三者三様 ◆nhqbjDwFas
冥王の作り上げた絶海の孤島。
その海岸近くに建つビルの一つに、少年の弱々しい泣き声が響き渡っている。
陽光の差し込む廊下で鼻を擦りあげているのは、眼鏡をかけた一人の少年――野比のび太だった。
「ドラえも~ん」
鼻水を啜り上げながら呼ぶのは、22世紀から来た同居人の名前。
だが、困ったときにはいつも助けてくれるはずの、頼りになる親友からの返事は無かった。
「もう駄目だ、助けてくれるような人もいない。ぼくは、このまま死んでしまうんだ・・・」
涙を袖で拭いながら、のび太は自分の呟いた言葉に体を震わせる。
最初にいた場所での出来事を思い出してしまい、彼の目からはさらに涙がこぼれた。
どんな秘密道具を使ったのかは知らないけれど、
大人みたいな姿になって、魔法みたいな力を使った女の人。
そして、その人の頭が一瞬で吹き飛ばされる光景。
逆らったら殺される。そもそも、あの男達と一人で戦うなんてできっこない。
いつもジャイアン達に負けているのに、道具もなしに勝てるはずが無い。
たった今、身を守る方法だって・・・
「そ、そうだ、あの男の人がたしか、なにかランドセルに入れてるって言ってたじゃないか!」
ジェダの言葉を思い出して、のび太は慌ててランドセルを開ける。
もしかしたら、ドラえもんの道具が入っているかもしれない。
そんな淡い期待とは裏腹に。
ランドセルから出てきたのは、両手で抱えるほどの大きさをしたロボットの頭だった。
もちろん、ドラえもんではない。彼とは似ても似つかない角ばった形に、不気味に光る目が一つ。
続けてランドセルから出てきたのは胴体と手足。
そのどれもが中身の入っていない、いわゆるがらんどうだった。
付随していた説明書を読み、それが秘密道具の類ではない事を確認して、のび太はがっくり肩を落とす。
「ま、まだだ。まだ入ってるはず」
自分にそう言い聞かせ、再びランドセルに手を突っ込む。
そうして、次に取り出した物体は。
「リンゴ?」
真っ赤な色をした林檎が十個、スーパーの袋に入っていた。
毒でも入ってるんじゃないだろうかと、恐る恐る観察する。
と、袋の中に一枚の紙片を発見し、のび太は恐る恐る手を伸ばした。
その海岸近くに建つビルの一つに、少年の弱々しい泣き声が響き渡っている。
陽光の差し込む廊下で鼻を擦りあげているのは、眼鏡をかけた一人の少年――野比のび太だった。
「ドラえも~ん」
鼻水を啜り上げながら呼ぶのは、22世紀から来た同居人の名前。
だが、困ったときにはいつも助けてくれるはずの、頼りになる親友からの返事は無かった。
「もう駄目だ、助けてくれるような人もいない。ぼくは、このまま死んでしまうんだ・・・」
涙を袖で拭いながら、のび太は自分の呟いた言葉に体を震わせる。
最初にいた場所での出来事を思い出してしまい、彼の目からはさらに涙がこぼれた。
どんな秘密道具を使ったのかは知らないけれど、
大人みたいな姿になって、魔法みたいな力を使った女の人。
そして、その人の頭が一瞬で吹き飛ばされる光景。
逆らったら殺される。そもそも、あの男達と一人で戦うなんてできっこない。
いつもジャイアン達に負けているのに、道具もなしに勝てるはずが無い。
たった今、身を守る方法だって・・・
「そ、そうだ、あの男の人がたしか、なにかランドセルに入れてるって言ってたじゃないか!」
ジェダの言葉を思い出して、のび太は慌ててランドセルを開ける。
もしかしたら、ドラえもんの道具が入っているかもしれない。
そんな淡い期待とは裏腹に。
