906 眠れぬ夜の独り言 sage 2008/06/07(土) 14:48:20 ID:hUy6c+N0
ランカは疲れきって部屋に戻ってきた。
初出演作となる映画の上映以来、順調に仕事が増えてきている。
今日はロケの仕事で立ちっぱなしだったので、足がだるい。
そのままベッドに飛び込みたい誘惑を振り切って、バスルームで汗を流し、自分でマッサージをする。
就寝前の肌の手入れをしてからベッドに入った。
部屋の明かりを消して瞼を閉じるが、一向に眠気がこない。
(疲れ過ぎて、眠れないや)
闇に目を開いて、ぼんやりとしている。
思い浮かぶのは、映画の撮影時、水中でのアルトとのキスシーン。そして、その前に浜辺でシェリルがアルトに“大人のキス”をしていた瞬間。
(アルト君……なんで、いつもアルト君なの?)
ランカが行き詰まり、危機に瀕した時、いつでも手を差し伸べてくれたのはアルトだった。単なる巡り会わせ、偶然なのかもしれない。でも、ランカには運命に思えた。
(アルト君から見て、わたしはどうなんだろう?)
単なる友達? それとも、少しは気にしてくれている?
電話ではなくて、直接会って、二人きりになってみたかった。たくさん話したい。
取り留めのない思考はシェリルのことにも触れた。
(憧れる……歌手として、女性として。アルト君とシェリルさん、美男美女で絵になるよね、わたしなんかより。
アルト君は歌舞伎のお家の跡継ぎで、生まれながらのセレブだし。シェリルさんは自分の力で上り詰めた人だし)
一方で対抗意識みたいなものも生まれている。
(今は比較の対象にすらならないけど……でも)
何でもネガティブに考えがちな自分が、こんな気持ちになるなんて、ちょっと前までは想像の範囲外だった。
(この強い気持ちを歌に乗せてみたい)
どんな歌詞なら心を伝えられるだろう?
暗闇の中に五線譜を思い浮かべる。
(キス……口づけ……接吻……抱きしめる……抱きとめる……離さない……離れない)
シーツの下で、ランカは自分の肩を抱きしめた。
真空の宇宙へと放り出されそうになった時に、抱きしめてくれたアルトの腕。
その手のひらが触れたところを自分で触れて回想する。
肩、首筋、胸……。
「んっ……」
パジャマ越しに触れた自分の胸。もうちょっとボリュームが欲しいと思う。
手のひらで膨らみの形を確かめる。両手で寄せて谷間を作る。
指が乳首に触れて、声が漏れた。
「あっ…」
甘い痺れが体を駆け抜ける。
(スイッチ、入っちゃった……)
人差し指でパジャマ越しに、触れるか触れないかのタッチで乳首を触る。
「んっ……っふ………」
乳首は反応して、硬くなった。
寝返りを打ってうつぶせになる。左手で胸を触りながら、右手を体に沿って下の方へ滑らせる。
ショーツの上から足の間に触れると、そこには熱気がこもっていた
(すぐに……濡れちゃいそう)
敏感な部分をそっと指先で刺激する。そこが潤ってくるのが判った。
枕に唇を押し付けながら水中キスの瞬間を脳裏に描き、自分を慰める。
「はぁ…あ…アル……ト…くぅん……」
つま先が自然と丸くなる。快感の曲線は急速に上昇し淡い頂を迎えた。
微かな罪悪感を眠気が溶かしてゆく。
そのまま夢のない眠りへと落ちてゆくランカ。
ランカは疲れきって部屋に戻ってきた。
初出演作となる映画の上映以来、順調に仕事が増えてきている。
今日はロケの仕事で立ちっぱなしだったので、足がだるい。
そのままベッドに飛び込みたい誘惑を振り切って、バスルームで汗を流し、自分でマッサージをする。
就寝前の肌の手入れをしてからベッドに入った。
部屋の明かりを消して瞼を閉じるが、一向に眠気がこない。
(疲れ過ぎて、眠れないや)
闇に目を開いて、ぼんやりとしている。
思い浮かぶのは、映画の撮影時、水中でのアルトとのキスシーン。そして、その前に浜辺でシェリルがアルトに“大人のキス”をしていた瞬間。
(アルト君……なんで、いつもアルト君なの?)
ランカが行き詰まり、危機に瀕した時、いつでも手を差し伸べてくれたのはアルトだった。単なる巡り会わせ、偶然なのかもしれない。でも、ランカには運命に思えた。
(アルト君から見て、わたしはどうなんだろう?)
