昔々 あるところに
とっても 怖い街が ありました
<魔界都市> と いいました
とっても 怖い街が ありました
<魔界都市> と いいました
昔々 その街に
とっても きれいな お医者さんが
住んでおりました
月の光さえ 羨むような ひと でした
その お医者さんの名は――
とっても きれいな お医者さんが
住んでおりました
月の光さえ 羨むような ひと でした
その お医者さんの名は――
一人のNPCが死に掛けていた。
清らかな磯の匂いを風が運んでくる、冬木市の港であった。
コンテナが複雑に立ち並び、一種の迷路を形成しているこの場所でその男は、ミミズが蠕動するかの如くモゾモゾと地を這って動いていた。
潮の臭いに異臭が混じっている。錆びた鉄の香りである。天上に浮かぶ満月の光が、この場に不釣り合いで、無粋な臭いの正体を照らしていた。
鮮やかな褪紅色の血液が地面に広がっていた。男は、その血液の上をビチャビチャと這っているのだ。
コンテナが複雑に立ち並び、一種の迷路を形成しているこの場所でその男は、ミミズが蠕動するかの如くモゾモゾと地を這って動いていた。
潮の臭いに異臭が混じっている。錆びた鉄の香りである。天上に浮かぶ満月の光が、この場に不釣り合いで、無粋な臭いの正体を照らしていた。
鮮やかな褪紅色の血液が地面に広がっていた。男は、その血液の上をビチャビチャと這っているのだ。
港の夜間警備を担当するこの男には、右肘より先と、左大腿より下がなかった。六秒程前に失った。
肘より先の部分は、その手にライトを握った状態で男の数m先に、太腿より下の部分は、男の背後に落ちている。
夥しい量の血液が、切断面から流れ続けている。失血死も時間の問題であった。だが、その様な死に方は許されないのだろう。
苦悶の表情を浮かべ、ナメクジが這った後の如き脂汗を体中に浮かばせ、正常な思考すらも覚束ないながらも、それだけは、この男は確信していた。
肘より先の部分は、その手にライトを握った状態で男の数m先に、太腿より下の部分は、男の背後に落ちている。
夥しい量の血液が、切断面から流れ続けている。失血死も時間の問題であった。だが、その様な死に方は許されないのだろう。
苦悶の表情を浮かべ、ナメクジが這った後の如き脂汗を体中に浮かばせ、正常な思考すらも覚束ないながらも、それだけは、この男は確信していた。
男の真正面にあるのは、斬り飛ばされた右腕だけではなかった。
現実には存在する筈のない存在が佇んでいるのだ。鎧を身に包んだ、百八十cm程の体長を持った、人間の『骨格』。
そう、人間の骨が動いているのである。御伽噺の中の住人が、男の前に現実として存在しているのだ。
鎧を着こんだ戦士然とした骸骨は、その手に剣を握っている。この剣で以て、男は四肢を斬り飛ばされた。
唐突な事だったから、反応も出来なかった。コンテナの上からこの骸骨は飛び降りて来た為、持っていたライトの明かりに映らなかったのである。
着地と同時に骸骨は彼の事を切り裂いたのであった。
現実には存在する筈のない存在が佇んでいるのだ。鎧を身に包んだ、百八十cm程の体長を持った、人間の『骨格』。
そう、人間の骨が動いているのである。御伽噺の中の住人が、男の前に現実として存在しているのだ。
鎧を着こんだ戦士然とした骸骨は、その手に剣を握っている。この剣で以て、男は四肢を斬り飛ばされた。
唐突な事だったから、反応も出来なかった。コンテナの上からこの骸骨は飛び降りて来た為、持っていたライトの明かりに映らなかったのである。
着地と同時に骸骨は彼の事を切り裂いたのであった。
もしも、此処に聖杯戦争参加者がいたのであれば、この骸骨が召喚によって呼び出されたもの。
もっと言えば、キャスターのサーヴァントが呼び出した巡回役のものだと、凡その察しはつくであろう。
この哀れな夜間警備の男は、運悪く、偶然この付近を根城とし、陣地を画定しようとしているキャスターが使役する、
見回りの為に巡回させていたこの使い魔と遭遇、現在に至ってしまった、と言う訳だ。
もっと言えば、キャスターのサーヴァントが呼び出した巡回役のものだと、凡その察しはつくであろう。
この哀れな夜間警備の男は、運悪く、偶然この付近を根城とし、陣地を画定しようとしているキャスターが使役する、
見回りの為に巡回させていたこの使い魔と遭遇、現在に至ってしまった、と言う訳だ。
死んでしまう。頭蓋の中の大脳が考える事と、胸中にしまわれた心が、何度も何度もその事を考えていた。
痛い、苦しいと言う感覚よりも、その一念が今や優先されている。自分は此処で死んでしまうのだ、と思うと、痛みや苦しみが吹っ飛んでしまった。
こんなわけのわからない奴に殺されてしまうのか!? 俺はまだ四十なんだぞ、子供は上の子がやっと中学生になったんだ!!
遺された家内だけで、二人の子供を養える訳がないだろう!! 死にたくない!! 死にたくない!!
痛い、苦しいと言う感覚よりも、その一念が今や優先されている。自分は此処で死んでしまうのだ、と思うと、痛みや苦しみが吹っ飛んでしまった。
こんなわけのわからない奴に殺されてしまうのか!? 俺はまだ四十なんだぞ、子供は上の子がやっと中学生になったんだ!!
遺された家内だけで、二人の子供を養える訳がないだろう!! 死にたくない!! 死にたくない!!
――死にたくない!!
