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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • それぞれの限界、それぞれの転向 (前編)

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

それぞれの限界、それぞれの転向 (前編)

最終更新:2007年05月12日 16:50

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それぞれの限界、それぞれの転向 (前編) ◆3k3x1UI5IA


獣の耳持つ少女を追うか、それともみかの待つ廃墟の街に戻るか――
相反する二択を迫られたベルフラウ=マルティーニは、結局、どちらも選ばなかった。
否、正確に言えば……「どちらも選べなかった」、と言うべきか。

「我ながら、情けないですわね……!」

髪から水を滴らせながら、ベルフラウは下唇を噛む。
彼女に、もう少し魔力があれば。あるいは、彼女にもう少し体力があれば。
そう思わなくも無かったが、しかし実際問題として無いものは仕方が無い。
北に走り去る獣人の少女を追うだけの体力もなく、また来た道を引き返すための魔力もなく。
ベルフラウに選ぶことができたのは、一時の休息だけだった。

太い丸太を何本も組んで作られた、東西に走る橋の下。
そのままでも隠れられそうな場所であったが、ベルフラウはさらに『地』のクロウカードを使用。
残り少ない魔力を使って土を動かし、大地を掘り、作り出したのは小さな『洞穴』だった。
橋の上を渡る者からも道路を歩く者からも、共に死角になる位置。
多少狭いのが難だが、慣れない魔法での土木工事であることを考えれば十分過ぎる出来だろう。

ここなら誰にも見られる心配は無い。少しの逡巡の後、ベルフラウは濡れそぼった衣類を一気に脱ぎ捨てる。
水を吸った重いワンピース。肌に張り付く不快なタイツ。頭に乗っているだけの状態だったベレー帽。
さらにしばらく迷った後、思い切って濡れた下着も脱いでしまう。
重く冷たい服から完全に解放され、思わずほッと溜息が漏れる。心地よい開放感。

しかし、ここまでたっぷり濡れてしまっては、絞った程度ではなんともならない。
『火』のカードで焚き火でもすれば別だが、魔力の残りも乏しいし、火力調整も難しそうだ。
裸のままでしばらく過ごすか、それとも濡れた服をまた着るのか……?
あられもない姿のまま、彼女は少し思案する。

「そうですわ、そういえば確か、替えの服が……!」

ベルフラウの支給品は3つ。
1つ目は四大元素のクロウカード。もう1つは今は置いておくとして、最後の1つは女の子用の衣類のセット。
軽く調べたきり、すっかり存在自体を忘れていたソレを、彼女は取り出す。
幸い、こちらは濡れていない。ご丁寧にも下着まで揃えてあったものを、有り難く使わせてもらうことにする。

「……ちょっと、丈が短すぎませんこと?」

身につけてみたベルフラウは、その下着が見えそうな程のミニスカートに少し顔を顰めるが。
それでも、裸でいるよりはずっといい。サイズもさほど問題無いようだ。
内務省特務機関等能力支援研究局B.A.B.E.L.所属、『ザ・チルドレン』の制服――。
実はこれ、人によっては大きな誤解を生みかねない危険な衣装なのだが、今のベルフラウに知る由もない。
着替えを終えた彼女は、濡れた自前の服を畳んで仕舞い込むと、洞窟の中に腰を下ろす。

「まずは体力と魔力の回復を図らなければ、何もできませんわね……。
 いざとなったら、目立ってしまいますけど、『あの支給品』で一足飛びに……」

疲れきった頭では、なかなかまとまった思考ができない。
いつしかベルフラウは、橋の下の隠された洞穴の中、こっくりこっくり、と船を漕ぎ始め、そして……。

         *       *        *

――ガガガンッッ!!

「……はうッ!?」

まさに青天の霹靂。耳をつんざく轟音が、ベルフラウを叩き起こした。
普段なら考えられないような間抜けな声と共に飛び起きた彼女は、狭い天井に頭をぶつけて。
涙目になりながらも、ベルフラウの意識は一気に覚醒する。

ちょっとの休憩のつもりだったのに、眠ってしまっていたらしい自分。
どれほどの時間を浪費してしまったのだろう? 北に向かった獣人は? 廃墟で待っているはずのみかは?
そして、今の閃光と轟音は――!?

