マクロスFRONTIERでエロパロ まとめwiki

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
109 名無しさん@ピンキー 2008/08/07(木) 22:24:41 ID:MEa3xGlv
妄想してるうちに脳裏に絵が浮かんできたので、それをまとめたものを投下いたします。
カップリングは<ミシェルxクラン>です。
おまけに、またしても非常に長くなってしまったので、
飽きてたり受け付けない人はスルーしてやってください。

あとエロス分も無しです…ごめんなさい…


110 :Equivalent:2008/08/07(木) 22:27:04 ID:MEa3xGlv

とある休日の朝。わたしは幼馴染の部屋を訪ねる。
「おはようミシェル今日非番だろどこか遊びにいかないか?…おはようミシェル今日非番だろどこか遊び…」
言う事は覚えた。おおきく深呼吸…………………よしっ!

「おはよう!ミシェルきょうひば……あれ?早乙女アルトだけか?ミシェルはいないのか?」
「どうした…んですか?クラン…大尉。」

いきなりわたしが来た事にビックリしたか、こいつ敬語と階級を付け忘れそうになったな。
…まあ一応ちゃんと付け足したし、やさしいやさしい大尉様としては赦してやるけど…

「ん。暇だから遊びに来た。」
「そんなポンポン来ていい場所じゃないと思うんだけどなあ。ここ一応男部屋…」
「わたしは別にいいんだ。」
「…何がどうで、よくなるんだよ…」
「男がこまかい事を気にするな。で、ミシェルは?」
「昨夜から外出してますよ。」
「なにい!また夜遊びか!…まったくあいつはいつもフラフラと。自覚が足りんなジカクが。」
「いつもならそろそろ帰る頃じゃないかなあ。めかしこんでたからどうせおん…」
「…おん?」
「う…いや…おん…おん…温泉テーマパークにでも、他のアイランドまで入りに行ってるんじゃないかなー?」

ん?なんか変に汗をかいて声まで上ずってる。おかしなやつだなあ。

「ふむ…まあいいか。そろそろ帰りそうなら、邪魔させてもらうぞ。」
「こ…こんな狭っ苦しいとこじゃなく、別に自室で待っててもいいんじゃないですかね。
俺からメールでも送って、すぐ外からでも連絡させるから。」
「実はメールも携帯も返事が無いんだ。今日あいつ非番だし、まだ部屋で寝てるのかーと思ってきたんだが…」
「いやあ携帯の電源うっかり切らしたのかもしれないですねー。
(小さな声で)…んじゃ俺がミシェルにクラン来襲を知らせるのも無理なんじゃん…」
「何か言ったか?…ははあ…誰か女でも来るからわたしは邪魔なんだろう。オズマの妹とか、あのシェリルとか。」
「ちっ!違ッ!そんなん来ねえよ!」
「ムキになるところが怪しいぞー」


わたしは真っ赤になるアルトをニヤニヤ笑いながら、思惑が最初から外れた事に困ってしまった。
待つにしても何か説得力のある理由…
む、そうだ。ミシェルのベッドの引き出しを探って…あったあった。

「なんだ?携帯ゲーム機?」
「うん。前にやらせてもらった時に意外と面白かったんで、ちょこちょこ遊ばせてもらってるんだ。」
「ああ、どうぶつの星ね。そういや一時期人気あって皆やってたなーこれ。
何か魚釣りとか虫取りとか、コレクションが結構大変だって話を…」
「そうなんだ!網で虫つかまえるのがかなり大変なのだ!」
「…ってすげぇこの星、花ばっかりだ。」

画面を覗き込んだアルトの奴、何だか誰かと同じ事を言う…

「なんだ!悪いか!ミシェルみたいに『乙女チック〜』とか笑うか!」
「そんなつもりじゃありませんって。綺麗でいいじゃないですか。」
「まったくもう。…そういえばお前は、こういうゲームとかやらないのか?」
「俺の実家は厳しかったから、ゲームなんて最近までやった事もなくて。
でもゲーム機本体も借りてちょっとは遊ぶようになりましたよ。ドッグファイトのしかやってないけど。」
「何か今持ってるのか?」
「今やってるのはコレ。各年代のVFが登録された3Dシミュレータゲームで、ゲームにしてはいい動きするんだ。」
「クアドランは!?」
「んーと…ああ、あったあった。ローもレアもある。」
「やりたーい!!やりたい!やりたい!やりたい!やりたい!やりたい!」
「挙動全部を指だけで操作するから、実物みたいにはいかなくてストレス溜まると思うけど…」
「いい!やる!やらせろ!」

