目次
概要
- F1(フォーミュラワン)とはFIA(国際自動車連盟)が主催する世界最高峰の自動車レースで、FIAが主催するレースはF1とWRC(世界ラリー選手権)だけである。
- F1は1950年から開催されており、欧州を中心に世界各国を転戦して、各レースの成績によってもらえるポイントを争い、チャンピオンを決めていく。なお、タイトルには2つありドライバーのポイントでタイトルを決める「ドライバーズタイトル」、チームのポイントでタイトルを決める「コンストラクターズタイトル」の2つがある。
- マシンは「フォーミュラーカー」と呼ばれる、レース専用の車を使う。
- 開催するレースは原則として、1カ国1レースのみとなっている。ただし、例外があり、現在ドイツでは「ドイツGP」としてホッケンハイムリンクが使われているが、同じドイツのニュルブルクリンクは「ヨーロッパGP」として行われている。また、イタリアも同じで「イタリアGP」はモンツァで行われているが、イモラは「サンマリノGP」として行われている。
- レースに出るマシンは、いろんなレギュレーション(規定)があり、それは、タイヤ、エンジン、シャシーなど全ての部分に細かく決められている。違反した場合は、レースに出走できない。
タイムテーブル
- F1は基本的に金曜日~日曜日の3日間ある。
- 金曜日はフリー走行の日となり、各チームがコースやマシンのデータを取る。ドライバーはコースの特徴を覚えたり、マシンのセッティングを煮詰める。フリー走行は2回あり、各セッション1時間である。
- 土曜日はフリー走行と予選がある。午前中にフリー走行が2回あり、各セッション45分間である。午後に予選が始まる。
- 予選は1台づつ走って、決勝のグリッドが決まる。走る順番は前回のレースの決勝結果によって決められ、前回、最も早くリタイアしたドライバーから出走し、優勝したドライバーは1番最後になる。基本的には後から出走するドライバーの方が路面に塵や埃が少なくなり、タイヤのラバーがのるため、有利になるが天候によっては先に出走したドライバーが有利になる。なお、エンジン交換したマシンはレギュレーションによって10グリッド降格となる。
- 予選終了後、全てのマシンはパルクフェルメというところによって保管され、各チームはマシンに一切、手を出すことはできない。
- 日曜日は決勝がある。予選で決められたグリッドについてから、1周のフォーメションラップに入ってからスタートする。レース距離は約305Km。周回数にして約50周~75周で争われる。
- レースが終了すると、1位~8位までにはいったドライバーに各ポイントが与えられる。1位~3位までは表彰台にて表彰される。
レギュレーション
- レギュレーションは毎年変化していき、各チームはレギュレーションに沿ったマシン作りやレースをしなければならない。
現在のレギュレーション
- タイヤは各レースごとに4セットまで(1セット4本)で予選から決勝にかけては1セットのみの使用となる。ただし、パンクなどといった状況には1本のみ変更が許される。
- エンジンは2レースで1基のエンジンを使わなければならない。エンジンを交換した場合は、予選で10グリッド降格となる。
- フロントウィングの最低地上高は前年よりも5cm高くなければならない。
- リアウィングは前年よりも15㎝前に移動となる。
- 予選は1ラップ方式である。
1950年代のレギュレーション
- 1950年:エンジン排気量が4000CCまたは1500CCスーパーチャージャー付エンジンで参戦。
- 1952年:エンジンの排気量が2000CCとなる。
- 1954年:エンジン排気量が2500CCまたは750CCスーパーチャージャー付エンジンとなる。
1960年代のレギュレーション
- 1961年:エンジンの排気量が1500CCまでに減少。最低車体重量が450kgと定められる。
- 1966年:エンジン排気量3000CCまたは1500CCスーパーチャージャー付エンジンとなる。最低車体重量が500kgまでに引き上げられる。
- 1969年:車載消火器が義務付けられる。ウィング寸法規定。
1970年代のレギュレーション
- 1970年:最低車体重量が530kgに引き上げられる。
- 1972年:エンジン気筒数、12気筒までに制限。最低車体重量が550kgに引き上げられる。
- 1973年:最低車体重量が575kgに引き上げられる。最大燃料タンク容量250ℓまでに制限。
1980年代のレギュレーション
- 1981年:サイドポンツーンにおけるシーリング用としてのスライディングスカートの使用禁止。
- 1982年:最低地上高が6cmになる。スカートの素材は単一で高さ6cm以内、厚さは5~6mmでなければならない。最低車体重量585kgまでに引き上げられる。ホイールの直径が自由化。
- 1983年:フラットボトム規制。グランド・エフェクト・カー(ウィングカー)が禁止になる。レース中の給油禁止。最低車体重量540kgに引き下げられる。
- 1984年:ターボ車の搭載燃料が250ℓから220ℓに規制される。
- 1986年:NA(自然呼気)エンジン禁止。搭載燃料195ℓへ規制。
- 1987年:ターボエンジン、過給圧をポップオフバルブにより4バールに制限。NAエンジン復活、排気量が3000CCから3500CCへ。
- 1988年:ターボエンジン、過給圧をポップオフバルブにより2.5バールに制限。ターボエンジン搭載車の燃料タンク容量が195ℓから150ℓへ制限。最低重量制限がターボ540kg、NAが500kgとなる。
