暴走! チャージマン研!◆lip1g.SKtc
泉研は激怒した。
必ず、あの少年だか老人だか良く分からない風貌に変身したジュラル星人を殺さねばならぬと決意した。
ジュラル星人死すべし慈悲はない。彼の眼に狂いなど無い。
泉研は分からぬ。
ジュラル星人が化けているのではなく、ただのトチ狂った老人だということに。
しかしそんな些細なことは、ジュラル星人を一匹も残さず駆逐するという思考を持つ研にとって、どうでも良いこと。
こんなことを起こすのはジュラル星人しかいない。いるはずが無いのだ。
「よし、スカイロッド号に急ごう」
早速研は愛機である、スカイロッド号へと向かうことに決めた。
ジュラル星人に対抗するには、必要不可欠の乗り物だ。
しかし向かう寸前で、彼は気付いた。
「! あの爆発ッ!」
彼が見たのは、許しを乞いながらジュラル星人へと投げ捨てた、ポルガ博士の爆発であった。
爆音の大きさから察するに、走って間に合う程度の距離だと確信する。
「早く急がないと!」
今走れば爆発を引き起こした原因、もしくはそれによって被害を被った人達に会えるかもしれない。
この爆発を引き起こした人間は必ず殺さなければ。
被害を受けた人達を助けてあげなければ。
二つの使命と共に研は走り出した。
□□□
天に昇る火柱と大きな爆音から、途轍もなく威力の高い爆発が起こったことが窺い知れる。
爆発した場所は、跡形も無くなって、黒こげの地面が残るばかりだった。
その場に少年と少女が二人。
タバサとのび太は、爆発音を聞いてここに駆けつけたのだった。
(どうやってこんな爆発を?)
タバサはこの爆発の原因を考える。
しかしおおよそ、このような大規模の爆発を起こせる行為など、極僅かしかない。
加えて言うなら、周りにあった物を跡形も無く消滅させているのだから、考えられる可能性は一つ。
「メガンテ……?」
「え……めがんて?」
メガンテ。自らを犠牲にして相手を葬る呪文。
自分自身を爆弾として使用し、相手の至近距離で発動させるので敵は跡形も無く消滅する。勿論周りも例外無く吹き飛ぶ。
その後はザオラルまたはザオリク。
しかし、腑に落ちなかった。
「でも、お父さんもお母さんも……お兄ちゃんも使えないハズなのに……」
お兄ちゃんは使えないのは確実だ。お父さんもお母さんもメガンテを使って死んだというのは、サンチョから聞いたことがない。
ならばだ、この爆発は一体何だというのだろうか。
自分の知らない爆発系の呪文や、強大な爆発を引き起こす道具があるのだというのか。
「ねえ、タバサ?」
「あっ、ごめんなさいノビタさん。何ですか?」
「その、『めがんて』って何?」
「自分を犠牲にして相手を殺す呪文です」
「そんな呪文が……、呪文……?」
のび太の頭の上にクエスチョンマークが表示された。
(そういや呪文って何だ? あ、さっきも言ってたっけ……)
疑問の対象は呪文。のび太の世界には秘密道具はあれど、呪文は存在しない。
頭の中の記憶を漁ってみると、思い当たるフシが一つ存在していた。
(あ、もしかして……チンカラホイみたいなものかな?)
