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紅の射手

【 紅の射手(クロノス視点) 】


クロノスはガンナー、セイバー、としばらく行動を別にしていた

彼らとは比較的友好ではあるが、私自身の使命を手伝ってもらう義理はなかったからだ

必要になれば互いのライザーが共鳴して何かを知らせてくれる

何も心配することはない

いざとなれば直ぐに向かえるのだから

【さて、クロノスが指定したポイントはこの辺りのはずだが・・・】

そこは煮え滾る溶岩が湧き上がり、辺りに生息している生物はいないだろうと思われる灼熱の世界

いや、地獄と呼べるのかも知れないその環境は、火山と呼ばれるところであった

目の前の視界が揺らめくほどの熱気を前にGhostはふとセイバーのことを思い出す

【そういえば、セイバーはこの様な環境で育ったと言っていたな

なるほど、確かに過酷な環境だ】

本来、人の生存が不可能と思われる環境で育ったセイバーもまた人ならざる者に近いのかも知れない

監視の対象にはなり得ないと思いたいところだが・・・

K【考え事は仕事が終わってからにしようか今は目の前のことに集中してくれ】

クロノスに戒められ、Ghostは気を引き締める

精神統一をして、周りの空気に感覚を張り巡らす

遠くのほうで心臓を掴まれるような圧迫感のある音

いや、声を聞いた

G【この声は・・・?】

Ghostは音のするほうへと向かった


火山山頂付近


麓よりも激しく噴き上がるマグマ

常に地面は崩れ、飲み込まれ、重なり、冷えて、新たな大地がつくられていく

その自然の雄大な活動の中で、獲物を狙って目を光らせているモンスターの存在を視認する

G【轟竜か、しかし黒く染まっているな。本来、この世界には生息しない個体のはずだが・・・?】

双眼鏡を使って黒き轟竜をしばらく観察するGhost

黒いオーラを纏いながら、火山を自分の庭のように徘徊しているその姿を見ながら、どのように攻めるかを思考錯誤する

一般のモンスターでないことは、これまでの経験ではっきりとしている

何かしらの特殊な能力を有している可能性が高い

では、その不足の事態にはどのように対処するのか

また、どのような能力が考えられるか

双眼鏡を覗きながら考えるGhost、その先に映る轟竜がふと足を止めて辺りを見回し始めた

そして180度旋回して、まっすぐにこちらを睨んでいる

G【まさか、この距離で気づいたのか!?】

一瞬の動揺を轟竜は見逃さなかった

両手を地面に突き刺し、吼える

その音はまさにこれからの狩りを知らせるかのように

G【見つかってしまった以上、やらねばやられる。まだ、戦術は整っていないがやるしかない】

Ghostは崖を滑り降り、戦場へと降り立つ

G【リードクロニクル!ソードマスター!】

背中に太刀を携えて仮面クロノスへと変身を完了させる

戦闘の準備は整った

後は死線を超えるだけ



互いに隙を伺う2体

動かないのではなく、動けないでいた

何をしてくるのか想像ができない

下手に動けば一瞬で殺られてしまう

太刀を納刀のまま握りしめながら、轟竜を睨む

その時、両者の間にマグマが噴き上がる

その隙を見逃さずに岩石を飛ばしてくる轟竜

戦いの火蓋は切って落とされた

向かってくる岩石をしゃがんで避けると、轟竜も同時に突進を始めていた

横への回避は難しい、ならば前しかない

Ghostは右前足と首の間から入り、そのまま体を捻りながら太刀で腹を切りつける

しかし、思ったよりも皮膚が硬い

弾かれこそはしなかったが、どこだろうと斬撃が通用するわけではなさそうだ

轟竜はその突進してきた速度のまま、体を反転させて再度突進をしかけてきた

距離を取って避けようとしたが、先程の岩が退路を絶っていたことを気付かされる

