(投稿者:レナス)
概要
V.O.Bとは『 Vanguard Overed Bust jet-engine. 』の略。
その一環として高純度燃料化による限界推進飛行テストで用いられた試作機第一号『V.O.B Type-X』は失敗に終わる。
この経験とプロジェクト進行内で開発された機構を搭載した『V.O.B Type-
Zero Zwei』の実戦現場での飛行テストは成功。
だが膨大な資金と時間の結果はジェット機開発には数多の障害と問題点が露呈しただけとなり、プロジェクトは凍結。
それでも得られたデータは今後のジェット機開発の重要な参考資料となり、音速を突破する機体が誕生するのも時間の問題とされる。
V.O.B Type-X
燃焼で得られる単純な推力を伝えるだけの機構を即在の戦闘機に外付けで四基搭載させた機体。
燃料の高純度化の研究過程で生まれた当時にしては最高純度の燃料で得られる推力の実験である。
その時の機体をプロジェクト名から『ボブ』と呼び、偶然にもその時のテストパイロットの名前も『ボブ』であって縁起担ぎとして用いられた。
そして初フライトが行われるもその結果は惨々たるものとなった。フライトを開始して数分も経たずして突如機体が爆発、炎上。
さらには空中分解して実験区間の大半が搭載していた高純度燃料によって焦土と化した。
テストパイロットは死亡。失敗の原因を調査するも広範囲に飛散した部品と焼き溶けたパーツの回収と分析に膨大な時間を要してしまう。
それでも如何にか原因を究明するに至る。主要原因は四基の推力機構の冷却に水冷機構が追い付かなかった事であった。
四方向より加わる膨大な熱量に冷却水の全てが瞬時に沸騰して蒸発、水蒸気爆発を引き起こしたのである。
これにはジェット機開発そのものが頓挫し掛けない重大な欠点が露呈し、企業陣は頭を悩ました。
今のままの冷却機構ではジェット機の開発は不可能だと判明し、エンジンだけでなく新たな冷却機構の開発が求められたからだ。
V.O.B Type-Zero
プロジェクトは一時期、冷却機構の開発に焦点が向けられ、その過程で偶発的に開発されたスクラムジェットエンジン。
機体全面から取り入れて圧縮させた空気を燃料と混ぜ合わる事で生み出される推力を得る推進機構。
従来の戦闘機はプロペラ動力によって推力を得ていたが、ジェットエンジンは燃料の燃焼で発する反作用を用いている。
つまり今まで機体前面を覆うプロペラが不要と成り、機体スペースに大きな余白が生じた。
そこでその部分を利用し、直接エンジン機構内に空気を送り込んで冷却を行うという大胆な発想から生まれた。
飛行時に得られる前方からの風を圧縮空気として機体内部送り込んで燃料と混同して排出する実験を行うと、エンジンが固定した台より吹き跳ぶ程の推力が得られた。
この画期的な機構をプロジェクトの中核とし、更なる改良が加えられる事となる。
これによりジェット機開発は軌道に乗り、前回の失敗を踏まえて『V.O.B Type-Zero』改良型の実験地には最前線が選ばれた。
V.O.B Type-Zero Zwei
スクラムジェットエンジン機構『V.O.B Type-Zero』をそのままに更なる冷却効率が高められたエンジンの改良型。
従来の水冷方式をそのままに、注入する液体を専用の冷却液に入れ替えられている。
従来の水冷よりも遥かに熱吸収及び排熱効率に長けた混合液によって水蒸気爆発の危険性は確実に回避された。
また、この機構の製作には
白竜工業の協力を得ている為、この時代において最先端の機械となっている。
そしてこのテスターにはメードが選ばれた。
純粋なエンジンテストである上に制限を設けていない爆発的な推力の前に人間は無力だからだ。
テスト区画は戦場。前回の失敗を踏まえ、著しく奪われて残り少ない大地を焼き野原にする訳にもいかなかった。
プランはメードの背中に搭載する形で固定した機体を二機の航空機が牽引、一定高度まで上昇した後に切り離されてテストは開始する。
進軍中の「G」の真っ只中を通過し、順次搭載物資を切り離して前線の部隊に物資を提供する手筈となる。
例え撃墜されたり事故で墜落の憂いにあったとしても四散する発火した燃料が「G」を焼き殺すので問題は無かった。
この運用にはメードを可及的速やかに戦線に投入する意図と物資の即時支援の可能性を視野に入れた実験でもある。
実験の成果は上々。得られた結果から様々な問題点は以下の通り。
『ボブ』の時にも見られた現象であり、これは音速域に達する際に加わる大気の圧力だと後に判明する。
これによって機体の外装の大半が破損。搭載していた物資もこの時に一部脱落及び変形していた。
音速域に達する為には機体の更なる強度が要求される。
『ボブ』のパイロットはこれにより幾つもの内臓を破裂させ、死亡した原因とされている。
さらに搭載していた物資が火器全般を覗いて原型を留めなかった。火薬類に引火しなかったのは幸いである。
当パイロットに選ばれたメードも半月以上も昏睡するという結果に、エンジンの出力制限の必要性が明確に露呈。
大気を切り裂いて直進した後に生じる圧力の波。
これによって戦場で鼓膜が破れた兵士は数知れず、大型の「G」が吹き飛ぶ様も目撃されている。
運用には慎重な姿勢が必要であるという見解が成される。
因みにテスターとして選ばれたメードに関する資料はどの記録にも記載されておらず、現在も生きているのか不明である。
関連項目
最終更新:2009年02月24日 02:22