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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • 紅からは逃げられない(前編)

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

紅からは逃げられない(前編)

最終更新:2010年07月18日 13:15

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だれでも歓迎! 編集

紅からは逃げられない(前編)◆PJfYA6p9PE



(……どういうこと)

襲い来る人形の爪を、手にしたナイフで右へ左へ流すトリエラの心に、
底冷えのするような猜疑が入り込み始めていた。

ステップを踏んで距離をとり、目を向けて確認する。
相対した目下の対戦相手、全身を黒に沈めた隻腕の人形は、
攻撃が受けられたことなど気にも留めない無表情で、再び構えをとっている。
その背後には、人形を繰る真の敵。
輝く炎髪、銀の灼眼を持つ少女は相も変わらず両手を複雑に絡ませていた。
その動きに一切の淀みはなく、制動には寸分の狂いもない。
戦いが始まってから、全く変わることのない敵の姿。
それゆえ、トリエラは訝しむ。

(おかしい。ナイフの一撃が入ったはずなのに)

今度は眼前に構えたナイフ、その刃を検める。
そこには確かに何かの体液。
対峙者の肉を抉り取り、傷口に麻痺毒を擦り込んだ証があった。

しかし、シャナの鋭敏な動きは一向に変化の兆しを見せない。
毒を食らわせてから、打ち合うこと数合、試合うこと数分。
前回の経験に照らして考えるなら、そろそろ何らかの兆候が現れてもいいはずだ。
指が痺れる、足が震える、腕の感覚が無い。
そういった症状が、もうそろそろ出てもいい頃合。

だが、僅かな変化をも見定めようと目を細めたトリエラが捉えたのは、
弱る少女ではなく、こちらに飛び掛る懸糸傀儡。
即座に懸念を振り払い、全身に力を込めなおす。
大きく振りかぶられた鉤爪は、しかし、受けるまでもなく、届かない。
横合いから飛び出した不気味な剣が、生き物のごとく、人形の腕に噛みついたからだ。
空中で突進を受けた傀儡はたまらずバランスを崩し、無様に地を滑る。

「どういうことかしら?」

と、難を逃れたトリエラにすぐ後ろから声がかかる。

「どうも、戦況が事前の説明とは違うようだけど。
 まさか、またお得意の『勘違い』ってわけ?」

振り返らずとも誰かは分かる。
端々からむせ返るような嫌味と皮肉を感じさせる声。
こんなものを出せる女を彼女は一人しか知らない。

「分からないわ。私が教えて欲しいくらいよ、ヴィク……太刀川ミミ」

率直な返事を放ると、突き刺さる視線がますます冷たくなった。
責める気持ちは分かる、とトリエラは思う。
しかし、こんな事態になることは彼女とて全くの予想外。
何せ、今回試みた麻痺毒による奇襲は、一度は成功し、シャナを打ち倒した戦術だ。
先読みされ、回避されることこそあれ、決まってしまえばどうすることもできないはずである。
しかし、想定と現実は無情にもすれ違う。

「……どうするつもり?」

何らかの理由で毒が効いていないというのなら、次の手を考えなければならない。
目の前の強敵を殺さない程度に無力化し、落ち着いて話のできる状況まで持っていく。
そんな手。
難しい一手を。


「ッッッ!!」

頭を巡らせ始めたトリエラに向かって、不意に何かが回転しながら飛んでくる。
反射的に身をかわすと、それは地面に落ちる寸前、空中で自らピタリと動きを止めた。
それが振り払われたダイレクだと気づくのと、
バネ仕掛けのように立ち上がったあるるかんに身構えるのとはほぼ同時。
しかし、懸糸傀儡はこちらに攻め寄せてくるどころか、
華麗な軌道を描いてバック転を繰り返し、間合いを離していく。
繰り手の少女の元に戻った人形は、怪しむトリエラ達を他所に、大きく跳躍した。

