夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

月山習&バーサーカー

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匿名ユーザー

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 薄暗い部屋の中、蹲る影がある。
 影は一つの単語を呟き続ける。

「カネキくん、カネキくん、カネキくん……」

 どうしてこうなったのだろう。何故死地に向かう彼を止められなかったのか。
 止められなかったのは自分の実力不足だ。いや、その前に諦めさせる機会があったはずだ。
 食べるチャンスならいくらでもあった。初めて会った時、『レストラン』の時、教会で用意したロケーションの時。
 あの時、食べていればこんなことには……。
 いや、違う。違うのだ。ただ食べるのではない。最高の極みに達したカネキくんを、極上のシチュエーションで戴く。
 だからこそ彼を助け、剣となり従ってきたのだ。
 カネキくんが命を捨てるようなまねは、カネキくんだろうと許さない。
 なぜ自分が我慢し続けてきたのか。それは……食べる為だけ?

 ぐるぐる思考が廻る。食べるために従っていたのか、それとも違う理由?
 食べる機会を逸した無念。機会を見逃してよかったと思う歓喜。
 いったい何を間違ったのか。間違えてなどいなかったのか。

「……やり直したい」
 何をやり直したいのか月山自身分からぬまま呟いたその瞬間、月山の視界は暗転した。

――――――――

「C'est très bon! 何だ、この味は!!
 あの時のカネキくんのようで、異なるこのハーモニーはッ!?」
 手についた血をなめた月山は、思わず叫んだ。

 聖杯戦争。
 サーヴァントを使役し、万能の聖杯を奪い合う戦い。
 マスターとして選ばれた月山は、モアトリアム中ではあるが、既にサーヴァントを召喚した敵マスターを仕留めた。
 月山のサーヴァントならば、相手がどこにいるか手に取るようにわかる。相手の実力もある程度までは。
 もう一口、と月山が手を伸ばした瞬間、背中に衝撃が加わった。
「Gevaarlijk!」
 月山は地面と水平に飛行し、ビルの壁に激突した。
 思わぬ衝撃に振り向いた月山は、その理由に納得した。

 蹴り飛ばしたのは他ならぬ、月山のサーヴァントだったからだ。
 サーヴァントであるその女性は、白ずくめの衣装に、身の丈に余る大剣を背負い、瞳を金色に輝かせていた。

「面白い悲鳴あげてる場合じゃねーだろ。
 てめーどうしても人が食いたくなったら、あたしに気づかれないようにしろって言ったよなあ!?」
 月山に近づきながら、女は剣を背から抜き放った。
「待ってくれ! 彼女は、ガッ!?」
 女は月山の右腕を斬り飛ばし、胸ぐらを掴み壁へ叩きつけた。
「どうしても食いてえんなら望み通りにしてやるよ! まず両手足を斬り落とした後、お前の口に詰め込む!
 食って再生したらまた斬って入れるを繰り返す! てめーが衰弱死するまでな!!」
 そうして女が剣を振りかぶった。月山は慌てて叫んだ。
「か、彼女も『Mixed(混血)』だったんだ!
 何の混血かは分からないけど、確かに人以外の血が混ざっていた!」

「何だ、それを早く言いなさいよ」
 いきなり猫なで声になった女は、月山を放り投げた。

――――――――

 この聖杯戦争の舞台に召喚され、あてがわれたサーヴァントは、女性の戦士だった。
 三つ編みに尖った耳。鋭い銀色の眼光。白い衣装を身をまとい、背には身の丈に不釣り合いな大剣(クレイモア)。
 彼女は真名を『オフィーリア』と言った。
 オフィーリア! シェイクスピアの戯曲『ハムレット』のヒロインと同じ名前じゃないか。
 さらに彼女がどういうサーヴァントであるか問いただした時、僕は絶頂に達した。
 人を喰らう妖魔の肉片を移植された戦士。それはまるで彼のような――――。