ランドセルから出てきたのは、両手で抱えるほどの大きさをしたロボットの頭だった。
もちろん、ドラえもんではない。彼とは似ても似つかない角ばった形に、不気味に光る目が一つ。
続けてランドセルから出てきたのは胴体と手足。
そのどれもが中身の入っていない、いわゆるがらんどうだった。
付随していた説明書を読み、それが秘密道具の類ではない事を確認して、のび太はがっくり肩を落とす。
「ま、まだだ。まだ入ってるはず」
自分にそう言い聞かせ、再びランドセルに手を突っ込む。
そうして、次に取り出した物体は。
「リンゴ?」
真っ赤な色をした林檎が十個、スーパーの袋に入っていた。
毒でも入ってるんじゃないだろうかと、恐る恐る観察する。
と、袋の中に一枚の紙片を発見し、のび太は恐る恐る手を伸ばした。
“えるしっているか 死神は りんごしかたべない”
ため息。それがはずれである事に気づき、のび太は再び肩を落とした。
とりあえず、無言でランドセルに手を突っ込む。
もはや期待感もなく取り出したものは・・・拳銃のような形をしていた。
「どうせ、ただのオモチャなんだ」
そう呟きながら説明書を見る。そこには、この拳銃の使用方法がわかりやすく書かれていた。
それを要約すると、これは相手に電撃を与えられる銃。つまりはショックガンのような物らしい。
やっとの事で武器になるものをみつけて、のび太の顔に笑みが浮かぶ。
「やった、これさえあれば・・・」
不意に、その呟きをかき消すように背後から足音が響いた。
手に入れたばかりの武器を握り締め、ゆっくりと振り返る。
のび太の振り返った先。廊下の向こう側には、こちらを見つめる二人の少年の姿があった。
とりあえず、無言でランドセルに手を突っ込む。
もはや期待感もなく取り出したものは・・・拳銃のような形をしていた。
「どうせ、ただのオモチャなんだ」
そう呟きながら説明書を見る。そこには、この拳銃の使用方法がわかりやすく書かれていた。
それを要約すると、これは相手に電撃を与えられる銃。つまりはショックガンのような物らしい。
やっとの事で武器になるものをみつけて、のび太の顔に笑みが浮かぶ。
「やった、これさえあれば・・・」
不意に、その呟きをかき消すように背後から足音が響いた。
手に入れたばかりの武器を握り締め、ゆっくりと振り返る。
のび太の振り返った先。廊下の向こう側には、こちらを見つめる二人の少年の姿があった。
「よかった、弥彦くんとカツオくんが怖い人じゃなくて」
のび太のその言葉に、明神弥彦は真面目な顔で頷いた。
開始直後。弥彦が降り立ったのはこのビルの屋上だった。
周囲を見回し、危険が無い事を確認する。
「言うに事欠いて、殺しあえか。ふざけやがって」
もちろん、彼は神谷活心流の誇りにかけて、殺し合いなどに乗るつもりは無かった。
弥彦が考えるのはむしろ逆。どうにかして、あのジェダと名乗る異人と、その部下を倒せないかという事。
相手は妖術のようなものを使ってくるし、逆らうと首についている輪が爆発する。
けれども、ここには自分を合わせて80人余りの人間が居るのだ。その人数で戦えば何とかなるはず。
そう考えながら、鞄を開く。中から出てきたのは一本の刀だった。
逆刃刀よりも少し長めだろうか。ずしりと重いそれを鞘から引き抜く。
陽光を受け、刃が鈍く光る。真剣、それもかなりの名刀だ。
感嘆の溜息を吐きながら、弥彦はそれをそっと鞘に収めた。
「剣心、俺に力を貸してくれ」
その呟きとともに、刀を握り締める。そして、屋上からの出口へとむかい歩き始めた。
・・・その扉が磯野カツオの手によって開かれたのは、弥彦がそこへとたどり着く直前のことだった。