「落雷、ですの!? でも、それにしては――」

穴の入り口から覗き見た空は、到底雷が落ちるような天気ではない。
ここに潜り込む前に見た周囲の景色にも、雷が落ちそうな大木などは見当たらなかった。
けれど、それでもすぐ近くで落雷があったことは間違いなく。
こんな不自然な現象が起こる可能性は、いくつか考えられるが。

「召喚術? 召喚獣の能力? それとも――このカードのような、『魔法』?」

なんにしても、平和的な状況で必要となる『力』ではあるまい。
耳を澄ませば、風に乗って不穏な音が聞こえてくる。
途切れ途切れの声、何かを切り払うような切断音、そしてどこか壊れた笑い声――
明らかに、近くで戦闘が行われている。しかも、その気配は次第に近づいているようだ。
ベルフラウは、迷う。
様子を伺いに出てみるか、それとも、この隠れ家に隠れているか。
戦闘に介入するか、それとも、自分の安全を優先して見過ごすか。
獣耳の少女を見た時と同様の迷い。ベルフラウ本来の性格と、みかと交わした約束とが再びぶつかり合う。

「ど、どちらにしても、いざという時には動けるようにしておきませんと……!」

答えの出ない二択を前に彼女が「選んだ」のは、またしても「第三の選択肢」だった。
いや、それは「選択肢」と呼んでいいのだろうか?
どちらの選択肢も選べる状況を意識しながら、「とりあえず」、問題解決の「方法」の確認と準備に入る。

ランドセルから取り出したのは、ランドセルよりも大きなスーツケース。
そう、支給品の中に「コレ」があったからこそ、ベルフラウは遠くまで出かける気にもなったのだ。
「コレ」を使えば、来る時にはあれだけの時間がかかった道も、飛んで戻ることが出来る。
いざとなれば、さほどの時間をかけずに引き返すことができる。

ただし、その定員は僅か1名。みかと一緒に乗ることはできない――だからこそ、彼女には残ってもらった。
またその移動方法は隠密性とは掛け離れた、目立つこと必至の「最後の手段」。
これの使用は、ここまでのベルフラウの行動方針を一転させることを意味する。
覚悟を決めるように一呼吸置き、静かにスーツケースを開く。

真っ先に目を引くのは、歪んだ笑顔を貼り付けたかのような大きなカボチャの頭。
説明書を確認しながら、後頭部に開いた穴に両手を突っ込む。指貫が装着され、操り糸が引き出される。
ベルフラウ第二の支給品、懸糸傀儡『ジャック・オー・ランタン』。
繰り糸を通して伝えられた指先の動きに応じ、自由自在に動き回る操り人形。
その体内には多数の武器が仕込まれており、付属の箒を使えば高速飛行も可能な戦闘用懸糸傀儡――
――とのことだが、しかし、ロクに練習もしていない彼女に扱いきれるものかどうか。

「……いえ、やってみせますわ。最悪でも、わたくし1人が逃げ切るくらいは……!」

ベルフラウは、胸に湧き上がってきた不安を頭から振り払う。
ジェダが添付した解説書には、詳細な操作方法と共に「素質さえあれば子供にも扱える」との記述があった。
自分にだって、やってやれないことはないはずだ。『水(ウォーティ)』のクロウカードの時のように。
それに理由は思い当たらないのだが、この操り人形にはどこか親しいものを感じるし――

         *       *        *

――ベルフラウは、知らない。
『 Jack-o'-lantern 』。
その名には、戯画化され定型化された『ハロウィンのカボチャ』の他にも、もう1つの意味がある。
それは、沼に漂い人を惑わす妖しい灯火、『 Will-o'-the-wisp 』の別名。

つまり、日本語に訳せば『狐火』――あるいは『鬼火(オニビ)』、である。

         *       *        *

(……ここを一時退くのは「敗北」じゃない! 僕には優勝できるだけの力が、きっとあるッ!
 だけど……っ!)

