たとえ罪という名の仮面をつけても――◆14m5Do64HQ
息を絶え絶えに、一定の間隔で後ろを振り向きながら走る人影が一つ。
青、白、黒の三色で彩られた特徴的な制服。
“アルター”という異能を扱う集団で構成された特殊部隊、通称“HOLY”
今もなお、走り続ける人影はそのHOLY隊員が纏う制服を着ていた。
そう。その人影、彼こそが正真正銘なHOLY部隊長。
設定年齢19歳、蟹座のB型、マーティン・ジグマールであった。
青、白、黒の三色で彩られた特徴的な制服。
“アルター”という異能を扱う集団で構成された特殊部隊、通称“HOLY”
今もなお、走り続ける人影はそのHOLY隊員が纏う制服を着ていた。
そう。その人影、彼こそが正真正銘なHOLY部隊長。
設定年齢19歳、蟹座のB型、マーティン・ジグマールであった。
「はぁ、はぁ、流石に撒くコトに成功したか、やはりヤツラは甘い……」
必死に呼吸をしながら、後ろを振り返るジグマール。
瞬く間にジグマールの視界に映る光景。
其処に人影を確認出来ない事にジグマールは安堵の溜息を付き、次第に走りを緩める。
現在、ジグマールは愚地独歩、村雨両、柊かがみ、桂ヒナギクの四人から逃亡の真っ最中であった。
しかし、今の所、彼らは自分を追ってきてない事はジグマールにはわかった。
彼らには移動用のバイクも有り、速度の違いを考えれば直ぐに追いつかれるのは明確。
だが、未だ姿が見えない事からするとジグマールが負傷させた少女、柊かがみの治療に専念しているのだろう。
瞬く間にジグマールの視界に映る光景。
其処に人影を確認出来ない事にジグマールは安堵の溜息を付き、次第に走りを緩める。
現在、ジグマールは愚地独歩、村雨両、柊かがみ、桂ヒナギクの四人から逃亡の真っ最中であった。
しかし、今の所、彼らは自分を追ってきてない事はジグマールにはわかった。
彼らには移動用のバイクも有り、速度の違いを考えれば直ぐに追いつかれるのは明確。
だが、未だ姿が見えない事からするとジグマールが負傷させた少女、柊かがみの治療に専念しているのだろう。
「ハハハッ! 私は本当にツイてるぞ! ハハハ……」
やがて、脚の動きは完全に停止し、ジグマールはその場に腰を落とす。
人間ワープの多用、逃走のための全力疾走が重なり、ジグマールの疲労は確実に蓄積している。
疲労を落とすために休憩を行いながら、ジグマールは先程出会った参加者の事を考え始めた。
赤い怪人に変身し、自分の人間ワープの先を読み、攻撃を行える程の反応を見せた良という男。
独歩だけでも手こずるというのに、彼ら二人に襲われれば必ず勝てるという保証は全くない。
しかし、ジグマールは少女の腕を千切り、本格的な戦闘は免れた。
そのため、結果的に見逃された自分の幸運さにジグマールは喜び、笑い声を上げる。
だが、その笑い声は次第に乾いたものとなってゆく。
人間ワープの多用、逃走のための全力疾走が重なり、ジグマールの疲労は確実に蓄積している。
疲労を落とすために休憩を行いながら、ジグマールは先程出会った参加者の事を考え始めた。
赤い怪人に変身し、自分の人間ワープの先を読み、攻撃を行える程の反応を見せた良という男。
独歩だけでも手こずるというのに、彼ら二人に襲われれば必ず勝てるという保証は全くない。
しかし、ジグマールは少女の腕を千切り、本格的な戦闘は免れた。
そのため、結果的に見逃された自分の幸運さにジグマールは喜び、笑い声を上げる。
だが、その笑い声は次第に乾いたものとなってゆく。
「……駄目だ。こんなコトでは何も変わらない……私は何も為せてはいない……何も変えるコトは出来ていない……!
