夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

桐ヶ谷柩&ランサー

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「ええ。ぼくは、千足さんの選択を受け入れました」


少女は暗殺者だった。
暗殺組織『ダチュラ』に所属する生粋の殺し屋だった。


「ぼくは千足さんになら殺されてもよかった」


少女は心を奪われた。
暗殺者の集う10年黒組で出会った生田目千足に、想いを寄せた。
どこまでも誠実で、どこまでも真っ直ぐで、どこまでも優しい彼女に。
自らが恩師の娘の仇であることを知らない彼女に。


「だからぼくは倒れました。千足さんを受け入れました。
 ぼくはやっぱり、千足さんが愛しくて仕方無いんです」


少女は散った。
自らが仇であることを告白し、少女は想い人の手で仕留められた。
少女がこの冬木に召還されたのはその直後のことだった。


「でも、ぼくが此処に居るのもきっとそのせい。
 今度は、奇跡に願いを託せるんでしょう?」


少女に後悔は無い。想い人の選択を憎んでもいない。
しかし、それでも。
黒組の報酬を超える奇跡に縋れるというのなら。




「だったら、ぼくは千足さんとずっと一緒にいられることを願います」




ダチュラなど、最早関係ない。
『桐ヶ谷柩』は、己の為に戦うことを決意した。
例えそれが組織への裏切りになろうとも。
千足の選択への裏切りになろうとも。
愛に殉ずることが出来るなら、それでいい。
やり直しなんて―――――――必要ない。


◇◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◇


「~♪」

カーテンに頻られた窓より僅かな光が射す部屋にて。
まるで子供のような容貌をした少女、桐ヶ谷 柩は鼻歌を歌いながら机に向かっていた。
机に並べられているものは、何らかの実験に使うような薬物が収められた複数の瓶。
それは少女の商売道具。他者の命を奪う為に用いる薬品―――――いわば毒薬だ。
「エンゼルトランペット」と称された少女が仕事に用いる武器。
マスターとなった柩にとって、戦う為の武器の一つでもあった。


「主よ」


そんな柩の後方に、霊体化を解いたサーヴァントが姿を現す。
黒い髪。眉目秀麗な顔。泣き黒子。
数々の女性を虜にするであろう美貌の持ち主。
従者は、まるで主君に忠誠を誓う騎士の様に跪いていた。

ランサーのサーヴァント。
フィオナ騎士団が筆頭――――――ディルムッド・オディナ。

それが騎士であるランサーの真名。
桐ヶ谷柩に召還された、サーヴァントだった。


「ランサーさん、お疲れさまです」
「はっ。偵察を行った所、幾つか魔力の残痕が感じられました。
 やはり他のサーヴァントが続々と姿を現しているのかと」


立ち上がり、ぺこりと礼をする柩に対しランサーは黙々と偵察の報告を行う。
マスターである柩は魔術に関する知識を持たない。
当然の如く魔力を察知することも出来ない。
それ故、敵の気配を察知する為に霊体化したランサーが外部へと赴いていたのだ。


「今の所、マスターらしき者の姿は見受けられませんでした。
 しかし主よ、努々警戒は怠らぬ様に。有事の際は躊躇なく令呪をお使いになられよ」
「解ってますよ。それにしても、ランサーさんは本当に頼りになりますよね…。
 私にだってこんなに尽くしてくれますし――――――」


跪くランサーと目線を会わせる様に、柩がゆっくりとしゃがみ込む。
微笑みを口元に浮かべながら、彼の顔を見つめていた。


「…主に忠義を尽くす、ただそれだけが騎士の本懐であるが故」


そんな主に対し、ランサーは忠誠を示す様に跪く体勢を崩さない。
騎士の本懐、それは主への忠義を尽くすこと。
生前に果たすことの出来なかった騎士道だ。
ランサーは聖杯に託す願い等持たない。
主君に尽くし、聖杯を捧げること。
騎士としての役目を全うすることこそ、彼の願いだったからだ。
故にランサーは多くを語らず、ただきっぱりとそう答えた。

「……ふふっ」

従者としての言葉を紡いだランサーを見つめながら、柩は微笑みを崩さず。
柩の小さな手がランサーの頬にそっと触れた。

「……主よ、」
「その真っ直ぐな瞳も、その誠実さも、その優しさも」

直後にランサーの胸中に、唐突な込み上げたのは胸騒ぎ。
白い手の感触を頬に感じつつ、ランサーはゆっくりとその面を上げた。




「ほんとうに、千足さんそっくり」




恍惚とした声色で、柩は囁く様に呟いた。
その頬を仄かに赤く染め上げながら。
まるで、恋い焦がれる乙女のような顔だった。

はっとした表情を浮かべたランサーは、そんな主をただ見上げることしか出来ない。
既に理由は気付いている。いや、気付かぬ筈が無い。



彼女は愛する者と己の姿を重ね合わせていた。
そして、己の持つ魔性によって。
『黒子の呪い』によって―――――――――無自覚のうちに魅了されていた。



彼女の願いを聞いた時から薄々と理解はしていた。
どこか諦観にも似た感情が、槍兵の心中を満たす。
これも数奇な運命と言うべきなのだろうか。
それとも、生前と変わることの出来ない因果なのか。