「!!?」

着地の先はいつのまにか蓋の取られたシャナのランドセル。
行儀よくつま先を揃えて飛び込んだ傀儡は、まるで人体消失マジックの演者のごとく、
下半身から背負い鞄の異界へと消えていく。
煌く朝日を背に、大きい人影が小さい人影の背後に隠れ去る異常な光景。
逆立つ飾り髪の一房も残さずしまわれた頃、繰り手の少女は後ろ手に鞄を閉め、
そこから流れるような動きで、何もない空間から何かを抜き放つ。
その瞬間。







少女は繰り手から剣士に化けた。
それも超一流の。







危険だ、と思う間もなかった。
刹那、爆音と怒声が響く。

「ダイレクッ!!」

まばたき一つ。
それだけの間に、
世界は、
スライドを送るように切り替わっていた。

至近の距離。
間合いを瞬殺し、刀を振りぬくシャナ。
玩具のように弾かれるダイレク。
そして受けきれず飛ぶ、ヴィクトリア。

シャナと目が合う。
輝く、紅の瞳。
圧倒的な「殺し」を湛えて。
刀を振り戻し、来る、来る、来る。

脳ではない。
本能がナイフを構える。

一つ目の銀閃。
ナイフが流す。
残像消えぬうち、二つ目の銀閃。
ナイフで受ける。

ぎん。
刃鳴りの音が散る。
予想に勝る剛力。
押し切られそうな体。
敢えて後ろに流す。
行き場をなくす力。
崩れる敵の体。

「だあっ!!」

さらされた背。
埋めるよう振う刃。
このタイミング。
回避は不可能!

「浅いわ」

だが、返るは怜悧な声。
またあの爆音が響く。
火花と衝撃。
散らすはシャナの、足の裏。

(こいつ……また……ぐっ!)

理解と痛み、来るのは同時。
下方より。
加速されたヘッドバッド。
顎に食らう。
脳が揺れる。

何とか持ちこたえ、たたらを踏む。
眼前には上段に構える少女。
震える腕。
受けに備えて……

「がっ!!?」

しかし、放たれるは中段の蹴り。
上段はフェイク。
気づいたときには遅い。
もう立ってはいられない。
転倒。
空を仰ぐ。

消える意識を繋ぐ。
半身を起こす。
次の手を即座に思考。
最適な行動は――――


「っ……」

――見上げれば、そこにあったのは炎髪灼眼。
手の中の刃は抜け目なく喉から数ミリで静止している。
向けられる美しい瞳には何の感情も宿らない。
そして、今や、これだけは言える。



決着は、ついた。



◆


古い門があった。

どっしりと太いケヤキ材は、白みがかった素地に、ところどころ焼いたような黒の節。
ざらざらした手触りの柱や梁には長い年月を経てきた、朧な年輪模様。
屋根に貼られた灰斑の粘土瓦は、どことなく古老の顎鬚を連想させる。
そして、ぴったりと閉じられた門扉は不正な進入の一切を拒む厳格さを、満面に湛えていた。

この重厚な御門は元々、ここ、海鳴温泉街に佇む、ある老舗旅館の正門。
建造された天保の昔から、魔次元へと飛ばされた今に至るまで、変わることなく訪れる者を見守り続けてきた。

そんな由来を持つこの場所に、今また、二人の少女がやってきた。
屋根瓦が見下ろす路地の上、褐色の少女が尻餅をつき、赤い少女を見上げている。
褐色の少女の喉元にはぎらりと煌く抜き身の刃。
あとほんのちょっと押し込めば、それだけで一つの命が失われてしまうほどの距離に凶器を晒しながら、
しかし、赤い髪の少女はぴくとも動かなかった。

ふわりと、心地よい朝の風が少女たちを撫ぜる。
膝下まである長い炎髪が舞い上がり、きらきらと優しく陽光を反射する様は、
まるで篝火から飛び散る火の粉のようにも見えた。
風が止み、炎の揺れが戻っても、一向に動き出す気配がないのを見てとり、
褐色の少女が、おずおずと口を開く。