単なる友達? それとも、少しは気にしてくれている?
電話ではなくて、直接会って、二人きりになってみたかった。たくさん話したい。
取り留めのない思考はシェリルのことにも触れた。
(憧れる……歌手として、女性として。アルト君とシェリルさん、美男美女で絵になるよね、わたしなんかより。
アルト君は歌舞伎のお家の跡継ぎで、生まれながらのセレブだし。シェリルさんは自分の力で上り詰めた人だし)
一方で対抗意識みたいなものも生まれている。
(今は比較の対象にすらならないけど……でも)
何でもネガティブに考えがちな自分が、こんな気持ちになるなんて、ちょっと前までは想像の範囲外だった。
(この強い気持ちを歌に乗せてみたい)
どんな歌詞なら心を伝えられるだろう?
暗闇の中に五線譜を思い浮かべる。
(キス……口づけ……接吻……抱きしめる……抱きとめる……離さない……離れない)
シーツの下で、ランカは自分の肩を抱きしめた。
真空の宇宙へと放り出されそうになった時に、抱きしめてくれたアルトの腕。
その手のひらが触れたところを自分で触れて回想する。
肩、首筋、胸……。
「んっ……」
パジャマ越しに触れた自分の胸。もうちょっとボリュームが欲しいと思う。
手のひらで膨らみの形を確かめる。両手で寄せて谷間を作る。
指が乳首に触れて、声が漏れた。
「あっ…」
甘い痺れが体を駆け抜ける。
(スイッチ、入っちゃった……)
人差し指でパジャマ越しに、触れるか触れないかのタッチで乳首を触る。
「んっ……っふ………」
乳首は反応して、硬くなった。
寝返りを打ってうつぶせになる。左手で胸を触りながら、右手を体に沿って下の方へ滑らせる。
ショーツの上から足の間に触れると、そこには熱気がこもっていた
(すぐに……濡れちゃいそう)
敏感な部分をそっと指先で刺激する。そこが潤ってくるのが判った。
枕に唇を押し付けながら水中キスの瞬間を脳裏に描き、自分を慰める。
「はぁ…あ…アル……ト…くぅん……」
つま先が自然と丸くなる。快感の曲線は急速に上昇し淡い頂を迎えた。
微かな罪悪感を眠気が溶かしてゆく。
そのまま夢のない眠りへと落ちてゆくランカ。
シェリルは疲れきって部屋に戻ってきた。
コンサートのゲネプロ(通しリハーサル)はハードだった。
その後、疲れを溜めない様にエステとマッサージで体を手入れしてから、部屋に戻る。
服を脱いで、大きなサイズのベッドにうつぶせに飛び込んだ。
「はぁ……」
素肌にひんやりしたシーツが心地よい。
このまま眠ってしまうかと思っていたが、なかなか眠りが訪れない。
(マッサージのときにウトウトしてたから、かしら?)
シーツの下で思い切り手足を伸ばす。この前の映画ロケを思い出した。
(休憩時間にシュノーケリングを楽しんだわね)
そして、ちょっとしたイタズラも。
(あの時のアルトの顔ったら……)
クスクス笑いが漏れるが、一方で腹が立ってきた。
(抱きしめてくれてもいいんじゃない? あの鈍感)
ふぅ、とため息をつく。
水着のシェリルが唇を合わせている。普通の男なら有頂天になりそうなシチュエーションなのに、アルトはいつもと同じペースだった。
それが心地良くもあり、苛立たしいものでもある。
(そういえば、最近顔を見てない)
ロケや学校で毎日のように顔を合わせていたが、コンサートのリハーサルに入ってからは顔を合わせる機会が激減していた。
(あの声でシェリルって呼ばせたい)
ふと、アルトから自分がどう見えているのか気になった。
(嫌われてはいない、はずよね)
なんだかんだと文句を言いながらもアルトはシェリルにつきあってくれている。
シェリルは自分自身がある種のオーラを身にまとっているのを、よく自覚していた。ある人をひき付ける魅力でもあり、ある人を遠ざける圧力でもあるオーラ。
(アルトが自然体なのは、子供のころから歌舞伎の世界にいたおかげかしら?)
