夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

衛宮士郎&アサシン

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――理想に堕ちていく。












正義の味方になる。ただそれだけを求めて、衛宮士郎は聖杯戦争へ飛び込んだ。
あの一瞬とも言える永遠を、士郎は生涯忘れることはないだろう。
それは尊くも醜い夢を追い求めた軌跡であり、始まりだった。
輝く月の下、出会った一人の少女がいた。
地獄に堕ちようとも、彼女と出会った刹那は今も脳裏に刻まれている。
どんな状況でも気高い振る舞いを忘れぬ少女がいた。
彼女と結んだ一時の協調は、士郎にとって夢のような一時だった。

「――セイバー、遠坂」

雪のような白い肌の少女は、自分によく懐いてくれた。
苛烈な表面の裏腹にあった優しさは温かく、最後の最後まで自分のことを見つめていた。
きっと、選んだ選択肢が違っていれば、もっと彼女と仲良くなることもできただろう。

「イリヤ――」

どれ一つ取っても、代わりなどありやしない。
一人一人が衛宮士郎にとって、大切と言い切れる人達であり、手に入れるはずの未来だ。
真っ直ぐで、綺麗な夢の欠片。思い出すだけでも、表情が綻ぶはずだった。
けれど、けれど。
今の士郎には色が剥がれ落ちたガラクタでしかない。



「桜」

最後に思い浮かべるのは、必ず守ると誓ったはずだった――後輩。
衛宮士郎が好きになった、少女。
そして、切り捨てた【一】。
理想に殉じる過程で、初めて背負った代償を、士郎は思い出す。
助けたかった。そう言ってしまえば、真実であり、殺さなければならなかったと言っても、それもまた真実である。
どちらにせよ、士郎が彼女を切り捨てた事実は変わらない。
彼女だけを例外にすることはこれまでの【衛宮士郎】を否定することと同意義である。
好きな子を守る。そんな当たり前のことすら、士郎はできなかった。

「俺は、正義の味方だ」

あの燃え盛る炎の中、助けられた自分。
真綿で首を絞められるかのような苦痛を抱え、生きているのは――誰かを救けることができるから。
理不尽な運命を許容できず、直走る。
その為に長らえた生命だっただろう。
誰とも知らぬ大多数の人間を救う為に、大切なモノを、士郎は壊した。

「聖杯は、害でしかない。なら、やることは一つだ」

まだ、走れる。まだ、戦える。
摩耗し、凝り固まった魂でも、正義の味方を貫くことぐらいは容易いものだ。
何せ、この身体は剣で出来ている。
剣はただ人々を護り、救い――斬り捨てることしか能がない。
無様だと嘲笑うなら、勝手に嘲笑えばいい。
衛宮士郎にはこうすることでしか存在価値はないのだから。
十の内、九を救い一を切り捨てる。
一の中に大切な人が含まれていようとも、士郎の選択は不変だ。
不条理に苦しむ多数を救う為に、士郎は剣を握る。
身体は剣で出来ている。不屈の心は鉄と化し、迷いはない。

「聖杯を破壊する。それ以外は認めないし、絶対にさせない」

自らの理想の為に聖杯を破壊する。

「なぁ――――爺さん」

末期に託された願いを、しっかりと受け継いだことに喜びを感じているのか。
それとも、想定以上に正義の味方を成し遂げている自分のことを誇らしく感じているのか。
視線の先で、呆然と佇むサーヴァント――衛宮切嗣に対して、士郎は薄く笑った。













――理想に囚われていく。











これが、自分のしてきたことに対する罰なのだろう。
アサシンのサーヴァントとして呼ばれた衛宮切嗣の前にいたのは、【正義の味方】だった。
何せ、眼前にいる彼は切嗣の抱いた理想を全て体現した【衛宮切嗣】なのだから。
それを、間違いとは言わない。だが、正しいとも言えなかった。

――僕が、託さなければ。

衛宮士郎に預けた理想は、彼をどうしようもないぐらいに彼が本来歩むべきだった道を違えさせてしまった。
【衛宮切嗣】を過不足なく受け継ぎ、自分と同じ道をたどっている。
それを、悲嘆と呼ばずに何と称せばいい。
今の切嗣にとって、聖杯戦争は悪夢でしかなかった。