私は今までの自分と決別したのだ……!」
私は今までの自分と決別したのだ……!」
今までの喜びが嘘のように、ジグマールの表情は険しくなり、必死に自分を戒める。
以前のジグマールなら、この幸運さえも己の実力と見なし、慢心したに違いない。
だが、ジグマールはこの殺し合いでは自分より強い者が数多く居る事を知った。
今はもう死人となったが奇妙な人形を操り、人間ワープを超える力を持つ男、DIO。
鋼のような肉体を持ち、全てを圧倒する剛拳を放つ男、ケンシロウ。
そして、特に秀でた能力は持たないものの、ジグマールに多大な影響を与えた男、アカギ。
彼らの存在を知ったジグマールは以前とは違う。
彼らを全て倒し、自分が森羅万象、全ての存在の頂点に立つ。
その目的のために、油断や敗北などは許されない。
以前のジグマールなら、この幸運さえも己の実力と見なし、慢心したに違いない。
だが、ジグマールはこの殺し合いでは自分より強い者が数多く居る事を知った。
今はもう死人となったが奇妙な人形を操り、人間ワープを超える力を持つ男、DIO。
鋼のような肉体を持ち、全てを圧倒する剛拳を放つ男、ケンシロウ。
そして、特に秀でた能力は持たないものの、ジグマールに多大な影響を与えた男、アカギ。
彼らの存在を知ったジグマールは以前とは違う。
彼らを全て倒し、自分が森羅万象、全ての存在の頂点に立つ。
その目的のために、油断や敗北などは許されない。
「だが、未だ挽回は行える。そう! 私の状況は未だ最悪ではない! ここからどう切り返すか……それが問題、それが全てを決める!」
だが、ジグマールはたった今、無様に敵前逃亡を喫してしまった。
これでは以前の、慢心しきっていた自分と何も変わらない。
そのために、ジグマールは自分の行動を見直し、これからの行動に役立てようと思考を練っていた。
ギャラン=ドゥが居ない今、ジグマールには戦力が乏しい。
やはり自分の装備を整える事がこれらからに備えて、最優先事項と言える。
そんな時、ふとジグマールは自分の手に握られていたものを思い出す。
これでは以前の、慢心しきっていた自分と何も変わらない。
そのために、ジグマールは自分の行動を見直し、これからの行動に役立てようと思考を練っていた。
ギャラン=ドゥが居ない今、ジグマールには戦力が乏しい。
やはり自分の装備を整える事がこれらからに備えて、最優先事項と言える。
そんな時、ふとジグマールは自分の手に握られていたものを思い出す。
「そういえば、あの少女はこの核鉄を大事そうに持っていたな。ふぅむ……やはり、これは単純に武器として扱うのか? しかし――」
六角形状の金属、先程かがみから奪った激戦の核鉄。
坂田銀時が持っていたものと同種と思われる支給品。
武装錬金の使い方は、銀時と闘った時から知っており、ためしに発動してみる。
核鉄から形成されたのは、やはり十字槍のような武器、激戦。
激戦がしっかりとジグマールの右腕に握られる。
だが、説明書もなければ、本来の持ち主、かがみが激戦を扱った姿もジグマールは見ていない。
このまま、純粋に槍として使うのが本来の使用法なのではとジグマールは思う。
だが、ジグマールにはどうしても気になる事があった。
坂田銀時が持っていたものと同種と思われる支給品。
武装錬金の使い方は、銀時と闘った時から知っており、ためしに発動してみる。
核鉄から形成されたのは、やはり十字槍のような武器、激戦。
激戦がしっかりとジグマールの右腕に握られる。
だが、説明書もなければ、本来の持ち主、かがみが激戦を扱った姿もジグマールは見ていない。
このまま、純粋に槍として使うのが本来の使用法なのではとジグマールは思う。
だが、ジグマールにはどうしても気になる事があった。
「あの少女は私にこの槍を構えようとはせずに、大事に抱えていた。あの行動に私は疑問を隠せない。
武器を扱えずとも、槍の先端でも私に向ければそれだけで威嚇になる。だが彼女はそれすらもしなかった……何故だ」
武器を扱えずとも、槍の先端でも私に向ければそれだけで威嚇になる。だが彼女はそれすらもしなかった……何故だ」
かがみが激戦を大事そうに抱えていた事をジグマールは疑問に思う。
それに単純に武器として使用するのが正しい使用方法だとしても、かがみには扱える代物とは思えない。
激戦の長さはかなり長く、かがみの背丈と同じくらいの長さはある。
いくら身を守るために武器を持つといえども、使えないものを持つ理由はない。
それならば村雨に譲り、彼の戦力を上げ、守ってもらう事の方がよっぽど効率的だ。
しかし、かがみはそれをせずに意固地に激戦を抱え続けた。
一体何故なのだろうか?
そこまで考えている内に、ジグマールにある考えが浮かぶ。
それに単純に武器として使用するのが正しい使用方法だとしても、かがみには扱える代物とは思えない。
激戦の長さはかなり長く、かがみの背丈と同じくらいの長さはある。
いくら身を守るために武器を持つといえども、使えないものを持つ理由はない。
それならば村雨に譲り、彼の戦力を上げ、守ってもらう事の方がよっぽど効率的だ。
しかし、かがみはそれをせずに意固地に激戦を抱え続けた。
一体何故なのだろうか?
そこまで考えている内に、ジグマールにある考えが浮かぶ。
「もしや……試してみる価値はあるな。何せ、此処にはアルターと同じくらいミステリアスなものに溢れている。
私の予想はあながち間違っていないかもしれん」
私の予想はあながち間違っていないかもしれん」
意を決したかのように、制服の左袖を捲くり、ジグマールの左腕が露呈する。
激戦を左手に持ち替え、右腕を左腕に添え、右中指の爪を立てる。
ジグマールが浮かべる表情は真剣そのもの。
一瞬の間を置いて、ジグマールは爪を引いた。
当然、小さな痛みと共に生じる赤い一閃の軌跡。