「治療を欲するかね」
背後から、玲瓏とした声が響き渡った。男の声であったが、それを聞いた瞬間、ゾワリ、と、冷たいものが背をなぞったような感覚を男は憶えた。
剣を振り上げ始めた骸骨の動きが、停止する。潮風すらも、止んでいた。
眼球の嵌っていない、ポカリと空いた虚無の眼窩は、一点に集中されている。釘付け、と言っても良かった。
剣を振り上げ始めた骸骨の動きが、停止する。潮風すらも、止んでいた。
眼球の嵌っていない、ポカリと空いた虚無の眼窩は、一点に集中されている。釘付け、と言っても良かった。
「お、俺は……死にたく、ない」
「君の望みは解った」
背後に佇んでいるであろう男が、音を立てずに此方に近づいて来る。
解るのである。隠したくても隠せない気配が、近づく度に累乗して行く様に跳ね上がって行くのだから。
解るのである。隠したくても隠せない気配が、近づく度に累乗して行く様に跳ね上がって行くのだから。
骸骨の戦士が、身に纏っていた鎧ごと塵になり、宙を舞った。
まるで数秒の間に、圧縮された数万年の時間を経験してしまい、一瞬で風化してしまったかのようだった。
まるで数秒の間に、圧縮された数万年の時間を経験してしまい、一瞬で風化してしまったかのようだった。
「無粋な者は消え失せた。治療に取りかかろう、すぐ終わる」
――――美しい。
死にたくないと言う一念に支配されていた頭と体と心に、そんな一念が湧きあがった。
そして即座に、今度はその感情で男の全てが支配されてしまった。
そして即座に、今度はその感情で男の全てが支配されてしまった。
その手に斬り飛ばされた男の右腕を持った、純白のケープを身に纏うその男性は、美しいと言う言葉が逆に陳腐過ぎて、
使う事すら躊躇ってしまう程の美貌の持ち主であった。
痛みも苦しみも、呼吸すらも警備員の男は忘れている。寧ろ、この男に看取られて最期を飾るのも、悪くないとすら思い始めて来ている程だ。
使う事すら躊躇ってしまう程の美貌の持ち主であった。
痛みも苦しみも、呼吸すらも警備員の男は忘れている。寧ろ、この男に看取られて最期を飾るのも、悪くないとすら思い始めて来ている程だ。
いつの間にか、左脚が、天井の美を誇る男の傍に置かれていた。
ケープの男が、警備員の男の右腕の切断面を軽くなぞり始める。すると、何を思ったか、男は嫉妬をし始めたのだ。
他ならぬ、自分の右腕にである。何故この美しい男に俺の分離された腕は掴まれているのだ、と。
余りにも不条理でも、余りにも狂気染みた怒りの念。その感情が余りにも馬鹿げていると言う事に気づく理性は、警備員の男には存在していなかった。
ケープの男が、警備員の男の右腕の切断面を軽くなぞり始める。すると、何を思ったか、男は嫉妬をし始めたのだ。
他ならぬ、自分の右腕にである。何故この美しい男に俺の分離された腕は掴まれているのだ、と。
余りにも不条理でも、余りにも狂気染みた怒りの念。その感情が余りにも馬鹿げていると言う事に気づく理性は、警備員の男には存在していなかった。
ケープの男が、手に持った左腕を警備員の男の腕の切断面にくっ付ける。
奇跡が起こった。くっ付いたのである。そして、指が動くのである。筋繊維や神経、骨や血管の等の諸々の問題を一切無視して。
ただケープの男が斬り落とされた左腕をなぞり、それをくっつけるだけで、回復させてしまったのだ。
この男は、神か、悪魔か!! 人間ではありえない治療の業、これを奇跡と呼ばずして、何と呼ぶのだろうか。
奇跡が起こった。くっ付いたのである。そして、指が動くのである。筋繊維や神経、骨や血管の等の諸々の問題を一切無視して。
ただケープの男が斬り落とされた左腕をなぞり、それをくっつけるだけで、回復させてしまったのだ。
この男は、神か、悪魔か!! 人間ではありえない治療の業、これを奇跡と呼ばずして、何と呼ぶのだろうか。
無言で白衣の男が、分離した左脚に手を伸ばす。
終ってしまう。警備員の男がそんな事を考える。あの満月ですらが色褪せてしまう程の美を持つこの男と自分との関係が終わってしまう。
警備員の彼には確信があった。今この二人を繋ぎ止めているのは、医者と怪我人と言う関係。
自分が怪我人でなければ、この男はたちまち自分から興味を失ってしまうだろうと言う絶対の予感があった。
そしてその予感は事実当たっている。神の美貌を持つこの男は、五体満足の人間には、一切の興味関心を抱かないのだ。
終ってしまう。警備員の男がそんな事を考える。あの満月ですらが色褪せてしまう程の美を持つこの男と自分との関係が終わってしまう。
警備員の彼には確信があった。今この二人を繋ぎ止めているのは、医者と怪我人と言う関係。
自分が怪我人でなければ、この男はたちまち自分から興味を失ってしまうだろうと言う絶対の予感があった。
そしてその予感は事実当たっている。神の美貌を持つこの男は、五体満足の人間には、一切の興味関心を抱かないのだ。
この関係が少しでも長く続いてくれるようにひた向きに祈る警備員であったが、彼の意思とは裏腹に、身体は、白衣の男に屈服していた。
警備員は気付いていなかったが、流れ出る血液の量が、明らかに減っているのである。
それはあたかも、この美しき白い医師の治療の妨げとならないよう身体全部が彼に対して協力しているかのようであった。
そしてもっと無慈悲なのが、白衣の男の方であった。男は相手の身体を治す者として、一切の迷いなく、先程の腕と同じ要領で脚をくっ付けてしまったのだ。
警備員は気付いていなかったが、流れ出る血液の量が、明らかに減っているのである。
それはあたかも、この美しき白い医師の治療の妨げとならないよう身体全部が彼に対して協力しているかのようであった。
そしてもっと無慈悲なのが、白衣の男の方であった。男は相手の身体を治す者として、一切の迷いなく、先程の腕と同じ要領で脚をくっ付けてしまったのだ。
自分の五体が、完全な状態で戻って来た事を実感する警備員の男。
つい数十秒前まで、死ぬ一歩手前であったと言う事実を、彼は認識出来ずにいた。
先程の痛みも苦しみも、目の前の男の美に比べれば、儚く消える夢幻も同然。そんな事を男は考えていた。
つい数十秒前まで、死ぬ一歩手前であったと言う事実を、彼は認識出来ずにいた。
先程の痛みも苦しみも、目の前の男の美に比べれば、儚く消える夢幻も同然。そんな事を男は考えていた。