「……何で?」

何故斬らないのか。
何故斬るのか。
質問者の意図は果たしてどちらだっただろう。

「自動人形は破壊する」

そんなことはどちらでもいい。
回答者はそう言っているようにも見えた。
一応の答えとして吐かれたその言葉は、紛れもない嫌悪の念に満ちていて、
しかし、自分でもどうしようもないそれを必死で押さえ込もうとするかのような
無機質さも持ち合わせていた。


「私は人形じゃない」

睨む。
先程のような不明瞭なものではない、確固とした抗議の意思。
肩口からはみ出した黒金の骨が、腕に薄く残る針の痕が、
そして、今はもう擦り切れてしまった、誰かしつらえた人がいたはずの洋装が
彼女の言葉を無言で追認していた。

「問答無用」

そんなことはどちらでもいい。
やはり、少女はそう言っているように見えた。
彼女は非常に落ち着いた様子で、揺れ一つなく言葉を放っていたが、
何故かその姿は、不安げに困惑する童のそれを想起させる。

幻像を断ち切るように、刀を振り上げた。
一分の隙もない挙動。
喉元から刃が離れたからとて、逃げられるような状況では已然ない。
狙いを定め、振り下ろす先はおそらく首。
一撃で首級をあげ、この不快な時間を終わらせるつもりだろう。

褐色の少女は、おそらくその意図に気づいたとみえる。
一瞬、目を見開いて、歯を強く噛み締めたが、
最早これまでと悟ったのか、すぐに息をついて脱力してしまった。

敵の動向を鋭く追いすがっていた彼女の目は、
徐々に現実から内心の世界へと向けられていく。
色を失ったその瞳は最後の瞬間、何を映しているのだろう。
人が浮世を離れる前に見るという幻燈草子。彼女のそれには何が表れているのだろう。

遠い故郷の空か。
情を注いでくれた大人たちか。
共に暮らした兄弟か。
住み慣れた部屋か。
大事な大事な宝物か。
それとも、



それらに増して愛すべき、たった一人の大切な誰かか。



虚ろに塗られた目尻の端から、すっと一粒雫が垂れた。

されど刃はもう止まらない。
腕は目一杯まで上げられている。
引き絞られた弓が矢を放つように、
あとは「殺し」を解き放つだけ。

「すまぬな」

間際、討ち手の胸のペンダントから
遠雷のように重く、威厳に満ちた声が確かに聞こえ、















――――少女の命に死が舞い降りた。














◆


死ぬと、人はどうなるんだろう。

トリエラも、他の子供と同じように、そんな疑問を持ったことがあった。
本で調べたり、周りの大人にそれとなく訊いたりしたものの、
みんな言っていることがバラバラで、どうもはっきりしない。

一番、多い答えは「いい人は天国に、悪い人は地獄に行く」というものだった。
これが間違いであってくれることをトリエラは密かに願っている。
日頃の行いを省みれば、自分が天国に行けないことは明らかだからだ。

「生まれ変わる」というのもあった。
これは悪くない。
別に、現在の生活にそれほど不満はないが、全てがこうでなかった人生をおくれる、
というのは、それはそれで素晴らしいことだと思う。

「それで終わり。後には何もない」という人もいた。
少なくとも、これが間違いであることは今、分かった。
シャナの刀で首を刎ねられ、文句なしに死亡したにもかかわらず、
トリエラはまだ、こうして考えることができるからだ。

そして、人が死ぬとどうなるか、という問いの答えも、彼女にとっては最早明白。
正解は「ピンク色の巨大な猫が迎えに来る」だ。























(いや、だって、そうとしか見えないし……)

ふざけているわけでは断じてない。
トリエラも当然、初めは我が目を疑った。
ついに、投与され続けてきたアレやコレの副作用が一気に噴出し、
バッドでトリッピーな幻覚を見るまでになってしまったか、と眩暈すらした。
だが、自分がつい今しがた死んだのだということを思い出し、我に返る。
麻薬が肉体だけでなく魂にまで影響を与え、中毒者は死後も
頭のおかしいビジョンを見る羽目になるのだとしたら、それは今以上にダメ、絶対! だと思うが、
そんなファンキーな説は今まで聞いたことがない。
と、すると。