 だが、それは勘違いだったようだ。いや、勘違いではないか。
 彼女は『ハムレット』のオフィーリアと同様に狂気に侵され、その上凶暴だった。
 僕が人を食する最中、いきなり腕を斬り飛ばされた。おかげで剣を止めるのに令呪を一角消費してしまった。
 その時の彼女はそれまでのしとやかな態度から一変、歪んだ笑みと金色の瞳に底知れない憎悪を秘めていた。
 必死の説得の結果、人間に近い化物の肉か、さもなくば気づかれないように人間を食するのならば見逃すという条件で、何とかマスターとして認められるようになった。

――――――――

「Don't be so scary. 落ち着け、落ち着くんだ」
 地べたに座り込んだ月山は独りごちた。

 まずは、何故この状況になったのか、考察する。
 恐らく月山がマスターを殺害したため、サーヴァントが消滅したのだ。
 それが理由でオフィーリアは何が起きたのが察したのだろう。
 さて……まずは腕の再生から始めようか。

 月山は懐から袋を取り出し、さらにその中から布を取り出した。
 それは常に持ち歩いていた、金木の血が付いたハンカチーフである。
 月山はそのハンカチで鼻を覆い、弓ぞりながら息を吸い込んだ。
 そして斬り飛ばされた月山自身の腕を見た。

「これはカネキくんの肉だ! ああ、なんてことだカネキくん!!
 僕のために、僕のために! 身を差し出してくれるなんて!!」
 月山は勢いよく腕を掲げ、食らいついた。
「トレッビアン! おいしいよ、カネキ君! 金木くん! カネキくぅぅぅぅん!!」
 肉を咀嚼する音は、やがて骨から肉をそぎ落とす音、骨を砕く音に変わっていった。

――――――――


「……To be or not to be(生きようか、死のうか)」
 月山は口から涎を垂らし、虚ろな目で呟いた。

 いくら思い込もうとしても、月山の腕は月山の腕。現実は変わりはしない。
 月山が深く息を吐くと、勢いよく下品に月山の腹が鳴った。
 腕は自食作用(オートファジー)で再生したが、結局再生のエネルギー分カロリーを消費している。
 どんなに絶望しようと、生理作用は止められない。どんなに悲しもうと腹は減る。
 そうだ、まだ肉が残っていたか。そう月山が気付いた時、変な音が聞こえてきた。
 ロープのような何かが、水袋からずるずると引きずられるかのような音。
 いや、何か、ではない。それは月山がよく聞いている音。

 それは、オフィーリアが、内臓を引きずり出し、食い漁る音だった。

 月山の視線に気が付いたオフィーリアは、血だらけの顔で笑った。
「……君は、人間を食う喰種……君たちの世界で言う妖魔か。そいつらを憎悪していたんじゃないのか?」
「いやね。あたしを妖魔なんかと一緒にしないでよ。
 何かね、あたしいっつもお腹ペコペコなの。なんか柔らかい活きのいい肉が、内臓食べたいって感じ?
 んーん、人間のなんかじゃないわよ。妖魔じゃないんだから。でも人間に近いとなんか美味しそうな感じがするの。
 これ、人間じゃないんでしょ? だから食べてもいいのよ」
 そう言ってオフィーリアは、腹に直接口をつけ、内臓を食う作業に戻った。

 数分後、内臓を食い終わったのか、オフィーリアは面を上げた。
 そして、何か思いついたかのように、肉を引きちぎった。
「どう、あなたも食べない? 私は内臓だけで十分だから」
 微笑み、肉を差し出すオフィーリアを見て、月山は思った。

 彼女についていこう。
 人間を喰らう者を誰よりも憎悪しながら、自身もまたそうである現実に気づかない異常。
 限りなく喰種――彼女の世界にいるという妖魔に近くありながら、己は人間であると信じ込んでいる狂気。
 こんな珍味、滅多にお目にかかれるものじゃない。
 そしていつかはカネキくんと共に食べながら、カネキくんを食べるのだ。