面白そうな物を持ってるじゃないか。
これで演技ではなく本音で楽しく待てるというものだ。


「あうー!また負けたー!!もー!!この敵ミサイル吐きすぎだぞー!!」
「やっぱ直線的に動いちゃダメだって。ここのレーダーを見て、なるたけ敵に囲まれないように…」
「わかってるけど、でーきーなーいー!!やれ!わたしの代わりに!」
「…………お前ら…べったりくっついてなにやってんの…?」

あ、いつの間にかミシェルが帰ってき……え?べったり?
…わっ!思ったより楽しくて、半ばミシェル相手のつもりになってた!!

「べ…別に!くっついてなんかない!」
「どっちでもいいが、狭い部屋で横っ飛びするのは危ないぞクラン。」

ネクタイを外しながら言うミシェル。…どっちでもいいのか…ぶぅ…なんかムカつく…

「俺はミシェルの代わりにクラン大尉のお守をだな。」
「おまえも本人を前にして、おもりとかへーぜんと言うなこらー!!」
「まったくアルト姫…女引っ張り込むんならドアにハンカチ挟んどけって、あれだけ言って…
……あ、ワリい。今回のはちっこいし、そんな心配も無いか。」
「なんだとミシェル!いつもいつもバカにしおって!今日こそ成敗してくれる!今すぐ首を洗え!」
「まさか…だからおま!こんな狭いとこで、飛びかかるな!クラン!」

わたしはニヤリと笑ってミシェルに飛びかかり、首のとこにしがみ付く。
「つかまえたッ!!」と、いつもどおり叫びながら…あれ…?
…甘い香り……いい匂いなのに…いやなにおい…ミシェルじゃないにおい…
いやだ…はなれたい…きらい…このにおいきらい…このミシェル…きらい…

「あーまったく。しかもスカート穿いてる状態でとか。そんなだからガキ扱いすんだよ。」
「おい…ミシェル…なんか様子…」
「…え…お?静か?今日はもう終わりか?」

ボソボソと小声で耳打ちし合ってるつもりだろうが、まる聞こえだ。ばか。

「……なあ…クラン…お前…」

もぞもぞとミシェルから降りて…
「そうだよ。おわりだよ。」ガッ!

「あ痛ッ!足蹴ッ…!!何すんだクラン!!」
「……バカ。」
「お前ねえ。バカって言う奴がバカなんだって、あれだけ言って…」
「うるさい!そうやって、こどもしつけるみたいにするな!」
「…いや今のクランは…」
「うるさいうるさい!きらい!ミシェルのバカ!」


何だか急に癇癪を起こして走って出て行ったクラン…
それを呆然と見送るアルトと俺だった。

「…嫌い…だって。」
「…嫌いらしいな、ミシェル。」
「…………なあアルト姫。…俺、変な事やったか?」
「デリカシーに欠けてたが、それ含めていつも通りだった……姫言うな。」
「…ツッコミ弱え。でもそれで俺だけが呆然じゃないってのは分かった。
そうだよな。いつも通りだよな。なのに何で今日はあんなになるんだ?」
「俺が知るかよ。」

二人向かい合って首をかしげる。
その後アルトに、クランがどんな感じに遊びに来てたのか聞いたんだが、おかしいと思う事も無し。
姫にあれだけ元気一杯に遊んでもらってたんだ。俺が居なかったのも笑い飛ばせると思ったんだけどなあ。