「失血が酷いな」
氷そのもののような冷たい、ともすれば冷淡とも取れる語調で白衣の医師は口にする。
その語調が、白衣の医師の絶対的なプロ意識に裏打ちされていると言う事など、警備員の男は永久に理解する事はない。
その語調が、白衣の医師の絶対的なプロ意識に裏打ちされていると言う事など、警備員の男は永久に理解する事はない。
「この造血剤を飲みたまえ、それで全てが解決する」
ケープから灰色の錠剤を取り出した白い医師は、警備員のその手にそれを握らせる。
彼はそれを水もなしに口にし、ごくりと飲み込んだ。水なしの錠剤は飲み難いにもかかわらず、スルリと、
予めオブラートにでも包んでおいたかの如く、それは容易く飲み込めてしまった。
飲み込んでから、数秒程してからだろうか。血液を一度に多量に失い、下がってはいけない温度にまで低下してしまった体温が、急激に上昇。
一瞬で元の体温に回復、いや体温だけでない、体力すらも回復し、連日の夜間警備によって蓄積してきた慢性疲労も吹っ飛んでしまった。
歳のせいか百m走り込むだけで死にそうになる程衰えていた警備員の男であったが、今のコンディションならば、42.195kmでさえ走破出来る自信がある。
彼はそれを水もなしに口にし、ごくりと飲み込んだ。水なしの錠剤は飲み難いにもかかわらず、スルリと、
予めオブラートにでも包んでおいたかの如く、それは容易く飲み込めてしまった。
飲み込んでから、数秒程してからだろうか。血液を一度に多量に失い、下がってはいけない温度にまで低下してしまった体温が、急激に上昇。
一瞬で元の体温に回復、いや体温だけでない、体力すらも回復し、連日の夜間警備によって蓄積してきた慢性疲労も吹っ飛んでしまった。
歳のせいか百m走り込むだけで死にそうになる程衰えていた警備員の男であったが、今のコンディションならば、42.195kmでさえ走破出来る自信がある。
「次はなるべく、この区域を避けるようにして警備をしたまえ。そうすれば、今日のような目に遭わずに済む」
そう言うと白衣の男は、片膝ついた状態から直立の状態に移行、警備員の男に背を向けた。
「ま、待ってくれ!! ち、治療費は――」
「不要だ」
拒否の言葉は余りにも簡潔で、そしてハッキリとした意味を持っていた。
短くそう告げた瞬間、白い医師の姿が、忽然と、警備員の男の前から消えた。
あっと言う間の出来事、どころの話ではない。まばたきをし、一瞬だけ視界が暗黒に染まったその刹那の間に、あの男は消えていたのである。
短くそう告げた瞬間、白い医師の姿が、忽然と、警備員の男の前から消えた。
あっと言う間の出来事、どころの話ではない。まばたきをし、一瞬だけ視界が暗黒に染まったその刹那の間に、あの男は消えていたのである。
あの白い男と出会った時間は、時間にして一分と言う、余りにも短い時間だった。
しかし、この警備員は生涯彼の姿を忘れる事がないであろう。記憶から抹消するには、あまりにもあの男は強烈過ぎた。
あまりにも――美し過ぎた。目を瞑ってみる。瞼の裏の暗黒をスクリーンに、あの男の輪郭が先ず形成される。
次に、本物の白よりも尚白いであろう純白のケープが纏われ始め、その下に肉体の厚みが生まれ始める。
そして最後に、顔。この世に美の神と言うものがいるのならば、その権能と力を最大限にまで駆使して生み出したような、秀麗な顔立ち。
目を瞑っていても、つい数秒前に出会った人間の顔を思い出すかのような楽さを以て、あの白衣の男の姿が思い描けてしまう。
しかし、この警備員は生涯彼の姿を忘れる事がないであろう。記憶から抹消するには、あまりにもあの男は強烈過ぎた。
あまりにも――美し過ぎた。目を瞑ってみる。瞼の裏の暗黒をスクリーンに、あの男の輪郭が先ず形成される。
次に、本物の白よりも尚白いであろう純白のケープが纏われ始め、その下に肉体の厚みが生まれ始める。
そして最後に、顔。この世に美の神と言うものがいるのならば、その権能と力を最大限にまで駆使して生み出したような、秀麗な顔立ち。
目を瞑っていても、つい数秒前に出会った人間の顔を思い出すかのような楽さを以て、あの白衣の男の姿が思い描けてしまう。
ゆっくりと瞼を開く警備員。
頭上には、月が明けき光を地上に降り注がせている。満月と、その周りを彩る、宝石を鏤めたような冬の夜空ですらが、今の彼には遠い。
今の彼には、月の完璧な円形を鏡に、あの白い医師の幻影が映っているのだった。
頭上には、月が明けき光を地上に降り注がせている。満月と、その周りを彩る、宝石を鏤めたような冬の夜空ですらが、今の彼には遠い。
今の彼には、月の完璧な円形を鏡に、あの白い医師の幻影が映っているのだった。
NPCを治す事は所詮無意味な行為である。
そうだと解っていても、染みついた本能が、見捨てると言う行為を許さなかった。
そうだと解っていても、染みついた本能が、見捨てると言う行為を許さなかった。
自分の医術を欲して来た者には、それを施す。医療の行為を邪魔する者には、死を与える。
聖杯戦争なる遊びの舞台に呼び出され、ルーラーとしてのクラスを与えられてもなおこのスタンスを崩す気は、この美しい医師には毛頭なかった。
例え自分の医術を必要とする者が、聖杯戦争のマスターだろうが、サーヴァントだろうが、それを拒む事なく治療を行うつもりでいる。
彼のこの信条を、聖杯戦争の『根幹』が許さず、否定しようとしても関係ない。その時は、その根幹とすらも敵対する腹積もりだ。
聖杯戦争なる遊びの舞台に呼び出され、ルーラーとしてのクラスを与えられてもなおこのスタンスを崩す気は、この美しい医師には毛頭なかった。
例え自分の医術を必要とする者が、聖杯戦争のマスターだろうが、サーヴァントだろうが、それを拒む事なく治療を行うつもりでいる。
彼のこの信条を、聖杯戦争の『根幹』が許さず、否定しようとしても関係ない。その時は、その根幹とすらも敵対する腹積もりだ。
余りに無差別に破壊とカオスを撒き散らす存在には、ルーラーとして制裁もしよう。
無暗やたらにNPCを殺害する者にも、裁きを下して見せよう。
だがそれ以外なら、このルーラーは、聖杯戦争が如何なる結末を迎えようが知った事ではない。
数秒に一人何かが死ぬ魔界都市新宿では、人間の死ですら綿毛より軽い。