【・・・次は関節を狙ってみるか】

特に焦る様子もなく、冷静に次の手を考えるGhost

轟竜の突進を背後の岩石を使って飛び越し、肩の付け根に斬撃を加える

鮮血が飛び散り、轟竜が呻き声をあげる

G【なるほど、筋繊維などを切って機動力を下げたほうが良さそうだな】

追撃を加えようとGhostが距離を詰める

途端、轟竜の体から黒い何かが噴き上がる

先程よりもさらに息が詰まるような圧迫感が辺りを埋め尽くす

黒いオーラの中から光る紅い瞳が、こちらを睨み怒りを露わにしている

遂に怒りを抑え切れなくなった轟竜、天に向かって吼える

地震のように大地を揺さぶり、空気を縛り付ける

そして、その咆哮に呼応するかのように火山も噴火した

まるで火山全体がその轟竜と共にあるかのように

Ghostは臆することも勇むこともなく、ただまっすぐに轟竜を見ていた

冷静に正確に目標を討つことだけを考えていた

G【何も変わらないわけはない、きっと何かしらが変わっているはずだ・・・】

仮面クロノスとして戦うとき、基本的に初めて対峙するモンスターであることが殆んどなため、攻撃は後手に回らざるを得なかった

再び轟竜が突進をしかけてくる

しかし、その速度は先程の比ではなかった

正常に判断する時間を削がれたGhostは本能的に鞘を犠牲にしてなんとか攻撃をいなす

そして吹き飛ばされた反動を利用して回転しながら後ろ足を斬りつける

確実に腱を狙ったはずだったが、ガキィン!という音と共に太刀の刀身が折れてしまう

とりあえず攻撃は凌いだが、武器は破壊され戦闘の続行は期待できそうになかった

幸い轟竜はその速度止めることができないまま、壁に激突し埋まっていた

G【済まない、クロノス変わるぞ】

K【了解、リードクロニクル・・・ガンスリンガー!】

白い光と文字列に包まれて姿を現したのは、背中に時計のような重弩を携えた先程とは違う姿をした者

K【仮面クロノス、戦闘を開始する】



壁を崩しながら自由を取り戻した轟竜

別の姿となったクロノス

先程まで戦っていた獲物が別の雰囲気の放っていることを轟竜は感づいていた

どうなったとしても変わりはない

ただ獲物を殺し喰い散らかすのみ

本能で即座に判断した轟竜は構わずクロノスに飛びかかる

K【チェンジバレット・・・ペネトレイター】

そう呟くと同時に武器を構え、顔と両手に攻撃を放つ

的確に攻撃を加えられた轟竜は空中で体制を崩し、地面へと墜落させられる

もがき苦しむ轟竜を前にクロノスの無慈悲な攻撃は休みなく続く

体制を立て直した轟竜は再度、クロノスに襲いかかる

K【右35度、下40度】

瞬時に分析を行い、正確に回避する

かと言って元々自分が出るつもりはなかったので弾薬は少ない

K【さて、どう攻めるか・・・】

とりあえずペネトレイターによって、出血は促した

少しずつダメージは蓄積していくことだろう

しかし、それでは奴の命まで届かない

Ghostが戦闘を開始したときから分析をしていたクロノス

ようやく、完全に分析を完了させる

K【なるほど、そういう構造か・・・】

分析結果の中から戦闘に役立つ情報を抽出する

そして、不敵な笑みを浮かべる

K【チェンジバレット・・・レヴァアータ】

そう呟くとクロノスの周りに水気が溢れる

そして、目にも止まらぬ速さでその弾は

いや、針のようなものは目標を貫いた

何が起きたのか理解が追いつかない轟竜

何故自分はダメージを負っているのか

何故ここまで劣勢なのか

思考が歪み困惑している轟竜にクロノスは機械的に撃ち貫く

このままでは殺られると判断した轟竜は捨て身の覚悟でクロノスに襲いかかる

吼えながら突撃してくる轟竜を前にクロノスは一歩足りとも動かない

K【チェンジバレット・・・レストリック】

その言葉と共に放たれた弾は轟竜の動きを拘束した