「…普通に考えたら朝帰りに腹立ててたんじゃないかと思うんだけど…」
「俺もそれは考えた。でも、それなら顔見た瞬間とか、帰ってくる前からずっとプンスカしててもおかしくないだろ。
姫に遊んでもらってる間は普通だったっていうんじゃ、あの急変はちょっと理由がつかないなあ。」
「…女って分かんねえな。」
「おや悟りましたねアルト君。それが真理なんだよ。だからこそ女性は神秘的で美しく見えるってわけ。」
「お前の持論?」
「もちろん。女性はみんな美しい。あ〜あ…いくら考えても分かんないし、ちと頭冷やしにシミュレータ行ってくっか。
姫も付き合えよ。対戦でやろうぜ。」
「非番の時に自主トレねえ…まあいいけどな。ミシェル寝てないんだろ?大丈夫か?」
「今ので眠気も吹っ飛んだしな。いっそくたくたになるまでやって、何も考えずにスッキリ寝たいよ。」
「仕方無い。今日のところは振られ男に付き合ってやるとしますかね。」
「それを今言うなよー。実は昨夜の女にも、たんにグチに付き合わされただけだったんだよー。
収穫は別れ際のハグだけ。その上クランにもアレだろ?ああ虚しい。」
「邪な事ばっか考えてるから、自業自得じゃないのか?大尉殿の事もさ。」
「キッツいねえ。」

俺たちは軽口を叩きながら耐Gアンダーやメットなどを引っ張り出し、シミュレータの前準備をする。
不可思議な事態を早く振り払いたいとでもいうように。

「ところでなミシェル。今気付いたんだが、何度もナチュラルに姫ヒメ呼ぶな。」

ゴンッ

「あたっ。寝不足の上に傷心の男の後頭部に向かってメット投げるとは、酷い奴だねお前。」


「ミシェルのバカ…みしぇるのばか!」

わたしは乱暴に服を脱ぎ散らかし、本来の身体に戻るためにポッドに入る。

「せっかく…一緒に遊ぼうと思ったのに…服だって卸したてだったのに…」

少しはわたしの気持ち、わかってくれてると思ってた…
でもそれは、ひとりよがりだって思い知らされた…あの匂いのおかげで…
あいつは…夜を共にできるような…そんな女が好きなんだ…

数分の間の後、ゼントラーディ側ポッドから出、ひとりごちながらため息をつく
胸が痛み続ける自分に、言い聞かせるように。

「仕方無いか。私はこんな体質の上、言葉では何のアプローチもしていない。
いや、行動でアプローチしてるとも言えんな。
マイクローン状態の私では、恥ずかしさが先に立ち過ぎて、ふざけながら抱きつくくらいしか…」

しかもさっきやった事は、勝手に押しかけて、勝手に騒いで、勝手にジェラシーを感じて…
全部あいつの気持ちを考えない押し付けの行動だ。思い返すだけで泣きたくなってくる。
かといってゼントラーディの体躯では、マイクローンサイズのミシェルにアプローチなど、どだい無理な話で。
あいつはあの大きさ、あの姿が普通の状態なんだ。
サイズがつり合わねば、アプローチどころかケンカすらできん。VF-25Gのバトロイド状態とが関の山だ。

「いっそ『私のために巨人化して欲しい』とでも言えたら…」

思わず口からこぼれる一言。何度も何度も思い浮かんだ本音。
しかし私のために危険を冒せなどと、そんな勝手な欲望を押し付けるなんてできない。
もしそのせいであいつに心底嫌われでもしたら…傍にすらいられなくなったら…
それは…それだけは…絶対に嫌だ…ミシェル…

「クソッ!戦士の末裔ともあろう者が、弱い気持ちしか浮かばん!」

今のままでは任務もまともにこなせないだろう。
これは相応の気分転換が必要か…射撃訓練かシミュレータでウサでも晴らすか…
そう考えながら格納庫へ向かう事にする。
ん?…VFのシミュレータで誰かが騒ぎながら対戦でもしているのか?…あれは…
脳裏に蘇る幼馴染の優しげな笑顔…それに重なる甘い香り…


「うっしゃ!これで勝ち越しぃ!はっはっは、まだまだ甘いよアルト君。」

とは言うものの、あれだけ多彩に動けるようになってるアルト相手だ。
技術も集中力も全開で使って、ギリギリなんとかの勝ち越しだけどな。
…しかし美星航宙科主席の意地にかけても、SMSでの飛行時間からしても、死んでも負けられんのだよ。