シェリルは寝返りをうった。仰臥して天井を見上げる。
ランカのことが思い浮かんだ。
(可愛いコ。必死で駆け上がってくる)
アルトもランカのことを気にしているようだ。だが、不思議と嫌な気分にはならない。
(ま、私って心が広い女よね)
ちょっと自画自賛したところで、何かが心を揺らした。
(あ、曲が出来そう)
最初のコードが思い浮かんでくる。
(夏の海辺……珊瑚礁……潮風……誰かのために水着を選ぶ)
シェリルはシーツの下で自分の体のラインにそって指を滑らせた。
この前に着ていたビキニは結構気に入っていた。自分の肌の白さを引き立てるし、胸の形をかっこよく見せてくれる。
(次はどんなのがいいかしら?)
乳房の下側のラインを指でなぞった。
「あ……」
思いがけず甘い声がでた。
カメラ映りや、不特定多数のファンではなくて、誰かのために何かをするということが、ひどく新鮮だった。
(こんなの着けたら、なんて言うかしら?)
仮想の水着のラインを指でたどる。甘い刺激が触れたところから伝わってくる。
(たぶん、何も言わないわね。目のやり場に困ってそっぽ向くぐらいで)
でも、その横顔を見るだけでいい。
指が下の方へ滑ってゆく。
手入れをしたばかりの滑らかな肌がほのかに上気してくる。
感じやすい部分に、ゆっくり触れてボルテージを高める。
高めては、刺激を緩め、また強める。
やがて高みを極めた瞬間、曲想が心に焼きついた。
コンサートのゲネプロ(通しリハーサル)はハードだった。
その後、疲れを溜めない様にエステとマッサージで体を手入れしてから、部屋に戻る。
服を脱いで、大きなサイズのベッドにうつぶせに飛び込んだ。
「はぁ……」
素肌にひんやりしたシーツが心地よい。
このまま眠ってしまうかと思っていたが、なかなか眠りが訪れない。
(マッサージのときにウトウトしてたから、かしら?)
シーツの下で思い切り手足を伸ばす。この前の映画ロケを思い出した。
(休憩時間にシュノーケリングを楽しんだわね)
そして、ちょっとしたイタズラも。
(あの時のアルトの顔ったら……)
クスクス笑いが漏れるが、一方で腹が立ってきた。
(抱きしめてくれてもいいんじゃない? あの鈍感)
ふぅ、とため息をつく。
水着のシェリルが唇を合わせている。普通の男なら有頂天になりそうなシチュエーションなのに、アルトはいつもと同じペースだった。
それが心地良くもあり、苛立たしいものでもある。
(そういえば、最近顔を見てない)
ロケや学校で毎日のように顔を合わせていたが、コンサートのリハーサルに入ってからは顔を合わせる機会が激減していた。
(あの声でシェリルって呼ばせたい)
ふと、アルトから自分がどう見えているのか気になった。
(嫌われてはいない、はずよね)
なんだかんだと文句を言いながらもアルトはシェリルにつきあってくれている。
シェリルは自分自身がある種のオーラを身にまとっているのを、よく自覚していた。ある人をひき付ける魅力でもあり、ある人を遠ざける圧力でもあるオーラ。
(アルトが自然体なのは、子供のころから歌舞伎の世界にいたおかげかしら?)
シェリルは寝返りをうった。仰臥して天井を見上げる。
ランカのことが思い浮かんだ。
(可愛いコ。必死で駆け上がってくる)
アルトもランカのことを気にしているようだ。だが、不思議と嫌な気分にはならない。
(ま、私って心が広い女よね)
ちょっと自画自賛したところで、何かが心を揺らした。
(あ、曲が出来そう)
最初のコードが思い浮かんでくる。
(夏の海辺……珊瑚礁……潮風……誰かのために水着を選ぶ)
シェリルはシーツの下で自分の体のラインにそって指を滑らせた。
この前に着ていたビキニは結構気に入っていた。自分の肌の白さを引き立てるし、胸の形をかっこよく見せてくれる。
(次はどんなのがいいかしら?)
乳房の下側のラインを指でなぞった。
「あ……」
思いがけず甘い声がでた。
カメラ映りや、不特定多数のファンではなくて、誰かのために何かをするということが、ひどく新鮮だった。
(こんなの着けたら、なんて言うかしら?)
仮想の水着のラインを指でたどる。甘い刺激が触れたところから伝わってくる。
(たぶん、何も言わないわね。目のやり場に困ってそっぽ向くぐらいで)
でも、その横顔を見るだけでいい。
指が下の方へ滑ってゆく。
手入れをしたばかりの滑らかな肌がほのかに上気してくる。
感じやすい部分に、ゆっくり触れてボルテージを高める。
高めては、刺激を緩め、また強める。
やがて高みを極めた瞬間、曲想が心に焼きついた。
<終>