のび太のその言葉に、明神弥彦は真面目な顔で頷いた。
開始直後。弥彦が降り立ったのはこのビルの屋上だった。
周囲を見回し、危険が無い事を確認する。
「言うに事欠いて、殺しあえか。ふざけやがって」
もちろん、彼は神谷活心流の誇りにかけて、殺し合いなどに乗るつもりは無かった。
弥彦が考えるのはむしろ逆。どうにかして、あのジェダと名乗る異人と、その部下を倒せないかという事。
相手は妖術のようなものを使ってくるし、逆らうと首についている輪が爆発する。
けれども、ここには自分を合わせて80人余りの人間が居るのだ。その人数で戦えば何とかなるはず。
そう考えながら、鞄を開く。中から出てきたのは一本の刀だった。
逆刃刀よりも少し長めだろうか。ずしりと重いそれを鞘から引き抜く。
陽光を受け、刃が鈍く光る。真剣、それもかなりの名刀だ。
感嘆の溜息を吐きながら、弥彦はそれをそっと鞘に収めた。
「剣心、俺に力を貸してくれ」
その呟きとともに、刀を握り締める。そして、屋上からの出口へとむかい歩き始めた。
・・・その扉が磯野カツオの手によって開かれたのは、弥彦がそこへとたどり着く直前のことだった。
「のび太の知り合いは、剛田武とリルルって奴だけなんだな?」
「うん、二人とも殺し合いなんてするような人じゃないよ」
弥彦の確認の言葉に、のび太は頷く。
その様子を眺めながら・・・磯野カツオはこれからの事を考える。
最後の一人になるまで殺しあえ。
確かに、最初にそう言われたときは恐怖で足が震えたし、
この島に知り合いがちっとも居ない事を知ったときには、絶望すらも覚えた。
けれども逆に考えれば、それは自分以外の参加者は皆、見知らぬ他人という事であり。
『ここに居るのは全員、他人なんだから・・・そんなに悩むことでも無いかもな』
この地に降り立って数分後。磯野カツオはそう、結論付けていた。
さて、ゲームに乗るとして一番良い方法は何だろう?
参加者を見つけ次第、殺す?
三人殺せばご褒美がもらえるらしいし、その方法もいいかもしれない。
でもそれは、あくまでも強い武器が当たった場合。
残念ながらカツオの支給品は“あたり”ではあるけど、そう簡単に使えるようなものではなかった。
「そういえば、カツオくんの支給品は何だったの?」
「うん、それが・・・」
不意ののび太の言葉に、カツオはちょっと困った表情を作りながら支給品の一つを取り出す。
それは三脚のついた、筒状の物体。いわゆる、天体望遠鏡だった。
端のほうに小さく“天文部”と書かれたそれを指し示しながら、残念そうに呟く。
「これだけしか、入ってなかったんだ」
申し訳なさそうな顔になったのび太に、気にしなくてもいいよと声をかけつつ。
カツオは胸元に忍ばせた、もう一つの支給品――“禁止エリア指定装置”の効果的な使い道を考えていた。
「うん、二人とも殺し合いなんてするような人じゃないよ」
弥彦の確認の言葉に、のび太は頷く。
その様子を眺めながら・・・磯野カツオはこれからの事を考える。
最後の一人になるまで殺しあえ。
確かに、最初にそう言われたときは恐怖で足が震えたし、
この島に知り合いがちっとも居ない事を知ったときには、絶望すらも覚えた。
けれども逆に考えれば、それは自分以外の参加者は皆、見知らぬ他人という事であり。
『ここに居るのは全員、他人なんだから・・・そんなに悩むことでも無いかもな』
この地に降り立って数分後。磯野カツオはそう、結論付けていた。
さて、ゲームに乗るとして一番良い方法は何だろう?
参加者を見つけ次第、殺す?
