新生人工言語論

エスペラントの声

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人工言語で最も文献が豊富なのはエスペラントですが、流石に声の出し方までは決めていないようです。
諸本にはエスペラントはイタリア語のような響きと書いてあります。
CDブックが一般化するまで、エスペラントの実演を聞くのはラジオなどを除いて難しかったのではないでしょうか。

小林司(2006)『4時間で覚える地球語エスペラント』白水社
これにはエスペラントの実演がCDで収録されています。便利な世の中になりました。
吹き込んでいるのは2人ですが、名前からして少なくとも片方は日系人か外国人妻のようです。

エスペラントは発声法まで指示しなかったので、CDは白人ボイスです。
イタリア語か復刻ラテン語を聞いているようです。吹込みが日本人なら日本人ボイスになると思います。

CDの発音を聞く限り、強弱アクセントです。弱い部分はシュワー化しています。
この吹き込み者は偶に清濁の区別が曖昧です。特に弱い音節だとその傾向があります。日本人が吹き込めば、この辺りは明瞭に発音するはずです。

個々の発音の聞き取りは中々難しいです。人工言語は文法がいくら簡単とはいえ、リスニングの難しさは自然言語同様です。
したがって、普及型はリスニングしやすい言語も考慮すべきといえます。

西洋語は一般に摩擦音の摩擦が日本語などより鋭いです。
CNNなどを聞いているとs音が耳につきます。吹き込みの女性ですが、sがやはり強いです。基本的に摩擦が強く発音されています。
語頭、特に文頭は有気化しているようです。アンネの日記を聞く辺り、k音が特に有気化しています。

全体的な抑揚についてこの本は説明をしていません。なので自動的に西洋語になっています。
仮に全ての語の音がsaだけでできていたとしても、この抑揚で話されればやはり西洋語だと感じるはずです。
私らが中国語を少しも分からなくとも電車の中で音の抑揚で何となく中国語を喋ってるのが分かるのと同じです。
単音が聞こえなくても抑揚だけで何語か想像つきます。それと同じくらいこのCDは西洋語的です。

音域の広さも日本語より広く、西洋語ライクです。
アンネの日記では一部でかなり高音化しています。1オクターブは上がっています。
リズムもやはりイタリア語に近いですね。

発声は本当に西洋語ボイスです。
やはりイタリア語など、南方の少し暑いところで良く使われる発声法です。
イタリア語のほか、スペイン語、ポルトガル語なども同じような声の使い方です。少なくともゲルマン系の声ではありません。
タイ語など湿った熱い地域に顕著な鼻声ほどではありませんが、上記南欧語と同じ程度には鼻声です。

吹き込みがどこの人か分かりませんが、もし非西洋人だとしたら驚嘆に値します。
エスペラントがイタリア語の響きであるということをノンネイティブでありながら実演してみせてるわけですから。

アルカは架空の惑星アトラスで使われていることになっているので、独自の発声法まで指示する必要があります。
更に、実在の惑星地球で小規模で使うには、発声法も一律にする努力(あくまで努力であって実現は難しい)をしないといけません。
したがってアルカは発声法の指示までしています。

ですが実際私の発声を聞く限り上手くできていません。エスペラントを話す日本人と同じです。
問題は、エスペラントはそれでも良いのですが、アルカの場合はそれでは良くないということです。
練習しているので少しは何もしない状態より日本語ボイスを離れているものの、やっぱり全体的にアジア声です。喉音・口音が目立っています、私の発音は。
人に聞かせれば、きっと白人声には聞こえないでしょう。

エスペラントは普及型なので敷居を下げるために各人の母語の発声法を無理に矯正しないほうが良いです。
母語の発声を矯正するのは難しいので、符牒型でもなければ徒労です。悪戯に言語の敷居を上げるだけです。
エスペラントとアルカは言語の種類が違うので、各々のやり方は各々の生き方に合致しています。
日本人は日本語声でエスペラントを喋るし、西洋人は西洋ボイスのままで良いと思います。
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