この男は確かに医者ではあるが、その実、死と言う概念を世界のどの医者よりも軽い目で見ている。
だから、自分の患者でない限りは、この男は、聖杯戦争内で誰が死のうがどうでも良いと思っていた。
自分はただ、自分を求める者だけを救うだけ。聖杯戦争にはなるべく干渉しない。そう心に決めているのだ、と。
無暗やたらにNPCを殺害する者にも、裁きを下して見せよう。
だがそれ以外なら、このルーラーは、聖杯戦争が如何なる結末を迎えようが知った事ではない。
数秒に一人何かが死ぬ魔界都市新宿では、人間の死ですら綿毛より軽い。
この男は確かに医者ではあるが、その実、死と言う概念を世界のどの医者よりも軽い目で見ている。
だから、自分の患者でない限りは、この男は、聖杯戦争内で誰が死のうがどうでも良いと思っていた。
自分はただ、自分を求める者だけを救うだけ。聖杯戦争にはなるべく干渉しない。そう心に決めているのだ、と。
誰もいない無人の船着き場で、白い医師は海を眺めていた。
男に見つめられている間、世界にはそよ風一つ凪ぐ事はなかったし、海面も小波一つ立たせる事がなかった。
熱のない目で海と空とを眺めるその様子は、素粒子の動きを観測する物理学者の如く機械的である。
だが、この世ならざる美を持つこの男に数秒見つめられれば、例え海であろうとも、恥じらいの余り沸騰してしまうだろう。
何の感情も熱も籠っていない男の目には、それだけの物理的な『熱』を伴っていた。
男に見つめられている間、世界にはそよ風一つ凪ぐ事はなかったし、海面も小波一つ立たせる事がなかった。
熱のない目で海と空とを眺めるその様子は、素粒子の動きを観測する物理学者の如く機械的である。
だが、この世ならざる美を持つこの男に数秒見つめられれば、例え海であろうとも、恥じらいの余り沸騰してしまうだろう。
何の感情も熱も籠っていない男の目には、それだけの物理的な『熱』を伴っていた。
「平和な世界と言うものを考えてみた事もあったが……実際体感すると、暇と言うものだな」
近い将来、この冬木の街は、聖杯戦争の影響で、多くの人間が死に、死んだ人間に倍する数の人間が、悲しみに暮れる事となる。
いや既にこの街は、サーヴァントと言う名の怪物が跋扈する『魔都』へと変貌を遂げている。
それでも尚、あの魔界都市新宿の住人である彼、メフィストにとって、この街は平和そのものであった。
こうなると暇でしょうがない。この街にはせつらは当然の事、屍も、夜行も、千葉もいないだろう。
退屈責め自体はどうとも思わないメフィストであったが、このような場所では少し勝手が違う。
いや既にこの街は、サーヴァントと言う名の怪物が跋扈する『魔都』へと変貌を遂げている。
それでも尚、あの魔界都市新宿の住人である彼、メフィストにとって、この街は平和そのものであった。
こうなると暇でしょうがない。この街にはせつらは当然の事、屍も、夜行も、千葉もいないだろう。
退屈責め自体はどうとも思わないメフィストであったが、このような場所では少し勝手が違う。
メフィストにしては珍しい、憂鬱そうな溜息を吐きながら、彼は海に背を向ける。
途端に、海にさざ波が走った。それはあたかも海神が自らの意思で、メフィストの気を引こうと海を動かしているかのようにも思えた。
しかし彼は無情である。海の様子になど最早一切の興味もなくなったようで、音も立てずに早歩きでその場を去って行く。
途端に、海にさざ波が走った。それはあたかも海神が自らの意思で、メフィストの気を引こうと海を動かしているかのようにも思えた。
しかし彼は無情である。海の様子になど最早一切の興味もなくなったようで、音も立てずに早歩きでその場を去って行く。
――もしも、天上で輝くあの満月に、言葉を発する口があれば、語りかけたであろう。メフィストよ、それで良いのか、と。
お前の行うサーヴァントの治療行為を続ければ、最後の日まで最後の一人が残らず、結局殆どの参加者が聖杯に願いを掛ける事もなく皆消滅するのだぞ、と。
そしてその消滅する者は、お前とて例外ではないのだぞ、と。
お前の行うサーヴァントの治療行為を続ければ、最後の日まで最後の一人が残らず、結局殆どの参加者が聖杯に願いを掛ける事もなく皆消滅するのだぞ、と。
そしてその消滅する者は、お前とて例外ではないのだぞ、と。
「私は病人が好きなのだよ」
この場の誰に言うでもなく、メフィストが静かに呟いた。
「私を求めてくれるから」
……このルーラー/メフィストは全てを理解した上で、聖杯戦争に臨んでいた。
例え神が脅しを仕掛けて来たとしても、この男は自らの理念を曲げるつもりはないだろう。
明けき光を後ろに背負い、純白のケープをはためかせ。ルーラー・メフィスト、何処へ行く。
例え神が脅しを仕掛けて来たとしても、この男は自らの理念を曲げるつもりはないだろう。
明けき光を後ろに背負い、純白のケープをはためかせ。ルーラー・メフィスト、何処へ行く。
【クラス】
ルーラー
【真名】
ドクターメフィスト@魔界都市シリーズ
【ステータス】
筋力D 耐久A++ 敏捷A 魔力EX 幸運C 宝具EX
【属性】
秩序・中庸
【クラススキル】
対魔力:EX
全ての魔術的攻撃を無効化する。
神霊級の存在が行使する奇跡や魔法、抑止力の効果ですらも、高確率でキャンセルする。
全ての魔術的攻撃を無効化する。
神霊級の存在が行使する奇跡や魔法、抑止力の効果ですらも、高確率でキャンセルする。
真名看破:B(EX)
ルーラーとして召喚されると、直接遭遇した全てのサーヴァントの真名及びステータス情報が自動的に明かされる。
ただし、隠蔽能力を持つサーヴァントに対しては、幸運値の判定が必要になる。
後述する固有結界宝具内では、真名看破ランクがカッコ内のそれに変更。
如何なる隠蔽能力を持っていようとも、真名を隠し通す事は出来なくなる上に、過去の来歴すらも看破されてしまう。
ルーラーとして召喚されると、直接遭遇した全てのサーヴァントの真名及びステータス情報が自動的に明かされる。
ただし、隠蔽能力を持つサーヴァントに対しては、幸運値の判定が必要になる。
後述する固有結界宝具内では、真名看破ランクがカッコ内のそれに変更。
如何なる隠蔽能力を持っていようとも、真名を隠し通す事は出来なくなる上に、過去の来歴すらも看破されてしまう。
神明裁決:A