 月山はオフィーリアが差し出した手を握った。

【クラス】
 バーサーカー

【真名】
 オフィーリア@クレイモア

【パラメーター】
 筋力B 耐久C 敏捷A 魔力B 幸運E 宝具D

【属性】
 混沌・狂

【クラス別能力】
狂化:E
 理性を奪う代償に能力をアップさせるスキルだが、オフィーリアは元々狂った状態なのでその恩恵をほとんど受けていない。
 しかし、筋力と耐久が“痛みを知らない”状態となっていて、自身の身体の変調に気付けない。
 さらに自分のクラスをセイバーであると錯覚している。

(対魔力:-)
(バーサーカーなので対魔力は無い。オフィーリアは対魔力:Cと思っている)

(騎乗:-)
(バーサーカーなので騎乗スキルは無い。オフィーリアは騎乗:E-と思っている)

【保有スキル】
精神異常:A
 精神を病んでいる。狂化により歪んだ復讐心が戻った。
 通常のバーサーカーに付加された狂化ではない。
 復讐の対象のみならず、およそ全ての人間に対する嗜虐性。
 精神的なスーパーアーマー能力。

半人半妖:B
 その身に妖魔の血肉を取り入れた者。単独行動:Bに加えて実体化に必要な魔力が他のサーヴァントより少なくて済む効果を持つ。
 さらに妖魔の成り立ちから、対竜宝具の攻撃により受けるダメージが多少追加される。 
 実はオフィーリアは既に妖魔として覚醒しており、理性ではどうしようもない『人の内臓を食べたい』という衝動がある。
 だが、狂ったオフィーリアは、人間を食することを拒み、人間に近い生き物かサーヴァントのみ食しようとする。

妖力解放:B
 魔力を肉体の強化に注ぎ込み、筋力、耐久、敏捷値を上昇させる。
 魔力総量の10%以上で瞳が金色に変わり、30%以上で顔つきが醜く変貌し、50%以上で体つきが変化する。
 80%以上を超えると元に戻れなくなり、妖魔として覚醒する。
 ……というのが通常の戦士であるが、実はオフィーリアは既に覚醒している。

再生能力:D+
 魔力を消費し、肉体を復元するスキル。有害な毒素を体外に弾くこともできる。
 オフィーリアは既に覚醒しているため、時間をかければ四肢や内臓の再生が可能。
 魔力の消費に伴い、妖力解放に準じた肉体の変化が起きる。

妖気探知:B+
 オフィーリアを中心とした半径数km圏内にある魔力の大きさと位置を探知し、Bランク以下の気配遮断を無効化する。

漣の剣(さざなみのけん):-
 種別:対人魔剣 レンジ:2~4 最大補足:1人
 驚異的な全身の柔軟性により剣を波打たせ、刀身をうねる蛇のように操る。
 なお、オフィーリアはこれが自分の宝具であると思い込んでいる。

【宝具】
『大剣(クレイモア)』
 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大補足:1人
 クレイモアはオフィーリアの元居た世界では戦士の象徴、代名詞として扱われているため、宝具として登録された。
 特殊な能力は一切無いが非常に硬度が高く、格上の宝具と打ち合っても単純な物理攻撃なら、折れるどころか刃毀れ一つ作ることは無い。

『覚醒体・漣のオフィーリア』
 ランク:C 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大補足:1人
 オフィーリアが妖力解放の限界を超え、覚醒者となった姿。
 巨大化し、手には鉤爪が生え、下半身が蛇の胴体に変化。全ステータスに+補正が追加される。
 この状態でも死ぬ寸前まで、オフィーリアは自身の変化を認識できない。