動こうともがく轟竜だったが、自分の思考に反して身体は動かない

身体が動かないだけであって視界はクロノスを捉えていた

そのクロノスが静かに時砲を向ける

K【クロニクル・・・バースト!】

その弾は轟竜の頭を穿ち、そして弾けた

消え入るような叫び声を上げた後、轟竜は倒れた

血流は止まり、身体が冷たくなっていく

そして黒い煙が立ち昇り、針のようなものが轟竜の身体から落ちた

クロノスがそれを手に取る

K【Ghost、これが何か分かるか?】

G【いや、私も初めて目にする】

K【そうか、では一体これは・・・?】

クロノスとGhostが考えていると背後から

?【やっと見つけたぞ!】

という声が聞こえ、二人はその声の方向に振り向いた



声の主は紅い礼服のようなものに身を包み、そして紅い仮面を付けていた

?【俺はずっとお前のことを探していた!さぁ、俺のチャルドを元に戻してもらうぞ!】

いきなり探していたと言われ、チャルドとかいう聞いたこともないような何かに時間をかけている暇はなかった

K【何かの勘違いだろう、私は君のことを何も知らないし、そのチャルドとか言う存在も知らない】

そう言い放ってその場を去ろうとするクロノスにその紅い青年は襲いかかる

?【では、お前の持っているその黒い楔は何だ!それこそが貴様を元凶だと決定づける何よりの証拠!ハァッ!】

いきなり斬りつけられるクロノス

しかし、距離を取り回避する

しばらくは距離を取り牽制を続けるクロノス

しかし目の前の攻撃は小事、クロノスの思考の中では論争が起きていた

K【何故止める!Ghost!奴は私たちに斬りかかってきた!邪魔をするものは誰であろうと排除する!】

G【相手は人間だ、何かの間違いで私たちを敵だと認識しているらしい、歪みの対象でもない生物に手をかけるのか?】

K【しかし・・・!】

G【とりあえず、私に任せろ 変わるぞ】

クロノスは渋ったが、一度大きく距離を取り、小さい声で

【チェンジマインド:Ghost】と呟く

その一瞬で姿はそのままで意識だけGhostに移った状態となった

勿論、Ghostに銃器は扱えないので丸腰同然である

けれど、そのことを向こうが知る由もない

如何に連撃を重ねようと軽く躱されてしまう

かと言って向こうから反撃が返ってくるわけでもない

弄ばれているという感覚が青年には不快で仕方がなかった

青年は連撃を止め、背中の弓を上空に放ち、クロノスの頭上で炸裂させて矢の雨が降り注ぐ

一本足りとも当たらないがそれは想定内

青年は一瞬目を閉じ、そして見開く

?【いくぞ!鬼人化!ハァッ!!】

双剣を真上掲げ、青年が紅いオーラを纏う

G【ほぉ、その年で鬼人化が扱えるのか・・・】

?【セイッ!ハァッ!デヤァァァッ!】

青年は先程よりも速くそして重い一撃で連撃を重ねる

その時間は実に1時間にも及んでいた

それまで鬼人化を維持していた青年であったが、流石に疲れが溜まり動きが鈍った

その瞬間をGhostは見逃さなかった

一瞬で距離を詰めて武器を弾き、青年を投げ飛ばす

初めての反撃に虚を突かれた青年は受け身もまともに取れずに身体を強打する

?「グッ・・・!」

しばらくその場にうずくまる青年

しかし、Ghostは追撃を入れようとしない

まるで試されているかのような状況に青年は憤る

?「くそっ!まだ終わっていない!」

そう言い放ち、再び立ち向かおうと走り始めた瞬間、青年の動きが止まった

頭を押さえて何かと会話をしているような素振りだった

とりあえず様子を見るGhost

しばらくすると青年がこちらに話しかけてきた

?「チャルドが君と話がしたいと言っている!」

いきなり何を言ってるのか分からなかったがそのチャルドと思われる声が頭に響いた

チャルド「私の声が聞こえているかな?私の名前はチャルド、彼の保護者のようなものだ。まずは彼の非礼を詫びようと思う。済まなかった。」

