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明日のきみと逢う為に

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明日のきみと逢う為に ◆UcWYhusQhw




夜空に明るく輝きを放っていた星が昇り始めた陽によって輝きを失おうとしていた頃。

小さな小さな子がただ一人の少女を見つめている。

星と陽に囲まれながら。

碧の瞳を持った子――ティーがただ見つめていた。

覚悟を問われた少女を。


その少女の背を。


その少女の行く末を。


傍観者の様に。


ずっとずっと見つめている。









◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






明け始めた空に靴音が静かに響いている。
空高くまで聳えるビル群の中を少女達は歩いていた。
ゆっくりと一歩ずつ、一歩ずつ。
少女――白井黒子――は南に向かう事を指針にした。
海の向こうにあるであろう、黒い壁を確かめる為に、なるべく高い所からそれを眺めたい。黒子はそう理由付けたのだ。
その為に摩天楼か灯台かに向かおう。そう理論付けて白井は歩を進めている。
黒桐鮮花を見失い、テレポートを駆使して探そうとは思えなかった。
それが心理的要因が有ったか無かったかは白井以外知る由も無かったが。

だが唐突に大きな鈍い音がビル街に響く。
その音は白井黒子が拳を壁に打ち付けた音。

白井黒子は悔しかった。
それは黒桐鮮花の言葉。
それは覚悟の有無を問う言葉。

その言葉に白井黒子は心を揺らされている。
黒桐鮮花の想いはどれだけ強く真っ直ぐなものだったのだろう。
想いの為に人を全て焼き殺そうと。
それは愚直かもしれない。
でも、とても純粋で、そして強固のようで。

全て問題を先送りしていたのもかもしれない白井黒子よりよっぽど強い覚悟だった。
迷っているのだろうかと白井は思う。
鮮花の強い覚悟に。
鮮花は兄の為に全力で、それこそ命を懸けてがむしゃらに生きようとしていた。
彼女の目は決意と意志に満ちていて。
それこそ、強い者の心だった。

なら、自分はどうだろうと思う。
鮮花を拘束だけ終わらして、あまつさえ逃がして。
そんな自分は弱いのだろうか。
誰かを犠牲にせず、皆が助かる可能性を探す事は。
黒桐鮮花が言った自分達はもう負けているという事。
それなのに、皆を助けようとするのはただの甘えだけ。
弱い覚悟でしかないのだろうかと思う。

白井黒子はそんな脆弱な覚悟でこの島でたっているのだろうか?

ただの甘えで。
ただ選びたくないから?
ただ殺したくないから……?




バチンと強い音がその時響く。

それは白井黒子が自分の頬を叩く音。

そんなのものではないと白井黒子は強く言える。
甘えではない。
そうだ、自分にだって敬愛すべき相手は居る。


大切な敬愛すべきお姉様。
御坂美琴はこの島でどのような覚悟をするのだろうか?
……決まってる、解りきっている。
御坂美琴を知っている白井黒子だからこそ断言できる。

誰の犠牲も出さず、皆を護りきってみせる。

厳しく到底叶いそうに無いその選択肢を何の迷い無く選び取るだろう。
それは甘えから、流されて、殺したくないから?
そんな弱い考えで御坂美琴はそれを選び取らない。
本心から、自分の強い強い意志でそれを選び取るんだろう。

それが御坂美琴だ。

それが白井黒子が知っている、敬愛する御坂美琴だ。


ならば――――答えはもう出ている。


白井黒子がお姉様と同じ高みを目指す為に。
白井黒子がお姉様の手助けをする為に。

自らもそれを目指そう。

それはお姉様に倣おうとしたから?
それは弱い考え?


絶対に違うと言い切ってみせる。
白井黒子は強く思う。
これは手段でしかない。
白井黒子が同じ高みに上る為に自分が考えて選んだ手段なのだから。

白井黒子はその道を進む。
それは決して流された選択肢ではない。

確固たる自分の意志で。

白井黒子は変わらず、誰の犠牲もださず、皆を護りきってみせるという道を歩こうと誓える。

それは弱い覚悟なのだろうか?と彼女はは思う。
それは解らないと彼女は思い。

だからこそ。

ならば改めて覚悟をしなおせばいい。

白井黒子が歩む道。
お姉様と同じ高みに上れるように。

強く強く誓えるように。

そして、それが己を更なる高みを上れるようにする為に。
そして、それがお姉様に逢える時に胸を張っていられるように。



白井黒子はその道を、自らの意志でその選択肢を選び取る。


白井黒子は笑った。

まずはこの隣にいる小さな子を護って見せようと。
その子の白い髪を白井はクシャクシャと撫でて上げた。

その白井黒子の笑顔に迷いは無かった。

あるとするなら、憧れのお姉様への……強い想い。











◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







ティーは撫でられながら少女を見つめる。
彼女は満面の笑みで笑っていた。

どうやら、彼女は答えを得たらしい。

それにティーは何故か満足し。

撫でられるのもたまにはいいと思って。


彼女も微かに……ほんの微かに。


笑ったのだった。




【E-5/北部/一日目・早朝】

【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[装備]:グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ、地虫十兵衛の槍@甲賀忍法帖
[道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品0~1
[思考・状況]
基本:ギリギリまで「殺し合い以外の道」を模索する。
0:自分の意志でお姉様と同じ高みに上る為に『殺し合い以外の道』を選び取る
1:当面、ティー(とシャミセン)を保護する。可能ならば、シズか(もし居るなら)陸と会わせてやりたい。
2:できれば御坂美琴か上条当麻と合流したい。美琴や当麻でなくとも、信頼できる味方を増やしたい。
3:夜が明けてから、もう一度『黒い壁』が本当に存在するのかどうかを見てみる。その為に『摩天楼』か『灯台』にいく
[備考]:
※『空間移動(テレポート)』の能力が少し制限されている可能性があります。
 現時点では、彼女自身にもストレスによる能力低下かそうでないのか判断がついていません。
※黒桐鮮花を『異能力(レベル2)』の『発火能力者(パイロキネシスト)』だと誤解しています。



【ティー@キノの旅】
[状態]:健康。
[装備]:RPG-7(1発装填済み)@現実、シャミセン@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:デイパック、支給品一式、RPG-7の弾頭×2、不明支給品0~1
[思考・状況]
基本:???
1.RPG-7を使ってみたい。
2.手榴弾やグレネードランチャー、爆弾の類でも可。むしろ色々手に入れて試したい。
3.シズか(もし居るなら)陸と合流したい。そのためにも当面、白井黒子と行動を共にしてみる。
[備考]:
※ティーは、キノの名前を素で忘れていたか、あるいは、素で気づかなかったようです。



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