(投稿者:怨是)
1943年10月28日未明。
銀髪を束ねた若造と、深い青緑のコートに身を包む女性とを視界に入れながら、フュールケらは辺りを警戒していた。
戦闘機の照らすライトが、黄土色に色づいた葉を透けさせる。
ワモン級の集団はいつの間に奇襲攻撃などという高等な戦法を覚えて来たのか。
突然の後方からの襲撃に対処しきれず、過半数が包帯を巻かねばならないという“素晴らしい事態”に陥ってしまった。
林道の獣道へと身を逸らし、坂の上から機関銃の弾丸を浴びせながら何とかここまでやってきたが、いずれ限界がやってくるに違いない。
「グリッツは」
フュールケの問いかけに、隣で弾倉の交換をしていたベッセルハイムが視線を向けずに答える。
「ノートゥング隊からOKサイン貰ってるとこ。前からずっとこんな事になる気はしてたが、いざやられっとゲンナリだぜ」
「……だいたいよ。あいつもあいつでおかしいんだよ。おとなしくスコアを減らしておけばこんな目には遭わなかったんだ」
機銃の音と、フライ級の断末魔とが交差して、そのうち体液の雨でも降ってくるのではないかとさえ思える。
丁度、通信兵のグリッツがゼクスフォルトに報告をしているようだった。
――おやおや、その間にも
シュヴェルテのほうをちらちらと見ているのか。
俺達がちゃんと援護してんだよ。“てめぇの女”を見るような目で眺めてんじゃねぇ、タコ。
お前が毎日“守ってやってる”そのMAIDは。元はと云えば俺の恋人だったんだ。
エミアは気を使ってお前に云わなかったんだろうから、お前は知らないだろうがね。
当然さ。俺達がラブコールを交わしていたのはプライベートの時だけだったんだ。公私混同するほど俺は甘ちゃんじゃねぇんだ。
愛する時は愛する。仕事する時は仕事する。ごく当然じゃねぇか。
なのにアイツは。お前は。
「負傷兵はどこかで手当てを! 動ける奴は対空ロケットを用意、空の連中の援護をしてやれ!」
――ハッ、遅ぇよ馬鹿が。
手当てなんざとっくのとうに俺らが済ませちまったってぇの。
お前がそうして一人の女に現を抜かしてる間に、俺らがどんだけ苦労したと思ってやがんだ。
「……フュールケ。騎士の坊ちゃんがお出ましみたいだぜ」
「ああ。ちょっとロケットの手伝いやってくっか」
「行ってらっしゃい」
視界に映るゼクスフォルトが、どんどんと近くなって行く。
彼が駆け足を一歩踏み出すごとに、あらゆる感情が胸を這い上がって行く。
――あんたはいつだってそうだった。
毎日の俺達の苦労をねぎらいもせず、自分だけが辛いみたいなツラをずっとしてたじゃねぇか。
そうして巻き込んで出来上がったのが今の状況だ! なんでもっと早く“抑え”なかったんだ!
ゼクスフォルトがフュールケを追い越してしばらくしないうちに、怒りが吹き上がってくる。
「……ゼクスフォルト少佐、あんたがいけねぇんだ」
振り向きもせずに、ゼクスフォルトが応じる。
「怨み言なら、後にしてくれよ」
手ぶらでここへ来るのはまずいかもしれないが、大事な事はここで伝えねば。
後々、もっと面倒な事に巻き込まれてはたまったものではない。
守ると口にしていながら、ゼクスフォルトの行動はどれも自らを、そしてシュヴェルテを追い詰めるようなものばかりだった。
何度云っても聞く耳を持たず、今までこうしてやり過ごしてきたが、フュールケはもう限界だった。
「いぃや、後回しするもんか! こんないつ死ぬか解んねェ状況で、溜め込んでおけっかよ!