(天使……なの、もしかして)

人が死んだ後に迎えに来るものといったら、天使と相場が決まっている。
もっとも、トリエラの知っている天使というのはもっと……こう、
背中に羽が生えた赤ん坊、もしくはマッチョマンっぽい何かだったが。

訝りながら、改めて目の前の物体を観察する。
巨大な、それも異様に太った猫が蹲っている。
だいたい4~5メートルの体に、張り詰めるようにみっちりと脂肪がついており、
そのせいで首も足も見えない。
全身フラミンゴのようなピンク色で、ところどころに黒い縞。
毛はないか、異常に短いらしく、体表は何だかつるりとしている。
トリエラに対しては、体の側面を向けているので、顔の様子は分からないが、
ぴんと尖った耳が飛び出しているのは、今の位置からでも見ることができる。

死んだ人間に怖いものなどない。
どうせなら顔も拝んでやろうと、巨体を回り込むべく立ち上がったトリエラに、不意に声がかかる。

「速く乗って」

明らかに猫の顔があるあたりから聞こえたところをみると、どうやらこいつ口も利くらしい。

(……ますますメルヘンね)

人間の言葉を喋る大きな猫が、乗れと言っている。
乗れと言うからにはどこかへ行くつもりなんだろうが、行き先はどこだろう。
全身に漂うゆる~い空気から見るに、地獄の使者って感じでもないし、やっぱり天国だろうか。
齢十とそこそこで、銃器片手に何人もぶっ殺しまくってきた人間でも入れるとは、
天国の入居基準は大丈夫なんだろうか。
それとも、やっぱり神様も子供には甘いのか。
というか、殺戮と陰謀の世界に生きて、わけのわからない殺し合いで死んだ挙句がこれか。
あまりにギャップが凄過ぎないか。それとも、これまでの人生とバランスをとっているのか。
だとしたら、これからピンクの猫さんに連れられて、夢の国はだしの天国に行き、
高い声で喋る鼠や黄色いクマとお茶を飲んだり、水兵の服を着たアヒルと喧嘩したり、
リスの兄弟にからかわれたりする冒険の末、白いお城でお姫様になって、
王子様といつまでもいつまでも幸せに暮らすくらいの特典があってもいいと思うんだけど、どうか。
あと、せっかく猫がしゃべるんだったら、そんなぶっきらぼうな喋り方じゃなくて、
もっと優しい口調で「トリエラちゃん、速く乗ってにゃ」とか言った方がかわいいような。

トリエラの頭にそんなカオスな思考が生まれては消えていく。

(あー、もーいいや。考えるのめんどくさい。
 なるようになれ、よ。どーせ死んだんだし。
 はいはい、猫さん、天国だろうがディズニーランドだろうが、喜んでお付き合いするよ。
 でも、あんた座高?高すぎ。まったくどこから乗れば……?)

そのとき、トリエラの目に異物が映る。
天国やディズニーランドには決してありえない、決定的なアウトサイダー。



それは、赤い何かだった。
よく見ると人の形をしており、赤いのはあまりにも長い髪で、傍らには抜き身の日本刀が落ちていて……


「え?」


あれ、何かがおかし……





「グズグズするな!! 敵はまだ生きてる!! 」





それがヴィクトリア=パワードの声だと気づいたとき、急速に意識が冷却される。
五体満足な体を無駄なく動かし、状況確認。

目の前のピンクは猫ではなかった。
毛のない皮は滑らかな板金、背部にあたる場所にはガラス窓。
足は見えなかったのではない。代わりにタイヤがついている。
低く響くエンジン音に、尻尾のような排気ノズルからは黒い煤煙。
奇妙な形をしているものの、それは紛れもない、ただの大型自動車《バス》だった。

さらに見る。
傍らにあった、木製の大きな扉が無残に砕け散っている。
バスは門の内側から扉を豪快にぶち抜いて、車体の4分の3ほどを外に出していた。

飛ばされたヴィクトリア。
戦闘により稼がれたわずかな時間。
絶体絶命。
破壊された門扉。
バスの前方に倒れ伏すシャナ。
全てがトリエラの頭の中で繋がった。



「速く出して!」
「言われなくても!」



先程までの戦闘が物語っていたことは一つ。
今の状況では、シャナを制圧し、説得することは不可能だということ。
だとすれば、ここは戦略的撤退あるのみ!