三人殺せばご褒美がもらえるらしいし、その方法もいいかもしれない。
でもそれは、あくまでも強い武器が当たった場合。
残念ながらカツオの支給品は“あたり”ではあるけど、そう簡単に使えるようなものではなかった。
「そういえば、カツオくんの支給品は何だったの?」
「うん、それが・・・」
不意ののび太の言葉に、カツオはちょっと困った表情を作りながら支給品の一つを取り出す。
それは三脚のついた、筒状の物体。いわゆる、天体望遠鏡だった。
端のほうに小さく“天文部”と書かれたそれを指し示しながら、残念そうに呟く。
「これだけしか、入ってなかったんだ」
申し訳なさそうな顔になったのび太に、気にしなくてもいいよと声をかけつつ。
カツオは胸元に忍ばせた、もう一つの支給品――“禁止エリア指定装置”の効果的な使い道を考えていた。
【A-7ビル内/1日目/朝】
【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康
[装備]:テーザー銃@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式、ロボ子の着ぐるみ@ぱにぽに、林檎10個@DEATH NOTE
[思考]
第一行動方針:ビルから出る
第二行動方針:ジャイアン、リルルを探す
基本行動方針:死にたくない
[備考] テーザー銃をショックガンのように電撃が出る銃と認識しています
[状態]:健康
[装備]:テーザー銃@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式、ロボ子の着ぐるみ@ぱにぽに、林檎10個@DEATH NOTE
[思考]
第一行動方針:ビルから出る
第二行動方針:ジャイアン、リルルを探す
基本行動方針:死にたくない
[備考] テーザー銃をショックガンのように電撃が出る銃と認識しています
【明神弥彦@るろうに剣心】
[状態]:健康
[装備]:楼観剣@東方Project
[道具]:基本支給品一式
[思考]
第一行動方針:ビルから出る
第二行動方針:のび太の知り合いを探す
基本行動方針:ジェダ達を倒す
[状態]:健康
[装備]:楼観剣@東方Project
[道具]:基本支給品一式
[思考]
第一行動方針:ビルから出る
第二行動方針:のび太の知り合いを探す
基本行動方針:ジェダ達を倒す
【磯野カツオ@サザエさん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、天体望遠鏡@魔法先生ネギま!、禁止エリア指定装置
[思考]
第一行動方針:ビルから出る
第二行動方針:二人を利用しつつ、武器を探す
第三行動方針:のび太の知り合いを探す
第四行動方針:禁止エリア指定装置の使い道を考える
基本行動方針:優勝する
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、天体望遠鏡@魔法先生ネギま!、禁止エリア指定装置
[思考]
第一行動方針:ビルから出る
第二行動方針:二人を利用しつつ、武器を探す
第三行動方針:のび太の知り合いを探す
第四行動方針:禁止エリア指定装置の使い道を考える
基本行動方針:優勝する
【テーザー銃@ひぐらしのなく頃に】
射撃式のスタンガン。
ワイヤーに繋がった電極二つを射出して、それが相手に刺さることにより電流が流れる。
本来は人道的に相手を制圧するためのものだが、これには非人道的な改造が施されており、
成人男性を殺害するほどの電流が流れるようになっている。
射撃式のスタンガン。
ワイヤーに繋がった電極二つを射出して、それが相手に刺さることにより電流が流れる。
本来は人道的に相手を制圧するためのものだが、これには非人道的な改造が施されており、
成人男性を殺害するほどの電流が流れるようになっている。
【ロボ子の着ぐるみ@ぱにぽに】
演劇部分室衣装部製作の着ぐるみ。主に芹沢茜が着用する。ウラン漏れに注意。
演劇部分室衣装部製作の着ぐるみ。主に芹沢茜が着用する。ウラン漏れに注意。
【林檎10個@DEATH NOTE】
なんの変哲も無い林檎。リュークの好物。
なんの変哲も無い林檎。リュークの好物。
【楼観剣@東方Project】
魂魄 妖夢の持つ刀の一つ。長刀。
一振りで幽霊10匹分の殺傷力。斬れない物は少ししか無いらしい。
魂魄 妖夢の持つ刀の一つ。長刀。
一振りで幽霊10匹分の殺傷力。斬れない物は少ししか無いらしい。
【天体望遠鏡@魔法先生ネギま!】
天文部の所有物。地上を見ると逆さに見えるかも。
天文部の所有物。地上を見ると逆さに見えるかも。
【禁止エリア指定装置】
一回だけ、次に作られる禁止エリアを指定することができる。
一回だけ、次に作られる禁止エリアを指定することができる。
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