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紅き剣と黒き蝶

その人物は”黒蝶”と呼ばれる女性ギルドナイツだった。
いわゆる暗殺者である。
依頼を受けるや否や黒蝶は紅蓮の炎を消す為に飛んだ。
一方頼朝はギルドに一矢報いる為にレジスタンスの結成を企てていた。
散って行った仲間の為に。
ある夜、頼朝は休息の為、生き残りの隊士と共に野営を始めた。
「ふぅ…こんなとこか。さ、皆寝るでござるよー」
「局長は寝ないのですか?」
「なぜか眠くないのでな、軽く体を動かしてからテントに戻るでござるよ」
「わかりました。」
「あ、先に寝てていいでござるよ」
「お気遣い痛み入ります」
「さて…」
一人、外れで素振りをする最中
シュッ!パシィ!
「何奴だ!」
矢を掴み叫ぶ頼朝。返答はない。
その刹那、影が頼朝に襲い来る!
「チィッ!」
頼朝は一撃を躱し敵を組み伏せる。
「神妙にせよ。面を見せてもらおうか」
そう言って、仮面を剥ぎ取る。
長い黒髪、整った顔立ち、
こちらを睨む目。
「…女か?」
「…」
女は黙ったままだ。
「…話を聞かせてもらおうか、武装解除させてもらう。」
満月の下、向かい合う二人。
「名は何という?」
「…」
「誰の指示だ。ギルド軍か?」
「…殺せ」
「ふむ…話にならんな」
グー…
「腹減ってるのか?」
「…」
「…飯の支度をする。少し待つでござる。」
「情けなどいらない!さっさと斬れ!」
「落ち着くでござるよ。今用意する。」
「くっ…」
テキパキと肉焼きセットを準備する。
〜♪(肉焼きのBGM)
『上手に焼けましたー!』
「さ、焼けたぞ。今縄を解く。暴れるでないぞ。」
スルッ
「…」
「さ、食うと良い。やけどに気をつけてな。」
「…何故だ」
「ん?」
「ついさっきまで、殺そうとして来た相手に飯を振る舞うか?普通」モグモグ
「んー…まあ、別によいではないか。しかもそう言いながら食べてるし。」モグモグ
「っ!仕方ないだろ!腹が減ってたんだから!」
「最初からそういえば良いのに…」
しばし沈黙。
「「ごちそうさま。」」
「ふぅ…そう言えば名前を聞いてないでござるな。何と申すのだ?」
「名前…か…」
「おろ?教えてくれないでござるか?」
「…無いんだ。」
「…なあ」
「私の刀を返してくれ。あんたを刺しはしない。」
「…覚悟は決まってるござるか…」
「ええ。悔いはないわ。」
「ならば拙者がやる。髪を束ねろ。斬るには邪魔だ。」
「…なっ!」
「落ちぶれたとは言え、一応、紅蓮隊局長、人を斬るのは慣れっこでござる。」
腰の脇差を抜く。
「座れ」
「…」
正座する女の髪を掴む。
「言い残した事はないでござるか?」
「…お肉、美味しかったよ…」
「そうか。」
ザンッ
「ッ!…?」
「斬った。」
そう言う頼朝の手には長い髪。
「…何を言ってるの…」
「生きろ、拙者たちと共に来るでござる。」
「…は?」
「…麻夜。お前は麻夜だ。」
「…何で、どうして…」
「拙者がそうしたいからでござる。行くぞ、麻夜。」
感動か、贖罪か、麻夜は泣き崩れた。
「…いつまで泣いてるでござる、さあ、行こう。」
「…はい!」

消えかかった火は黒き蝶を飲み込み、
今また燃え盛る。悲しみにくれる夜も、
明るく照らす。
最終更新:2016年11月22日 03:42