金取られるデパートなんて見てたら色々と欲しくなってくるんだよ!!見ろよこれ凄いんだぞ!?」
『あの人って貯金やら絶対出来ひん系の人どすなぁ』
「これ経費監理局持ちだったりしないよね?」
「さすがにそれは黒影になんか言われるだろ……ちゃんと自分の金だよ」
「それはいいんだけどちゃんとゲーム買ってきたの?」
「試遊台で10本くらい遊んできたけど残念ながら影響はなし、お客のメイドウィン達にも話を聞いていたんだけどそんな怪しいもん作ってる所あったら会議にも話題になるはずなのに全く掴めないんだって」
「まあそうだよな……」
『うちちょい思い付いたんどすけどよろしいどすか』
「どうしたの野々芽さん」
たくっちスノーが無駄に豪遊している間、野々芽とユリコは別の可能性を頭に入れていた。
反映ゲームは突然現れたのではなく誰かが作ったわけでもない、それよりはるか昔から存在していたオーパーツ並びにロストテクノロジーではないか?という説である。
つまりは、メイドウィンより先に世界を管理するためのプロトタイプ的な装置ではないか?ということだ。
だがメイドウィン以前なんてありえない、世界を作ったのがメイドウィンでありその始祖が黒影である、黒影が時空の全てを作ったのは当然の摂理である為に否定される……ことになるが、辻褄が合うものが一つある。
「メイドウィンが不明で今も尚未知が次々と公開されていくゲーム……ポケットモンスターゴーストブラック!」
「あのゲームが反映ゲームから作られたってこと!?ユリコさんゴーストブラックのカセットどこだ!?」
ユリコはGPS機能を使用してカセットの調査を行う、黒影が残しているものかと思ったら全く別の世界で反応がある。
「黒影局長が捨てた……?なんで?」
「分からない、分からないが……なんか余計にきな臭くなってきたぞ、なるべく黒影に問い詰めるのは避けておきたいんだよな」
「おい待てよ、アンタら何の話ししてるんだ?」
「多分黒影局長に面倒な仕事押し付けられてたんでしょ?君達」
隠す理由もないのでたくっちスノーは自分とミリィ、ポチは時空監理局の上層部であり、ついこの間局長から厄介なポケモンの都市伝説の話を押し付けられた末に一つの世界『ゴーストブラック』を調べていることまで説明した。
ダイモンと野々芽は思ったよりも驚いていた。
「てっきり炭さんから話くらいは聞いてるかと思ったんだが」
「いやいやいや、時空監理局とか一般人からすりゃ普通に同レベルの都市伝説モノなんだって、知り合いに聞いたりとかしないわけ?時空監理局の知名度」
「そうかなるほど……普通に受け入れてるものかと思ってたが信じてもらえてなかったとは」
「もしかして俺達のこれまでの知り合いとか他で仕事してる人もそのパターンなんじゃ……」
時空新時代で各世界に認知されて仕事も色々やっているというのに、時空監理局の周囲からの認識はなんかこんな奴居たなとか何をしているのか分からないとかその程度らしい、黒影がもっと目立つ必要があると言った気持ちも分かる気がしてきたが何故こんなにも知名度が無いのだろうか監理局は。
「都市伝説とは別でちょっと聞きたいんだけどさ、ダイモンや野々芽さんは時空監理局をどう思ってたわけ?」
「どうも何も今俺っちが言った通り、なんか名前くらいは聞いたことあんね〜でも何やってるのかどんな奴なのかよくわかんないね〜って、一般的な都市伝説と同じ認識ってわけ」
『大体おんなじような感じで、一体どこの誰で何がどう凄いんかいなんてねぇ…』
2人の発言に高速でユリコからいいねが付けられる。
怪異にすらよく分からないと思われてるとかさすがのポチも冷や汗をかいた。
「で、でもねえ!?色々やってるよね俺たち!?漫画雑誌作ってるよネオジャンプとか!」
「何その既存のパクリみたいなの、二番煎じばっかやってるとかなしっしょ」
「アイツラ自分が時空を作ってやったとか言うだけのことはしてるんだよ一応!」
『時空を作ったのは監理局の方やのうて各世界で生きる人達の頑張りやのうて?』
「やめて!これ黒影に聞かれたらマジでヤバイから!!」
◇
反映ゲームに関しては都市伝説の垣根を越えた話になりかねないので、一旦ポチが持ち帰ることにした。
またゲームが見つかればChannelに提供しようということになる。
そのついでとして、時空通販局についてもポチが調べてくれることになった。
ひとまず反映ゲームの調査資料をまとめたところで、ダイモンは今更時空監理局のメンバーであることを知って問いかける。
「なんでオタクらは都市伝説追いかけてるわけ?」
「単なる趣味かな」
「そんなノリだから都市伝説並の空気感じゃね?」
最終更新:2025年06月12日 06:52