1-3 かすかな記憶

(投稿者:マーク)

「なにから話せばいいのか・・・まずディートリヒ あなたは“303作戦”について知ってるわね」

「ああ、ダリウス・・・・おれのいた部隊の隊長から聞いたことがある」

「私は当時・・・・あれに参加し・・そして・・・・・・一度・・・・・・・死んだ」
そう言うとマーサは空を見上げばがら話し始めた・・・・




1938年 303作戦 グレートウォール戦線

“くっ・・・・きりがない!!”

マーサ--当時はフローラという名前だった--は疲れきった体を奮い立たせ槍を振るっていた

自分が所属していたメード部隊は散り散りになり、あちらこちらから響いていた怒声や悲鳴も今では聞こえない

「なんで、誰も、助けてくれないの・・・・!?」
思わずそう愚痴りながら最後の手榴弾をマンティスの口に投げ込む、すぐに頭部を破裂させゆっくりと崩れ落ちる
ほっとするまもなくその骸を跳ね飛ばしながら現われた新手のマンティスを今度は槍でなぎ払う

司令部からの連絡が途絶えてから6時間、殺せども殺せども次々に彼女を捕食しようと迫るG、彼女の身体は限界にきていた

「あっ・・・」
突如ふらりとめまいがして彼女の体が一瞬止まった、ほんの数秒、しかしそれは十分すぎる時間だった

「!!!」
一匹のマンティスの幼生がフローラに体当たりを食らわせる、その衝撃に思わず手から槍を放してしまう、
“しまっ・・・・”

それは一瞬だった、あっという間に二体のマンティスの幼生に群がられ右腕と左足を食いちぎられる
もう抵抗できないのがわかっているのかGたちは先ほどとはうってかわって顎をカチカチといわせながらフローラを囲むだけ

「・・・・いやだ・・・誰か・・・・・助けて・・・・ヤヌス・・・ブリュンヒルデ・・・・アピス・・・・・・・」
ガタガタと震え声を絞り出すだがその声をあざ笑うかのように群れから一匹のマンティスが進み出る
全身が白い、アルビノのマンティス、恐らくは突然変異種なのだろうが、それはフローラにその凶悪な顎を近づける

「ひっ・・・いや、いやぁぁぁあぁぁぁぁああああ!!!」
フローラはあっという間にマンティスの顎に身体を噛み砕かれ、咀嚼され、意識は途絶えた



“・・・・ここは・・・どこ・・・・?”
彼女は取り戻すはずのない意識を取り戻した

“私・・・・食べられたんじゃ・・・・?”
目を開けてみるとどこかの部屋、外壁が崩れているので恐らくどこかの廃墟だろう

そして立ち上がり、部屋を歩き回り、あることに気付く

「足が・・腕も・・・?」
確かに喰いちぎられた右腕も左腕も元通りになっている戦闘でボロボロになった修道服も・・・元通りになっている
無意識にここまで歩いてきたのだろうか・・・・思い出そうとしてもマンティスに食われたところしか思い出せない・・・
なにより・・・・・・

「私は・・・・誰・・・・?」
彼女は自分の名前を思い出せなかった・・・・・・

To be continued・・・

ちなみにこの話は時間軸を当時に戻すという感じでやってます
なのでマーサが三人に話していることは自分の中に残るかすかな記憶を元に話しているので
細かいことまではマーサ本人も知りませんし、自分がエントリヒメードであったことは覚えていません
最終更新:2009年03月02日 21:35
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