(…ああ、そうか)


桐ヶ谷柩と引かれ合ったのは、如何なる運命の悪戯か。
己の組織を裏切り、愛に殉じることを選んだ離反者。
それはまるで、忠誠を捨て愛を選んだ自分のようだった。
愛する者への想いを馳せ、焦がれる姿。
それはまるで、騎士である自分に想いを寄せるグラニアのようだった。

騎士は自らの忠義を貫くべく聖杯戦争へと参加した。
彼が出会った新たな主は、愛に殉じた者だった。
かつての自分と姫君を想起させる少女だった。
主は再び愛を選ぶ。仲間よりも、愛を取る。
愛する者と共に在り続けることを望む。

そんな主を、従者たる騎士が魅了していた。
想い人の為に戦う主を、誘惑していた。
このまま主は、生田目千足ではなく自分に想いを寄せる様になるのか。
それこそまさに――――――主の婚約者であるグラニアを魅了してしまった時のように。




(これが、俺に課せられた呪いか)




ディルムッド・オディナは、ただ目の前の主に跪き続けた。
誠実で在り続ける騎士の姿を、柩は愛しげに見つめていた。



【クラス】
ランサー

【真名】
ディルムッド・オディナ@Fate/Zero

【パラメータ】
筋力C 耐久D 敏捷A 魔力E 幸運E 宝具B

【属性】
秩序・中庸

【クラス別スキル】
対魔力:B
詠唱が三節以下の魔術を無効化する。
大魔術・儀礼呪法などを以ってしても傷つけるのは難しい。

【保有スキル】
心眼(真):B
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。

愛の黒子:C
魔力を帯びた黒子による異性への誘惑。
ランサーと対峙した女性は彼に対する強烈な恋愛感情を懐いてしまう。
対魔力スキルで回避可能。対魔力を持っていなくても抵抗する意思を持っていれば、ある程度軽減することが出来る。

【宝具】
『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1人
養父であるドルイドのアンガスより贈られた紅槍。
あらゆる魔術・魔力を無効化する刃を持つ魔槍。
魔術防御に対して絶大な効果を発揮するが、あくまで無効化できるのは刃の触れている間のみ。
また、既に完了した魔術の結果を無効化することは出来ない。

『必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2~3 最大捕捉:1人
妖精王マナマーン・マック・リールより贈られた黄槍。
如何なる魔術や再生能力を用いても治癒不可能な傷を負わせる魔槍。
傷を治癒する為にはこの槍を破壊するか、ディルムッドを消滅させるしかない。
治癒できない傷を負わせて対象を消耗させる、長期戦において効果を発揮する武装。

【Weapon】
宝具『破魔の紅薔薇』『必滅の黄薔薇』

【人物背景】
ケルト神話に登場するフィオナ騎士団の筆頭騎士。
忠義に篤く、正々堂々とした騎士道精神を持つ英霊。
生前、主君であるフィンの婚約者・グラニア姫に想いを寄せられ、駆け落ちを強要されてしまう。
葛藤の果てに愛を選んだディルムッドは、主君を裏切りグラニア姫と結ばれる。
ディルムッドはグラニア姫と共に出奔し、フィンに差し向けられた追手を全て切り抜ける。
最終的にフィンが折れる形で騎士団への復帰を許されるも、後に狩りの最中にフィンに見殺しにされる形で生涯を終えた。

グラニア姫との愛を選び、主君を裏切ってしまったディルムッド。
生前に果たせなかった「騎士としての忠誠」を貫くべく聖杯戦争へと参加した。

【サーヴァントとしての願い】
主に聖杯を捧げる。

【基本戦術・運用】
柩のマスターとしての適性が低く、パラメータの弱体化が見られる。
それでも卓越した白兵戦能力を持つことに変わりは無く、前衛としては大いに役立つ。
魔力を絶つ紅槍・治癒阻害の黄槍と宝具も地味ながら実用的。
火力には欠けるものの、白兵戦・長期戦において強さを発揮する。

【方針】
マスターに従う。


【マスター】
桐ヶ谷 柩@悪魔のリドル(原作)

【マスターとしての願い】
生田目千足とずっと一緒にいる。

【weapon】
デリンジャー、自作の毒針銃

【能力・技能】
暗殺者としての技能。
主に毒物の扱いに長ける。

【人物背景】
ミョウジョウ学園・10年黒組に編入してきた暗殺者の一人。
少女だが一人称は「ぼく」。小学生と見間違えるような幼い外見をしている。
初日に同じ黒組の生田目千足と出会って以来、彼女を深く慕っている。
その正体は暗殺組織・ダチュラの筆頭暗殺者「エンゼルトランペット」。千足の恩師の娘を殺した張本人でもある。
本性は狡猾で悪辣な性格であり、千足には歪んだ愛情と独占欲を抱いていた。
千足に憧れる素振りを見せた剣持しえなを嫉妬心から始末し、学園祭にて千足に自らがエンゼルトランペットであることを認める。
最後は正義と愛情の狭間での葛藤を経た千足にナイフで刺され、彼女の選択を受け入れて倒れた。


【方針】
機を伺い、勝機を掴む。
ランサーの傍にいたい。

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