だが、次の瞬間、ジグマールの表情が喜びと驚きに染まった。
激戦を左手に持ち替え、右腕を左腕に添え、右中指の爪を立てる。
ジグマールが浮かべる表情は真剣そのもの。
一瞬の間を置いて、ジグマールは爪を引いた。
当然、小さな痛みと共に生じる赤い一閃の軌跡。
だが、次の瞬間、ジグマールの表情が喜びと驚きに染まった。
「やはりそうだ! この槍は負傷を癒すもの! しかも、異常と言っていいこの再生速度! あの少女はこれで身を守っていたということか。
ハハハッ! これはイイ! ベリイイイィィィィィィィィグッド!!」
ハハハッ! これはイイ! ベリイイイィィィィィィィィグッド!!」
瞬時に切り傷が修復されていく事に、ジグマールは素直に喜びを見せる。
ジグマールはかがみが、さも「これさえあれば大丈夫」と言わんばかりに激戦を抱えていた事に注目し、激戦の能力を予想した。
言うまでもなく、負傷を治す類の能力だと思っていたジグマール。
しかも自分の予想以上に、早い再生を見せた激戦の能力はジグマールを充分に満足させた。
流石に、たとえば自分の腕を切断してまでも、ジグマールは能力の程を確かめるつもりはないが。
しかし、武器としても上等で、かつ身体の負傷を修復してくれる激戦でジグマールの戦力がかなり整った事実は変わらない。
確かな収穫を確認し、ジグマールは激戦を核鉄状態に戻す。
核鉄は待機状態の時、疲労回復の効果がある事をジグマールは走っている際に、気づいていた。
意気揚々とジグマールは歩き出そうとする。
しかし、問題といえば問題がある事をジグマールは自覚し、再び立ち止まりデイパックを漁り始めた。
ジグマールはかがみが、さも「これさえあれば大丈夫」と言わんばかりに激戦を抱えていた事に注目し、激戦の能力を予想した。
言うまでもなく、負傷を治す類の能力だと思っていたジグマール。
しかも自分の予想以上に、早い再生を見せた激戦の能力はジグマールを充分に満足させた。
流石に、たとえば自分の腕を切断してまでも、ジグマールは能力の程を確かめるつもりはないが。
しかし、武器としても上等で、かつ身体の負傷を修復してくれる激戦でジグマールの戦力がかなり整った事実は変わらない。
確かな収穫を確認し、ジグマールは激戦を核鉄状態に戻す。
核鉄は待機状態の時、疲労回復の効果がある事をジグマールは走っている際に、気づいていた。
意気揚々とジグマールは歩き出そうとする。
しかし、問題といえば問題がある事をジグマールは自覚し、再び立ち止まりデイパックを漁り始めた。
「私の戦力はかーなーり増強された! しかし……これらはどうするか。それに未だ確認していないものもある。
フランシーヌもあのあるるかんという奇妙な人形があるし、私もこの激戦だけで充分だしな……かといってこのまま遊ばせておくのも……」
フランシーヌもあのあるるかんという奇妙な人形があるし、私もこの激戦だけで充分だしな……かといってこのまま遊ばせておくのも……」
デイパックから取り出すものは、一本のナイフ、奇妙な棒のような武器、そして三枚の未確認の支給品。
人間ワープ、そして両手からの衝撃波を、主な攻撃手段とするジグマールには激戦だけで充分過ぎる。
今は居ない、協力者、フランシーヌこと才賀エレオノールにもあるるかんがある。
自分達の武器が敵に奪われた時のために、大事に温存していく手も考えた。
だが、自分達の敵はかなり強い。
生半可な状態で仕掛ければ、逆に返り討ちに会う可能性も充分にある。
そのため出来る限り、支給品を有効に活用したいとジグマールは考える。
しかし、いくら悠久の時を過ごしてきたといえども妙案が直ぐに浮かぶとも限らない。
人間ワープ、そして両手からの衝撃波を、主な攻撃手段とするジグマールには激戦だけで充分過ぎる。
今は居ない、協力者、フランシーヌこと才賀エレオノールにもあるるかんがある。
自分達の武器が敵に奪われた時のために、大事に温存していく手も考えた。
だが、自分達の敵はかなり強い。
生半可な状態で仕掛ければ、逆に返り討ちに会う可能性も充分にある。
そのため出来る限り、支給品を有効に活用したいとジグマールは考える。
しかし、いくら悠久の時を過ごしてきたといえども妙案が直ぐに浮かぶとも限らない。
「……兎に角、未だ確認していないものの品定めでもするとしよう」
考えが纏まらないため、兎に角、未だ確認していない支給品を確認しようとジグマールは決断を下す。
もしかしたら、自分の悩みを解決し、妙案を閃かせてくれるものがあるかもしれない。
手に取った一枚の紙を取り出し、ジグマールは無造作に開き始める。
もしかしたら、自分の悩みを解決し、妙案を閃かせてくれるものがあるかもしれない。
手に取った一枚の紙を取り出し、ジグマールは無造作に開き始める。
「おお! これは……素晴らしい! やはり普段の行いが良ければいいコトが起きるものだな!!」
エニグマの紙から現れたのは漆黒のバイク、ヘルダイバー。
村雨がBADANの尖兵だった時期に乗り回していた、高性能なバイク。
核融合エンジンを搭載し、最高時速は600km。
飛行や潜行を可能とするハイドロジェットエンジンをも搭載している。
説明書に書かれたスペックを、ジグマールは心なしか鼻歌交じりに眼を通す。
このバイクがあればいざとなれば逃走にも使え、一撃離脱の戦法も可能となる。
紛れもなく当たりといえるヘルダイバーにうっとりしながら、ジグマールはもう一枚の紙を開こうとするが――
村雨がBADANの尖兵だった時期に乗り回していた、高性能なバイク。
核融合エンジンを搭載し、最高時速は600km。
飛行や潜行を可能とするハイドロジェットエンジンをも搭載している。
説明書に書かれたスペックを、ジグマールは心なしか鼻歌交じりに眼を通す。
このバイクがあればいざとなれば逃走にも使え、一撃離脱の戦法も可能となる。