小さめのシートへトリエラが乱暴に腰を下ろすのと、
ヴィクトリアがアクセルを踏み込み、バスが発進するのはほぼ同時。

だが、もう一人、同時にアクションを起こした者がいた。

ガラスの窓越しにトリエラは見た。
轟、という低音とともに、倒れる赤い少女の背中へ、巨大な、紅蓮の翼が燃え上がるのを。



◆


走る。走る。走る。
不機嫌な低音でエンジンが唸る。
桃色のネコ型バスが、まるで本当の野獣になったかのように温泉街を駆ける。
店の看板をすり潰す。
宿の生垣を削り取る。
商品棚を吹き飛ばす。
暴れる獣はしかし、哀れ手負いの逃げる寝子。

飛ぶ。
背負った炎の翼が燃える。
飛ぶ。
標識がねじ切れる。
飛ぶ。
ガラスが砕け散る。
飛ぶ。
木造の軒が発火する。
赤い目の復讐者が阻む全てを焼き尽くして追いすがる。

「ヴィクトリアッ!! 右ッ!」
「分かってる! それと今は太刀川ミミッ!!」

死に物狂いのスピードで走るバスの車内。
喉を限りに、半ば悲鳴のような声で叫ぶ。
ほぼ時差なく、車体が急に右へとぶれる。

そして、トリエラを光が捉えた。

窓の向こう。
早送りの景色を赤とオレンジの炎が塗り潰す。
直後、雷でも落ちたかのような大爆音。
つい一瞬前までバスがいた空間を、火炎の舌が舐める。
黒い舗装コンクリートがコールタールへと戻る高温に、トリエラは思わず身震いした。

だが、彼女は知っている。
この攻撃には「タメ」があることを。
猫のような俊敏さで割った窓から身を乗り出し、狙い、発砲。
弾丸は狂いなく、空の目標へと向かう。

だが、彼女は知っている。
敵にとって、ハンドガンなど足止めにしかならないことを。
案の定、シャナが日本刀を一振りしただけで、銃弾は無へと帰った。
迎撃のため、ミサイルのようなスピードが若干緩んだが、それだけだ。

「ちっ」

狙撃者の舌打ち。
状況は、悪い。



「――君達――――運命に―――――――れんの――昼夜――――ちわ――――魂――」


放送が流れている。
この島にいる者にとっては貴重な情報源が頭の中を流れていく。
聞かなければ。
そして、記憶しなければ。
いや、それだけではまだ甘い。
書き留めなければ。
トリエラは思う。

だが、彼女はそれをしない。
否、できない。

エンジン音。
破砕音。
擦過音。
爆発音。
発射音。
そして、怒号と悲鳴。
あらゆる音が放送の聞き取りを阻害している。

そして、それにも増して放送の記録を難しくしているのは、
言わずと知れた、シャナの猛追。
この怪物少女が空を飛ぶスピードは、恐ろしいことに、バスのそれを僅かだが上回っている。
それでも、トリエラとヴィクトリアが何とか生き延びているのは、
無駄に長い人生の中で余技として身につけた、ヴィクトリアの運転技術と
悲しいほど短い人としての人生の中で叩き込まれた、トリエラの狙撃技術とが
奇跡的なバランスでシャナを撹乱しているからに他ならない。
もし、どちらかが放送を聴くために集中を乱せば、その途端、バスは炎に呑まれ、爆発炎上。
二人はめでたくあの世行きになるだろう。