G「襲いかかってきたことには初めから怒ってなどいない。何故私達を襲ってきたんだ?」

チャルド「それについて話すには少々話が長くなってしまうな。ここでは何だ。場所を変えてもよろしいか?」

G「・・・そうだな、そうしよう」



火山の麓まで戻ってきた二人、いや四人は帰りの船の中で事の詳細について話し合った

チャルド「何から話せば良いやら・・・、まずは君たちが先ほど持っていた楔のことから話すとしよう
     その黒い針のようなものは楔と言って、ある程度特殊な人間でないと視認すらできないものだ
     詳しいことは私達も分かっていない、ある日、突然私は何者かに楔を打ち込まれた
     その楔は私の脳を強引に乗っ取ろうとしてきた、闘争本能だけになってしまう前に私は私自身を石と化し
     この体が暴走することをなんとか阻止することができた
     今は私の力で楔の力を抑えこんではいるが、限りなく制御は不安定であると言わざるを得ない
     彼は両親をその楔によって暴走したモンスターによって失っている
     先ほども言ったが、楔を視認できる人間は極めて稀だ
     傍にいたモンスターと楔を持つ君たちを見て親の仇だと思ってしまったのだろう
     私から楔に関する情報はこれだけだ」

G「貴重な情報をありがとうチャルド
  私はGhost、こちらはクロノスだ
  そうだな・・・、チャルドの言ったとおり私たちは人の形こそしているが、限りなく人からかけ離れている存在だ
  しかし、それについて詳しく話すことはできない
  私たちは歪みを抱えたモンスターの浄化を目的としている
  その歪みは私たち以外が見て判断することはできない
  今回のモンスターは歪みを抱えているとの分析結果が出たため、討伐に赴いた
  そして、先程討伐したモンスターは本来この世界には存在しないはずの生物だ
  誰かがどこかからこの世界にあのモンスターを連れてきた可能性もある
  楔のことを知ったのは、討伐したモンスターから抜け落ちた時が初めてだった
  今まで、そのような事例に遭遇したことはない
  しかし、この楔がモンスターに歪みを誘発させてる可能性は極めて高い
  私たちはこの楔を打ち込まれたモンスターの討伐も視野に入れなければいけないと判断した
  そこで私から提案がある
  君たちの都合が良ければ、我々と一緒にこないか?
  私の他に後二人ほど仲間・・・がいるのだが、同じような目的の元集った者たちだ
  きっと何かの助けになると思う、どうだろうか?」

チャルド「なんとありがたい話か
     しかし、彼がなんというか・・・どうだ?アーチャー?」

A「俺は・・・。・・・賛成したい。けど、俺は有無を言わさず君に斬りかかってしまった。そんな俺が同行して良いのか?」

G「私から提案を出したんだ。君が良いと言えばそれで良い」

A「・・・。分かった一緒にいくよ」

G「とりあえずは決まったな。さて、そろそろ港に着くころか・・・。」

そう言うと、水平線の向こうに山のようなものが見えた

港が見えてきたのだ

色々と不足の事態は起きたが、新たな仲間が増えた

ガンナーとセイバーにはどう説明しようか・・・

G「まぁ、なんとかなるだろう」

そう考えていると

K「相変わらずそういうところは楽観的だな」

とクロノスが横から指摘するが

G「あぁ、そうだ。君の名前を聞いておこうか」

そう言ってクロノスの言葉を聞き流す

A「俺の名前はアーチャー・・・。仮面アーチャーだ」

G「アーチャーか、分かった。これからよろしく、アーチャー」

K「全く・・・」

一度の休息にを取ることのできた4人であったが、この時ガンナーとセイバーの身に何かが起きていることを

まだこの時は誰も知る由もなかった
最終更新:2014年01月15日 11:43