夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

雷小龍&ヴァンパイア

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かけがえのない楽園があった。
先を導いてくれる仲間達がいた。
自分達のことを偏見なく見てくれる赤の男がいた。
そして、護らなくちゃいけない少女がいた。

「死んだと思ったら実は生き返ったなんて、よくわからないんだよな」

もう終わったはずだった。
崩れ落ちる【島】に一人残った少年は、静かに死を受け入れた。
少年――雷小龍の生きた証は、芳美に渡した指輪に込めた。
悔いはない。そう言ってしまえば嘘にはなるが、不思議と心中はすっきりとしていた。

「だから、いきなり聖杯だなんて言われても、わからないんだ」

五体満足で生きている今も、あの時見送った芳美の背中がまだ脳裏に散らついているのも――全部は泡沫。
今感じてる生の実感も、取るに足らない夢なのかもしれない。
それでも、小龍がここにいることは紛れもない事実だ。
息をして、目を見開いて、手足を動かして、生きているのだ。

「もう一度メイに会いたい。その願いは本物だ。だけど、おれは――」

一度は失ったものの、与えられた生命だ。
無為にするつもりもないし、見知らぬ誰かにくれてやるなんてまっぴらゴメンである。
ならば、勝ち残ればいい。
聖杯戦争に呼ばれた奴等を全て殺して、自分が最後の一人となる。
そうすれば、また芳美に会える。
彼女の流す涙を拭ってやることができるのだから。

「――その願いの為に、ひとを殺してもいいのか?」

しかし、小龍の中にあるちっぽけな意地は、人を殺めることに迷いをもたらした。
血に濡れた姿で、芳美は笑顔で迎えてくれるのか。
そんな弱々しい疑問が、心の片隅で蹲っている。

「さぁねぇ。でも、生きたいって願う気持ちに嘘も真もありはしないんだ。人間である以上、他者を殺してでも生き残るって当然の欲求だと僕は思うけど?」

だが、小龍の悩みを吹き飛ばすかのように、眼前にいるサーヴァントは何の事もないように殺すことを肯定した。

「少なくとも、僕は肯定するよ」

にこりと笑顔で囁いた彼は、一見サーヴァントには見えないNPCのような外見だった。
手入れのされていないぼさぼさの黒髪によれよれの服装。
月島亮史。それが彼の名前だった。
開口一番に、君を見届けたいと言った胡散臭い男だ。
小龍からすると、こんな奴を頼りにしていいのかと疑問視するサーヴァントである。

「…………それでも、おれの中にある迷いは消えない」

如何にもやる気なさげな彼を尻目に、小龍はゆっくりと言葉を紡ぐ。

「勿論、ただで死ぬつもりはない。襲い掛かってくるなら、戦う」
「今はそれでいいさ。けれど」
「わかっている。だからこそ、後悔のないようにおれは生きたいんだ。
 じっくり考えて、選びたい。そうしてこそ、メイに胸を張って会える気がするから」

希望は待っていても手に入らないし、与えられるものでもない。
小龍は改めて自分が本当に貫きたい願いについてじっくりと考える。
閉じた箱庭で、戦うことしか知らなかった過去がある。
何度も何度も繰り返し、自分達の肉体すらも捨て駒にして生きることに執着したのは間違いなんかじゃない。
最後まで抗って、戦って、その果てで見つかるものが、正しいのか。
小龍は納得できる選択肢を選ばなくてはならない。

「力、貸してもらうぞ。ヴァンパイア」
「ああ、心得た。マイマスター」

諦めるよりも貫くことを良しとした決意を誇りたいからこそ――見果てぬ願いを、小龍は追い続ける。
そんな彼の姿を亮史は目に焼き付けていた。

――小龍くんと共にいることで、人間について深く知る、これって僕の願いに直結するよね。

人間に憧憬の思いを持っているからこそ、人間を知らなくてはならない。
聖杯戦争という極限状態では、きっと人間の業が深くにじみ出てくるだろう。
そうして、【人間】を学べば、感情とは何か知ることができると信じて。


【クラス】
ヴァンパイア

【真名】
月島亮史@吸血鬼のおしごと

【パラメーター】
筋力B 耐久A 敏捷C 魔力D 幸運E 宝具C

【属性】
混沌・善

【クラススキル】
吸血鬼:A
その名の通り吸血鬼であることの証明。
蝙蝠、狼、霧に姿を変えることが可能であり、身体能力も抜群。
ただし、流水が渡れない、十字架が駄目、日光を浴びたり、心臓を貫かれると灰になる。
霊体にでもならない限りは、適用されることだろう。

【保有スキル】

破壊衝動:A
戦闘が長期的になると、残虐性が増していく。
例え、相手が誰であろうとも塵へと還すだろう。

再生:B
身体が傷つこうとも、再生する。
それは、人間とはかけ離れており、人間になりたいと願う亮史に取っては無用の長物だった。

【宝具】

『隷属の血脈』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人

吸血することで、相手を強制的に隷属させる。
意志がどれだけ強くても、【従者】は【主人】には逆らえない。
また、【従者】となった人間はそれなりに身体能力が強化される。

『隷属の使い魔』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人

動物は【契約】をすることで、不老となり、動物特有の能力が強化され、高い知能を持つようになる。
また、人語も話せるようになり、寂しい時には便利。

【weapon】
なし。

【人物背景】
永きを生きる吸血鬼であり、人間になりたいと願っている男。
それは、吸血鬼としては異端であり、到底受け入れられるものではなかった。
普段のものぐさでのんびり屋な態度とは裏腹に、大切な人を傷つけられると苛烈な表情を見せ、まるで別人のように変貌する。

【サーヴァントとしての願い】
雷小龍を観察する。人間の中に眠る感情や熱を知りたい。


【マスター】
雷小龍@ウィザーズブレイン

【マスターとしての願い】
芳美にもう一度会いたい。

【能力・技能】

龍使い――右腕を異形の鋏へと変形させ、戦うことができる。
ただし、代償は大きく、何の処置もなく使い続けると【暴走】し、自我が崩壊する恐れがある。

【人物背景】
とある【島】に隔離された生き残りの内の一人。
来たるべく騎士との戦いに備え、戦闘訓練を行っていた。
大戦――世界を揺るがす戦へと投入される為に。
もっとも、大戦などとっくに終わり、彼らは世界の真実に気づかず、【島】に閉じ込められていたのだが。

【方針】
願いの為に人を殺す覚悟はある。だが、そんな自分を芳美は笑顔で迎えてくれるのか?

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