紛れもなく当たりといえるヘルダイバーにうっとりしながら、ジグマールはもう一枚の紙を開こうとするが――
「あんたは、この殺し合いに乗っているのか?」
ウージーを真っ直ぐジグマールの方へ向けた、坊主頭の男が立っていた。
少し浮かれ、警戒がおろそかになっていたジグマール。
そもそも、自分は首輪探知機という便利な道具も持っていたので、今回は元より、先程、独歩の接近を気づけたはず。
今まで首輪探知機の存在を失念していた事、他の参加者の接近を許しすぎた事にジグマール舌打ちを打つ。
増強した力で返り討ちにしてやろうかと思い、ジグマールは思考を回す。
そして、ジグマールの目の前の男の口が再び開いた。
少し浮かれ、警戒がおろそかになっていたジグマール。
そもそも、自分は首輪探知機という便利な道具も持っていたので、今回は元より、先程、独歩の接近を気づけたはず。
今まで首輪探知機の存在を失念していた事、他の参加者の接近を許しすぎた事にジグマール舌打ちを打つ。
増強した力で返り討ちにしてやろうかと思い、ジグマールは思考を回す。
そして、ジグマールの目の前の男の口が再び開いた。
「もし乗っているなら、俺の話を聞いてくれないか? 悪い話じゃないぜ」
口を開いた男、その男の名は川田章吾と言った。
◇ ◆ ◇
「なるほど、川田章吾。お前はその津村斗貴子とやらと同盟を組み、他のヤツラを襲った。
だが、その津村が戻って来ない。一人ではやがて限界は来る。
そのために、このマーティン・ジグマールと協力関係を結びたい。そういうコトだなッ!?」
「ご丁寧にどうも、そんな感じだ。ジグマールさんにとっても悪い話じゃないと思うぜ。 俺がさっき話した情報をよく考えればな。」
だが、その津村が戻って来ない。一人ではやがて限界は来る。
そのために、このマーティン・ジグマールと協力関係を結びたい。そういうコトだなッ!?」
「ご丁寧にどうも、そんな感じだ。ジグマールさんにとっても悪い話じゃないと思うぜ。 俺がさっき話した情報をよく考えればな。」
川田が直ぐに銃口を落とした事で、ジグマールは取り敢えず川田の話を聞く事にした。
見る所、銃を持っている以外、無力そうな存在である川田。
自分にはとって碌ではない話に決まっている。
粗方聞き出したら始末してやろうかとジグマールは考えていた。
だが、優勝を目指し、自分と協力関係を結びたいと言い出した川田にジグマールは興味が湧いた。
見る所、銃を持っている以外、無力そうな存在である川田。
自分にはとって碌ではない話に決まっている。
粗方聞き出したら始末してやろうかとジグマールは考えていた。
だが、優勝を目指し、自分と協力関係を結びたいと言い出した川田にジグマールは興味が湧いた。
聞くところによると、川田と津村斗貴子は学校を襲ったらしい。
その時に川田は二人の男女に対し、襲撃を行い、かなり強力な男を殺害。
川田がジグマールに見せた、大型銃・ハルコンネンによる連射。
伊達に悠久の時を生きてきたジグマールは様々な人間に出会い、その中には彼を騙して来る人間も居た。
そのため、常人よりは嘘を言っている人間をジグマールは見分ける事が出来る。
だが、そんなジグマールでさえも川田が嘘を言っているかのようには見えなかった。
まぁ川田自身、自分は葉隠覚悟を殺したと思い込んでいるので当然ではあるが。
兎に角、ジグマールは川田の話を取り敢えず信用する事にした。
その時に川田は二人の男女に対し、襲撃を行い、かなり強力な男を殺害。
川田がジグマールに見せた、大型銃・ハルコンネンによる連射。
伊達に悠久の時を生きてきたジグマールは様々な人間に出会い、その中には彼を騙して来る人間も居た。
そのため、常人よりは嘘を言っている人間をジグマールは見分ける事が出来る。
だが、そんなジグマールでさえも川田が嘘を言っているかのようには見えなかった。
まぁ川田自身、自分は葉隠覚悟を殺したと思い込んでいるので当然ではあるが。
兎に角、ジグマールは川田の話を取り敢えず信用する事にした。
「ふむ、まぁ良いだろう。丁度、私も手強いヤツラに追われている。協力者が欲しいと思っていたからな」
「交渉成立だな、よろしくジグマールさん」
「交渉成立だな、よろしくジグマールさん」
フランシーヌと待ち合わせの場所も決めておらず、合流する当てはあまりない。
ならば今は取り敢えずの形とはいえども、川田と同盟を組み、敵に備える。
一人より二人の方が有利なのはいうまでもなく、敵の攻撃も分散する。
もし川田が途中で裏切り、自分を攻撃してきたらどうするか?
その時は簡単だ。
HOLY部隊長として、スーパーHOLYを率いていたように、力で屈服させればいい。
それに危なくなれば自分はヘルダイバーで川田を見捨て、フランシーヌとの合流を目指す選択もある。
ジグマールにとってデメリットよりはメリットの方が大きい。
自分に舞い込んできた更なる幸運にジグマールは心の奥底でほくそ笑む。
ならば今は取り敢えずの形とはいえども、川田と同盟を組み、敵に備える。
一人より二人の方が有利なのはいうまでもなく、敵の攻撃も分散する。
もし川田が途中で裏切り、自分を攻撃してきたらどうするか?
その時は簡単だ。
HOLY部隊長として、スーパーHOLYを率いていたように、力で屈服させればいい。
それに危なくなれば自分はヘルダイバーで川田を見捨て、フランシーヌとの合流を目指す選択もある。
ジグマールにとってデメリットよりはメリットの方が大きい。
自分に舞い込んできた更なる幸運にジグマールは心の奥底でほくそ笑む。
(フハハハハハハハッ! 少し前がまるで嘘のような幸運さ!
やはりこのマーティン・ジグマールは全宇宙の支配者に相応しいという神からのお告げなのかッ!!)
やはりこのマーティン・ジグマールは全宇宙の支配者に相応しいという神からのお告げなのかッ!!)