「ショックに備えて!」

ヴィクトリアが怒鳴る。
強烈なGがトリエラに襲い掛かる。
ギャリギャリとタイヤが地面へ過剰に擦れ、不快な悲鳴を上げた。
進行方向に対してほぼ九十度旋回、道路に横たわる形になったバスの窓から、見る。

まるで大蛇の開かれた口のように迫る、炎の渦。
その毒牙にかかり、まずガラスが赤熱し、泡立ち、溶けていく。
次いで、合成素材で張られたシートが、水の染みるように燃え上がる。
そして、剥き出しになった生のトリエラを、
その顎が丸呑みにするかと思われたとき、不意に視界が切り替わった。

目の前には、何の変哲もないビルの壁。
バスが間一髪、横道に逃げ込むことに成功したのだ。
急な旋回がこのためであったことに思い至り、彼女は安堵のため息をついた。

しかし、已然、危機的状況は変わらない。
ヴィクトリアが手を滑らせて、運転をミスすれば、その時点でゲームオーバー。
トリエラが機を読み間違えて、射撃のタイミングを誤れば、ゲームオーバー。
もし、両方がうまくいき続けて、現状を維持できたとしても、
そのままでは、やはりいずれゲームオーバーだ。

何故なら、トリエラの手にある銃弾は無限ではない。
初めに装填されていた分は撃ち尽くし、マガジンは既に二つ目に突入している。
デイパックに残っているマガジンは残り二つ。
つまり、残りの弾丸はおよそ二十発。
これらが全てなくなれば、最早、あの加速を抑えられる武器は存在せず、
それは即ち、デッドエンドを意味する。

懸念はまだある。
それは……

「……ちっ、最悪だわ」

忌々しげな運転手の呟きに顔を上げ、窓の外を見ると、
トリエラはもう一つの懸念が早速、現実のものとなったことを知った。

先ほど、炎をかわすために飛び込んだ横道。
両側を建物に挟まれたその細い道が不意に途切れ、バスは大きな一本道へと躍り出ていた。
視界が開け、前方に見えるのは、まっすぐに伸びた道路と広がる平原のみ。
あれほどごちゃごちゃと立ち並んでいた建物の群れは、もう一つも見えない。
これらの景色は、今、彼女たちが踏み込んだ道が、
北東市街を抜け、南へと向かう幹線道路であることを雄弁に語っていた。

「まずい。これじゃ追い詰められる」

これは二人にとって致命的な事態だ。
彼女らがシャナの追撃を凌いでこれた背景には、温泉街の入り組んだ地形がある。
細かい路地を頻繁に曲がりながら逃げることで、
トリエラ達は爆発的な加速を持つシャナの飛行から何とか逃げ切ってきたのだ。

これが、直線における単純な競争になったらどうなるか。
足の速い人間と、そうでない人間が鬼ごっこをする場合を考えてみればよい。
足の遅い者でも、木や障害物をうまく使って、回り込みながら逃げれば、
普段、徒競走では絶対に勝てない者が相手でも、そう簡単には捕まらない。
だが、何も遮るもののない、グラウンドのど真ん中で、足の速い者と一対一になってしまえばどうか。
後には、能力どおりの単純極まりない結末が待つのみだ。

だからと言って、後戻りするわけにもいかない。

後ろを振り返ると、ちょうど、「ようこそ海鳴温泉街へ」と書かれたアーチ状の看板が
真っ二つに断ち割られて崩落するところだった。
赤い翼の追跡者も二人に着いて既に街を出ている。
ここで反転するのは、自殺行為以外の何者でもない。

コーナーを周っての最後の直線。
決戦の火蓋は望まぬまま切って落とされた。
状況を打開する一手は。
どうすればいい。
どうする。

「……トリエラ、あなた、拳銃以外の火器の扱いに自信は?」

もつれる思考は、死ぬも生きるも一蓮托生の性悪女から、
問いかけがあったことで中断された。

「一応、一通りは習ったけど」

ヴィクトリアは前を向いたまま少し黙り込むと、
おもむろに口を開いた。

「私に考えがあるわ」


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