4時五分前 ◆qB2O9LoFeA


(これであらかた集まったかな。)

野比家にて雑貨を調達していたはじめてから小一時間、コナンは小休止するために腰を下ろす。

(こんなに運ぶのは無理でも、どこかに隠しておいたほうがいいな。)

いまコナンの目の前にはいままでに集めた雑貨が山になっている。
包丁などの調理器具にドライバーなどの工具、鉛筆などの文房具などだ。そしてこれとは分けてバールやフライパンなどの大きめの物を集めた。持ち運ぶには不便で凶器になりそうなものは、この家の住人には悪いが隠させてもらうことにしたのだ。もちろんこの家のものだけ隠してもほとんど意味はないのだが、地図に乗っていることや名簿にこの家の住人らしき名前を見つけたことでいちようの予防策とすることにする。

ガッシュのザケルの跡を見る。普通ならありえないことが当たり前におこるここでは気休めにしかならないが、ならばなおさら自分が知る範囲でおきる殺人は防いでおきたい。
簡単な道具やちょっとしたトリックで殺人は起こせるのだ、注意しすぎるということはないだろう。

「さて、詰め込んでいくか‥‥?」

コナンが違和感を覚えたのはランドセルを勉強机に置こうと持ち上げたときだ。

(やけに軽いな‥‥いや、重さわ変わってない‥‥?)

現在、ランドセルは雑貨を詰めるために一度空にしてある。それなのになぜか空にする前と重さが変わらないのだ。元から荷物の割りに軽すぎるとは思っていたが全く重さが変わらないというのはいくらなんでもおかしい。

いちおう持ってきておいた量りに、支給品の水のペットボトル(これが2リットルのものであることは量りを使って確認した。というかどうみても2リットルのペットボトルだったので量りが壊れていないか確認したというほうがいい)を入れた状態と抜いた状態のランドセルをそれぞれ乗せてみる。
やはり、重さは変わらなかった。

(おいおい‥‥ワープの次は無限に入るカバンか?ほんとにファンタジーだな‥‥)

ためしにフライパンを入れてみたら明らかに小さいはずの入れ口にすんなり吸い込まれていく。集めた雑貨を入れていくと数分もしないうちに全てランドセルに収まった。

(重さも大きさも無視できるランドセルか‥‥こんなものを配るぐらいなら銃ぐらい簡単に支給してるだろうな。)
「なんでも入るならこの辺りの家の物を全部入れちまうってのもありか‥‥ハハハ、自分で言っててバカらし――」
「コナン!これを見てほしいのだ!」

突然、一階からガッシュの声が響いてくると階段を駆け上がる音が響く。その音に思わず身構えながらサバイバルナイフを持ったコナンの前にガッシュは荒い息をつきながら現れると一枚の赤みがかったメモ用紙を見せた。


「ゼオンは――私の兄なのか!?」




「ウヌ、洗面所はこのくらいだな。」

ふう、と息を吐きながら額に薄く浮かんだ汗を満足そうにぬぐう金髪の少年。
目の前には洗面所はもとより風呂場やトイレなどから集められた様々な物が転がっている。それらのうちのいくつかを抱えると、ガッシュは二階へと上がっていった。

最初は物資の調達を二人でしていたのだが予定より多く集めた物を仕分けるため、コナンが二階の雑貨の収集と仕分け、ワープ装置の警戒を、ガッシュが一階の雑貨収集と二階への運搬、そして一階の警戒をすることになった。(ちなみに物の多い一階をガッシュが担当したことで用途不明のガラクタも多数運ばれることになったが、コナンはなにが殺人に使われるかわからないのでとりあえず黙認していた。)

「次は居間だな――ヌ?」
ふと、居間の前で足を止めるガッシュ。ふんふんと自分の匂いを嗅ぎ、次に部屋の匂いを嗅ぐと首を傾げる。
「なぜこの部屋からブリの匂いが‥‥?」

ガッシュの魔物特有の鋭敏な嗅覚は芳しきブリの薫りを居間から感じ取った。もしこれが普通の魔物なら見落としちゃってたね。

するはずのない部屋からするブリ匂いの出所を探すべく、居間をくまなく探索するガッシュ。
「そこだぁっ!!」
みごと部屋の中央のちゃぶ台の裏に貼り付けられていたメモ用紙を見つけ出す。どうやらブリの血で貼り付けられていたらしく、血に染まったそれからはブリ特有の匂いがする。これがブリ以外の匂いに思えるだろうか、いやない。

「なぜ、こんなところに?」

それとは別にガッシュは再び首を傾げる。自分がこの家に来たときはブリの匂いはしなかった。そして、ブリを食べ終わった今ブリを食べていない居間からブリ特有のブリの匂いがして、ブリの血で貼り付けらたメモ用紙が現れた。

これはいったいどういうことなのか?