沸き立つ喜びを押さえ、必死に体裁を繕う。
本来の顔より、威厳溢れるこのHOLY部隊長としての顔は崩さないようにジグマールは努める。
ジグマールと川田の目的は優勝を目指すため、協力し他の参加者を殺害する事。
その協力関係には明確な期限は設けられていない。
そう。川田が斗貴子と組んだ協力関係のように。
ジグマールがフランシーヌことエレオノールと結んだ協力関係のように。
いつ、どちらかが裏切っても可笑しくない協力関係。
だが、ジグマール一人ではこの殺し合いに勝ち残る事はあまりにも厳しい。
そのために他の参加者、川田と同盟を結ぶ事に成功したジグマールが喜ばないわけがない。
早速、今後の動き方などを話し合うために、ジグマールは口を開こうとするが――
本来の顔より、威厳溢れるこのHOLY部隊長としての顔は崩さないようにジグマールは努める。
ジグマールと川田の目的は優勝を目指すため、協力し他の参加者を殺害する事。
その協力関係には明確な期限は設けられていない。
そう。川田が斗貴子と組んだ協力関係のように。
ジグマールがフランシーヌことエレオノールと結んだ協力関係のように。
いつ、どちらかが裏切っても可笑しくない協力関係。
だが、ジグマール一人ではこの殺し合いに勝ち残る事はあまりにも厳しい。
そのために他の参加者、川田と同盟を結ぶ事に成功したジグマールが喜ばないわけがない。
早速、今後の動き方などを話し合うために、ジグマールは口を開こうとするが――
(待てよ……少し賭けになるかもしれないが、やってみる価値はあるかもしれんッ!)
妙案が思いつき、開きかけた口を閉じた。
不気味ともいえるような喜びを含んだ笑顔を見せながら。
不気味ともいえるような喜びを含んだ笑顔を見せながら。
「……それでだ。行く当てがなければ俺は学校へ行きたいんだが? 俺が既に一人……厄介なヤツは殺したから残りは二人の男女。
怪我を、運がよければどちらかが死んでる可能性もある。襲撃するにはもってこいだ」
怪我を、運がよければどちらかが死んでる可能性もある。襲撃するにはもってこいだ」
ジグマールの表情の変化を不審に思いながらも川田は提案する。
ついさっき、川田が斗貴子と共に襲撃した学校。
覚悟は既に殺害し、斗貴子は死んだかもしれないが、恐らく相手にはなんらかの負傷を負った可能性は間違いない。
なんせ、斗貴子の異常性と力は川田自身、良く知っており、彼女が只でやられる事もないと思っていたからだ。
そのため、学校に現在居ると思われ、負傷している可能性もある二人の男女。
彼らを追撃するために川田はジグマールに問いかけた。
ついさっき、川田が斗貴子と共に襲撃した学校。
覚悟は既に殺害し、斗貴子は死んだかもしれないが、恐らく相手にはなんらかの負傷を負った可能性は間違いない。
なんせ、斗貴子の異常性と力は川田自身、良く知っており、彼女が只でやられる事もないと思っていたからだ。
そのため、学校に現在居ると思われ、負傷している可能性もある二人の男女。
彼らを追撃するために川田はジグマールに問いかけた。
「グッド! それはいい狩場となるだろう! だが、川田、その前に私と“ゲーム”でもやってみないか!?」
「ゲームだって……?」
「ゲームだって……?」
意気揚々と川田の提案をジグマールは了承の意を示す。
だが、“ゲーム”という言葉が気になり、川田の表情が何かを探るような目つきを浮かべる。
その表情には決して手放しで喜ぶ事は出来ない川田の意思が見え隠れしていた。
そんな川田を見て、想定の範囲内の反応だと考えるジグマール。
もう少し曖昧な事を言って、川田の反応を楽しんでも良かったが時間は惜しい。
こうしている間にも学校に他の参加者が集まる、もしくは独歩や村雨達が追ってくる可能性もあるからだ。
そのため、フフンと鼻を鳴らしながら、ジグマールは二の句を続ける。
だが、“ゲーム”という言葉が気になり、川田の表情が何かを探るような目つきを浮かべる。
その表情には決して手放しで喜ぶ事は出来ない川田の意思が見え隠れしていた。
そんな川田を見て、想定の範囲内の反応だと考えるジグマール。
もう少し曖昧な事を言って、川田の反応を楽しんでも良かったが時間は惜しい。
こうしている間にも学校に他の参加者が集まる、もしくは独歩や村雨達が追ってくる可能性もあるからだ。
そのため、フフンと鼻を鳴らしながら、ジグマールは二の句を続ける。
「そう、ゲームというか実験だな。実はわたしのこの槍は、負傷を瞬時に治す能力があってね。
しかし、それがどの程度の負傷を治すかもわからない。 そこでだ、川田、君にこの槍の性能を確かめてもらいたい」
「具体的に言うと、俺に何をやらせるつもりだ……?」
しかし、それがどの程度の負傷を治すかもわからない。 そこでだ、川田、君にこの槍の性能を確かめてもらいたい」
「具体的に言うと、俺に何をやらせるつもりだ……?」
口を開きながら、武装錬金を発動させ、ジグマールの手に激戦が握られる。
嬉しそうな表情を浮かべ、ジグマールが望むものは激戦の能力の調査。
先程、自分の腕に爪を立て、多少は能力の確認を行ったが未だ完全ではない。
そのため、ジグマールは川田に自分がやった以上の事をやって貰いたかった。
一方、川田の表情は険しい。
頭の回転も良く、状況を見定める力を持つ川田もジグマールの言いたい事はおぼろげに予想出来ていた。
そんな時、ジグマールはデイパックからライドルを取り出し、空いていた手で握り締める。
そう。ジグマールがやってもらいたい事、厳密に言ってしまえば――
嬉しそうな表情を浮かべ、ジグマールが望むものは激戦の能力の調査。
先程、自分の腕に爪を立て、多少は能力の確認を行ったが未だ完全ではない。
そのため、ジグマールは川田に自分がやった以上の事をやって貰いたかった。
一方、川田の表情は険しい。
頭の回転も良く、状況を見定める力を持つ川田もジグマールの言いたい事はおぼろげに予想出来ていた。
そんな時、ジグマールはデイパックからライドルを取り出し、空いていた手で握り締める。
そう。ジグマールがやってもらいたい事、厳密に言ってしまえば――
「なぁに、話はいたってシンプル!