あんたが不幸を呼び寄せてるとしか思えないだろ。こんな事になるなんてよ。
ジークフリートに逆らったのがそもそもの間違いだったのさ。きっとバチが当たっちまったんだ」
フュールケ自身、上手く説明できない口に辟易した。ここまで口を滑らせてしまうものなのか。
思ってもいない事まで口に出る。逆らう? バチ?
「逆らう? ジークも結局ただのメードだろ! 余計な迷信に現を抜かしてる暇があったらとっとと援護しろ!」
「あんたがそんなんだから、俺達みたいに関係ない人間まで巻き込まれちまうんだよ。
もうやめてくれよ! いいじゃねぇかよ、少しは撃墜数減らせよ! やりすぎたんだよ、あんたはな!」
そうこうしているうちに、自分でも気にしていた二つの単語について指摘され、激昂してしまう。
――わかってんだよそんな事は。こっちも今しがた気にしてた事だから突っ込むんじゃねぇ。
フラストレーションが爆発し、エクスクラネーションマークを付け足した叫びを突きつけた。
それにつられて相手の口調も苛烈さを増して行く。
「無茶云うな! 戦争に調和もクソもあるか! 毎日神経張り詰めなきゃいけない俺の身にもなってくれ!」
「るせぇ! 大変なのは解ってるからもう俺らを巻き込むな! う、ん、ざ、り、だ!」
「お二人さん、喧嘩やめて空見てみろ!」
騒ぎを聞きつけてやってきたベッセルハイムが喧嘩の熱を冷やし、全員の視線が上78度ほど急上昇する。
が、時既に遅く、墜落機がフュールケとゼクスフォルトの距離を物理的に遠ざけた。
爆発に吹き飛ばされて横転する視界に、炎上した墜落機からパイロットが転げ落ちる様子が映る。
間髪入れず、それを追うようにしてフライ級が周辺の樹木の枝を圧し折りながら着地、しとめた獲物を貪りはじめる。
「下手に刺激するなよ……ライフルで羽と足をいっきに吹っ飛ばせ」
立ち上がり、ベッセルハイムらと共にライフルを構える。
苛立ちと睫毛の土埃で視界が悪い。心なしかトリガーに押し当てた指もガクガクと震えていた。
「撃て!」
ライフルの銃弾は次々と目の前の巨大蝿へと吸い込まれる。
しかし、足が2本ほど落ちて羽に穴が開く程度で、あとは空しい金属音が周囲に木霊するだけに留まった。
巨大とはいえ、蝿は蝿だ。あの反射神経の鋭さは人知を超えている。
ゼクスフォルトが即座に散開の合図を送り、各々が周辺の離れた樹木の裏へと回り込む。
フュールケらも墜落機のちょうど北方の樹木の裏へと駆け込んだ。
「……しめた」
ヘッドショットを狙ったのが幸いしてか、触覚を両方とも撃ち落していたのだ。
フライは視界の大半を奪われ、きょろきょろと辺りを窺っている。
気付かれないうちに、ここは叩き潰しておかねば。面倒は減らしておくに越したことは無い。
しかし、いつまで経っても例の少佐殿から指示がやってこない。
――遅ェぞ、ゼクスフォルト。蝿っこは待ってくれないぜ。
臨時用の携帯通信機の周波数を合わせ、ゼクスフォルトに博打の宣言を行う。
「あんたの判断は鈍すぎる。あとは俺が仕切るぜ……」
だいたい、あのノロマにシュヴェルテが……エミアが釣り合う事自体、何かがおかしいのだ。
MAID化によってエミアは記憶を失い、生まれたての犬のようなものとなって飼い主のゼクスフォルトに無条件で追従する。
どうせここまでやってきたら、後はお前らで勝手にやりゃあいいだろうが。
「こうなりゃヤケだ。俺達一般兵の手で、アレを潰す」
《勝手な真似はやめるんだ! もう少し冷静になれ!》
間髪入れず、反論が通信機から飛んで来る。
その反論へ返すべき言葉は、既に決めていた。