手足に絡み付いてくる蔦を、片端から切り払う。
距離を詰めようとした所で、飛んできた薔薇の花弁を仰け反ってかわす。
そこから剣を振っても、人形は既に間合いの外。
決め手の無いまま、延々と体力と魔力を削られていく不毛な戦い。レックスの苛立ちは募る。

「このっ……バケモノめッ!」
「あははッ☆ 負けないのよ♪」

赤い実の揺れる蔦が、レックスの足首を捉える。
一瞬動きが止まった所に、「ヒナ」を自称する人形が振るった金属製の『こんぼう』が襲い掛かる。
咄嗟に盾も防具もない左腕でガード。
衝撃に吹っ飛ばされながら、それでもレックスは冷静に分析する。

(骨も折れてない、今のダメージは大したことない! この子、『攻撃力』そのものはあんまりない!
 この子がどちらかと言えば『魔法使い』、または『まどうし』タイプなのは明らかだ。でも……!)

人間として見るかモンスターとして見るかは、大した問題ではない。
重要なのは、接近戦より『魔法』に類する中・遠距離戦を得意としているという事実。
この手のタイプが単体で現れたとしても、本来ならレックスの敵ではない。
敵ではない、はずだったのだが。

(くっ、この蔦、しつこいッ……! 邪魔過ぎるッ!!)

勇者として戦ってきた長い旅の中でも、こんな技や魔法を使ってくるモンスターは1匹もいなかった。
いや、触手を持ったモノはいた。植物のようなモノもいた。
けれどそいつらだって、こんな風に自由を奪う使い方はしてこなかった。
赤い実が所々についた植物は、1本だけならかなり弱い。腕や足の力で容易に引き千切れる。
けれど、数が多い。複数の蔦に捕捉されたら、魔剣で切り払ってやらないと動けなくなる。
そしてそのタイムロスの間に、人形自身は素早く剣の間合いの外に逃げてしまう……。
それが、さっきから延々と繰り返されている。
徹頭徹尾、こちらの剣が「届かない」。
向こうが「1発殴ろう」とした隙に、すかさずこちらも「1発当てに行く」のがレックスたちの世界での基本戦術。
この人形相手に限ったことではなかったが、普段とはまるで勝手の違う戦いに、レックスは焦る。

では、剣が駄目なら魔法を使えば良いのでは? 彼は『戦士』ではなく『勇者』なのだから。
……しかし、それもまた危険なのだった。
試しに放ってみた牽制のベギラマは、舞い上がった薔薇の花弁の壁に阻まれ、人形本体に届かなかった。
まあ、マホカンタに類する(しかし反射効果のない)防御用の魔法だとは思うのだが……。
しかし、その対象範囲や効果時間が分からない。どこまでの魔法を防がれてしまうのか、見当もつかない。

(あの花びらの壁、『ギガデイン』なら貫けるか……? でも……!)

もしも彼の最強魔法・ギガデインさえも通じなかったら、と思うと、迂闊に試すこともできない。
この人形は、ギガデインを一度見ている。すなわち、レックスの最強の技を既に知っている。
トマとはやての時のように、第三者の乱入を期待することもできない。
もしも万が一、ギガデインさえも防がれてしまったら――その消耗は、今後の命取りにもなりかねない。
『ドラゴンの杖』によるドラゴラムも同様だ。
それで確実に倒せる保障があればともかく、貴重な残り使用回数、間違っても浪費したくはない。

となると、この状況を突き崩せる唯一の可能性は、相手のミス、あるいはMPの枯渇……なのだが。
さっきから惜しみなく蔦や花弁を振るい続けているというのに、人形の表情に焦りは見えない。

(……ひょっとして、MPが無限なの!? それとも、あの技の消耗がゼロ?!)

だとしたら、これは容易な相手ではない。
装備が足りない、技量が足りない、条件が足りない、仲間が足りない――どれが原因かは、分からないが。
ともかく、今のレックスには倒しきれない。この戦闘が始まった時点で、詰んでいる。
実際には、先のことを考えすぎるあまり自縄自縛に陥っているだけなのだが、幼い彼には気づかない。

打つ手なし。決め手なし。突破口なし。使えるかもしれないモノは、ことごとく躊躇いがよぎる。
しかし走って逃げようとしたら「回り込まれる」――のではなく、やはり蔦によって拘束される。
これもまた、レックスのいた世界には無かった「逃走阻止の方法」だ。調子が狂う。
剣を振るい、手足を縛る植物を斬り払いながら、彼は考えを巡らせる。

(ここは――『アレ』を使うしかない!?)