君がこの槍を右手に持ち、私がこの剣みたいなもので、 君の左腕を華麗に切り落とし、本当に再生が行えるかどうかを確かめる。
その時、感じる感覚などを教えてくれればいい!」
君がこの槍を右手に持ち、私がこの剣みたいなもので、 君の左腕を華麗に切り落とし、本当に再生が行えるかどうかを確かめる。
その時、感じる感覚などを教えてくれればいい!」
それは実際に川田の身体の一部分を欠損させ、再生の程度を知る事。
腕を切断するという、残虐な行為をジグマールは何も躊躇なく言い飛ばす。
激戦の能力の程度を知っておかなければ、戦闘の立て方にも影響は出る。
そのために、自分の身体には傷を付けずに、ジグマールは川田の身体を使い実験を試みようとしていた。
また、もう一度爪をたてて、修復を行わせている事を川田に見せ付けているため、
激戦に再生の能力があるという事は川田にも理解させている。
だが、出会ったばかりのジグマールに、支給品を確かめるために腕を切断しろと言われても川田は直ぐに頷けない。
ジグマールを鋭く睨みつける川田の表情には、拒否の意が浮かび上がる。
腕を切断するという、残虐な行為をジグマールは何も躊躇なく言い飛ばす。
激戦の能力の程度を知っておかなければ、戦闘の立て方にも影響は出る。
そのために、自分の身体には傷を付けずに、ジグマールは川田の身体を使い実験を試みようとしていた。
また、もう一度爪をたてて、修復を行わせている事を川田に見せ付けているため、
激戦に再生の能力があるという事は川田にも理解させている。
だが、出会ったばかりのジグマールに、支給品を確かめるために腕を切断しろと言われても川田は直ぐに頷けない。
ジグマールを鋭く睨みつける川田の表情には、拒否の意が浮かび上がる。
(フフフッ! まぁ黙ってしまうのは無理もないだろう! この条件を呑む人間は余程のお人よし、いや、只のバカでしかない!
誰だってそーする! 私だってそーする! しかし、これならどうかな……?)
誰だってそーする! 私だってそーする! しかし、これならどうかな……?)
しかし、そんな事はジグマールも予想している。
あまりにもデメリットしかない行為に、川田が乗るはずもない。
そのため、ジグマールはあるものを用意する事にした。
川田にとって“飴”といえるような代物を。
あまりにもデメリットしかない行為に、川田が乗るはずもない。
そのため、ジグマールはあるものを用意する事にした。
川田にとって“飴”といえるような代物を。
「勿論、ただとは言わない。 この実験に協力してくれれば、この剣のようなものを借そう。
更にだ! もう一つ、おまけにこの未だ開けていない支給品を貸すコトも約束する。
どうだ、なかなか良い条件じゃないか? もし、実験が成功すれば君は二つも支給品を得るコトとなるッ!」
更にだ! もう一つ、おまけにこの未だ開けていない支給品を貸すコトも約束する。
どうだ、なかなか良い条件じゃないか? もし、実験が成功すれば君は二つも支給品を得るコトとなるッ!」
武装錬金を解除し、再び激戦は核鉄の状態へ姿を変える
それは川田に、自分の協力者である川田に支給品を貸して与える事。
現状は激戦とヘルダイバーで充分と考え、ライドルなどの武器はジグマールにとって、あまり意味はない。
一方、川田は聞く所、何も異能はなく、ケンシロウのようなもの達を相手にするには装備が貧弱。
更に未確認の支給品を貸す事で川田の実験へのやる気を引き上げる事を狙った。
依然、特に表情を変えない川田の足元に、ジグマールは激戦の核鉄を投げつける。
だが、いうまでもなく川田がジグマールの実験に乗らず、あまつさえ激戦を奪い、彼を襲うかもしれない。
それに、仮に実験が成功したといっても、川田がジグマールを騙し、襲ってくる可能性もある。
その時は力ずくで捻じ伏せ、自分が絶対的な存在である事を知らしめる。
そんな事を考えていたため、ジグマールにあまり危機感は湧いていなかった。
それは川田に、自分の協力者である川田に支給品を貸して与える事。
現状は激戦とヘルダイバーで充分と考え、ライドルなどの武器はジグマールにとって、あまり意味はない。
一方、川田は聞く所、何も異能はなく、ケンシロウのようなもの達を相手にするには装備が貧弱。
更に未確認の支給品を貸す事で川田の実験へのやる気を引き上げる事を狙った。
依然、特に表情を変えない川田の足元に、ジグマールは激戦の核鉄を投げつける。
だが、いうまでもなく川田がジグマールの実験に乗らず、あまつさえ激戦を奪い、彼を襲うかもしれない。
それに、仮に実験が成功したといっても、川田がジグマールを騙し、襲ってくる可能性もある。
その時は力ずくで捻じ伏せ、自分が絶対的な存在である事を知らしめる。
そんな事を考えていたため、ジグマールにあまり危機感は湧いていなかった。
(ここで私との約束を破り、私と決別すればこの男は孤立する……!