ルーラーとしての最高特権。
聖杯戦争に参加した全サーヴァントに二回令呪を行使することができる。
他のサーヴァント用の令呪を転用することは不可。
ルーラーとしての最高特権。
聖杯戦争に参加した全サーヴァントに二回令呪を行使することができる。
他のサーヴァント用の令呪を転用することは不可。
【保有スキル】
道具作成:EX
魔術的な道具を作成する技能。
ルーラーの場合は魔術的な道具は当然の事、科学知識にも造詣が深く、そう言った道具も作成可能。
本来的には水と油の関係である魔術と科学が完全に融合した『魔界都市』の住民であるルーラーは、それら2つの理論を組み合わせた道具も作る事が出来る。
人智を超越した怪物や魔人達が跋扈する魔界都市と化した新宿の中においてすら、最強かつ最高の魔術師であり、
神代の産物としか思えない程の道具や装置を生み出して来たルーラーの道具作成ランクは最高クラス。
但し、宝具レベルの道具を作成するとなると、それに応じた時間と材料が必要となる。
魔術的な道具を作成する技能。
ルーラーの場合は魔術的な道具は当然の事、科学知識にも造詣が深く、そう言った道具も作成可能。
本来的には水と油の関係である魔術と科学が完全に融合した『魔界都市』の住民であるルーラーは、それら2つの理論を組み合わせた道具も作る事が出来る。
人智を超越した怪物や魔人達が跋扈する魔界都市と化した新宿の中においてすら、最強かつ最高の魔術師であり、
神代の産物としか思えない程の道具や装置を生み出して来たルーラーの道具作成ランクは最高クラス。
但し、宝具レベルの道具を作成するとなると、それに応じた時間と材料が必要となる。
プロフェッショナリズム:EX
スキルの域にまで昇華されたプロ意識。
医者であるルーラーの場合は、『患者を治す』と言う一点に関しては妥協を全く許さない。
例え相手が後の障害になる事が解っていても、相手が大悪人であろうとも。
相手が患者であり、かつ自らに治療を求めて来た場合には、ルーラーはそれに応じる。
患者の治療はルーラーとしての使命よりも優先される事柄で、何者であろうとも、ルーラーの治療行為を邪魔する事は許されない。
仮にルーラーの医療行為を邪魔した場合には、ルーラーはその相手を全力で排除しに掛かる。
聖杯戦争のルール違反すら見逃す、いやそもそも聖杯戦争の成り行き自体に興味の薄いルーラーの逆鱗が、これである。
……逆に言えばルーラーは、治療行為を邪魔さえしなければ、能動的に攻撃を仕掛けて来ない。そして、完治した患者にも、最早興味もなくなる。
スキルの域にまで昇華されたプロ意識。
医者であるルーラーの場合は、『患者を治す』と言う一点に関しては妥協を全く許さない。
例え相手が後の障害になる事が解っていても、相手が大悪人であろうとも。
相手が患者であり、かつ自らに治療を求めて来た場合には、ルーラーはそれに応じる。
患者の治療はルーラーとしての使命よりも優先される事柄で、何者であろうとも、ルーラーの治療行為を邪魔する事は許されない。
仮にルーラーの医療行為を邪魔した場合には、ルーラーはその相手を全力で排除しに掛かる。
聖杯戦争のルール違反すら見逃す、いやそもそも聖杯戦争の成り行き自体に興味の薄いルーラーの逆鱗が、これである。
……逆に言えばルーラーは、治療行為を邪魔さえしなければ、能動的に攻撃を仕掛けて来ない。そして、完治した患者にも、最早興味もなくなる。
精神耐性:EX
精神的な攻撃や干渉に対する耐性。
このランクとなると、精神に作用する一切の事象を、神霊級のそれを含めて完全に無効化する。
生前から人間であるかどうかすら疑われてきたルーラー。かの『外宇宙の邪神』について深い知識を持ち、
なお正気を保っている所から見ても、やはり純粋な人間からは程遠い存在なのだろう。
精神的な攻撃や干渉に対する耐性。
このランクとなると、精神に作用する一切の事象を、神霊級のそれを含めて完全に無効化する。
生前から人間であるかどうかすら疑われてきたルーラー。かの『外宇宙の邪神』について深い知識を持ち、
なお正気を保っている所から見ても、やはり純粋な人間からは程遠い存在なのだろう。
医術:A+++(EX)
魔界都市最高の医者であるルーラーは、オカルト・科学を問わぬあらゆる知識を修めており、それら全てを医術の為に利用している。
ルーラーの行うありとあらゆる治療行為及び製薬行為は、常に有利な判定を得る。
厳密には純粋な医療技術ではないが、諸々の装置を利用する事で、死者の蘇生をも可能とする。
固有結界宝具の中では、ランクがカッコ内に上昇。一神話体系の治療神・医術神に肉薄する程の医療技術を発揮する。
但し死者/サーヴァントの蘇生に関しては、サーヴァントとして召喚された為大幅な制約が課せられており、
固有結界宝具内で、かつ、『死後3分以内』でなければ行う事は出来ず、しかも確率で失敗する。
魔界都市最高の医者であるルーラーは、オカルト・科学を問わぬあらゆる知識を修めており、それら全てを医術の為に利用している。
ルーラーの行うありとあらゆる治療行為及び製薬行為は、常に有利な判定を得る。
厳密には純粋な医療技術ではないが、諸々の装置を利用する事で、死者の蘇生をも可能とする。
固有結界宝具の中では、ランクがカッコ内に上昇。一神話体系の治療神・医術神に肉薄する程の医療技術を発揮する。
但し死者/サーヴァントの蘇生に関しては、サーヴァントとして召喚された為大幅な制約が課せられており、
固有結界宝具内で、かつ、『死後3分以内』でなければ行う事は出来ず、しかも確率で失敗する。
高速思考:A+++
物事の筋道を順序立てて追う思考の速度。
ルーラーの思考速度は生前から人間のそれを超越しており、1/10000秒の速さで一画面が送られ続ける、
大量の方程式や数字、記号を易々と理解する程の思考スピードを持っていた。
物事の筋道を順序立てて追う思考の速度。
ルーラーの思考速度は生前から人間のそれを超越しており、1/10000秒の速さで一画面が送られ続ける、
大量の方程式や数字、記号を易々と理解する程の思考スピードを持っていた。
【宝具】
『神の美貌』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:??? 最大補足:???