「三回に一回は確実に勝てるんだが…畜生!もう一回行くぞミシェル!!
次!有大気惑星上!重力2.5G、機雷原あり!」
「お前マニアックな戦闘環境好きだねえ。OK。受けてあげようじゃないの。」
「レディ…」「「 …GO!! 」」

俺たちの機体は発進し、設定された惑星へそのままの移動ベクトルで滑るように突入していく…
そんな中、ビーッというけたたましいアラーム音の後に表示された文字。
─Intrusion Detection─

「…侵入警告?イントルーダ(侵入者)だぁ?チャレンジャーって事か!?」
「おいミシェル、このシミュレータにこんなモードあったか!?」
「ねえよ。ゲームじゃないんだぞ。精度上げてる分、途中からの追加変更なんてそんな余計な機能……うわッ!!」

言ってるうちにレーダーが捉える、複数の高熱源動体反応。後方地上から!?速い!!
俺たちは間一髪、クロスするように移動し回避する。
…いや、軸線の回避だけじゃダメだ…一番強い熱量の4本の軌跡…このエネルギー量…こりゃあ…

「アルト!進みすぎるな!旋回半径絞れ!広範囲に炸裂する!!」
「レールキャノン付き…ケーニッヒかよ!!誰だこんなもん乱入させた奴ぁ!!」
「私だ。」

大きな爆発音と同時にノイズ交じりの通信機から聞こえる、作戦行動中に聞きなれた低い女の声。クラン…!?

「哨戒任務中のルカに連絡をとって、ピクシー側のシミュレータから中途接続できるよう、少々弄らせてみた。」

それを外部からなんて、言うほど簡単じゃないと思うんだが…しかも再起動もせずに入れ替えるとか…
RVF-25とゴーストの干渉能力を利用しても……いや落ち着け俺。今考えるべきはそこじゃない。

「どういう事かなクラン・クラン大尉。折角の俺とお姫様のデートを邪魔しようっての?」
「姫君との舞踏会が楽しそうだったものでな。私のクアドランも混ぜてくれ。」

「誰が姫だ!」「二人とも聞けよ!」「おいこら!無視すんなよ!」という主張は、クランと揃って聞き流す。

「それにしちゃあVB-6の大気圏内支援砲撃てのは、少々ハンデが過ぎませんかね大尉。」
「ふん。貴様らなら行動範囲が少々制限される程度だろう?
それに発射タイミングと着弾ポイントは、こちらでも事前認識できん設定になっている。
砲撃タイミングと発射地点の移動もオートだしな。いわば貴様らともそうは変わら…………む。」

刹那の瞬間空を貫いていく動体エネルギー。空間をえぐる灼熱の爆発。


「っとおッ!!…これが少々ねえ…。アルト、お前地上のケーニッヒの方頼むわ。俺はクアドランを抑える。」
「そりゃ構わないが、一人で大丈夫か?」
「この砲撃の根元を先に叩かないと、おちおち空中でダンスも踊れないからな。
動き回れて手数も多いお前の方が、デカブツの攻略も楽だろ。だが恐らく一機じゃない。気をつけろよ。」
「お互いな。VF-25Fアルト、対地攻撃に移行する!」
「さてそろそろいいかな?勝負といこうか、ミハエルぼうや。」
「お手やわらかに……頼みますよ!!」

その言葉を合図にコンマ1秒たりとも気を抜けない戦闘シミュレーションが始まった。
30分程が経過してアルトから2機目のVB-6撃破の知らせを受けても、こちらはまだダンスが続きっぱなし。
俺個人の感想を述べさせてもらえれば、一言で言って"シャレにならない"。これにつきるだろうね。
模擬戦で幾度も手合わせしたし、バジュラとの戦いでもクランの戦いは傍でずっと見てきた。
しかしいくらベクトルコントロール搭載で空間戦闘が得意のクアドランに、
耐G調整をメインに施されたメルトランの末裔が乗っているとしても、
高重力化の惑星上であの縦横無尽の機動となると…
支援砲撃をかすめたそのエネルギーと乱気流だけで、綺麗に垂直急上昇して姿くらますとかしやがるし。
翼で揚力を起こすVFとは違うんだぜ?噂に聞いた竜鳥飛びでもあるまいに…
シミュレータのパラメータ弄ってるんじゃ…いやそりゃないか。あのプライドの高いクランに限って。