今もケンシロウやドッポ、それに劉鳳のような正義バカが山ほどいるこの状況ッ!
更にラオウやユージローのような殺し合いに乗った者達も忘れてはならない!
弱者でありながら優勝を目指すものが、この状況でむざむざ孤立するようなコトは愚の骨頂ッ! さぁ、どうする? どうする? どうする?)
今もケンシロウやドッポ、それに劉鳳のような正義バカが山ほどいるこの状況ッ!
更にラオウやユージローのような殺し合いに乗った者達も忘れてはならない!
弱者でありながら優勝を目指すものが、この状況でむざむざ孤立するようなコトは愚の骨頂ッ! さぁ、どうする? どうする? どうする?)
何故なら、ジグマールは川田が約束を破り、自分に襲い掛かる可能性は低いと考えていたから。
一度、斗貴子と同盟を結んだという事は、川田には一人で優勝する自信はないはず。
そんな川田が自分を倒し、支給品を一人占め出来るといえども、この先孤立するような真似はしない。
孤立してしまえば、殺し合いを止めようとする者、もしくは殺し合いに乗った者に殺される確立は上昇する。
目先の出来事に惑わされず、長期的に考えれば、ここで川田が自分と決別するのは彼にとってあまり良くない。
腐っても、HOLY部隊長であり、指揮官の地位に就いていたジグマールはそう確信する。
一度、斗貴子と同盟を結んだという事は、川田には一人で優勝する自信はないはず。
そんな川田が自分を倒し、支給品を一人占め出来るといえども、この先孤立するような真似はしない。
孤立してしまえば、殺し合いを止めようとする者、もしくは殺し合いに乗った者に殺される確立は上昇する。
目先の出来事に惑わされず、長期的に考えれば、ここで川田が自分と決別するのは彼にとってあまり良くない。
腐っても、HOLY部隊長であり、指揮官の地位に就いていたジグマールはそう確信する。
「さぁ、川田章吾! 君の答えを聞こうッ!」
ジグマールが大声を上げ、人差し指を川田に向かって突き出す。
ジグマールの人差し指と真っ直ぐ向き合う川田。
やがて、川田が足元に投げつけられた核鉄に手を伸ばした。
一連の行動に、戸惑いや躊躇といったようなものは全く見せずに。
ジグマールの人差し指と真っ直ぐ向き合う川田。
やがて、川田が足元に投げつけられた核鉄に手を伸ばした。
一連の行動に、戸惑いや躊躇といったようなものは全く見せずに。
「――武装錬金」
あまりにも機械的な川田の行動が、いいようのない不気味さを醸し出していた。
◇ ◆ ◇
赤い斑点が地面に走る。
未だ乾ききってはいなく、滑らかな液体の形を取っている。
言うまでもなく、その正体は血液。
天から降ってきたわけでもなく、地から噴き出してきたわけでもない。
ある人物のある部分の肉が切れ、皮が破られた事によって垂れ落ちた血液。
驚きと喜びが混じりあった表情を浮かべる男。
マーティン・ジグマールの目の前に、血だまりの上に立つ男が居た。
いうまでもなく、その男は川田章吾。
どこか冷めたような目つきでジグマールを睨み付ける。
未だ乾ききってはいなく、滑らかな液体の形を取っている。
言うまでもなく、その正体は血液。
天から降ってきたわけでもなく、地から噴き出してきたわけでもない。
ある人物のある部分の肉が切れ、皮が破られた事によって垂れ落ちた血液。
驚きと喜びが混じりあった表情を浮かべる男。
マーティン・ジグマールの目の前に、血だまりの上に立つ男が居た。
いうまでもなく、その男は川田章吾。
どこか冷めたような目つきでジグマールを睨み付ける。
「ハハハッ! なるほど、なるほど! 川田、君の意思はよくわかった!」
声高々に笑うジグマールは只、純粋に笑い、喜びにふける。
目の前の川田がどうやら予想以上に、眼を見張る程の度胸がある事を知る事が出来たから。
そんなジグマールの片腕に、刀身が血に塗れたライドルが握られている。
ここまでくればいうまでもないだろう。
目の前の川田がどうやら予想以上に、眼を見張る程の度胸がある事を知る事が出来たから。
そんなジグマールの片腕に、刀身が血に塗れたライドルが握られている。
ここまでくればいうまでもないだろう。
「実験は成功だな。では、激戦を返して貰おうか?その後、この武器と支給品を貸し出そう!」
そう。ジグマールの提案に乗り、川田は激戦を発動し、左腕を差し出していた。
垂れ落ちた血液は当然、川田の左腕がライドルによって切断された時に流失したもの。
この殺し合いに優勝するための覚悟がなければ、到底出来ない行為。
切断された左腕を、冷静さを保ちながら、五体満足で川田は黙って見つめる。
やがて、川田は武装錬金を解除し、核鉄をジグマールに投げつける。
核鉄を取り返した、ジグマールは満足げに、川田に約束のライドル、そしてエニグマの紙を投げよこした。
ここでジグマールが川田との約束を破れば、彼にとっても協力者が減る事となる。
この殺し合いに優勝するには、今は協力者が必要だとジグマールは考えているので当然の行動といえる。
軽い音をたてて、地に落ちたライドルとエニグマの紙を川田が拾う。
垂れ落ちた血液は当然、川田の左腕がライドルによって切断された時に流失したもの。
この殺し合いに優勝するための覚悟がなければ、到底出来ない行為。
切断された左腕を、冷静さを保ちながら、五体満足で川田は黙って見つめる。