「!コナン!これを見てほしいのだ!」

その疑問を解決すべくメモ用紙に目を通したガッシュは驚きの声を上げ二階のコナンの元へと走る。
一気に上がった心拍数と息を気にもせず、叫ぶ。


「ゼオンは――私の兄なのか!?」




(俺たちが天空への塔に行っている間に‥‥いくらなんでもできすぎじゃないか?だがこの書き置きの内容はある程度ガッシュを知っていなければ書けないはず‥‥それにブリの血で貼り付けるなんてふつう考えつかないだろ。)
ガッシュが書き置きを見つけてから更に小一時間、時刻はもうすぐ4時になる。その間、二人は書き置きを見て言葉少なに会話していた。
書き置きの内容はガッシュのことを知らなければ書けないような内容だが、肝心のガッシュが記憶にないためいかんせん真偽が不明。かといって隠して方を考えると少なくともガッシュの嗜好は理解しているはずという代物。

(どうする、この書き置きを信じてみるか?それとも‥‥)

幸いにして書き置きに記された時間は12時。合流地点もここからならさほど時間をかけずにたどり着けるだろう。

(まずは安全な拠点を作るほうが大事か?怪我人が出たときに休めるような場所を作っておかないと。いや、明るくなるまではここにいたほうがいいか?この辺りは住宅街だしこのランドセルもうまく使えば‥‥)

時刻は4時五分前、二人は書き置きを挟んで静かに考える。



【C-5 野比家/一日目 黎明】

江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:赤い魔本@金色のガッシュ!
[道具]:基本支給品、サバイバルナイフ@現実、アクション仮面のフィギュア@クレヨンしんちゃ ん、バスケットボール@ロウきゅーぶ!、えんぴつ、ノート、ビニール紐、セロハンテープ、ガムテープ、タオル、ティッシュ、お裁縫セット(糸、針、ハサミ)、+―ドライバー、トンカチ、包丁、その他の調理器具や工具
[思考・行動]
基本方針: 殺し合いを潰し、この島から皆で生きて帰る
1:ガッシュを相棒とし、元の世界に帰してやる。
2:ひとまず近くに安全な拠点を作る。現地調達できるものがあれば借りる。
3:情報を集める。
4:この書き置きは――
5:光彦を探してやる。
6:鍵を見つけて天空への塔の扉を開く。
7:他の施設にもワープする泉(旅の扉)があるかもしれない。
8:明るくなるまではここにいたほうがいいか?
※ガッシュから魔物の王を決める戦いについて聞き ました。
※魔本に表示されている呪文は第七の術〝ザグルゼム〟までです。七つの術の効果について理解しました。
※ガッシュとは別の世界から来ており、他の参加者も別の世界から呼ばれていると考えています。 ※C-5『野比家』とE-7『天空への塔』が旅の扉で繋 がっていることを知りました。 天空への塔の先に行くには鍵が必要だと認識しました。
※他の施設にも旅の扉があるのではないかと推測 しています。
※ランドセルが質量を無視して入れることができると把握しました。
※ランドセルに詰めるだけ物を詰め込みました。
※ゼオンの書き置きを読みました。

ガッシュ・ベル@金色のガッシュ!】
[状態]: 健康、清麿と再会するための熱意、動揺?
[装備]: なし
[道具]: 基本支給品、モンスターボール(中身不 明)@ポケットモンスター、力の種@LSロワ2014オリジナル
[思考・行動]
基本方針: あの者(ポーキー)を倒し、殺した皆に 謝らせる。清麿の元へ帰る。
1:コナンをパートナーとし、元の世界へ帰る。
2:ゼオンは――
3:鍵を見つけて天空への塔の扉を開く。
4:野比家の人間に会ったら、勝手に物を借りたことを謝ろう。
※千年前の魔物編終了後からの参加です。
※コナンから魔本が使える仮説を聞きました。
※コナンから別の世界についての仮説を聞きました。 ※コナンから施設間の旅の扉の仮説を聞きました。
※C-5『野比家』とE-7『天空への塔』が旅の扉で繋 がっていることを知りました。天空への塔の先に行くには鍵が必要だと認識しました。
※ゼオンの書き置きを読みました。


【ゼオンの書き置き@新LSロワオリジナル】
ゼオンが野比家に置いてきた書き置き。ガッシュが食べたブリの血を利用して居間のちゃぶ台の裏に貼り付けられていたため、血で染まっている上に若干生臭い。ガッシュがゼオンの弟であることや12時にどこかで合流することが書かれている。ガッシュについて書かれているが当のガッシュに記憶がないため真偽は確かめられない。
詳細な内容は後続の書き手にお任せします。

≪057:探索者/追跡者 時系列順に読む 048:
≪057:探索者/追跡者 投下順に読む 059:ビターチェンジ
≪041:扉の向こうへ 江戸川コナンの登場SSを読む 060:ひなたサンデー
ガッシュ・ベルの登場SSを読む

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最終更新:2014年05月27日 23:22