- 1989年:ターボエンジンが禁止となる。
1990年代のレギュレーション
- 1990年:危険位置にストップしたマシンが移動させられた場合、たとえレースに復帰可能な場合でも失格になる(前年の日本GPがそうだった)
- 1991年:ポイントシステム変更 1位9点から10点に。有効ポイント制の廃止。
- 1992年:有鉛ガソリンの使用禁止。
- 1993年:リヤ・タイヤ幅が18インチから15インチに縮小。
- 1994年前半:レース中の給油を許可。アクティブサスペンション、ライドハイトコントロール、TCS(トラクションコントロールシステム)などが禁止になる。ABS(アンチロック・ブレーキング・システム)の禁止。4WS(4輪操舵)の禁止。最低車体重量505kgに定められる。車載カメラ搭載車がハンデを負わないよう、カメラ未搭載車にカメラ重量相当(5kg)のバラスト搭載。
- 1994年後半:フロントオーバーハングのサイズ縮小(ボーテックスジェネレーターの禁止)。スキッドブロックの追加。ピットロードのスピード(120km/h)制限。 エアボックス部分に穴を設置(ラム圧の低減)。最低車体重量520kgまでに引き上げられる。
- 1995年:ステップドボトム規定。エンジン排気量が3500CCから3000CCに制限。最低車体重量595kg(ドライバーを含む)に引き上げられる。
- 1995年途中:エアボックス部分の穴を廃止。
- 1996年:コクピット周りのプロテクターを義務化。(コクピット周りに75mmのプロテクターの装着を求める)。最低車体重量600kg(ドライバーを含む)に引き上げられる。
- 1998年:スリックタイヤ禁止。グルーブドタイヤ義務付け(前輪3本溝、後輪4本溝)。サイドウイング(Xウィング)禁止。ブレーキ・ディスクのサイズを制限(直径278mm以下・厚さ28mm以下)に制限。ブレーキ・キャリパーに使用出来るピストンの数が最大で6個までに制限。
- 1999年:前輪の溝4本へ、ホイール脱落装置の義務化。ドライバーがシートに固定されたままでも救出できるセーフティシートの導入。冷却水を最大3.75気圧にコントロールするプレッシャーリリーフバルブの装着が義務化。
2000年代のレギュレーション
- 2001年:ベリリウム合金の使用禁止。
- 2003年:フリー走行の回数が4回から3回になる。金曜フリー走行1回目の前に、特別フリー走行セッション実施。予選が2日制1ラップ方式になる。チャンピオンシップのポイントを従来の6位から8位まで付与に拡大(10-6-4-3-2-1が10-8-6-5-4-3-2-1になる)。ピットから車へのテレメトリーを禁止。ウェットタイヤが1種類に制限される。チームオーダーの禁止。HANS(ヘッド&ネックサポート)の義務化。予選終了後から決勝前までのマシンメンテナンスの原則的禁止。
- 2004年:予選が1日制1ラップ×2方式になる。フリー走行の回数が3回から4回になる。金曜フリー走行セッションのみ、前年コンストラクターズ順位5位以下のチームが第3ドライバーの出走が可能になる。レースウィーク中1基のエンジンのみ使用可。ラウンチコントロールシステムの禁止。ボディワークサイズの変更。リアオーバーハングのサイズ拡大。リアウィングが3エレメントから2エレメントまでに減少。ウェットタイヤを2種類まで用意することが可能に。ただし荒天用タイヤはレース主催者の許可があった場合のみ使用可能。フランスGPより新規格のカーボンファイバー製ヘルメットのみが使用可能になる(一個、約150万円)。ピットロードの制限速度が80kmから100kmになる。
- 2005年:予選・決勝レースで使用可能なタイヤを1セットに制限(実質のタイヤ交換禁止)。2レースで1基のエンジンのみ使用可。フロントウィングの最低地上高が5cm引き上げられる。リアウィングが15cm前方へ移動。
マシン
- 「フォーミュラーカー」と呼ばれる、レース専用車を使用する。フフォーミュラーカーはF1だけにとどまらず、F3、GP2等の競技にも使用される。日本でも「フォーミュラニッポン」「全日本F3」「フォーミュラドリーム」等といった競技がある。
- F1では各チームごとにシャシーを製作しており、チームの個性が強くでてくる。しかし、F3やFニッポンといった下位カテゴリーのシャシーは全て同じマシンであることが多く、マシンによる力の差が出にくいためドライバーの腕がモロにでてくる。
- ハコ車に比べて、ダウンフォース、ブレーキング、加速、コーナーリングが勝るため、体に強い負担がかかる。ストレートからのフルブレーキング時には約3Gもの負担がかかるといわれる。
エンジン
- 現在(2005年)、エンジンは3リッター(3000CC)のV型10気筒エンジンであり、パワーは約900馬力である。
- 過給機(ターボ)は禁止されており、自然呼気(NA)のみのエンジンとなる。F1にもターボ時代(1970年台後半~1988年)があったが、予選用エンジンで約1500馬力にも達していたため、1988年いっぱいで禁止になった。
- 本来、レース用のエンジンは1レースを走りきるだけの耐久性しか持ち合わせていなかったが、レギュレーションでエンジンは2レースにつき1基のみとなっているため、それなりの耐久性を求められるようになっている。なお、エンジンが壊れて交換する場合は予選での順位から10番グリッド降格することになっている。