「いつも“勝手”こいてやがったのはどこのヤロウだ。云っただろ。うんざりなんだよ。あんたに振り回されるのは」
フュールケが無線機で何やら喧嘩を始めている間、グリッツとベッセルハイムらは到着したノートゥング隊の面子を視界に焼き付けていた。
爆発の煙が丁度目印になっており、MALEの
ディートリヒが木々を伝ってノートゥング隊を誘導してくれたらしい。
ダリウス・ヴァン・ベルンが駆け足でグリッツ達のほうへと近づく。
「助かります」
「礼はいい。現在の状況は?」
「フライが墜落機にへばり付いてます。今から総攻撃で穴あきチーズにしてやろうかと」
「そうか……アシュレイ君、あいや、ゼクスフォルト少佐とシュヴェルテ君は?」
そういえば、先ほどから姿が見えない。
向こう側の様子は、こちらから窺う事は出来なかった。
どの辺りかに潜んでいるはずだ。シュヴェルテもまだ近くで戦っているのではないか。
少しの間なら堪えてくれるだろうし、どちらにせよゼクスフォルトが近くに行っているに違いない。
「墜落機を挟んで向こう側にいる筈です。とっとと片付けて合流したいですね」
ここを突破して、ゼクスフォルトとシュヴェルテを拾い上げよう。
通信機越しに行われる静かな喧騒を、何とかして止めねばならない。
「お願いします」
《同じ立場になってみれば解るさ。辛いのは俺だって一緒なんだよ》
「また水掛け論だ。あんたと会話してるとこっちまでガキみたくなっちまう。スコアは隊で共有にしとくぜ。別働隊によろしく。じゃあな」
――だいたい、お前が云えた台詞じゃねぇや。
通信機の電源を切り、辺りに合図を送る。
見ればグリッツが、ノートゥング隊と合流した事を示すサインを送っていた。
頼もしい。応戦している間に増援としてやってきてくれるか。
「殺るぞ」
「ええ」
ライフルの銃口が次々にフライの背へと向けられ、あとは風向き次第だった。
前足を擦り合わせる仕草はやはり蝿そのものだ。
じり、じりと。確実に命中させられる距離、なおかつ相手に気付かれない程度の距離を保たねば、いつ飛び掛られるかもわからない。
あと少し。
――あと、少し。
寸でのところで、例の少佐殿の大声が響き渡る。
「――だけでいい! 俺がそっちへ向かうから!」
馬鹿野郎が。嗚呼、恋で戦争を勝ち抜けるなら、世の中はとうの昔に平和になっていたであろうに。
フライが足をばたつかせながらその方向へと向かう。
慌てて放たれたライフル弾は、僅かにフライの後ろ足をかするだけだった。
「あの馬鹿野郎!」
「地団太は踏めなさそうだぜ」
フライと交代するようにして、ワモンが何匹かこちらへと進軍してくるのが見える。
となれば、フライはゼクスフォルトに一任するしか無かった。
他の兵に急いで撤退の合図を送り、後ろへと走って下がる事で、MALEのディートリヒを相対的に前へと出す。
それでもディートリヒの捌ききれなかった分がこちらへと溢れて出てくるので、どの道立ち止まる事ができない。
「おいディートリヒ! きっちり捌けよ!」
「やってるよ! 旦那も早く逃げろ!」
「逃げてるっつぅの!」
少し止まっては走り、少し止まっては走り、ようやく余裕が出来た辺りで無線機の電源を入れる。
チャンネルは変えていないので、ボタンを押すだけだ。
《シュヴェルテか?!》
暢気な、しかし切迫した問いかけが通信機越しにやってきた。
お前が守ってたんじゃねぇのか。いや、そうじゃなくて。
「馬鹿かテメェ! ハエ野郎がそっち行きやがった! とっとと逃げろ!」
ノートゥング隊にはMALEのディートリヒがついているが、この雑木林では思うように剣を振り回せず、徒手空拳でGを叩き潰していた。