やがて、川田は武装錬金を解除し、核鉄をジグマールに投げつける。
核鉄を取り返した、ジグマールは満足げに、川田に約束のライドル、そしてエニグマの紙を投げよこした。
ここでジグマールが川田との約束を破れば、彼にとっても協力者が減る事となる。
この殺し合いに優勝するには、今は協力者が必要だとジグマールは考えているので当然の行動といえる。
軽い音をたてて、地に落ちたライドルとエニグマの紙を川田が拾う。
「どうも、ありがたく貰っておくぜ。それとさっき、結構疲労があった。
多分再生する箇所や程度によって疲労が伴うっていう仕組みだろうな」
多分再生する箇所や程度によって疲労が伴うっていう仕組みだろうな」
ライドルを入念に調べながら、川田が口を開く。
ジグマールとの約束、激戦を使用した時の感触を説明するのも忘れずに。
その川田の言葉にジグマールは納得がいったような表情を見せる。
瞬時に傷を、欠損した身体さえも再生する激戦の能力はあまりにも強い。
疲労が伴うくらいのデメリットはあっても当然だろう。
激戦の特性、弱点を大体理解する事が出来たジグマールの表情は明るい。
やがてジグマールが新たな行動を見せる。
ジグマールとの約束、激戦を使用した時の感触を説明するのも忘れずに。
その川田の言葉にジグマールは納得がいったような表情を見せる。
瞬時に傷を、欠損した身体さえも再生する激戦の能力はあまりにも強い。
疲労が伴うくらいのデメリットはあっても当然だろう。
激戦の特性、弱点を大体理解する事が出来たジグマールの表情は明るい。
やがてジグマールが新たな行動を見せる。
「なるほどな。まぁ、これから宜しく頼むぞ、川田。君の度胸は、優勝への覚悟は素晴らしい!
HOLY部隊長として、君のような者と同盟を結べるコトを光栄に思おうッ!!」
HOLY部隊長として、君のような者と同盟を結べるコトを光栄に思おうッ!!」
差し出されたものは右の手。
川田が先程見せた勇気、覚悟に対して純粋に感じた敬意の表れ。
普通の感性を持つ人間ならきっとそう思うだろう。
だが、生憎ジグマールを普通の感性を持つ人間と言うのは難しい。
川田が先程見せた勇気、覚悟に対して純粋に感じた敬意の表れ。
普通の感性を持つ人間ならきっとそう思うだろう。
だが、生憎ジグマールを普通の感性を持つ人間と言うのは難しい。
(フハハハハハハッ! 精々利用させて貰うぞ、川田! まさかあんなにアッサリと決断するとは思わなかったが、だがそれだけだ!
所詮、キサマはアルターもなければ、恐ろしい力もない! この私の手足として、死ぬまで行使してやろう!
全宇宙支配の夢を持つ、このマーティン・ジグマールに使われるコトを光栄に思いたまえッ!)
所詮、キサマはアルターもなければ、恐ろしい力もない! この私の手足として、死ぬまで行使してやろう!
全宇宙支配の夢を持つ、このマーティン・ジグマールに使われるコトを光栄に思いたまえッ!)
激戦の入手に始まり、ジグマールには幸運な事が続いた。
その事が少しジグマールの感情を浮き立たせ、一種の高揚感を持たせた。
今、ジグマールは俗にいう最高にハイってヤツだ!という状況に近い。
そのため、川田の行動にも然程感心はなく、彼が自分の協力者になったという事実の方への喜びが強い。
思わず口に出して、叫びたい衝動を抑え、建前上は川田の行動を賞賛するためにジグマールは握手を求める
その事が少しジグマールの感情を浮き立たせ、一種の高揚感を持たせた。
今、ジグマールは俗にいう最高にハイってヤツだ!という状況に近い。
そのため、川田の行動にも然程感心はなく、彼が自分の協力者になったという事実の方への喜びが強い。
思わず口に出して、叫びたい衝動を抑え、建前上は川田の行動を賞賛するためにジグマールは握手を求める
だが、決して慢心に溺れきっているわけでもない。
川田の行動で彼の優勝の覚悟はかなり筋金入りだったという事は流石のジグマールも理解した。
その強固な覚悟は同時に、優勝のために自分を裏切る可能性も充分に強い事を意味する。
そのため、自分は威厳溢れる実力者である認識を川田に植え付け、自分を裏切れば死ぬ。
そんな事を思わせるためにも、ジグマールは敢えてHOLYの名を出した。
HOLYがなんたるかを知らずとも、なんらかの軍事組織であると川田が考え、自分の強さに警戒する。
ジグマールはそれを狙っていた。
川田の行動で彼の優勝の覚悟はかなり筋金入りだったという事は流石のジグマールも理解した。
その強固な覚悟は同時に、優勝のために自分を裏切る可能性も充分に強い事を意味する。
そのため、自分は威厳溢れる実力者である認識を川田に植え付け、自分を裏切れば死ぬ。
そんな事を思わせるためにも、ジグマールは敢えてHOLYの名を出した。
HOLYがなんたるかを知らずとも、なんらかの軍事組織であると川田が考え、自分の強さに警戒する。
ジグマールはそれを狙っていた。
「ああ、こちらこそ宜しく頼むぜ……」
差し出されたジグマールの手を握り、川田がしっかりと握手を行う。
川田の両眼に宿る意思の光。
その光が数分前より、少し鋭いものになっているような感覚をジグマールは覚えた。
川田の両眼に宿る意思の光。
その光が数分前より、少し鋭いものになっているような感覚をジグマールは覚えた。