ルーラーが持っている、『神の美』とすら称される美貌。それが宝具となった物である。常時発動型で、魔力消費はゼロ。
再現不可能、性別の垣根を超える、数秒とその顔面を直視する事が出来ない、神ですら妬く、月すらも魅了する、輪郭だけでも美しい、
理性のない人間ですら数秒正気を取り戻す、機械ですら識別出来ず停止する、美醜の価値観が違う異なる生命体ですら動きを止める……。
彼の美しさを物語るエピソードは枚挙に暇がなく、そして上にあげたそれら全てが事実なのである。
ルーラーの姿を見たサーヴァントは、対魔力スキルや対精神スキルが如何に高かろうとも、最初の一回は確実に、その美しさの余り思考を停止、魅了されてしまう。
この時魅了されてしまうと、魅せられた者はルーラーの行動を正しく認識する事が出来なくなる。
具体的には、ルーラーが攻撃の態勢に移ったとしても、「こんな美しい者がそんな行動に移る筈がない」と誤認してしまうのである。
魅了状態からの復帰の早さは、それらの防御スキルの高さ次第で上下する。
例え回復したとしても、この宝具は魔術的要因の一切絡まない、正真正銘生来の美貌が宝具となった物の為、如何なる宝具や防御スキルを以ってしても防御不可能。
最初の一回以降も、防御スキルのランク次第では、判定で再び魅了されてしまう可能性が高い。
精神を薬物で汚染されたジャンキーや狂人ですらも、一瞬正気を取り戻し我を忘れたと言う逸話から、精神汚染や精神異常スキル持ちにも機能する。
常軌を逸したこの美しさは、人間とは全く異なる価値観で動く、人以外の獣や、知性も理性も無い超常生命体にも発揮される。
またこの美しさはこの世ならざる美である為、如何なる魔術的手段や呪いを持っても再現、模倣不可能で、これらの宝具やスキルを無効化させる。
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:??? 最大補足:???
ルーラーが持っている、『神の美』とすら称される美貌。それが宝具となった物である。常時発動型で、魔力消費はゼロ。
再現不可能、性別の垣根を超える、数秒とその顔面を直視する事が出来ない、神ですら妬く、月すらも魅了する、輪郭だけでも美しい、
理性のない人間ですら数秒正気を取り戻す、機械ですら識別出来ず停止する、美醜の価値観が違う異なる生命体ですら動きを止める……。
彼の美しさを物語るエピソードは枚挙に暇がなく、そして上にあげたそれら全てが事実なのである。
ルーラーの姿を見たサーヴァントは、対魔力スキルや対精神スキルが如何に高かろうとも、最初の一回は確実に、その美しさの余り思考を停止、魅了されてしまう。
この時魅了されてしまうと、魅せられた者はルーラーの行動を正しく認識する事が出来なくなる。
具体的には、ルーラーが攻撃の態勢に移ったとしても、「こんな美しい者がそんな行動に移る筈がない」と誤認してしまうのである。
魅了状態からの復帰の早さは、それらの防御スキルの高さ次第で上下する。
例え回復したとしても、この宝具は魔術的要因の一切絡まない、正真正銘生来の美貌が宝具となった物の為、如何なる宝具や防御スキルを以ってしても防御不可能。
最初の一回以降も、防御スキルのランク次第では、判定で再び魅了されてしまう可能性が高い。
精神を薬物で汚染されたジャンキーや狂人ですらも、一瞬正気を取り戻し我を忘れたと言う逸話から、精神汚染や精神異常スキル持ちにも機能する。
常軌を逸したこの美しさは、人間とは全く異なる価値観で動く、人以外の獣や、知性も理性も無い超常生命体にも発揮される。
またこの美しさはこの世ならざる美である為、如何なる魔術的手段や呪いを持っても再現、模倣不可能で、これらの宝具やスキルを無効化させる。
以上の点からも、規格外の宝具である事は疑いようもないのだが、魔界都市には、
そんなルーラーの『神の美』を超える、『天使の美』を持つ、黒いコートを身に纏う存在がいたと言う。
ルーラーが懸想する『彼』の美は、影すらも美しいとされ、その本来の姿を現せば、余りの美しさに如何なる存在も正気を保てなかったらしいが……。
そんなルーラーの『神の美』を超える、『天使の美』を持つ、黒いコートを身に纏う存在がいたと言う。
ルーラーが懸想する『彼』の美は、影すらも美しいとされ、その本来の姿を現せば、余りの美しさに如何なる存在も正気を保てなかったらしいが……。
『魔界都市に君臨する侵犯不可能領域(メフィスト病院)』
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:200~300 最大補足:2000
生前、ルーラーが管理、運営していた、新宿は歌舞伎町を所在地とするメフィスト病院。
どんな重傷を負っていようが、ここに搬送されるまでに生きていればどんな怪我でも病気でも完治出来る、
と言われていたこの病院を心象風景とする固有結界を展開する宝具が、これである。
真名解放と同時に、旧新宿区役所周辺の風景と、其処を拠点とする、地上10階地下10階、収容人数2000人を誇る白亜の大病院の風景が展開。
病院の中にはDランク相当の単独行動スキルを持ったメフィスト病院の従業員が二百人近く活動しており、それに加えて、
病院内には区外の文明水準の何世紀何十世紀先を行く医療装置が幾つも存在し、この補助を借りる事で、ルーラーは生前の医療技術を万遍なく発揮可能とする。
ルーラーはこの病院を戦闘用のそれとして見ておらず、本当に、患者の治療の為の施設として割り切っている。
固有結界の展開にも維持にも、サーヴァントとして矮小化されたルーラーには無視出来ない程の量を消費されてしまうが、
この宝具を使わねば治療出来ない患者と遭遇した場合には、惜し気もなくこの宝具を開帳する。
ルーラー自体は、確かにこの宝具を医療用のそれとしか見ていない。但し、この宝具の展開時に、固有結界の核となるメフィスト病院を攻撃した場合は、話が変わる。
元いた魔界都市新宿に置いてメフィスト病院及びその院長であるルーラーは、絶対に攻撃も襲撃もしてはならないと、区内のヤクザは当然として、
新宿に住まう魔術師や吸血鬼、悪霊等、新宿を根城とするありとあらゆる存在の不文律となっていた。