クランの天才的な能力は、長い付き合いだしそりゃ知ってたよ。けどここまでなんて…実戦でも見た事無いぞ。
こっちは生存を第一定義に、回避と牽制攻撃だけに絞って逃げてるってのにな…
俺と年数もそんな…変わらないのに…大尉取ってるってのは…ダテじゃないって事か。
集中力…の差…かなあ…………自信……失くす…ねえ…

「バカ!寝てるのか!機首上げろ!ミシェル!!」

…慌ててるクランの声…?
あれ?俺何して…
強い衝撃と目を焼く光の奔流…意識が遠のいていく…


次に目を覚ました時、俺は何だか甘い香りのする、温かくて柔らかい物の上に寝ていた。
頭上に格子状の明かり取り…いや、違う…これ指だ。右手。枕にしてるの左の手のひらか?
投げ出した俺の足は、それとは別のふわふわの上にある。これも温かい。
床の上に座ったクランが腿の上で両手を包み込むようにして作った、
天蓋付き簡易ベッドに寝かされているといったところかな。

「…そうか…俺、シミュレータの途中で…」
「気付いたか、ミシェル。」覆い被さった指のずっと上から聞こえる、耳に優しく馴染む低目の声。
「クラン…。悪い、迷惑かけたな。」
「まだ起きるな。もう少し横になっているといい。ここは私の私室だから遠慮はいらない。」
「ああ…うん…」

少し意識が混濁している…ここは大人しく言う事を聞くか…
…つッ…不意に左手に痛みが走った。見るとテーピングされている。

「意識がなくなったのは、睡眠不足の所へ連続で高Gと衝撃を受けたあげくに過度の集中のし過ぎの脳貧血。
左腕は意識喪失後の墜落時に強くシミュレータの桿を握り過ぎていたため、キックバックによる軽い捻挫…だそうだ。」
「そうか……ん?」

何か胸元にシート状の物が突っ込まれてる。…メモか?

"「私が無理な事をさせたせいだ」と酷く責任を感じていた。フォローするよう。 カナリア "

「どうかしたか?」と上にかぶせた手をズラし、スキマから覗き込むクラン。素早くメモを握りつぶす。
…よく見るとクランの目が少し赤い…

「いや…なんか俺、恥ずかしい所を見せちゃったなって思って。」
「…ま…まったくだ。戦士としてそれは恥ずかしいぞ。体調管理はしっかりしろ。無理がありそうなら断れ馬鹿者。」

クランの事で悩んでウサばらししてました…と言えたら簡単なんだけどね。さて…どうするか…

「今何時?」
「正午ちょっと過ぎだ。3時間弱寝ていた。」
「まだそんなもんか。よし。」
「あ…もう少しそのままでいた方が…」

立ち上がろうとする俺をクランが慌てて制止しようとする。

「3時間も寝ればいいよ。時間的にも丁度いいし、シャワー浴びてから外に飯行こうぜ。今日非番だったろ?」
「一応そうだが…」
「その後に勝負の続きといこうじゃない。」
「しょ…勝負!?その体調でシミュレータはダメだぞ!」
「わかってるって。場所はどこに行くかな…やっぱアイランド3辺りか。」
「フォルモか?マイクローン化するなら別にアイランド1でも…」
「勝負の続きだって言ったろ?だからクランはそのままだ。ああでも戦闘服だと何事かと思われるから私服な。」
「な…何かよく分からないが…分かった。じゃあ後で…」

クランが俺を下ろし、首をかしげながらシャワールームへ向かう。
…さあて…俺も準備しないと…


ミシェルの指示通り軽くシャワーを浴び、ゼントラーディ用通用門で待つ私。
もちろん私服だ。…いつものブラウスとスカートとオーバーニーソックスだが。
別にあのまま寝てくれていても、よかったんだけどな…
手の平の上のミシェルの重さと温かさが嬉しかったし…とは、恥ずかしくて口が裂けても言わない。
しかし言われるままにマイクローン化せず待っているが、本当にいいのだろうか。
それに勝負の続きとか言ってたが、どうするつもりなのやら。