実のところ、レックスにはもう1つ使えるモノがある。
手にした魔剣に加えてもう1つ、ボウガンの少年から奪い取った「3つで1組の」支給品。
1つ1つが異なる機能を持ち、使い方次第では今後の戦いを有利に進められる品々。
しかし、どれも1回使ってしまったら終わりの消耗品。残り2回分ある『ドラゴンの杖』よりも貴重だ。
使い方を間違えてはいけない。
もし万が一、「使ったけれど打ち消されました」ということにでもなれば、今度こそ確実に「詰む」。
冒険をしてでも「使う」べきか、それとも状況の好転を信じて、今の膠着状況をもう少し続けるか――。
レックスは剣を振るい、飛んでくる花弁を避けながら考える。
必死に、考える。

――戦いの中で余計なことを考えていた彼は、だから状況の急変に気付けなかった。
不意に、人形からの攻撃が止まる。『ヒナ』と名乗った人形が、驚いたような表情を浮かべる。
好機とばかりに突進しかけたレックスは、そして後ろから迫ってきた気配に、はッ!と振り返る。

「――きゃぁぁぁぁぁッ!?」

耳に飛び込んで来たのは、どこか可愛らしい、しかし聞き覚えのない女の子の悲鳴。
でもレックスの視界に移ったのは、女の子の姿からは程遠い、大きな頭を持ったカボチャの怪物の姿で――
それは恐るべきスピードで、突進というより墜落するような形で、レックス目掛けて「降って」きて――

避ける間もなく、衝突。
激しい衝撃音と共に、濛々たる土煙が上がった。


         *       *        *


ベルフラウ=マルティーニが「選んだ」のは……
いや、「選ぼうとした」のは、結局、「その場からの移動」だった。

物陰からこっそり窺った限りでは、戦っているどちらもベルフラウの求める「先生」ではない。
両者の戦い方を見ても、召喚術を使う様子はない。むしろ小柄な方が使う技は、召喚獣の使う技に近い。

これでは、接触する価値は薄い。
ベルフラウが探しているのは、「先生」あるいは「腕のいい召喚術師」だ。
戦い、殺しあっている2人に、干渉せずともいいのか? という葛藤は当然あったが……
脳裏に浮かんだのは、やはりみかとの約束。
「危ないことはしない」――。
片方が一方的に嬲られているなら助ける気にもなるが、遠目に見ても状況は膠着していたし。
どちらに味方していいか分からない以上、取れる選択は「自分の安全の確保」だけだった。
2人は次第に近づいてくる。
さっきの落雷のような広範囲に及ぶ攻撃が放たれれば、橋の下に隠れていても巻き込まれる危険がある。
安全を確保するには、逃げるしかない。

そう、ベルフラウはただ、逃げようとしただけだったのに。

懸糸傀儡『ジャック・オー・ランタン』に乗って、猛スピードで遠ざかるつもりだったのに。
2人の剣も魔法も蔦も花弁も届かぬ上空を、一気に走り抜けてしまうつもりだったのに。
複雑怪奇な機構を備えた懸糸傀儡は、やはり素人には難し過ぎたのだ。
ほんの僅かな操作ミスが、全く違う動作に繋がる。
ほんの僅かな指の動きが、数十倍数百倍にも増幅されて結果に反映される。

「ま、待ちなさい『ジャコ』、私が行きたいのは、そっちじゃな――!」

なまじ、飛びあがるのに成功してしまったのがいけなかった。
風に煽られ捲れ上がるスカートを気にする余裕もなく、カボチャ頭の妖怪は空中をフラフラと迷走して――
やがて、眼下で戦っている2人の居るあたりに向かって、墜落を始める。
こちらに背を向けたまま、気がついていない少年。驚きの表情を浮かべる小柄な少女。
少年がようやく気付いて振り返るが、今さら間に合うものではない。

「――きゃぁぁぁぁぁッ!?」

恥も外聞も忘れて、ベルフラウの口から悲鳴が迸る。もう避けられない。
激突。衝撃。舞い上がる土煙――
ベルフラウの意識は、またしてもそこで途絶えてしまった。

         *       *        *

「な――何をされたッ!?」

全身に走る痛みに耐えながら、それでもレックスは素早く跳ね起きる。
状況が把握しきれない。
唐突に飛び出してきた「何者か」に強烈な体当たりを喰らったのは分かるが、それ以上の状況が分からない。
仮にも天空の勇者、この程度の衝突でどうにかなるようなヤワな身体はしていなかったが……
レックスは、もうもうと舞い上がる土煙の中、目を凝らす。