それはメフィスト病院に従事する医療スタッフの数々が、改造手術により高い戦闘能力を有するに至ったと言う事もそうだが、
病院自体が超科学技術による最先端の防衛・迎撃システムを誇っており、破壊活動を許さない事も極めて大きい。
また院長であるルーラー自体が、魔術に対して極めて造詣が深い男であり、様々な霊的・魔術的防衛手段を病院に施している。
ルーラーは病院の中では絶対の優位性を誇り、病院内部の指定の空間を操作する事で、一生院長室に辿り着けなくする事も可能で、現にこの装置のせいで、
病院に押し入った物盗りの類が、永遠に病院を彷徨う事となり、餓死してしまったと言うエピソードもある程。
もしもこの固有結界を破壊するとなると、高ランクの対城宝具或いはそれ以上の宝具を幾度もぶつけるか、ルーラー自体を消滅させるしかない。
こう言った理由から、メフィスト病院に襲撃を仕掛ける事はタブー中のタブーとされており、それを行う物は極めて少ない。
ルーラーは生前幾度も『メフィスト病院には臓器が足りない』と零しており、その臓器の殆どを……引き取り手のないヤクザやゴロツキ、
そして此処を襲撃して来た無知で愚かな者で賄って来たのだった。
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:200~300 最大補足:2000
生前、ルーラーが管理、運営していた、新宿は歌舞伎町を所在地とするメフィスト病院。
どんな重傷を負っていようが、ここに搬送されるまでに生きていればどんな怪我でも病気でも完治出来る、
と言われていたこの病院を心象風景とする固有結界を展開する宝具が、これである。
真名解放と同時に、旧新宿区役所周辺の風景と、其処を拠点とする、地上10階地下10階、収容人数2000人を誇る白亜の大病院の風景が展開。
病院の中にはDランク相当の単独行動スキルを持ったメフィスト病院の従業員が二百人近く活動しており、それに加えて、
病院内には区外の文明水準の何世紀何十世紀先を行く医療装置が幾つも存在し、この補助を借りる事で、ルーラーは生前の医療技術を万遍なく発揮可能とする。
ルーラーはこの病院を戦闘用のそれとして見ておらず、本当に、患者の治療の為の施設として割り切っている。
固有結界の展開にも維持にも、サーヴァントとして矮小化されたルーラーには無視出来ない程の量を消費されてしまうが、
この宝具を使わねば治療出来ない患者と遭遇した場合には、惜し気もなくこの宝具を開帳する。
ルーラー自体は、確かにこの宝具を医療用のそれとしか見ていない。但し、この宝具の展開時に、固有結界の核となるメフィスト病院を攻撃した場合は、話が変わる。
元いた魔界都市新宿に置いてメフィスト病院及びその院長であるルーラーは、絶対に攻撃も襲撃もしてはならないと、区内のヤクザは当然として、
新宿に住まう魔術師や吸血鬼、悪霊等、新宿を根城とするありとあらゆる存在の不文律となっていた。
それはメフィスト病院に従事する医療スタッフの数々が、改造手術により高い戦闘能力を有するに至ったと言う事もそうだが、
病院自体が超科学技術による最先端の防衛・迎撃システムを誇っており、破壊活動を許さない事も極めて大きい。
また院長であるルーラー自体が、魔術に対して極めて造詣が深い男であり、様々な霊的・魔術的防衛手段を病院に施している。
ルーラーは病院の中では絶対の優位性を誇り、病院内部の指定の空間を操作する事で、一生院長室に辿り着けなくする事も可能で、現にこの装置のせいで、
病院に押し入った物盗りの類が、永遠に病院を彷徨う事となり、餓死してしまったと言うエピソードもある程。
もしもこの固有結界を破壊するとなると、高ランクの対城宝具或いはそれ以上の宝具を幾度もぶつけるか、ルーラー自体を消滅させるしかない。
こう言った理由から、メフィスト病院に襲撃を仕掛ける事はタブー中のタブーとされており、それを行う物は極めて少ない。
ルーラーは生前幾度も『メフィスト病院には臓器が足りない』と零しており、その臓器の殆どを……引き取り手のないヤクザやゴロツキ、
そして此処を襲撃して来た無知で愚かな者で賄って来たのだった。
実はこれでもまだ十全のメフィスト病院と言う訳ではなく、本来ならば『アカシア記録装置』、
即ち『根源』すらも操作可能な領域が存在すると言うのだが、それだけは聖杯戦争の範疇を逸脱する為、無条件で使用が不可能となっている。
即ち『根源』すらも操作可能な領域が存在すると言うのだが、それだけは聖杯戦争の範疇を逸脱する為、無条件で使用が不可能となっている。
【weapon】
針金:
文字通り銀色の針金を、ルーラーは常に何百m単位で持ち歩いている。
瞬間的な速度でルーラーは針金細工を生み出す事が出来、これによって針金細工のトラやサイ、幻想種を生み出す事が出来る。当然針金細工の為に中身は空洞。
また針金を目にも留まらぬ速度で伸ばしたり縮める事で、相手を切断する事も可能である。
本来の実力なら針金細工の維持には何のデメリットもなかったのだが、サーヴァントである為に、維持には魔力消費が掛かる。
文字通り銀色の針金を、ルーラーは常に何百m単位で持ち歩いている。
瞬間的な速度でルーラーは針金細工を生み出す事が出来、これによって針金細工のトラやサイ、幻想種を生み出す事が出来る。当然針金細工の為に中身は空洞。
また針金を目にも留まらぬ速度で伸ばしたり縮める事で、相手を切断する事も可能である。
本来の実力なら針金細工の維持には何のデメリットもなかったのだが、サーヴァントである為に、維持には魔力消費が掛かる。
メス:
文字通りの医療道具であるのだが、ルーラーの使うそれは、如何なる技術で作られているのか。
核弾頭でも破れぬ被膜を切り裂く力と、物質を素粒子レベルにまで分解する攻撃に直撃しても破壊されなかった程の耐久力を持つ。
空間や次元を切り裂く事も可能で、空間を切り裂いて、数百m単位で移動する事が可能。
直接このメスで敵を切り裂かれると、耐久や宝具のランクを無視して相手にダメージを与える事が出来る。
宝具として機能してもおかしくない程の性能を誇るが、耐久力に関しては劣化が施されており、Bランク相当の宝具攻撃、