解説
 クレイモアと呼ばれる戦士の中でナンバー4の戦士。同じ戦士からは『血塗られた狂戦士』と称される。
 幼い頃目の前で、兄が笑ったまま覚醒者に内臓を食われる場面を目撃し発狂。外観は理性を保っているようだったが、覚醒者に対する復讐心、兄への強い愛情と憎悪が人格を歪めていた。
 戦士になっても狂った人格は変わらず、妖魔や覚醒者に対する憎悪はあっても民間人をいたぶり、同僚の戦士を挑発して覚醒者になるよう仕向けたりと本末転倒な行動を繰り返していた。
 そんな中、とある覚醒者狩りのメンバーに選ばれ主人公のクレアと合流するが、半覚醒者のクレアを覚醒者として見定め、ゴナールの町の覚醒者諸共切り殺そうと暴走する。
 覚醒者を斬殺した後、ラキと共に逃げたクレアを追跡し、圧倒的な実力でクレアを追い詰める。
 さらに、突如現れたイレーネにも襲いかかるが、一太刀も浴びせられずに返り討ちに遭い、傷の痛みから錯乱し、覚醒してしまう。
 自らが覚醒したことに気付かないまま再びクレアに襲い掛かり、その最中に自身が覚醒したことに気付き再び錯乱するが、再戦の最中自我を取り戻し、クレアにプリシラ打倒の想いを託して散る。
 死の間際、兄が笑みを浮かべていた理由が自分が無事だったがためだと思い至り、満足とともに湖の底へ沈んでいった。

【基本戦術、方針、運用法】
 オフィーリアは令呪を使いでもしないと、全く従わないので自由に行動させるしかない。
 妖気探知でサーヴァントを突き止め、オフィーリアが戦っている最中に月山がマスターを仕留めるという分担作業になるだろう。
 オフィーリアにはサーヴァントか人外のマスターの内臓を食べたい(本当は人間の内臓を食べたい)という、理性で止められない衝動があるので、それも自由にさせるように。
 月山は、人間を食う姿をオフィーリアに見せないようにしよう。必ずオフィーリアに殺されてしまうので。


【マスター】
 月山習@東京喰種

【マスターとしての願い】
 カネキくんの消息を突き止める。もし既に死亡しているなら生き返らせる。
 そして受肉したオフィーリアを、カネキくんと一緒に食べながらカネキくんを食べたい。

【weapon】
 甲赫の赫子(かぐね)
 カネキの血が付いたハンカチーフ(保存袋に入れてある)

【能力・技能】
 喰種。
 人間が食べるような食物は食べられず(コーヒーのみ辛うじて飲める)、人肉しか食べられない代わりに高い身体能力と五感を得る。
 皮膚は包丁や拳銃では傷もつかない。
 喰種特有のRc細胞という細胞を持っており、それを体外に放出し『赫子(かぐね)』という特殊な組織を形成する能力を持つ。
 甲赫の赫子を持つ彼は肩甲骨からリボンのような螺旋状の赫子を出し、盾やドリル、先端を剣に変形させるなど攻防共に巧みに使いこなしている。

【人物背景】
 喰種の中でも変わり者と称される月山家の一族。人間の食べ方にこだわりや趣味嗜好が強い。
(ただ殺して食うのではなく、狙った人間を生かしたまま目玉だけをくりぬいて持ち去ったり、わざわざ専門の高級料理店で人体を調理させて食べるなど)
 あんていくで出会ったカネキに興味を示し、巧みに罠に嵌めて喰種レストランで食らおうとしたが彼が隻眼と知ると独占すべく解体屋を殺害し救出。以後、カネキに執心するようになる。
 打算的な欲望が大本とはいえ、その忠実な姿勢は金木から評価されており、反アオギリ解散の頃には信用はされなくても仲間として認められていた。
 そして原作13巻で喫茶「あんていく」が大量のCCG・喰種捜査官に強襲された時、店長たちを助けようとする金木を止めるため戦うが、敗北し失敗。
 続編の「東京喰種:re」では見る影もなく焦燥した姿になっているという。

【方針】
 オフィーリアに殺されないよう、うまくマスターを仕留め喰らう。

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