これでは援護せねばならないし、ここのワモンを片付けていれば、どの道ゼクスフォルトを追いかける事など不可能である。
射撃を他の者に任せ、地図を確認する。目印の沼地があるから、ちょうど二キロほど北上したところか。
「俺達はノートゥング隊と合流できた。あんたも何とかやり過ごして恋人と一緒に後退しろ。さっきの墜落機の所を二キロ北上するんだ」
ややあってから、狼狽した声が返ってくる。
“恋人”はどうしたのか。一緒ではなかったのか。
《いや、シュヴェルテは……》
「まさか、死んじまったのか?!」
ワモンをあらかた片付け、近くの岩陰に座り込む。
ベッセルハイムが代わりにノートゥング隊と打ち合わせをしているところであり、どうやらここでゼクスフォルトと待ち合わせをする手はずらしかった。
心臓が逆上がりを始める。
打ち合わせの内容が耳に入らない。
お前の恋人だろうが。守ってやるんじゃなかったのか。
救い出して一緒に居てやれよ。少しだけでも信じていたのに。
《いや、姿が見当たらないだけだ。死んだわけじゃない! きっと生きてるはずだ!
さっきの墜落の時までは近くに居たハズなんだ。探さないと……!》
心臓が逆上がりをしようとしていたところを、寸でのところで止める。
妙な汗が背中にべったりと張り付いた。
「ちくしょう、頼むぜオイ。しっかり見張っとけよ。俺らが苦労して護衛してきたんだからさ。
とりあえず一旦合流したほうが安全じゃねぇか?」
《距離が遠すぎる。近くに他の隊は?》
遠すぎるってか。まぁそりゃそうだよな。蝿っこ一匹に追っかけられて随分遠くまで走って行っちまったしな。
後ろを振り向けば、ディートリヒが今にも泣きそうな顔で通信の顛末に耳を傾けていた。
「何だよ」
「シュヴェルテを……助けに行く。アシュレイの旦那と一緒に、俺が連れて帰る」
「――……」
おいおい。あんたら殆ど共同戦線を張った事なんて無いじゃねぇか。
どういう性格に育ったらそこまで目頭を熱くできるんだ。
「もう、仲間が死ぬのはこりごりなんだ。俺は陸軍に居た頃アシュレイの旦那も、シュヴェルテも知ってるから……だから!」
「俺ァそんな話、あいつから聞かされた事なんて無かったよ」
「あんたがそれを知らなくてもいい! 早く旦那が今居るのか、教えてくれ!」
ディートリヒから顔を背けて、通信機を手に取る。
発信のボタンを押して、そっとゼクスフォルトに告げると同時に、ディートリヒにも意志を伝える。
「……待ってな」
――何を馬鹿な真似やってんだ、俺は。
先ほどまで過熱していた頭が、急激に冷える。あんな真似をしている暇はもとより無かったのだ。
ディートリヒが今までどのような事を考えていたかは知らない。
が、今まで何体ものMAIDが消されてきたように、ディートリヒも何らかの嫌疑をかけられているらしい事は耳にしていた。
恥ずかしさを紛らわすように、無線機の向こう側から聞こえてくる鼻息を咎める。
「……鼻息」
《何を云ってるんだ! はやくしろ!》
「鼻息荒いぜ。親連中の“指輪隊”は山を降りて少しした所。
仕切ってるのはご存知の通りシュナイダー少佐とニルフレート大尉。OK?」
愚鈍なのは自分だって同じだったのだ。もっと早くに動いていれば、合流も出来たかもしれないというのに。
《……ありがとう》
謝礼に返答をせず、そのまま通信機を切る。
ずっと同じものに目を向ける事など、殆どの人間には無理だった。
フュールケが途中で怖気づいて彼に噛み付いたのに、ゼクスフォルトはどうだったか。
こんな状況下になっても、きっと彼はシュヴェルテを探しに行くに違いなかった。