「……ふーん、『ジャコ』って言うんだ♪ よろしくなの☆」
『…………』

土煙の中、2つの影が見える。
片方は、ついさっきまで戦っていた「ヒナ」という人形。そしてもう片方は……
声こそ聞き取れなかったが、さっきの乱入者。
身体に比して巨大過ぎる頭部を持つ、カボチャのモンスター。
「ヒナ」に「ジャコ」と呼ばれたソレは、凶悪な両手持ちの鎌を手に、少女人形を守るように身構える。

レックスは、戦慄する。
この状況は、まるでさっきと同じような――
『グルグル使いのトマ』が『アビシオンさん』を呼んだ時と、同じような――!

「仲間を呼んだ!? そんな……!」
「いけぇ、ジャコ! やっちゃえぇ♪」
『…………!』

レックスの考えがまとまるよりも早く、敵が動き出す。
鎌を振り上げ、突進してくるカボチャ頭。咄嗟に剣で受けようとしたレックスの動きが、急に止まる。
――全身に、蔦が絡み付いていた。
赤い実が揺れる蔦。「ヒナ」がさっきまで使っていた、拘束の技。
これでは、避けられない。

ザシュッ。
袈裟斬りに振るわれた大鎌の衝撃に、レックスの視界がブレる。

「ぐあぁぁぁッ!!」

思わず悲鳴が漏れる。まさに痛恨の一撃。
恐ろしい切れ味を持っていた鎌は、レックスを拘束する蔦もろとも、一刀両断。
ギリギリの所で蔦ごと身を仰け反らせ、即死こそ免れたが、それでもこれは相当な深手だ。
防具も何もない今の状態、いくら天空の勇者といえど、限界がある。
逆に敵が拘束を断ってくれたこのチャンス、転がるようにして距離を開けながら必死に頭を巡らせる。

(このままじゃ、本当にダメだ! ここで倒されちゃうわけにはいかないんだ!
 やっぱり、『アレ』を使って――!)

レックスは懐にある3枚のカードに手を添える。
先ほども使用を検討し、しかしその希少性から躊躇ってしまったカード。
1枚は、今は意味が無い。
1枚は、行き先こそ『町』や『村』ではないが、基本的に『ルーラ』に近いモノ。
そして最後の1枚は、これも行き先は違うが、敵にかける『ルーラ』のようなモノ――
カードに添えられていた解説から、レックスはそのように理解していた。

(『キメラの翼もどき』は、ダメだ。選べる行き先が、「今の僕にとっては都合が悪すぎる」。
 『敵を吹き飛ばすカード』も、ダメだ。
 さっき、「ヒナ」って子だけだった時なら良かったけど、対象に取れるのは1人だけ。
 2人の敵の片方だけ飛ばしても、今はあまり意味がない……!)

カボチャ頭も「ヒナ」も、強敵だ。この負傷では、1人を相手にするだけでも危険な状態。
単純に彼らを対象に使用するのでは、十分ではない。
他に何か、この窮地を確実に脱する方法は――

「……そうか、その手があったか。なんでさっきは気付かなかったんだろう?」
「??」

ピンチは時に、人に思いも寄らぬ知恵を授ける。
この『カード』が、レックスの世界の『魔法』と似たものなら――
この『カード』に書かれた文面が、この通りの意味を持つのなら――
きっと、「そういうこと」もできるはずだ。
彼の表情の変化に首を傾げる「ヒナ」に、レックスは静かに声をかける。

「――僕の名前はレックス。君の名前は?」
「ヒナは、雛苺って言うのよ。聞いてなかった?」
「『雛苺』か。覚えておくよ。いつかチャンスがあれば、その時には――!」

レックスはそして、1枚のカードを取り出す。
彼の動きに気付き、カボチャ頭と蔦が迫ってくるが、しかし遅い。
カードを掲げ、レックスは高らかに叫ぶ。


「『初心(デパーチャー)』、使用(オン)! 対象――『レックス』!」


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