或いはAランク相当の筋力を有するサーヴァントの攻撃に直撃すると破壊されてしまう。
また破壊されたメスを生み出すのにも、魔力が必要となる。
文字通りの医療道具であるのだが、ルーラーの使うそれは、如何なる技術で作られているのか。
核弾頭でも破れぬ被膜を切り裂く力と、物質を素粒子レベルにまで分解する攻撃に直撃しても破壊されなかった程の耐久力を持つ。
空間や次元を切り裂く事も可能で、空間を切り裂いて、数百m単位で移動する事が可能。
直接このメスで敵を切り裂かれると、耐久や宝具のランクを無視して相手にダメージを与える事が出来る。
宝具として機能してもおかしくない程の性能を誇るが、耐久力に関しては劣化が施されており、Bランク相当の宝具攻撃、
或いはAランク相当の筋力を有するサーヴァントの攻撃に直撃すると破壊されてしまう。
また破壊されたメスを生み出すのにも、魔力が必要となる。
ケープ:
ルーラーが身に纏う純白のケープ。
彼に身の危険が迫った時、意思を持ったように動き始め、攻撃を防御する。飛来する銃弾を包み、無効化した事もあった。
ルーラーが身に纏う純白のケープ。
彼に身の危険が迫った時、意思を持ったように動き始め、攻撃を防御する。飛来する銃弾を包み、無効化した事もあった。
【人物背景】
198X年9月13日金曜日、午前3時ちょうどに東京都新宿区『のみ』を直撃したマグニチュード8.5以上の直下型地震、通称魔震(デビルクェイク)。
たった3秒しか揺れなかったと言うこの地震による死者は4万5千にも上り、更に地震の影響で、
新宿区と区外との境界には幅20メートル、深さ50数キロにも達する<亀裂>が生じてしまい、新宿と区外は完全に隔絶されてしまう。
魔震については様々な憶測があり、上位存在が意図的に引き起こしたと言う説もあるが、実態は不明。
何れにせよ確かなのは、魔震以降新宿の亀裂から様々な古代文明の遺跡や遺構が見つかった事、新宿全体が濃厚な霊地となってしまった事、
発掘された古代のアイテムや異次元からの漂着物により、瞬く間に新宿は世界で最も発展した都市になってしまった事。
そして新宿全体が、サイボーグ手術や薬物の影響で正真正銘の怪物となったヤクザやゴロツキ、新宿から噴き出る妖気に引き寄せられた、
妖物や悪霊の跋扈する、カオスの権化のような都市になってしまった事である。
たった3秒しか揺れなかったと言うこの地震による死者は4万5千にも上り、更に地震の影響で、
新宿区と区外との境界には幅20メートル、深さ50数キロにも達する<亀裂>が生じてしまい、新宿と区外は完全に隔絶されてしまう。
魔震については様々な憶測があり、上位存在が意図的に引き起こしたと言う説もあるが、実態は不明。
何れにせよ確かなのは、魔震以降新宿の亀裂から様々な古代文明の遺跡や遺構が見つかった事、新宿全体が濃厚な霊地となってしまった事、
発掘された古代のアイテムや異次元からの漂着物により、瞬く間に新宿は世界で最も発展した都市になってしまった事。
そして新宿全体が、サイボーグ手術や薬物の影響で正真正銘の怪物となったヤクザやゴロツキ、新宿から噴き出る妖気に引き寄せられた、
妖物や悪霊の跋扈する、カオスの権化のような都市になってしまった事である。
メフィストはそんな都市で医者を行っている男であり、区内であれば知らない者はいないとされる程のVIPである。
彼の医療技術が神域を遥かに超える所にあるのは、かの大魔術師であるドクトル・ファウストを師に持ち、ファウストの一番弟子であるからこそ。
自らの治療を欲するものには無限大の慈悲を以て治療に当たるが、自らの治療を邪魔する者には死を与える恐るべき男。
事実メフィストに意図して害を与えた者の殆どは、その圧倒的な実力の前に葬り去られている。
このような来歴から、新宿区内では『最も敵に回してはいけない男の1人』として知られており、戦車を目の前にしても恐れないヤクザですら、
その名を聞いてしまえば恐怖の余り震えあがる程。
過去のある一件のせいで女性に対しては強い嫌悪感を抱いており、その反動で男色家になる。
現在は西新宿で、年商3000万円のせんべい屋を営む美青年店主、『秋せつら』に熱を入れているが、せつらには袖にされている。
男女の性差を超越する神の美貌を持ち、万人が認める究極の美青年であるメフィストだが、実は好物は『タンメン』である。
彼の医療技術が神域を遥かに超える所にあるのは、かの大魔術師であるドクトル・ファウストを師に持ち、ファウストの一番弟子であるからこそ。
自らの治療を欲するものには無限大の慈悲を以て治療に当たるが、自らの治療を邪魔する者には死を与える恐るべき男。
事実メフィストに意図して害を与えた者の殆どは、その圧倒的な実力の前に葬り去られている。
このような来歴から、新宿区内では『最も敵に回してはいけない男の1人』として知られており、戦車を目の前にしても恐れないヤクザですら、
その名を聞いてしまえば恐怖の余り震えあがる程。
過去のある一件のせいで女性に対しては強い嫌悪感を抱いており、その反動で男色家になる。
現在は西新宿で、年商3000万円のせんべい屋を営む美青年店主、『秋せつら』に熱を入れているが、せつらには袖にされている。
男女の性差を超越する神の美貌を持ち、万人が認める究極の美青年であるメフィストだが、実は好物は『タンメン』である。
【サーヴァントとしての願い】
不明
【方針】
自分の医療技術を求める者がいるのなら、例えNPCだろうが、マスターだろうが、サーヴァントだろうが、それに応じるつもりである。
ルーラーとしての役割は、余程酷いルール違反を犯す者でもない限りは、黙認してやるつもり。
但し、自らの邪魔をする者には、相応の報いを受けて貰う。医療行為のし過ぎで魔力が枯渇、消滅しようが、7日経過し、冬木が消滅しようが、
別にメフィストは如何でも良いと思っている。
ルーラーとしての役割は、余程酷いルール違反を犯す者でもない限りは、黙認してやるつもり。
但し、自らの邪魔をする者には、相応の報いを受けて貰う。医療行為のし過ぎで魔力が枯渇、消滅しようが、7日経過し、冬木が消滅しようが、
別にメフィストは如何でも良いと思っている。