「礼なんて要らねぇよ。謝らなくちゃいけないのは俺のほうだ」
もっと良い方法があったのかもしれなかったというのに、頭に血を上らせていたフュールケにはそれも思いつかず、なまじ狡賢いためにダリウス大隊……ノートゥング隊にもそれを悟らせずに居た。
いっそ顔面を思い切り殴ってくれたほうがどんなに心が晴れたか。
表情を濃霧にうずめるフュールケの後ろから、ディートリヒが声をかけた。
「旦那は、指輪隊に向かうんだよな?」
「ん……あぁ」
ライフルの整備に没頭しながら、覇気の無い返事をディートリヒに返す。
フュールケはどのように動いていいか解らなかった。下手に動いて戦場を混乱させれば、周りの部隊にも被害が出てくる。
大局を省みずに一人や二人を救おうとしても、結果的に何人も死なせてしまう事を、フュールケは知っていた。
視線をライフルに向けたまま、本日何度目かの自棄を起こしてみる。
「行っとく? 作戦本部に報告しても通らないだろうし、命令違反になるかもだけど、さ」
「知らねェよ。これ以上、妙ちきりんな陰謀に巻き込まれて死ぬのを見るのはゴメンだぜ。それに、俺はあの二人の恋路を応援してるんだ」
「……そうかい」
その後ろにどのようなドラマがあったのだろうか。それを知る由は今のところ存在しない。
振り向けば、ディートリヒが周囲に見送られ、背中のエネルギーを展開して去って行くのが見える。
――行けばいい。俺達が腰を抜かして成し遂げられなかった事を、代わりに達成させてくれれば万々歳じゃないか。
「……俺には無理だったよ。まだ心の奥底でぶつかっちまってるんだ。
昔の恋人だから関係ないだろっていう諦めの心と、ふられたとはいえ、せめてあいつらには幸せになってほしいって心とが、ね」
指輪隊。思えば因果な名前であった。
フュールケがエミアに別れを告げられた際も、指輪をグレートウォールの基地のどこかに投げ捨ててしまったのだ。
投げ捨てた指輪がどこへいってしまったかは解らない。
が、あの日から、彼にとっての指輪は不吉なものとなってしまったのである。
その後にシュヴェルテが死んだという知らせを指輪隊から聞いても、別段驚かなかった。
泣きじゃくって樹木に当り散らすディートリヒを遠目に見ても。
その様子に堪えかねたダリウスが、何とかして制しているところを横目に見ても。
グリッツとベッセルハイムが、吹き飛ばされたダリウスを全身で受け止めているところを傍目に見ても。
そして後日、素っ頓狂な内容の新聞に目を通しても。
アシュレイ・ゼクスフォルトが除隊、国外追放処分になった事を小耳に挟んでも。
何故だかそれらが遠くの出来事のように思えてしまったのだ。
「……俺達の代わりに泣いてくれよ、ディートリヒ」
唯一、心のどこかで“やっと肩の荷が下りた”と安堵しているかもしれないという事実が、彼の心をひどく打ちのめした。
エミアはもう死んでいる。MAIDになった時点で自分と付き合っていたという事実も忘れてしまっている。
良心が“だからといって、もう関係の無い事だと見捨てる事がどんなに残酷か”と咎めるようだった。
「俺、他人に対してこんなに残酷だったっけな……」
ゼクスフォルトが居なくなり、その翌日の夜明けの霧は、シュヴェルテが死んだ日よりも青みがかっているように見えた。
赤く燃え盛る烈火がこの身体を焼いてくれるのならば、どんなに心が晴れただろう。
昇る朝日に透けて薄紫になりつつある空を眺め、フュールケはゼクスフォルトがかつて利用していた個室のキーを、そっと握った。
最終更新:2009年02月03日 16:49