499 :衛宮士郎&アサシン ◆MZYnmmtZ2U:2015/03/06(金) 01:28:15 ID:ktjq5MIw0

……あの時、僕が抱いた安心感は、嘘だったのか。

伽藍堂のような士郎の双眸を、切嗣は真っ直ぐに見返すことができない。
自分の罪をまざまざと抉られているようで、耐え切れなかった。
どれだけ心が凍っていたのだろう。
いつのまにかに、吸っているタバコも、殆ど炭と化している程に切嗣の意識は閉ざされていたらしい。
揺蕩った紫煙が青に溶け、特有の香りが辺りに充満している。
吸って、吐いて。平常心とまではいかないが、ある程度は落ち着きを取り戻した。
見上げると、透き通った青の空が広がり、眩しい太陽の日差しが燦燦と照っている。
手を伸ばせば、どこまでも吸い込まれていきそうな錯覚さえ覚えてしまう。
けれど、気持ちのいい青は切嗣に祝福など与えてくれなかった。

「なぁ、士郎」
「ん? どうしたんだよ、爺さん」

屈託なく笑う彼の姿はあの月の夜に見た横顔と一見して変わらないように見受けられる。
けれど、違う。表情こそ似ているが、中身が致命的に破綻しているのだ。
正義の味方。そんなものの為に、衛宮士郎は【衛宮切嗣】になってしまった。

――罰、なんだろうな。

それは正義の味方が見た最後の夢だった。
願い事の残骸を引き継ぎ、彼は此処にいる。
救済さえも絶望に変える世界で、切嗣は何をするべきなのか。
理想に裏切られた自分に、できることはあるのだろうか。


【クラス】
アサシン

【真名】
衛宮切嗣@Fate/Zero

【パラメーター】
筋力D 耐久D+ 敏捷C 魔力D+ 幸運E 宝具C

【属性】
秩序・悪

【クラススキル】
気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を断てば発見する事は難しい。

【保有スキル】
単独行動:A
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる。
マスターを失っても数日間は現界可能。

正義の味方:B
相手の属性が悪である限り、正義の味方である切嗣のステータスはランクアップする。
悪の強さによって、ランクアップの幅は広がっていく。
もっとも、切嗣自身の属性が悪である事実は皮肉としか言い様がない。

魔術:E
暗示など、軽い魔術なら扱える。


【宝具】
『固有時制御』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
衛宮の家伝である「時間操作」の魔術を戦闘用に応用したもの。
戦闘時には自分の体内の時間経過速度のみを操作するなどの用途で使用する。
なお、固有時制御を解除した後に世界からの「修正力」が働くため、反動によって身体に相当の負担がかかる。

『起源弾(クライム・アヴェンジャー)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
自らの起源を相手に発現させる礼装魔弾。
この弾丸で穿たれた傷は即座に「結合」され、血が出ることもなくまるで古傷のように変化する。
ただ、「結合」であって「修復」ではないため、「結合」されたところの元の機能は失われてしまう。
この銃弾は相手が魔術で干渉したときに真価を発揮する。弾丸の効果は魔術回路にまで及び、魔術回路は「切断」「結合」される。
結果、魔術回路に走っていた魔力は暴走し、術者自身を傷つける。
その仕様に加え、サーヴァントと化した現状では、必殺の魔弾と称すことができるのではないか。

【weapon】
トンプソン・コンテンダー

ワルサーWA2000

キャリコM950

【人物背景】
正義の味方【だった】一人の人間。

【サーヴァントとしての願い】
願う資格が、あるのか?


【マスター】
衛宮士郎@Fate/stay night

【マスターとしての願い】
聖杯を破壊する。

【weapon】
なし。

【能力・技能】

投影…思い浮かべた物体を、魔力で顕現させる魔術。

強化…魔力を通すことで、対象の強化を施す魔術。

【人物背景】
10年前に冬木市で起きた大火災の唯一の生存者。
その際、魔術師である衛宮切嗣に助け出され、養子として引き取られる。
後に、切嗣への憧れから、正義の味方となってみんなを救い、幸せにするという理想を本気で追いかけるようになる。
そして、その理想を叶える為に、大切な人達を切り捨てた。
それはまるで、鉄の心を胸に抱いたブリキのロボットのようだった。

【方針】
正義の味方を張り通す。その過程で生まれる犠牲は考えない。

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