「クランお待たせ。ちょっと待たせすぎたかな。すまない。」
「いや、それ程は待って……」

……ミシェル?あれ…ミシェル…どこにもいない…まさか空耳か?…私はとうとう幻聴が聞こえるようにまで…
私が足元をきょろきょろと探していると、上から声がかかる。

「おいおい、どこ探してるんだよ。」
「…え…?…み…ミシェ…ル…?」

見上げると見慣れた幼馴染の笑顔がある。眼鏡をかけてないから一瞬分からなかった。
確かにミシェルだけど、身体の大きさが私より更に大きく、顔の位置も上…私は声が出ない…

「いやあ…巨人化ポッドの適応チェックと使用許可はすぐ出たんだけど、レンタルの服でコレってのが無くてさ。
ストレートのブラックジーンズにコットンの白無地Yシャツなんて、洒落っ気も何も無い服を選ばざるを…」

私はただ呆然と見上げているだけしかできず、ミシェルの話もろくに耳に入らない。
変な妄想を思い浮かべ過ぎて、夢でも見ているのではあるまいか。そんな考えまで浮かぶ。
それにしても背が高くてスラっとしてて、そのくせ身体は筋肉で締まってて…
大柄で筋肉質でお世辞にも華奢とは言えない私だって、今のミシェルの傍でなら普通の女の子に見えるかな…

「おーいクランー。クーラーン。クランさーん、そんなに驚く事かーい。」

気が付くと目の前、お互いの鼻が触れそうな距離にミシェルのアップ。

「はう!!う…あ……あ、いや…見慣れないサイズだったから…ってそんなに顔を近づけるな!」
「何言ってるんだか。しょっちゅう取っ組み合ってるクセに。」
「あれはマイクローンの時の私であって、今の私ではそんな…ちょ…こら…頭をわしゃわしゃするなーッ!!」
「いやあ、この頭身のクランが俺より背が低いというのが、新鮮で新鮮で。うり、ヘッドロック。」
「こんな場所で子供みたいな事をするんじゃない!」
「この程度のスキンシップ、いいじゃん。マイクローンのお前だと、両手両足全部使って組み付いてくるんだぞ?」
「…………するなよ?ミシェル。」
「するか!さすがに体格差が違いすぎるっての!
…でももし巨人化の時に遺伝子異常起して子供になってたら、わかんなかったけどな(笑)」

ぷっ……思わず二人で想像して噴出してしまう。

「さて移動しようかクラン。飯の後に勝負な。やられっぱなしはプライドに触る。」
「フフ…何だかよくわからんが、逃げずに受けて立とう。」

二人連れ立って歩き出す。夢にまで見た光景だ。
まだ何もしていないのに胸が躍る…身体が温かくなる…


我々はフォルモに着き、早速腹ごしらえを慣行。二人でパスタとピザを分け合って食べた。
ミシェルは「本来のパスタよりこんなに太いのにアルデンテかあ…」と関心していたようだ。
ゼントラーディのコックも鍛錬を積んでいるのだ。努力の歴史とは素晴らしい。うん。
そんな取り止めの無い会話を楽しんだ後は、ミシェルの言っていた勝負が始まった。
実態は何の事はない、フォルモの中にあるレジャーの勝負だ。内容は…
1.射撃、2.アーチェリー、3.フリースロー、4.エアホッケー、5.ビリヤード、6.ダーツ、7.ボーリング。
この姿の私は殆どがやった事の無いものだが、1〜2ゲームの練習の後に本番にしてくれたし、
なにぶん身体を動かす事は私も得意でもあるしで、最終的に良い勝負になった。。
狙う系統だとミシェルには人間のレベルを超えた視力があるが、左手を痛めて使わないのでそれもハンデになったかも…
結果、ミシェルが1・3・6・7番勝負を取り、私は2・4・5の3つ。
ここで差をつけてやるぜ!とばかりにミシェルは最終局面にカラオケを選んだのだが…


「うわあ…負けるとは思わなかった。マジでクラン歌上手いな。ランカちゃんと一緒に歌手になれんじゃないか?」
「か…からかうな…。ミシェルは単に、その身体の呼吸の仕方を理解し切れてないだけだろう。
それにこの曲は、ミシェルの部屋で昔からよく聴いてたものだしな。」
「あーあー勝負もタイになっちゃったなあ…」