『チンカラホイ』。もしもボックスが力によって変えられた、のび太の世界での呪文である。
チンカラホイと唱えれば色んなことができる。スカートをめくったり、物を浮かすことができたり。
その世界においてのび太は、この殺し合いに勝るとも劣らない経験をしたのだが、それはさておく。
なおそれ以外にも魔法を使う道具はあるのだが、のび太の頭からはスッポリ抜け落ちていたようだ。
「でも、私の知ってる限りでは使える人がいないんですよ」
「へ? じゃあ、この爆発って……」
「私の知らない何かが爆発したんでしょうね」
「……そういえば、誰もいないね」
「確かに。爆発に巻き込まれた人がいないというのは……」
「まさか、爆発に……」
巻き込まれたんじゃ、とのび太が言葉を続けようとしたその時。
「お前達! ここで何してるんだ!」
後方から、男の子の声が響いた。
振り返ってみると銃のような物を手に持って、こちらに銃口を向けている。
銃を向けられのび太は焦る。
一方タバサは、のび太よりも焦らず冷静だった。
タバサの世界には銃という物が存在しない為、危険性が良く分かっていない故である。
「お前達がこの爆発を起こしたのか……!」
「ちょ、ちょっと待って! 僕達は何もしていないよ!」
「そうですよ。だから銃を下ろして下さい」
しかし泉研に冷静な思考など残っていなかった。
「一体誰を殺したんだ! このジュラル星人め!」
彼の頭の中では、この殺し合いはジュラル星人が起こしたものになっている。
何か起こればジュラル星人の仕業。実に短絡的な思考であった。
「じゅらる星人……?」
「何ソレ?」
だが二人にはジュラル星人が何たるかは全く分からない。
そもそも彼自体が、イレギュラーの塊な為に危険な状況ではあるが、頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされていた。
「芝居をしても無駄だぞジュラル星人! 主催の犬め、ぶっ殺してやる!」
そう考えている間にも、命の危険は迫る。
泉研はジュラル星人を見つければ迷わず、撃ち殺す。自由など与えてくれない。
「待って待って待って! 違うんだって! そうじゃないんだって!」
「私たちはジュラル星人じゃありません。それに爆発も起していません。だから降ろしてください」
のび太はいよいよパニック状態へと陥いりそうであった。
殺し合いの参加、ジュラル星人、命の危険、ちょっと頭の悪い小学生が処理するにはあまりにも多かった。
その一方でタバサは冷静に説得を試みる。
しかし泉研は説得に耳を貸さず、スマートフォンを取り出した。
「そこまで言うのなら!」
ジュラル星人の特徴の一つとして、鏡やカメラのレンズを通すと姿が写らない、というものがある。
それはスマートフォンのカメラを通しても同じこと。
泉研はカメラ機能を使って、彼等がジュラル星人だと証明しようとしているのだ。
始まる前に機能を確認したので、使用方法はバッチリだ。
ジュラル星人(仮)の二人にカメラを向けた所で、彼はある事に気付く。
(なんで攻撃してこなかった?)
ジュラル星人ならば。
スマートフォンを取り出した隙に、攻撃してくるはずだ。
というかジュラル星人はスマートフォンなるものを知っているだろうし、撮られる前に変身を解いて攻撃してくるだろう。
ところがこの二人は何もしない。ぽかんとした様子でこちらを見つめるばかりだ。
(これはひょっとすると……)
画面を覗く。
「…………ごめんなさいっ!!」
バッチリ写ってました。
□□□
「研さんはスカイロッド号に行きたいんですよね?」
「うん。あれは僕の乗り物なんだ」
「それじゃあ私達もご一緒しても良いですか?」
「もちろん!」
研の謝罪を二人は快く許し、すっかり打ち解けていた。
その後に研は二人にジュラル星人についてを話した。最初は半信半疑ではあるものの、研の真剣な声音に二人はこの話を信じることにした。
さて爆発の原因が分からないし、それによる被害を被った人がいないのであれば調査をする意味が無い。
これ以上ここにいても無駄だと判断した三人は、当初研が向かっていた場所――スカイロッド号へと動くことにした。
「でも……ジュラル星人が化ける意味ってあるかな? それなら化けないで堂々としてればいいんじゃ……」
「あの少年に罪を着せようとしているに決まっているさ。卑劣な奴らめ!」
「本当にそうなのかな……」
「そうに決まってる!」
「でも」
「それしかないんだ!」
「あはは……」
頑なで言う事を聞きそうにない。のび太はその様子に苦笑しかできなかった。
【C-4/深夜】
【
野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康
[装備]:まふうじのつえ@DQV
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~3
[思考・行動]
基本方針:脱出
1:タバサと研についていく
【タバサ@ドラゴンクエストV 天空の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2(確認済み)
[思考・行動]
基本方針:ポーキー・ミンチを倒す
1:ノビタさんを守る
2:家族と合流
3:敵の排除
4:研と同行し、スカイロッド号を目指す
※参戦時期は、両親の石化を治して以降です。
【泉研@チャージマン研!】
[状態]:健康
[装備]:アルファガン@チャージマン研!、スペクトルアロー@チャージマン研!
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1
[思考・行動]
基本方針:ジュラル星人に化けた老人を殺す
1:スカイロッド号を目指す
2:のび太とタバサと同行
【アルファガン@チャージマン研!】
本人装備。ジュラル星人を一発で殺す程度の威力を持つ光線銃。人間に使うのは憚られる。
その後に麻酔効果のある光線が出る様になった。
【スペクトルアロー@チャージマン研!】
研が普段から来ている装備。光のエネルギーを吸収することで装着できる。
特に意味の無いスーツ。
最終更新:2014年03月13日 19:18