嬉しそうに言いながらBOXの長いすにゴロンと横になるミシェル…
「…ふふ…どうせ計算づくのくせに…バーカ」…そんな事を考えながら、私はミシェルの頭の横に座り直す。

「ミシェル…今日はごめん。急に怒り出したり、蹴っちゃったり、
体調を考えずに無茶な勝負をふっかけたり色々…その…」
「あー…いや俺もマイクローンのクランをからかう癖ついちゃってるし、おあいこだよ。」
「でも、わざわざ巨人化まで…」
「サイズでは常に俺達すれ違ってる状態だから、コンプレックスとかストレス溜まってるのは気付いてたんだ。
俺もそれに慣れ過ぎてたというか、クランに甘えちゃってたとこもあるんだけど。」

…甘えてた?そうなのか?…いつもクールぶってるミシェルが…?

「アルトへ誤射しかけた時の夜の…あー…ああいった事とかも…さ…
アレなんかエゴの押し付けで甘えもいいとこだろ?いつかどうにか謝るとかしたいとも思ってたし…」
「…うん…」
「お互いのわだかまりを取るのにも、遊びでも何でも全力でさ、一度対等になって行動するのが一番いいかなって…」
「……うん……うん……」
「…あのー…クラン…これはちょっと気持ちいい上に恥ずかしい状態なんだけど…」


私はいつの間にか俯き加減でミシェルの頭を抱きかかえるようにしていた。彼からしたら抱き寄せられて膝枕状態。
だって、つっけんどんな態度を取りながらも、こんなにミシェルは私の事を考えていてくれたんだって…
巨人化の際の遺伝子異常の危険を冒してまで、私のために行動してくれたんだって…
そんな嬉しさが止まらなくて、愛しくて…

「ありがとう…」
「ありがとうは、こっちだよ。クラン。こんなバカな男を、ずっと気にかけてくれてさ。」

ミシェルは起き上がり、座りなおして私の肩を抱いてくれる。私も彼に身体ごと寄り添う。
その後は、BOXの制限時間を知らせる電話がくるまで、ずっと二人してありがとうって色々言い合ってた。
ううん。カラオケから出ても…かな。
今は兎に角寄り添って温もりを感じて、ありがとうって言ってたい。それだけで嬉しい。
あ…あの甘い匂い、気にならなくなってる…シャワー浴びて薄くなってるのもあるだろうけど…

「さあて、名残惜しいが宿舎に帰らないとな。俺は学校があるし、明日はクランも任務あるんだろ?」
「…うん。早朝じゃないけど…」

横目で見ると、ミシェル、ちょっと嬉しそうじゃない。建前じゃなく本気で名残惜しんでくれてるのかな…
…………どうしよう…
…ええい!女は度胸だ!

「…任務までに帰れれば問題ないし…どうせなら…勝負の決着をつけて行きたいかも…
ミシェルには眠い状態で学校行ってもらう事になるかもしれないが…」
「そうか?それは構わないが、何か他にやれるのあるかな。いいぜ。何でも言ってみな。」
「…何でもいいんだな?多分ミシェルの得意な事だと思う。私に勝ち目は無いかもしれないが…」
「まあその時は少しハンデつけるさ。で、何にする?」

ミシェルが二度と巨人化できない可能性だってあるし、もうこんなチャンスないかもしれないし、
今日くらいはわがまま言わせてもらってもいいよな…ミシェル…

「前にミシェルが私に対して、からかい半分で言った事…夜の…相手…とかいう…」
「ち…ちょっと待て、そういうのは勝負とは言わないんじゃ…」

思っても無かった私の発言に焦るミシェル…
私は赤くなる顔を隠すように彼の腕に抱きついて呟いた。

「何であっても勝負は勝負だ。…敵前逃亡は銃殺だぞ?」

<終>


以上です。長々とお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
大小両方のクランのジェラシーや、大クランと対等のミシェルを妄想したらこういう事に。
銃殺されなかった場合の二人の姿などは、各自脳内補完のほどを願いますです。
そういえば前スレでは「大x大の時でも痛がりそう」とかみんなで妄想を(ry
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